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研究者のご紹介

2021年政府活動報告のポイント(4)

中国経済レポート

 

新領域研究センター 田中 修

2021年3月23日


4.6 ハイレベルの対外開放を実行し、対外貿易・外資の安定の中での質向上を促進する

報告は、「更に大きな範囲、更に広い分野、更に深いレベルで対外開放を実施し、国際経済協力に更に好く参加する」とする。

(1)輸出の安定的発展を推進する

中小対外貿易企業への貸出支援を強化し、輸出信用保険のカバー面を拡大し、加入条件・賠償条件を最適化し、貿易取引の外貨決済の円滑化テストを深化させる。

加工貿易を安定させ、越境Eコマース等の新業態・新モデルを発展させ、企業の多元的な市場開拓を支援する。辺境貿易を発展させる1。サービス貿易を刷新・発展させる。

輸入税制を最適化・調整し、質の優れた製品・サービスの輸入を増やす。貿易促進のためのサービスを強化し2、中国国際輸入博覧会、広州交易会(中国輸出入商品交易会)、中国国際サービス貿易交易会及び第1回中国国際消費品博覧会3を首尾よく開催する。国際物流の円滑化を推進し、通関所の料金徴収を整理・規範化し、通関の円滑化水準を不断に高める。

20年報告にあった「輸出製品の国内販売転用支援」はなくなり、代わりに中小対外貿易企業への貸出支援が入った。

(2)外資を積極・有効に利用する

外資参入のネガティブリストを一層縮減する。サービス業の秩序立った開放を推進し、サービス業開放拡大総合テスト拠点を増設し、クロスボーダーサービス貿易ネガティブリストを制定する。

海南自由貿易港の建設を推進し、自由貿易試験区の改革開放・イノベーションを強化し、税関特別監督管理地域と自由貿易試験区の統一的4発展を推進し、各種開発区の開放プラットフォームとしての役割をしっかり発揮させる。

内資・外資企業の公平な競争を促進し、法に基づき外資企業の合法な権益を保護する。外資の対中投資を拡大し、中国の開放された大市場と発展のチャンスをシェアすることを歓迎する。

李克強総理は、会見において「我々は一層主動的に対外開放し、引き続き外資の直接投資ネガティブリストを縮減し、引き続きサービス業を含む対外開放を推進する。私は、多くの外国企業が中国のビジネス環境に関心をもっていることに注意しており、我々は引き続き市場化・法治化・国際化したビジネス環境を作り上げる。総じて言えば、多様な努力を通じて、内需拡大において不断に開放を拡大し、引き続き中国を外資直接投資の重要な目的地・世界の大市場とする」と述べている。

(3)質の高い「一帯一路」を共同建設する

共に協議し、共に建設し、共に享受することを堅持し、企業を主体とし、市場化の原則を遵守することを堅持し、多元化した健全な投融資システムを整備し、法律サービス保障を強化し5、重大プロジェクトの協力を秩序立てて推進し、インフラの相互連結を推進する。対外投資の質・効率を高める。

中央経済工作会議で削除されていた「一帯一路」の記述が復活した。また、「多元化した健全な投融資システム整備」「対外投資の質・効率向上」とあることから、対外投融資のあり方が見直されていることが分かる。

(4)多国間・バイ・地域経済協力を深化させる

多国間貿易体制を断固擁護する。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の協定の早期発効・実施、中欧投資協定の調印を推進し、日中韓FTAの交渉プロセスを加速し、包括的で進歩的なCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への加入を積極的に考慮する。

相互尊重の基礎の上に、米中の平等・互恵の経済貿易関係の前向きな発展を推進する。中国は、世界各国と相互開放を拡大し、互恵・ウインウインを実現することを願っている。

米中経済貿易交渉については、米国バイデン政権の誕生に伴い、原則論の表明にとどまっている。

李克強総理は、会見において「RCEPは世界で最大の自由貿易地域であり、異なる社会制度・文化習俗、異なる発展段階の国家が共同建設するものである。このことは、相互に尊重し、平等に対応しさえすれば、コンセンサスを話し合いで形成し、共同利益を探し出し、各国人民の福祉を拡大できるということを示しており、地域の産業チェーン・サプライチェーンの安定に資するものであり、世界経済に動力を添加することになる。

中国は、世界産業チェーン・サプライチェーンの重要な構成部分であり、我々は自身の役割を発揮するだけでなく、自身の責任を履行し、WTOルールを基礎とする多国間貿易体制を擁護しなければならない。互恵ウインウインに有利でありさえすれば、多国間・バイのメカニズムを問わず、我々は積極開放の態度を維持する」と述べている。

