田中 修

中国経済レポート

新型肺炎とマクロ政策(71)

新領域研究センター 田中 修

2021年7月29日


はじめに

本稿では、1-6月の財政・金融情勢に関する7月13日の人民銀行記者会見、20日の財政部記者会見の概要を紹介する。

7月13日 人民銀行記者会見
1.社会資金調達規模の伸びの特徴

1-6月、社会資金調達規模の累計フローは、17.74兆元であり、前年同期より3.13兆元少ないが、2019年同期に比べれば、3.12兆元多い。6月末、社会資金調達規模残高の伸びは11%であり、5月末と基本的に同じである。このような伸びは、名目成長率と基本的に釣り合っている。総じて見ると、実体経済に対する資金支援は経済発展に適応している。

我々が社会資金調達規模の構造を見たところ、我々が公表したデータから見て取れるのは、社会資金調達の構造に分化があることである。この種の分化は、総量にいくらかの影響を生み出す可能性がある。

①伸びが減った、あるいは多く減少した方面では、シャドーバンキングの圧縮が簿外融資の減少を比較的多くしている。1-6月、委託貸出・信託貸出・銀行引受手形の3つの簿外融資の純減少は8436億元であり、前年同期比で減少が8699億元増えた。

②2020年、新型コロナ感染症の経済への衝撃をヘッジするため、政府債券と企業債券の発行量はいずれも比較的大きかったが、21年は成長の常態化が回復したため、多く増えた方面では、実体経済に対する人民元貸出と株式による資金調達がある程度増え、実体経済に対する人民元貸出は前年同期比で伸びが6135億元増え、非金融企業の株式による資金調達は4955億元であり、前年同期比で伸びが2494億元増えた。

7-12月、穏健な金融政策は柔軟・精確、合理的で適度にし、実体経済にしっかりサービスし、社会資金調達規模は、合理的で平穏に伸び、伸びは名目成長率と基本的に釣り合うものと予想される。

2.企業向け貸出

1-6月、人民元貸出は12.76兆元増え、前年同期比で伸びが6677億元増えた。6月末、人民元貸出の伸びは12.3%で、5月末より0.1ポイント高まり、前年同期比で0.9ポイント低下した。前年の高いベースの情況下、平穏な伸びを維持し、今年の貸出は実体経済へのサービスという方向性を堅持し、経済の質の高い発展を推進するため有力なサポートを提供した。

企業・事業単位向け貸出は1-6月、新たに8.37兆元増え、前年同期比で伸びが4021億元減少した。期間から見ると、短期貸出は1.23兆元増え、前年同期比で伸びが1.6兆元減少した。これも、企業部門の流動性資金需要が徐々に常態に回復したことを示している。中長期貸出は6.62兆元増え、前年同期比で伸びが1.77兆元増え、金融機関が企業の中長期投資を有力に支援したことを示している。

中長期投資先の構造から見ると、製造業・インフラ業・不動産以外のサービス業等の重点分野に対する金融支援の程度が堅固であり、貸出構造は引き続き最適化されている。

製造業向け中長期貸出は高く伸び、6月末、製造業向け中長期貸出残高は前年同期比41.6%増で、前年同期比で16.9ポイント高まり、全産業向け中長期貸出の伸びより24.8ポイント高く、伸びは連続4カ月40%を上回っており、うちハイテク製造業向け中長期貸出は46.3%増であり、かなり高い伸びを維持している。

インフラ向け中長期貸出の伸びはかなり速い。6月末、インフラ向け中長期貸出残高は前年同期比17.3%増で、前年同期比で5.4ポイント高まった。1-6月、インフラ向け中長期貸出は新たに2.49兆元増え、前年同期比で伸びが9674億元増えた。

不動産以外のサービス業に対する支援の程度は引き続き増大した。6月末、不動産を含まぬサービス業向け中長期貸出は前年同期比19.1%増で、全産業向け中長期貸出の伸びより2.3ポイント高い。

