田中 修

中国経済レポート

2022年の経済政策

新領域研究センター 田中 修

2021年12月9日


はじめに

習近平総書記は12月6日、党中央政治局会議を開催し、2022年の経済政策を分析・検討した。また、これに先立つ12月2日、党外人士座談会を開催している。本稿では、会議の概要を座談会における習近平総書記の重要講話の概要を紹介する。なお、重要な部分は太字で示している。

1.党中央政治局会議(12月6日)

今年は党・国家の歴史上、一里塚の意義を有する1年であり、我々は百年の変局と世紀の疫病に落ち着いて対応し、改革・発展の非常に困難な任務を奮闘して達成し、第14次5カ年計画の良好なスタートを実現した。

わが国の経済発展は世界のリード役の地位を維持し、国家の戦略的科学技術パワーが急速に発展し、産業チェーンの強靭性・優位性が高まり、改革開放が深く推進され、民生の保障は有力・有効で、生態文明建設が引き続き推進されている。

2022年の経済政策をしっかり行うには、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第19回党大会と党19期2中全会・3中全会・4中全会・5中全会・6中全会精神を全面的に貫徹実施し、偉大な建党精神を高揚させ、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組を早急に構築し1 、改革開放を全面深化させ、イノベーション駆動による発展を堅持し、質の高い発展を推進し、サプライサイド構造改革を主線とすることを堅持し、疫病防御と経済社会の発展を統一し、発展と安全を統一し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障)政策を引き続きしっかり実施し、引き続き民生を改善し、マクロ経済の大基盤の安定に力を入れ、経済運営を合理的区間に維持し、社会の大局の安定を維持し、第20回党大会の勝利の開催を迎えなければならない。

2022年の経済政策は「穏」(穏健・安定)の字を筆頭に置き、安定の中で前進を求めなければならない。

①マクロ政策

マクロ政策は穏健・有効でなければならず、引き続き積極的財政政策と穏健な金融政策を実施しなければならない。

積極的財政政策は更に効率を高め、「精確・持続可能」を更に重視しなければならない。

穏健な金融政策は柔軟・適度で、流動性の合理的充足を維持しなければならない。

内需拡大戦略をしっかり実施し、消費の持続的回復を促進し、有効な投資を積極的に拡大し、発展の内生的動力を増強する。

②ミクロ政策

ミクロ政策は、市場主体の活力を奮い立たせなければならない。知的財産権の保護を強化しなければならない。

③構造政策

構造政策は、国民経済循環の円滑化に力を入れ、製造業のコアコンピタンスを高め、サプライチェーンの強靭性を増強しなければならない。

④住宅政策

社会保障的性格をもつ住宅の建設を推進し、分譲住宅市場は住宅購入者の合理的な住宅ニーズを更に好く満足させ、不動産業の健全な発展と良性の循環を促進しなければならない。

⑤科学技術政策

科学技術政策は、更に実施を加速し、カギ・コアとなる技術の難関攻略に引き続きしっかり取り組み、国家の戦略的科学技術パワーを強化し、企業のイノベーション主体としての地位を強化し、科学技術・産業・金融の良性循環を実現しなければならない。

⑥改革開放政策

改革開放政策は、発展動力を増強し、地域重大戦略と地域協調発展戦略を有効に推進し、(生産)要素市場化配分総合改革テストにしっかり取り組み、ハイレベルの対外開放を拡大しなければならない。

⑦社会政策

社会政策は、民生の最低ラインをしっかり保障し、雇用優先政策をしっかり実施し、新しい出産政策の実施を推進して実効を上げ、基本年金保険の全国統一を推進し、常住地が基本公共サービスを提供する健全な制度を整備しなければならない。

年末・年初の各方面の施策をしっかり行い、人民大衆が正月と春節の2つの祭日を楽しく過ごすことを確保しなければならない。

「外では疫病の輸入を防ぎ、内では疫病のリバウンドを防ぐ」ことを堅持し、疫病防御対策を科学的・精確・着実にしっかり実施する。石炭・電気・石油・ガス・輸送を統一的に手配して供給を保障し、庶民が冬を暖かく過ごすことを確保する。出稼ぎ農民の賃金支払いを保障しなければならない。

北京冬季オリンピック・冬季パラリンピックの準備にしっかり取り組み、簡略・安全・精彩を放つオリンピック大会とすることを確保しなければならない。

2.党外人士座談会(12月2日)

習近平総書記が主催し、民主諸党派中央、全国工商聯責任者、無党派人士が参加した。政治局常務委員会からは李克強・汪洋・王滬寧が出席し、李克強が党中央の委託を受けて、今年の経済政策に関係する情況を報告し、2022年の経済政策に関係する考慮を紹介した。

習近平総書記の重要講話の概要は、以下のとおりである。

中共19期6中全会精神を全面貫徹し、多党協力の歴史過程・役割を復習し、光栄ある伝統を発揚し、協力の初心を堅守し、「マクロ政策は穏健・有効でなければならず、ミクロ政策は市場主体の活力を奮い立たせねばならず、改革開放政策は発展の動力を増強しなければならず、社会政策は民生の最低ラインをしっかり保障しなければならない」を軸に、職能を積極的に履行し、自身の建設を強化し、広範な構成員と連係する大衆を誘導して、会議精神を共同奮闘のための政治コンセンサスとし、社会主義現代化国家を全面建設する新たな征途において、引き続き団結・奮闘しなければならない。

2022年は、第20回党大会が開催される。これは、党と国家の政治生活における一大事である。

現在、内外経済情勢は依然として複雑である。安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組を早急に構築し、改革開放を全面深化させ、質の高い発展を推進し、疫病防御と経済社会の発展を統一し、発展と安全を統一し、民生を引き続き改善し、社会の大局の安定を維持し、第20回党大会の勝利の開催を迎えなければならない。

以下の3点を希望する。

  1. 皆さんが中共19期6中全会精神を深く学習・理解して、常に中共中央と高度な一致を維持し、政策の実際と緊密に連係して、学習の成果を参政・職務履行の実践の中で運用することを希望する。
  2. 皆さんが思想・認識を、国内・国際経済情勢に関する中共中央の科学的判断に統一させ、政策の重点を中共中央の政策決定・手配に集中させ、広範な構成員の事業・起業への情熱を十分奮い立たせ、世界の科学技術の先端・国家科学技術の不足部分・科学技術のコア分野に焦点を絞り、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラル、デジタル経済等の重大問題をめぐり、深く調査・研究し、積極的に建言・献策し、民主監督を強化し、政策をきめ細かく実施し実効を上げることを希望する。
  3. 皆さんが速やかに広範な構成員と連係する大衆の思想動態を把握し、適切な政策解説と思想誘導政策を主動的に展開することを希望する。
  1. 「新たな発展段階に立脚し」という表現は、削除されている。