4.7 汚染対策・生態建設を強化し、引き続き環境の質を改善する

報告は、「持続可能な発展戦略を深く実施し、『青い空、澄んだ水、きれいな土』防衛戦の成果を強固にして、生産生活方式のグリーン転換を促進する」とする。

(1)生態環境対策を引き続き強化する

大気汚染総合対策と地域間共同対策を強化し、PM2.5とオゾンの協同コントロールを強化し、北方地域のクリーン暖房比率を70%にする。

河川・海洋の汚水排出口と都市部の「黒く濁って臭い水」対策を実施し、都市生活汚水収集と産業パークの工業排水処理の能力を高め、土壌汚染を根源から厳しく防御し、農業の面源汚染対策を強化する。

引き続き外国からの固形廃棄物(洋ゴミ)の入境を厳禁する。都市生活ゴミの分類処理6を秩序立てて推進する。宅配の包装のグリーン転換を推進する。危険廃棄物・医療廃棄物の収集処理を強化する。

生態保護補償条例を検討・制定する。長江10年禁漁を実施し、生物多様性保護重大プロジェクトを実施する。

砂漠化・岩石砂漠化・水土流失の総合対策を科学的に推進し7大規模な国土緑化キャンペーンを引き続き展開し、海洋生態環境を保護する8

「宅配包装のグリーン転換」と医療廃棄物の問題は、新型コロナから派生して出てきた問題であろう。国土緑化は、温室効果ガス対策でもある。

他方で、20年報告にあった「野生動物を違法に捕獲・殺害、取引、食用にする行為を厳格に処罰する」という記述は削除された。新型コロナの武漢起源説を裏付けるような記述であるため、まずいと考えられたのであろう。

(2)温室効果ガス排出量のピークアウト、カーボンニュートラルの各政策を着実にしっかり実施する

2030年までに温室効果ガス排出量をピークアウトする行動方案を制定する。

産業構造・エネルギー構造を最適化する。石炭のクリーンで効率の高い利用を推進し、新エネルギーの発展に力を入れ、安全確保の前提の下、原子力発電を積極かつ秩序立てて発展させる。

環境保護、省エネ・節水等への企業所得税優遇目録の範囲を拡大し、新しいタイプの省エネ・環境保護技術、装置、製品の研究開発・応用を促進し、省エネ・環境保護産業を壮大に育成し、資源の節約と効率の高い利用を推進する9

全国のエネルギー使用権・温室効果ガス排出権取引市場の建設を加速し、エネルギー消費の総量・原単位抑制制度を整備する。

グリーン・低炭素の発展を金融支援する特別政策を実施し、温室効果ガスの排出削減支援手段を設ける。生態系のCO2吸収能力を高める10

20年に習近平国家主席が国連の場において、2030年までの温室効果ガスのピークアウトと60年までのカーボンニュートラルを公約したことにより、具体的行動が21年から開始されることになった。石炭火力発電から原子力発電への転換が示唆されている。

4.8 民生福祉を確実に増進し、社会建設水準を不断に高める

報告は、「人民の憂いを解決し、人民の困難を緩和することを重視し、大衆が関心を払う事柄に適時応え、人民の生活を引き続き改善する」とする。

また、李克強総理は、会見において21年は政府支出を更に多く民生分野とりわけ義務教育と基本医療に振り向ける方針を明らかにした。以下は、主な施策である。

(1)更に公平で更に質の高い教育を発展させる

義務教育の質の優れバランスのとれた発展と都市・農村一体化を推進し、教師の給与を保障する健全で長期有効なメカニズムを整備し、農村の教師の待遇を改善する。

就学前教育の包摂的な保障メカニズムを整備する。県域高校の建設を強化する11。職業教育の適応性を高め、職業技能等の等級証書制度を深く実施する。一流大学・一流学科を分類して建設し、基礎学科・先端学科の建設を強化し12、新興の学際的学科の発展を促進する13

中西部の大学教育の発展を支援する14国家の共通言語・共通文字の普及を強化する。オンライン教育の優位性を発揮15、終身学習体系を整備する16。全社会が教師を敬い、教育を重視するよう唱導する17。学校・家庭・社会の協同による人材育成メカニズムを整備し、校外トレーニングを規範化する18教育の公平において更に大きな歩みを踏み出し、都市に入った出稼ぎ労働者の子女就学問題を更に好く解決し、引き続き大学生募集の中西部と農村地域への傾斜を強化する。

