研究者の紹介

中国経済レポート

党中央政治局会議

新領域研究センター 田中 修

2021年5月7日


はじめに

習近平総書記は4月30日、党中央政治局会議を開催し、1-3月期のGDP成長率を踏まえ、当面の経済情勢と経済政策を分析・検討した。また、第3次全国国土調査主要情況報告を聴取した。本稿では、会議の概要を紹介する1

1.当面の経済情勢と経済政策
(1)経済情勢

今年に入り、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、各地方・各部門は疫病防御と経済社会発展政策を統一推進し、マクロ政策を有力に実施し、わが国の経済回復を推進して顕著な成果を収め、経済運営のスタートは良好であり、質の高い発展は新たな成果を収めた。

1-3月期のデータを弁証法的に見なければならない。現在の経済の回復はアンバランスであり、基礎は堅固ではない。

成長安定のプレッシャーが比較的小さい最適期をうまく用いて、経済の安定の中での好転を推進し、精神・パワーを集中してサプライサイド構造改革を深化させ、国内大循環、国内・国際2つの循環で詰まっているポイントを打開し、第14次5カ年計画期間のわが国経済発展のために、持続的な動力を提供しなければならない。

(2)当面のマクロ政策

安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新たな発展段階を正確に把握し、新発展理念を全面貫徹し、新たな発展の枠組の構築を加速し、質の高い発展の推進に力を入れ、終始一貫して慎重な姿勢で疫病防御にしっかり取り組まなければならない。

マクロ政策を正確に実施し、マクロ政策の連続性・安定性・持続可能性を維持し、急転換せず、タイミング・程度・効果をしっかり把握し、基礎を固め、予想を安定させ、経済運営を合理的区間に維持し、経済を回復の中で更にハイレベルの均衡に到達させなければならない。

積極的財政政策はきめ細かく実施し、末端の「基本民生・給与・運営保障」の最低ラインをしっかり守り、経済構造最適化への呼び水作用を発揮しなければならない。

穏健な金融政策は流動性の合理的充足を維持し、実体経済・重点分野・脆弱部分への支援を強化しなければならない。人民元レートの合理的水準での基本的安定を維持する。

(3)個別政策

産業の最適化・グレードアップを牽引し、国家の戦略的科学技術力を強化し、工業インターネット(産業用モノのインターネット)を積極的に発展させ、産業のデジタル化を加速しなければならない。

二酸化炭素のピークアウト・カーボンニュートラル政策を秩序立てて推進し、新エネルギーを積極的に発展させなければならない。

内需の早急な回復を促進し、製造業投資と民間投資のできるだけ速やかな回復を促進し、国家重大プロジェクト用地等の生産要素の保障をしっかり行い、共同富裕行動要綱を制定し、都市・農村住民の所得が遍く伸びることにより、内需の持続的拡大をサポートしなければならない。

改革開放を推進し、国有企業改革3年行動方案を深く実施し、民営経済の発展環境を最適化し、各種のハイレベルな開放プラットフォームの建設を加速し、「一帯一路」共同建設の質の高い発展を推進しなければならない。

経済・金融リスクを防止・解消し、地方の党委員会・政府の主要指導者が責任を負う財政金融リスク処理メカニズムを確立しなければならない。

プラットフォーム経済の監督管理を強化し、公平な競争を促進しなければならない。

民生を保障・改善し、雇用優先政策を強化し、大学卒業生等の重点層の雇用にしっかり取り組み、脱貧困堅塁攻略の成果を強固にして拡大し、農村振興の中で脱貧困人口の生活を引き続き改善し、重要民生商品の供給保障・価格安定にしっかり取り組まねばならない。

⑧「住宅は住むためのものであって、投機のためのものではない」という位置づけを堅持し、社会保障的性格をもつ賃貸住宅と財産権共有住宅の供給を増やし、有名校の学区域内にあるなどという名目で住宅価格を吊り上げることを防がなければならない。

⑨弛まず安全生産にしっかり取り組むことを堅持しなければならない。

⑩常に疫病防御の手綱を引き締め、外では疫病の輸入を防ぎ、内では疫病のリバウンドを防いで、ワクチン接種にしっかり取り組み、疫病防御の国際連携を推進しなければならない。

2.耕地の厳格な保護

第3次全国国土調査は、近年展開された重大国情国力調査であり、党・国家機関改革後統一的に展開された自然資源基礎調査でもある。調査の中で反映された問題について、高度に重視し、深く分析し、的確な措置を採用して確実に解決しなければならない。

最も厳格な耕地保護制度を堅持し、農村用地の配分を最適化・調整し、各地方の耕地保有量と永久基本農地・水田の保護任務を確定し、耕地占有・補充のバランスを規範化し、長期に安定利用が可能な耕地総量をこれ以上減らさないことを確保しなければならない。

地方の各レベルの党委員会・政府の責任を徹底させ、党・政府が同等に責任を負うようにし、各種の法律・規程に違反した耕地占用あるいは耕地の用途改変等の行為を厳しく調査処分し、耕地の「非農業化」に歯止めをかけ、「非食糧化(食糧以外の農産物を生産)」を厳格に管理・コントロールしなければならない。耕地保護方面で「命じても行われず、禁じても止まず、職務怠慢・汚職」があれば、厳格に責任を追及しなければならない。

システムの概念を堅持し、トップダウン計画を強化し、土地の事情に応じて施策を講じて、生態建設を統一的に企画しなければならない。

節約・集約を堅持し、新たに増やす建設用地の規模を合理的に確定し、土地開発利用の効率を高めなければならない。

都市・農村の既存の建設用地の開発利用を引き続き推進し、政府が誘導する市場参加型の都市部の低効率用地再開発の政策体系を整備しなければならない。

土地使用の基準と節約・集約評価を強化し、土地節約モデルを大いに普及させなければならない。

調査の成果のシェア・応用を強化し、この基礎の上に国土空間計画にしっかり取り組み、生態保護のレッドライン・環境の質の最低ライン・資源利用の上限ラインを調整し、一層明確にしなければならない。

資源国情の宣伝教育を深く展開し、全社会の資源節約利用意識の牢固な樹立を推進しなければならない。

  1. なお、太字・見出しは筆者が便宜的につけたものである。