3.中小・零細企業向け貸出

今年に入り、人民銀行は小型・零細企業等の市場主体への金融サービス水準を引き続き高め、数方面で成果を上げた。

①小型・零細企業向け融資量が増え、範囲が拡大し、金利が低下した

6月末、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス残高は17.7兆元、前年同期比31%増である。

小型・零細経営主体3830万社を支援し、前年同期比29.2%増であった。

5月の新規に貸し出した1社当たり与信1000万元以下の小型・零細企業向け貸出金利は4.93%で、前年同期比で0.3ポイント低下した。

②2つの直接到達する金融政策手段の効果が顕著である

2020~21年5月、全国銀行金融機関は10.9兆元の貸出について元本・利息猶予を実施し、累計で小型・零細企業向け無担保貸出6.3兆元を実施した。

③重点業種・企業への支援を引き続き強化した

5月末までに、全国で38.3万社の企業を含む重点企業データベースを設け、金融機関は既に18万社の企業に7兆元を貸し出し、雇用を3000万人近く牽引した。

このほか、手数料引下げ・利潤移譲方面では、今年に入り、人民銀行は引き続き貸出プライムレート改革のボーナス効果を発揮させ、預金金利への監督管理を最適化し、銀行の負債コストを引き下げ、銀行の口座サービス・人民元決済・インターネットバンク・銀行カード決済・当座預金サービス等の5方面で12項目の手数料引下げ措置を推進し、これに合わせて銀行保険監督管理委員会はATMによる他行の預金引出手数料を引き下げ、全部の手数料引下げ措置の実施後は、毎年手数料支出を約240億元減らすと予想されている。このうち、小型・零細企業、個人工商事業者への恩恵は160億元を超える。

1-6月、企業向け貸出契約の平均金利は4.41%で、前年同期比で0.28ポイント低下した。

総じて見ると、金融系統組織の実体経済に対する支援程度と企業向け融資の利便性が向上し、総合資金調達コストは安定の中で低下している。

今後、人民銀行は政策の連続性・安定性を維持し、中小・零細企業向け金融サービス能力向上プログラムを深く展開し、「貸出により小さな商売を動かし、大きな民生をサポートする」個人工商事業者発展金融支援特別キャンペーンを展開し、引き続き小型・零細企業等の市場主体への金融サービスをしっかり行う。

4.穏健な金融政策の方向性

2021年に入り、穏健な金融政策は柔軟・精確、合理的で適度で、「穏」(穏健・安定)を頭に置き、実体経済に対する支援を強化し、積極的効果を得た。

①マネー・貸出と社会資金調達規模は合理的に伸びている

6月末、M2は前年同期比で8.6%増え、社会資金調達規模は11%増であった。1-6月、新たな人民元貸出は12.76兆元、前年同期比で伸びが6677億元増え、実体経済に対してかなり強い支援の程度を維持した。

②小型・零細企業、製造業等の重点分野と脆弱部分を精確に支援した

6月末、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス残高は、前年同期比31%増え、前年末比で0.7ポイント高まった。6月末、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスは、小型・零細経営主体3830万社を支援し、前年同期比29.2%増であった。6月末、製造業向け中長期貸出は前年同期比41.6%増え、伸びは連続4カ月40%以上を維持した。

③総合資金調達コストは安定の中で低下している

1-6月、企業向け貸出金利は4.63%、前年同期比で0.16ポイント低下した。5月、新たな小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの加重平均金利は4.93%、前年12月比で0.15ポイント低下した。現在、わが国の経済は安定の中で好転し、物価動向は全体としてコントロール可能である。昨年、疫病対応期間、我々は正常な金融政策を堅持し、2020年5月の後、程度が徐々に常態に転じ、今年1-6月、既に基本的に疫病前の常態に戻り、世界のマクロ政策の中で先導態勢を維持した。