大学の募集拡大と職業技能教育は、雇用対策の一環である。オンライン教育はコロナ禍で急速に普及した。

また、教育の公平が強調されており、農村からの出稼ぎ労働者の都市戸籍への転換が進んでも、子女への教育サービスが依然として十分でないことが分かる。国家共通言語・文字の普及は、内モンゴル等で民族問題を惹起している。

李克強総理は、会見において「今年度は、県郷教師の研修への投入を増やし、彼らが在職しながら学歴を高められるようにし、肩書の評定でも傾斜政策を採用する決意である。都市にいる出稼ぎ農民子弟については、居住証を得さえすれば、必ず彼らに教育を受ける機会を与えなければならない。決して家庭環境・地域が異なることにより、子どもたちがスタートラインで負けることがあってはならない。機会の公平のうちで、教育の公平は最大の公平である」と強調している。

(2)衛生・ヘルスケア体系の建設を推進する

予防を主とし19「健康中国」キャンペーンを引き続き推進し、愛国衛生運動を深く展開し、疾病予防・コントロール体系の改革を深化させ、末端公共衛生体系を強化20、医療・予防の協同メカニズムを刷新し、健全な公共衛生緊急処置と物資保障体系を整備し、安定した公共衛生事業への投入メカニズムを確立する。

精神衛生と心の健康サービスを強化する21。公立病院総合改革を深化させ、国家医学センターと地域医療センターの建設テストを拡大し、総合医と農村医の陣容建設を強化し、県レベルの医療サービス能力を高める。

民間医療機関経営を支援し、「インターネット+医療・ヘルスケア」の規範的な発展を促進し、食品・薬品・ワクチンの監督管理を強化する。予約診療等の人民の便宜を図る措置を最適化し、大病・急病・難病患者ができるだけ速やかに治療を受けられるよう努力する。

住民基本医療保険と基本公共衛生サービス経費の1人当たり財政補助基準を、それぞれ30元・5元さらに増やし、基本医療保険の省レベル統一、外来診療費用の省を跨いだ直接清算を推進する。外来診療の健全な共済保障メカニズムを確立し、段階的に外来診療費用を社会保険基金の適用範囲に入れ、不足する医薬品の供給保障・価格安定メカニズムを整備し、更に多くの慢性病・常用薬と高額医療用消耗品を一括大量調達に組み入れる等の方法を採用し、患者の医薬負担を一層顕著に引き下げる。

2021年は、「ワクチン・治療薬・スピード検査技術の研究開発、防疫・治療関連医療施設、移動実験室、緊急物資の保障、末端の衛生・防疫」の財源とされていた疫病対策特別国債の発行が見送られているが、引き続きこの方面の強化が図られている。また、外来診療・医薬品等の負担軽減が大きな課題となっていることが分かる。

なお李克強総理は、会見において「現在、県・郷の末端の医療機関とパワーはなお比較的脆弱であり、多くの人が病気になると大都市の大病院に走っている。今年は、多くの措置を併せて打ち出し、県・郷病院、衛生院への投入を増やし、外来診療の医療保険適用範囲と常用薬の適用範囲を拡大し、薬品と高額医療用消耗品の価格等を引き下げることについて、大衆が切実に実感できるような措置を採用しなければならない。つまり、大衆の診療をより便利にし、治療の負担をより少なくしなければならない。これも脱貧困堅塁攻略の成果を強固にし、病気により貧困に戻り、貧困に陥ることを防ぐことに資するものである」と述べている。

(3)大衆の住宅需要をしっかり保障する

「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という位置づけを堅持し、地価・住宅価格・予想を安定させる。

大都市住宅の際立った問題をしっかり解決し、土地供給の増加・特別資金の計上・集中建設等の方法を通じて、社会保障的性格をもつ賃貸住宅と財産権共有住宅22の供給を確実に増やし、長期賃貸住宅市場を規範的に発展させ、賃貸住宅の税・料金負担を引き下げ、新市民・青年等の住宅困難の解決に最大限努力する。

20年末から再び住宅価格が上昇し始めており、住宅価格の安定が課題となっている。また、大都市の住宅価格が上昇しすぎ、新規転入者や若者の購入が困難になったため、持ち家政策から長期賃貸住宅市場整備に重点が移されている。

