田中 修

中国経済レポート

財政部記者会見(2)

新領域研究センター 田中 修

2022年4月28日


4.特別債の使用範囲拡大

国務院の政策決定・手配では、2022年、特別債の投資先分野は総体として安定を維持しており、同時に経済運営において出現した新たな情況と結びつけて、最適化調整を進めている。

(1)引き続き9大分野に用いる

2022年、特別債を引き続き、交通インフラ、エネルギー、農林・水利、生態環境保護、社会事業、都市・農村コールドチェーン等の物流インフラ、都市公共施設・産業パークインフラ、国家重大戦略プロジェクト、社会保障的性格をもつ安住プロジェクトの9大分野に重点的に用いる。

同時に、特別債の投資先分野のネガティブリスト管理を引き続き実施し、債券資金を庁舎ビル・公会堂・記念館・招待所、イメージ作りプロジェクト・政治業績プロジェクト、非公益的資本支出プロジェクト等に用いることを厳禁する。

(2)使用範囲を合理的に拡大する

中央経済工作会議・「政府活動報告」精神を貫徹し、国務院常務会議の要求を実施するため、2022年、財政部は特別債の使用範囲を合理的に拡大する。主として、3方面が含まれる。

①民生の優遇・人民の憂いの解決等の分野への投資を増やす

最近、財政部は国家発展・改革委員会と、いくらかの2022年特別債プロジェクトを組織的に各地に補充通知し、地方が都市パイプライン網建設、水利等の重点分野プロジェクトを重点とするよう指導した。

②持続力を増し、水準を高めるプロジェクトの建設を支援する

主として、新しいタイプのインフラ建設を軸に支援を強化し、公益性を備え、一定の収益がある情報インフラ、融合インフラ、イノベーションインフラを支援の重点とする。

③不足の補充・脆弱部分の補強プロジェクトの建設を推進する

各地方が、農村振興を全面推進し、農業・農村の現代化を加速し、農業・農村分野のプロジェクトをしっかりストックし、食糧の倉庫備蓄・物流施設を特別債支援の重点とし、重要農産品とりわけ食糧供給を支援し、国家の食糧安全を保障するよう要求する。

今後、我々は引き続き指導を強化し、地方が重点分野・不足分野に精確に焦点を絞り、地方政府特別債の使用範囲を引き続き最適化し、地方債をうまく用いて有効な投資を拡大し、消費を牽引して内需を拡大し、雇用を促進して成長を安定させるために、有力なサポートを提供する。

5.特別債プロジェクトの調整

ここ数年の実施情況から見ると、実施プロセスにおいて確かにいくからのプロジェクトは、様々な原因により執行継続が難しくなっており、もしなおも元々確定したプロジェクトに基づいて実施するならば、資金の浪費・放置を容易に生み出し、特別債の使用効果発揮に影響を及ぼすことになる。

我々はこの問題に注意して後、この情況について措置を採用し、「地方政府特別債用途調整操作ガイドライン」を専門に発出し、地方政府がガイドラインに基づいて操作することを支援し、地方が実際のニーズに基づき債券資金の用途を調整することを認めている。主要な内容は以下の方面である。

(1)該当する条件

プロジェクト実施プロセスにおいて重大な変化が発生し、確かに特別債資金のニーズが無くなり、あるいはニーズが予想より少なく、プロジェクト竣工後、特別債資金に余剰が発生し、及び特別債の規定に違反した使用について要求に基づき整頓・改善が必要な場合、特別債の用途調整を認める。調整に該当する条件を規定したが、これは決して随意に調整してよいということではない。

(2)調整の原則

計上を調整するプロジェクトは、発行・使用条件を備え、党中央・国務院が明確にした重点分野・重大プロジェクトを優先的に支援し、元のプロジェクトと同類型・同分野のプロジェクトを優先的に選択しなければならない。

既存債務の置換えに用いることを厳禁し、庁舎ビル・公会堂・記念館・招待所、イメージ作りプロジェクト・政治業績プロジェクト、非公益的資本プロジェクト支出、及び経常的支出等に用いることを厳禁する。

(3)作業の手続

地方各レベル財政部門は、そのクラスの政府の特別債プロジェクトの実施情況を組織的に整理し、確かに用途調整が必要なものは同レベルの人民政府の同意を経た後、省レベル人民政府に報告して再手配・調整を批准してもらい、実際の情況に応じて予算の調整・調合等の手続を履行しなければならない。つまり、プロジェクトの手続を履行する以外に、予算手続の調整が必要となったものは、予算の調整・調合等の関係手続をも履行しなければならない。

既に発出された「ガイドライン」は、地方が特別債プロジェクト資金の用途を調整する自主権を賦与している。近年の実践情況から見ると、「ガイドライン」は該当する条件、相応の規定違反の懲戒措置を規定しているため、実践において存在する問題を有効に解決することができ、特別債資金の使用効果を確実に発揮させている。実際上、これらの情況が発生した場合には、いずれもこの手続に基づいて処理されており、債券資金の効果発揮を促進する役割を果たしている。

6.特別債の今後の発行・使用スケジュール

党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、財政部は政策の力発揮を適切に前倒して、2回に分けて特別債の金額を下達した。

最近、財政部はビデオ会議を特に開催して、国務院常務会議の要求を伝達し、特別債の発行・使用等の作業を一層加速することを検討し、期限要求を明確にし、地方の責任を徹底させ、財政支出の強度を保証し、支出の進度を加速した。