今後、人民銀行は「穏」を頭に置くことを堅持し、我を主として、主に国内経済情勢と物価動向に基づき、政策の程度とテンポをしっかり把握し、内外のバランスを併せ考慮し、実体経済を更に好く支援し、経済の質の高い発展のために適切なマネー・金融環境を作り上げる。総量面では、マネーサプライと社会資金調達規模を名目成長率と基本的に釣り合わせる。構造面では、中小企業のグリーン発展、科学技術イノベーションを支援する。金利面では、実質貸出金利の低下の成果を強固にし、社会総合資金調達コストの安定の中での低下を促進する。

グローバル経済が一体化した背景の下、各経済体の間の経済と金融は相互に影響しているが、疫病防御と経済回復には時間差が存在し、このため、米国の金融政策と中国の金融政策は異なるオペレーションがあることも正常である。

現在、わが国経済は安定の中で好転しており、穏健な金融政策の方向性に変わりはない。今回の預金準備率引下げは、主として金融機関の資金構造を最適化し、金融サービス能力を高め、実体経済を更に好く支援するためのものである。

5.デジタル人民元

2019年、デジタル人民元テストは、相次いで深圳・蘇州・雄安・成都の4つの地方と北京オリンピック会場で始動した。2020年10月、上海・海南・長沙・西安・青島・大連の6つのテスト地域が増えた。デジタル人民元の研究開発テストの選択は、国家重大発展戦略、地域協調発展戦略、及び各地の産業・経済の特徴等の要因を総合的に考慮した。現在のテストの省市は、長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・河北、中部、西部、東北、西北等の異なる地域を基本的にカバーし、共に広範な代表性を備えており、デジタル人民元がわが国の異なる地域での応用見通しをテスト・評価するのに有益である。

デジタル人民元テストは「適切・安全・コントロール可能」の原則を堅持し、要請を受けた無名ユーザーの小額取引を主としている。テストのプロセスにおいて、各方面はデジタル人民元について比較的濃厚な関心を示しし、テスト地域ユーザーの積極性も比較的高く、テスト場面は、生活の料金徴収、飲食サービス、交通配車、購入消費、政務サービス等の多くの分野をカバーしている。前段階のテストから見て、デジタル人民元テストの範囲を順序立てて拡大し、応用場面を日増しに豊富にし、応用モデルを引き続き刷新し、システム運営を総体として安定させる。

6.グリーン金融

人民銀行は現在、二酸化炭素排出削減支援手段の設立を順序立てて推進しており、精確な直接到達方式により、クリーンエネルギー、省エネ・環境保護、二酸化炭素排出削減技術の発展を支援し、更に多くの社会(民間)資金が二酸化炭素排出削減を促進するようテコ入れしている。二酸化炭素排出削減支援手段は、実体経済に直接到達する構造的金融政策手段であり、条件の合致した金融機関に対し低コスト資金を提供することを通じて、顕著な二酸化炭素排出削減効果のある重点プロジェクトのために、金融機関が優遇金利の融資を提供することを支援する。

二酸化炭素排出削減手段の設計は、市場化・法治化・国際化の原則に基づき、公開・透明を十分体現し、「操作可能、計算可能、検証可能」なものとし、手段の精確性・直接到達性を確保する。「操作可能」とは、クリーンエネルギー、省エネ・環境保護、二酸化炭素排出削減技術を含む、顕著な二酸化炭素排出削減効果のある重点分野への支援を明確にすることである。「計算可能」とは、貸出が牽引する二酸化炭素排出削減量を金融機関が計算可能で、かつ二酸化炭素排出削減情報を対外開示し、社会の監督を受けることである。「検証可能」とは、第三者専門機関により金融機関の公開情報の真実性を検証し、政策効果を確保することである。

二酸化炭素排出削減支援手段は、金融政策手段の政策宣伝効果を発揮し、金融機関と企業がグリーン転換の重要意義を更に好く認識するよう誘導し、大衆に向けてグリーン低炭素生活・循環経済の理念を唱導し、社会(民間)の投融資がグリーン低炭素分野に傾斜することを奨励し、二酸化炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルの実現に助力するものである。