(4)基本民生の保障を強化する

退職者基本年金、優遇扶助対象者への扶助料・生活補助基準を引き上げる。基本年金保険の全国統一を推進し、第3の支柱の年金保険(民間年金保険)を規範的に発展させる、全国統一の社会保険公共サービスプラットフォームを整備する。軍人・軍属、退役軍人とその他優遇扶助対象者への優遇を強化し、健全な退役軍人政策体系と保障制度を整備する。

引き続き失業保険の範囲拡大政策を実施する。

医療と高齢者介護、ヘルスケアと高齢者介護の結合を促進し、長期介護保険制度テストを着実に推進する。包摂型の高齢者介護サービスと互助型高齢者介護サービスを発展させる23。幼児保育サービスを発展させる。コミュニティの高齢者介護・幼児保育・飲食・清掃等の多様化したサービスを発展させ、付帯施設とバリアフリー施設24の建設を強化し、更なる優遇政策を実施し、コミュニティの生活を更に便利にする。

伝統的なサービス・保障措置を整備し、高齢者等の層に更に周到で行き届いたサービスを提供する。スマート化したサービスは高齢者・障害者等の需要に適応しなければならず25、スマート化手段が彼らの日常生活に障碍を生み出さないようにし、障害者・孤児等を支援する健全な社会福祉制度を整備し、障害の予防を強化し26、障害者向けのリハビリサービスの質を高めなければならない。

社会救済をレベルを分け分類してしっかり実施し、疫病・災害の影響を受けた困窮大衆を適時支援し、民生の最低ラインを断固しっかり守る。

新型コロナでの民生対策が基本的に継続されている。社会保障サービスにおいて、コミュニティの役割がクローズアップされている。基本年金保険については、省統一から全国統一の段階に移っている。

李克強総理は、会見で「政府は社会のパワーを誘導してコミュニティサービス業を興し、可能な限り税制等の方面で優遇支援を与え、家庭が高齢者介護・幼児保育の方面で、負担を少し軽減するのみならず、より潤うようにする」と述べている。

(5)人民大衆の精神文化需要を更に好く満足させる

社会主義核心価値観を育成・実践し、偉大な疫病対策精神と脱貧困堅塁攻略精神を発揚し27、公民道徳建設を推進する。新聞・出版、ラジオ・映画・テレビ、文学・芸術、哲学・社会科学、公文書保存等の事業を繁栄させる。インターネットの内容充実と管理を強化し、健全・積極的なインターネット文化を発展させる。都市・農村公共文化サービス体系の一体建設を推進し、文化による利民プロジェクトを刷新し、全国民読書キャンペーンを唱導する。全国民健康増進公共サービス体系を整備し、北京冬季オリンピック・冬季パラリンピック等の総合スポーツ競技大会28開催を入念にしっかり準備する。

(6)社会ガバナンスを強化・刷新する

末端の社会ガバナンスの基礎を打ち固め29、都市・農村コミュニティの健全なガバナンス・サービス体系を整備し、市域の社会ガバナンス現代化テストを推進する。社会信用体系を強化する30。社会活動を大いに発展させ31 、社会組織・人道救済・ボランティア活動・慈善事業の発展を支援する。女性・児童・高齢者・障害者の合法権益を保障する。

投書・陳情処理制度を引き続き整備し、矛盾・紛争の多元的な解消を推進する32。法律による援助を強化し33、第8次5カ年法律普及計画実施を始動する。

緊急救援のパワー建設を強化し、防災・減災・災害対策・災害救助能力を高め、洪水・冠水・旱魃、森林・草原火災、地質災害・地震等の防御と気象サービスを確実にしっかり行う。安全生産責任制を整備・実施し、安全生産特別対策3年行動を深く展開し、重大・特大事故の発生に断固歯止めをかける。社会治安防御体系を整備し、常態化した反社会勢力排除闘争を展開し、各種犯罪を防ぎ取り締り、社会の安定・安全を擁護する。

末端の社会ガバナンスが重視されている。20年は習近平総書記と末端代表の特別座談会も開催された。

以前は、「社会の安定・調和の擁護」が強調されていたが、党19期5中全会で「発展と安全の統一」が重視されたため、「社会の安定・安全の擁護」に変わった。

4.9 その他
(1)政府の任務

報告は、「新たな任務・試練に直面し、各レベル政府は『四つの自信』34『二つの擁護』35を確固とし、思想上・行動上、習近平同志を核心とする党中央と自覚的に高度な一致を維持し、人民を中心とする発展思想を実践し、政治判断力・政治理解力・政治執行力を不断に高め、全面的に厳しく党内を統治するという要求を実施しなければならない」とする。

