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研究者のご紹介

田中 修

中国経済レポート

経済情勢専門家・企業家座談会

 

新領域研究センター 田中 修

2021年7月16日


はじめに

1-6月のGDP発表を前に、李克強総理は7月12日、経済情勢専門家・企業家座談会を開催し、当面の経済情勢を分析し、今後の経済政策をしっかり行うことについて、意見・建議を聴取した。下半期の経済政策は7月末の党中央政治局会議で決定されるが、李克強総理としては、その前に自身の考えを明らかにしておきたかったのであろう。本稿では、会議における李克強総理の発言を紹介する。なお、重要な部分は太字で示した。

今年に入り、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、全国上下が共同努力し、経済運営は安定の中で強固になり、予想と合致し、雇用情勢は好転し、経済発展の動力は一層増強されている。

しかし、内外環境は依然として錯綜し複雑であり、不確定・不安定要因がかなり多く、とりわけ大口取引商品価格の大幅上昇が企業のコストを引き上げ、中小・零細企業の困難がかなり大きい。わが国の経済発展について、自信を確固とするのみならず、困難を正視しなければならない。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党中央・国務院の政策決定・手配を貫徹し、「新たな発展段階を把握し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、質の高い発展を推進する」という要求を実施し、疫病防御と経済社会発展を統一し、現在に立脚し、長期に着眼し、周期を跨ぐ調節をしっかり行い、発生する可能性のある周期的リスクにしっかり対応し、改革開放を大いに推進し、発展の中で民生を保障・改善し、経済が安定の中で好転している態勢を強固にし、年間の発展の主要目標・任務の達成を確保して、経済運営の長期にわたる安定を推進しなければならない。

今年の下半期と来年の経済運営を統一的に企画し、合理的区間に維持することに力を入れなければならない。

内外環境の変化と市場主体の需要に対応し、マクロ政策の連続性・安定性を維持し、「バラマキ」を行わないことを堅持すると同時に、展望性・精確性を増強し、区間コントロールを強化し、雇用優先を堅持する。

積極的財政政策・穏健な金融政策は、引き続き実体経済を支援し雇用を促進することに焦点を絞らなければならない。近々実行する預金準備率引下げ措置は構造性を体現し、中小・零細企業、労働集約型産業を支援することを重視し、資金調達の難題の解決を支援しなければならない。

地方政府特別債等の資金をうまく用いることを支援し、重大プロジェクト・基本民生プロジェクト等の重点建設を推進する。

施策を総合して大口取引商品価格の上昇圧力を緩和する。

中小・零細企業、個人工商事業者の雇用の社会化を促進する主力軍としての役割を引き続き発揮させ、大学卒業生等の雇用ルートを開拓し、出稼ぎ農民のために更に多くの日雇いの機会を提供し、フレキシブルな就労を発展させ、比較的充分な雇用の実現に努力する。

改革開放の有力措置により、市場主体の活力を更に奮い立たせなければならない。

「行政の簡素化・権限の委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化」改革を深化させ、ビジネス環境を一層最適化し、引き続き「起業・イノベーション」を推進し、人民大衆に事業を行い事業を興す知恵とパワーを更に奮い起こさせる。

職業精神・専業精神を発揚し、中小・零細企業が「専門的、精緻な、特色ある、革新的な」発展に向かうよう奨励する。

公正な監督管理を強化し、独占と不当競争に反対し、中小・零細企業が公平競争において更に多くの選択・成長の余地があるようにし、大企業に産業チェーンをサポートするリーダーとしての役割を有力・十分に発揮させる。

ハイレベルの対外開放を拡大し、国際・国内の2つの市場・2つの資源を更にうまく利用し、越境Eコマース・海外倉庫等の新業態を発展させ、対外貿易・外資の安定的な成長を促進し、わが国を引き続き直接投資のホットランドとし、世界経済に更に深く溶け込む中で自身の更に良好な発展を実現する。

(参考)

以上は新華社2021年7月13日電であるが、中国政府網2021年7月14日は、これに漏れた李克強総理の言動をいくつか紹介している。

「とりわけ、今年6月の全国調査失業率は5.0%に下がり、疫病前の水準に戻った。しかし同時に、周期を跨ぐ調節の中で出現した新たな情況・新たな問題に注意しなければならない」。

「当面周期を跨ぐ調節の採用に際しては、区間コントロールを堅持しなければならない。区間コントロールの目的は、経済の合理的区間での運営を維持することにほかならない」。

「発展は、なおも中国の一切の問題を解決するカギ・基礎である。現在、わが国の都市雇用圧力は依然としてかなり大きい。同時に、人民大衆の所得増加に対する期待も不断に上昇している。もし経済が平穏で健全な運営を維持しなければ、雇用所得の増加は実現し難い」。

「中国の最大の資源は、労働力資源にほかならない。我々は9億近い労働力人口を有し、その中の2億余りは高等教育を受けたハイレベルの人材であり、さらに3億近い出稼ぎ農民がいる。労働力資源は、わが国の最大の競争力の所在である。比較的充分な雇用を実現しさえすれば、わが国の労働力資源の巨大な優位性を十分発揮できる」。

「2020年、わが国のマクロ・コントロールの経験は、雇用をしっかり保障してこそ、経済の基盤をしっかり安定させることができ、人民大衆の所得を(経済成長と)同歩調で伸ばすことができ、人民大衆の素晴らしい生活への期待を徐々に実現することを明らかにした」。

「中国の発展が今日まで依拠してきたものは、改革開放である。今後発展するには、依然として改革開放に依拠しなければならない。改革開放を一層深化させ、資源配分における市場の決定的役割を十分発揮させると同時に、政府の役割を更に好く発揮させなければならない」。

「周期を跨ぐ調節を強化し、中国経済が長期に好い方へ向かうことを維持するには、壮大な市場主体を一層育成しなければならない。現在わが国は、既に1.4億社(件)余りの市場主体を有しており、これは雇用の巨大な収納器であるのみならず、国家発展の重要な支えでもある」。

「改革開放の有力措置により、市場主体の活力を更に有効に奮い立たせ、知恵・パワーを更に好く凝集し、更に大きな富を創造しなければならない」。