7.FRBの利上げ予想への対応

我々も、最近市場において、米国FRBの金融政策の引締めに関し議論がなされていることに注意している。中国の金融市場から見れば、中国の10年物国債金利は現在3%前後であり、これまでよりある程度低下しており、人民元レートは双方向に変動し、金融市場は平穏な運営を維持し、経済も安定の中で好転する態勢を維持している。このため、私は、FRBの金融政策転換に関する議論の、中国の金融政策・金融市場に対する影響は、比較的小さいと思っている。

今後、人民銀行は我を主として、国際マクロ政策協調を展開し、プラス面の声を共同で発し、グローバル経済の安定・回復を促進する。

7月20日 財政部記者会見
1.地方特別債の発行・使用情況

2021年6月末、全国地方は既に新規地方債を1兆4800億元発行し、うち一般債4656憶元、特別債1兆144億元である。発行進度は昨年よりある程度鈍化したが、これは主として今年の特別債は常態化管理を回復し、地方の発行期間の管理を緩和したことによる。これは、重点プロジェクト建設の進度と資金需要に影響を与えないだけでなく、債券資金の放置を有効に回避することができる。

国務院の統一的手配に基づき、北京・天津・河北協同発展、長江経済ベルト発展、広東・香港・マカオ大ベイエリア建設等の国家重大地域戦略プロジェクトは、既に2021年の地方政府特別債重点支援範囲に組み入れられている。

1-6月、全国地方が発行した新規特別債の約半分は交通インフラ、都市インフラ、産業パーク分野の重大プロジェクト向け投資である。約3割は、社会保障的性格をもつ安住プロジェクト及びヘルスケア、教育、高齢者介護、文化・スポーツ等の社会事業の重大プロジェクト向け投資である。約2割は、農林・水利、エネルギー、都市・農村コールドチェーン物流等の分野の重大プロジェクト向け投資である。

2.減税・費用引下げ

2021年の減税等のマクロ政策は、引き続き市場主体の困難緩和のため、必要な支援の程度を維持し、減税・費用引下げ政策を一層最適化して実施し、政策の実施効果を高め、市場主体の元気回復・活力増強を支援する。具体措置は、5方面が含まれる。

①引き続き制度的減税政策を執行する

例えば、増値税の税率引下げ、増値税の税額控除留保分の還付、個人所得税特別付加控除等の制度的減税政策を引き続き実施し、政策の相乗効果を引き続き発揮させる。

②段階的減税・費用引下げ政策を順序立てて退出させる

2020年に打ち出した疫病に対応する段階的減税・費用引下げ政策については、分類調整し、順序立てて退出する。適時、小規模納税者への増値税減税等の政策期限を延長し、経済回復に必要な支援の程度を維持する。疫病防御に係る供給保障等の臨時的・緊急的政策については、期限到来後、執行を停止する。

③小型・零細企業への税制優遇を際立たせて強化する

小型・零細企業への包摂的減税・費用引下げ政策をしっかり実施すると同時に、小型・零細企業と個人工商事業者への税減免を一層強化し、小規模納税者への課税最低限を月当たり販売額10万元から15万元に引き上げる。小型・零細企業と個人工商事業者の年課税所得額が100万元に満たない部分については、現行の優遇政策の基礎の上に、さらに所得税を半減する。

④製造業と科学技術イノベーションへの支援を強化する

引き続き企業のR&D費用の割増控除75%の政策を執行し、製造業企業への割増控除の割合を100%に引き上げ、企業のR&D投入を奨励する。先進製造業企業の増値税価値増加分への税額控除留保分を全額還付する。

⑤費用徴収基金を引き続き整理・規範化する

港湾建設料を廃止し、航空会社民間航空発展基金の徴収基準を引き下げる。各種の規定に反した企業に係る費用徴収への取締りを強化し、税外収入の不合理な伸びを厳しく抑制し、減税・費用引下げ政策のボーナス効果の弱化を防止する。

現在、上述の減税・費用引下げ政策は、いずれも既に打ち出され実施されている。今年手配・実施した減税・費用引下げ政策は、積極財政政策の質・効率を高め、更に持続可能とするという要求を体現しており、広範な企業と社会の大衆に実際の政策ボーナス効果を遍く享受させており、経済の平穏な運営と質の高い発展の推進に資するものである。