「政治判断力・政治理解力・政治執行力の向上」は、年初より様々な会議で強調されている。このほか全人代の修正で、党創立100周年を意識し「党史学習の着実な展開」が盛り込まれたほか、「確実な法に基づく行政」「公正で文明的な法執行を厳格に規範化」等が追加された。また、「党風廉潔政治建設・反腐敗闘争の深い推進」「廉潔政府建設強化」「不正の風潮・腐敗問題の取締り継続」などが引き続き強調されている。

続けて報告は、「中国経済社会の発展は既に輝かしい成果を得たが、現代化の全面実現には相当長い道のりを歩まなければならず、艱難辛苦の努力を払わなければならない」とし、次のように要求している。

①社会主義初級段階の基本的国情に立脚し、自身の事柄にしっかり取り組むことに力を入れなければならない。

②常に人民を心中で最高と位置づけ、実際に即して正確な方法を見出すことを堅持し、真実を求めて実践に励む姿勢で発展を謀り、民生を優遇しなければならない。

③形式主義・官僚主義を強く戒め、政策において画一的なやり方をしてはならず、確実に末端のために負担を軽減しなければならない。

④安全の中で危機を思い、憂患意識を増強し、困難を恐れず危険を避けずに、各種のリスクと潜在リスクを有効に防止・解消しなければならない。

⑤一切の動員可能な積極要因を動員し、改革開放を推進し、市場主体の活力と社会の創造力を更に大きく奮い立たせ、発展の方法を用いて発展がアンバランス・不十分という問題を解決しなければならない。

⑥責任をもって役割を果たし、着実に全力で実行し、人民の期待に沿う発展の業績を不断に創造しなければならない。

(2)民族・宗教・華僑

民族については、「中華民族共同体意識をしっかり確立する」、宗教については、「わが国の宗教の中国化方向を堅持し36、宗教が社会主義社会に適応するよう誘導する」と、多様性の重視から統一重視への方向性を強めている。

(3)国防・軍隊建設

報告は「習近平強軍思想を深く貫徹し、新時代の軍事戦略方針を貫徹し、人民軍隊への党の絶対指導を堅持し、中央軍事委員会主席の責任制を厳格に実施しなければならない」とし、「建軍百年(2027年)奮闘目標に焦点を絞り、『政治による軍隊建設、改革による強軍化、科学技術による強軍化、人材による強軍化、法に基づく軍内統治』を推進し、機械化・情報化・スマート化の融合発展を加速37する」としている。また、全人代の修正で「全国民の国防教育強化」が盛り込まれた。

なお、2021年度中央財政の国防支出は、1兆3553.43億元(20年度当初予算は1兆2680.05億元)、対前年度比6.8%増(20年度は6.6%)である。

(4)香港・マカオ・台湾

報告は、「『一国二制度』『香港住民による香港統治』『マカオ住民によるマカオ統治』、高度自治の方針を引き続き全面・正確に貫徹し、特別行政区の国家安全を擁護する法律制度・執行メカニズムを実施し、外部勢力の香港・マカオ事務への関与を断固防止する」と、海外からの批判に対して強い態度を示し、他方で「香港・マカオの経済発展・民生改善を支援し、香港・マカオの長期の繁栄・安定を維持する」としている。

台湾については、「我々は対台湾政策の大政策・方針を堅持し、「『1つの中国の原則』と『九二共通認識』を堅持し、平和発展・祖国統一を推進しなければならない」としつつも、「『台湾独立』の分裂活動を高度に警戒し、断固歯止めをかけなければならない」としている。アメの部分では、「台湾同胞の福祉と大陸と同等な待遇の享受を保障する制度・政策を整備し、海峡両岸の交流協力・融合発展を促進し、心を同じにして民族復興の素晴らしい未来を共に創造する」としている。

(5)外交

報告は、「新しいタイプの国際関係と人類運命共同体の構築を推進」し、「引き続き国際・地域協力を深化させ、重大伝染病防御の国際協力に積極参加する」とし、「中国はすべての国家と相互尊重・平等互恵の基礎の上に平和共存・共同発展し、手を携えてグローバルな試練に対応し、世界平和・繁栄促進のために弛まず努力する」としている。