①限度額下達に急いで取り組む

各地方が、省レベル人民代表大会常務委員会関係政策機関との意思疎通を早急に図り、できるだけ早く予算調整等の法定手続を履行し、できるだけ速やかに手続に従って3月末に下達した新規政府債務限度額を分解して市・県に下達するよう要求する。

②発行のテンポを加速する

2021年12月に事前下達した金額は、今年5月末前に発行を完了する。

2022年3月末に分配・下達した金額は、できるだけ速やかに発行を開始し、今年9月末前に全部発行を完了する。

③できるだけ速やかに交付・使用する

省レベル財政部門が有効な措置を採用するよう要求して、プロジェクト主管部門とプロジェクト単位に、特別債資金の交付・使用の進度を加速するよう督促させる。

2021年に発行した特別債については、原則として今年5月末前に交付・使用する。

2021年12月前に下達した2022年特別債については、原則として今年9月末前に交付・使用する。

2回目に下達した特別債金額については、可能な限り今年速やかに使用する。

④規定に合致した立替え払いを認める

新規特別債発行が完了する前は、予算が既に計上した特別債プロジェクトについては、先行国庫調整の方法を通じて、プロジェクト建設の進度を加速することを認める。

債券発行以後は適時返納し、決して債券未発行により重大プロジェクトの実施に影響が及ぶ情況が出現することを認めない

今後、財政部は関係部門と政策指導を強化し、各地方のプロジェクトの環境評価、安全評価、海・土地使用等の事前準備作業の早急な展開を推進し、事前準備作業を十分に行い、既に各審査・認可手続を終えたプロジェクトに債券資金を確実に用いて、適時実物成果量を形成するようにさせる。

7.特別債の管理

今年の特別債発行進度は加速されているので、もし使用管理が追いつかなければ、資金の放置・低効率利用を容易に生み出すことになる。この問題を回避するため、財政部は地方政府の主体責任を徹底させ、多くの政策措置を採用した。

(1)プロジェクト審査・認可を厳格にグリップする

投資先分野及びプロジェクトの規定への整合性、成熟度、融資と収益がバランスしているかどうか等について、審査・認可のグリップを強化し、軽重・緩急を区分し、建設中のプロジェクト、既に国家重大発展戦略・計画に組み入れられたプロジェクトを優先的に支援し、「未だ認可されていないのにまず建設」「建設しながら認可手続をする」等の規定違反行為の出現を断固防止する。

特別債のネガティブリスト管理の要求を厳格に実施し、庁舎ビル・公会堂・記念館・招待所、イメージ作りプロジェクト、政治業績プロジェクトの建設を支援することを厳禁し、ハイリスク地域が財政受容能力・経済発展水準を超えて建設を行うことを厳禁する。

我々は2つのネガティブリストがあり、2つのネガティブリストに基づき対応・管理を厳格化する。

(2)透明度の高いモニタリングを全面的に普及する

昨年以降、財政部は文件を発出して、各地方が特別債券プロジェクトの透明度の高いモニタリングを全面的に普及させ、一部地域でテストを行うよう要求している。

現在、我々は作業を加速させており、今年7月末には透明度の高いモニタリングの全面カバーを実現できる見込みである。主として情報化手段を通じて、プロジェクト単位の建設・運営情況を透明度高く了解し、債務資金が国庫支出からプロジェクト単位に至って以後の情況を重点的に掌握し、特別債資金の使用、プロジェクト建設の進度・運営管理等の情況を適時掌握し、問題を発見しだい是正し、特別債の全ライフサイクル管理の基礎を打ち固める。

元来、国庫支出からプロジェクト単位に至る段階を我々は掌握・了解していたが、プロジェクト単位に至った後の使用情況については、現行の情報システムには確かにいくらか不足が存在しており、昨年から我々は透明度の高いモニタリングを通じて、この不足を補い、情報化手段を用いて後半段階のモニタリングを開始している。

(3)支出進度の通報・事前警告制度を実施する

今年1月から、財政部は毎月、各地方の特別債発行・交付・支出の進度を省レベル財政部門に通報し、進度が最も遅い3省に対して事前警告を実施し、地方政府が措置を採用するよう要求し、以後の年度債券限度額を分配するタイミングと各地方の実際の支出進度をリンクさせることを明確にした。

一面では、事前警告後3省に措置の改善を採用するよう督促し、同時に我々も今年の執行情況を以後の年度の債権金額の分配とリンクさせることを明確にし、進度が遅い地方は相応に金額を減らすこととしている。

さらに、省レベル財政部門に、市・県に対してもこれに合わせて通報・事前警告制度を確立し、各層で責任を徹底させ、債券資金の放置を防止するよう要求した。

上述の措置以外に、財政部は既存の管理措置を引き続きしっかり実施する。例えば、財政部の各地方監督管理局を引き続き常態的に組織化し、特別債資金の使用情況の調査を展開し、特別債プロジェクトの資金使用情況の業績評価の完全カバーの実現等を推進する。

財政部は、党中央・国務院の重大政策決定・手配を真剣に実施し、特別債の「借入・使用・管理・償還」の全プロセスの管理を引き続き強化し、特別債資金の安全・規範的・効率の高い使用を促進する。(おわり)