今後、我々は党中央・国務院の政策決定・手配を真剣に貫徹実施し、減税・費用引下げ政策を断固きめ細かくしっかり実施し、実施メカニズムの最適化に力を入れ、政策効果を引き続き発揮させ、企業が更に多くの獲得感を得られるようにする。

3.重点分野への支出

財政部は、引き続き政府の倹約を予算編成・執行の基本方針とすることを堅持し、支出構造の最適化に力を入れ、予算支出の出口を厳しくしっかり把握し、効率が低い・無効な支出を削減あるいは廃止し、財政資源の配分を最適化し、重点分野への支出を確実にしっかり保障する。

①適切な支出強度を維持する

財政資源の統一を強化し、国家重大戦略任務の資金需要保障に力を入れ、科学技術イノベーション支援、経済構造調整の加速、所得分配の調節等の方面における財政資金の重要な役割を発揮させる。2021年度は、全国一般公共予算支出は25.01兆元を計上しており、1.8%増である。6月末までに、既に12.17兆元支出し、4.5%増となっている。

②一般性支出の圧縮に力を入れる

裁量的・非重点項目の支出と公用経費を大幅に圧縮し、重点項目と政策補助も「厳しく引き締め、抑制できるものは抑制する」の原則に基づき査定し、更に多くの財政資源をねん出して基本民生の改善等の重点分野に用いる。

③地方への移転支出を強化する

中央の財政力が有限な条件下、中央レベルの支出圧縮・構造調整を通じて、地方への移転支出の規模を増やし、とりわけ一般性移転支出の規模を増やして、未発達地域への財政力支援を増やし、地方が末端の「基本民生・給与・運営」をしっかり行うことを支援する。

④予算執行の制約をハードにする

全人代が批准した予算計上支出に厳格に基づいて、予算なし・予算超過の支払いを厳禁し、緊急災害救助等の特殊な事項以外、執行において一般に予算を追加せず、年初予算に計上された重点分野支出が有効な保障を得ることを確保する。

4.直接交付資金

党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、財政部は関係部門と常態化した直接交付メカニズムを確立し、27項目の移転支出をすべて直接交付の範囲に組み入れ、資金総量は2.8兆元に達し、前年より1.1兆元増加し、中央財政民生補助金100%カバーを基本的に実現した。

1-6月、常態化した直接交付メカニズムを順序立てて推進し、執行情況は良好であり、資金は末端・単位に迅速に届き、重点分野の支出は有効な保障を得て、企業を優遇し民を利する政策を精確に実施し、民生の持続的な改善を有力に推進し、経済は安定の中で強固になり、安定の中で好転している。

①資金下達方面

条件を備えた資金は既に全部下達し、地方が資金を合理的に計上・使用するために十分な時間を確保した。直接交付資金監視・コントロールシステムデータによれば、6月末までに2.8兆元の直接交付資金のうち、中央財政は既に2.59兆元を下達し、下達割合は92.5%に達した。まだ下達していないのは、主として実際に基づく決済資金である。地方財政は既に2.506兆元を資金使用単位に分配し、これは中央下達資金の96.8%を占める。

②資金使用方面

支出進度は6割を超え、地方が「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障)任務、とりわけ庶民の雇用を保障し、基本民生を保障し、末端の給与・運営を保障する方面で、速やかに有力な財政力保障を提供した。6月末までに、各地方は1.635兆元の支出を形成し、支出進度は63.1%に達している。

支出レベルから見ると、省レベル支出は0.614兆元で、37.5%を占める。市・県末端支出は1.021兆元で、62.5%を占め、常態化した直接交付メカニズムが「実際に基づき資金を分配・使用し、増額資金を末端に傾斜させる」制度手配を体現している。

支出構造から見ると、各地方が高齢者介護・義務教育・基本医療・基本住宅等の基本民生方面に使用した支出は、総支出の7割以上を占めており、末端を支援し民生政策を実施した。