これまで報告で言及していた「中国は断固として平和発展の道を歩む」という表現は削除された。

なお、李克強総理は、会見において米中関係について「過去数年、中米関係は確かに深刻な困難に遭遇し、両国と世界に不利な影響をもたらした。米中は世界で最大の発展途上国と最大の先進国であり、協力すれば双方に利があり、戦えば共に傷つく。米中は国交40数年となり、風雨に遭っても、困難を乗り越えて前へ進むことができる。それがやはり、世界発展の趨勢に合致し、両国の根本利益に合致するからである。我々は習近平国家主席がバイデン大統領との電話会談の精神に基づき、双方の核心的利益と重大関心事を尊重し、互いに内政・内部事務に干渉せず、衝突・対抗せず、協力・ウインウインの原則を堅持し、両国関係を健全で安定した方向へ発展させることを希望している。

米中両国の歴史・文化、発展段階、社会制度は異なり、付き合ううえで矛盾・意見の相違、時には比較的先鋭になることは避けがたく、カギは、いかに対応するかである。米中両国人民には知恵と能力があり、双方はやはり相互に尊重し、平等に対応して対話・意思疎通を進めなければならない。我々は米中が多くの分野・多層レベルの対話をもち、一時的にコンセンサスに至らなくても、意見を交換し、信頼を増進し、疑念を解消できることを希望する。これは、意見の相違を管理・コントロール・解消することに有益である。

米中両国には広範な共同地益があり、多くの協力できる分野がある。米中両国の貿易規模は依然として4.1兆元、前年比8.8%増である。我々は、更に多くの精力を共同ポイントに放って、共同利益を拡大すべきである。米中両国は、国連安保理事会常任理事国として、世界の平和・安定擁護、世界の繁栄・発展促進に共に重要な責任がある。米中関係が困難を乗り越えて前を向くよう促し、総体として安定の方向に歩むようにしなければならない」と述べている。

(6)むすび

報告は、最後に「重い任務を肩に担い、更に錬磨奮進しなければならない。我々は、習近平同志を核心とする党中央の周囲に更に緊密に団結し、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、習近平『新時代の中国の特色ある社会主義』思想を導きとし、心を一つに協力し、開拓・進取の精神で、年間目標・任務の達成に努力し、卓越した成績をもって中国共産党創立100周年を慶祝し、わが国を富強・民主・文明的で調和のとれた美しい社会主義現代化強国にし、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するために、弛まず奮闘しよう」としている。

(本シリーズは、これが最終となります。)

  1. 全人代の修正で盛り込まれた。
  2. 全人代の修正で盛り込まれた。
  3. 第1回中国国際消費品博覧会は、全人代の修正で盛り込まれた。
  4. 全人代の修正で、「融合」が「統一」に修正された。
  5. 全人代の修正で盛り込まれた。
  6. 全人代の修正で「分類」に「処理」が追加された。
  7. 全人代の修正で盛り込まれた。
  8. 全人代の修正で盛り込まれた。
  9. 全人代の修正で盛り込まれた。
  10. 全人代の修正で盛り込まれた。
  11. 全人代の修正で盛り込まれた。
  12. 全人代の修正で盛り込まれた。
  13. 全人代の修正で盛り込まれた。
  14. 全人代の修正で盛り込まれた。
  15. 全人代の修正で盛り込まれた。
  16. 全人代の修正で盛り込まれた。
  17. 全人代の修正で盛り込まれた。
  18. 全人代の修正で盛り込まれた。
  19. 全人代の修正で盛り込まれた。
  20. 全人代の修正で盛り込まれた。
  21. 全人代の修正で盛り込まれた。
  22. 住宅の財産権を政府と分け合う形にして、価格を引き下げた住宅。
  23. 全人代の修正で盛り込まれた。
  24. バリアフリー施設は、全人代の修正で盛り込まれた。
  25. 障害者が全人代の修正で盛り込まれた。
  26. 全人代の修正で盛り込まれた。
  27. 脱貧困堅塁攻略精神は、全人代の修正で盛り込まれた。
  28. 総合競技大会は、全人代の修正で盛り込まれた。
  29. 全人代の修正で盛り込まれた。
  30. 全人代の修正で盛り込まれた。
  31. 全人代の修正で盛り込まれた。
  32. 全人代の修正で盛り込まれた。
  33. 全人代の修正で盛り込まれた。
  34. 政治意識・大局意識・核心意識・一致意識
  35. 習近平総書記の党中央・全党の核心としての地位を擁護し、党中央の権威と集中・統一的指導を強化する。
  36. 全人代の修正で盛り込まれた。
  37. 全人代の修正で盛り込まれた。