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新5カ年計画要綱の準備(2)

中国経済レポート

 

新領域研究センター 田中 修

2020年11月24日


はじめに

人民日報2020年11月18日は、李克強総理の「第14次5カ年計画期間の経済社会発展指導方針」を掲載した。これをもとに、今後要綱の策定作業が進められるものと思われる。

本稿では、この概要を紹介する。

党19期5中全会で通過した、「国民経済・社会発展第14次5カ年計画と2035年までの長期目標に関する党中央建議」は、第14次5カ年計画期間の経済社会発展の指導方針を明確に提起した。これは、将来5年の経済社会発展政策をしっかり行うために、方向を明らかに示し、拠り所を提供している。

これを深刻に理解し、全面的に貫徹し、第14次5カ年計画をしっかり制定・実施し、経済社会の持続的で健全な発展を推進しなければならない。

1.第14次5カ年計画は、社会主義現代化国家の全面建設の新たな征途を開く

社会主義現代化国家の建設は、ずっと党・国家の奮闘目標である。

2020年は、第13次5カ年計画の手仕舞いの年であり、計画が確定した目標・任務は達成され、小康社会の全面実現は勝利の見込みである。

過去5年、錯綜し複雑な国際情勢、非常に困難・繁雑で荷が重い国内の改革・発展・安定の任務とりわけ新型コロナ肺炎疫病の深刻な衝撃に対し、習近平同志を核心とする党中央は全党・全国各民族人民を団結させ牽引し、「五位一体」1の総体配置を統一的に推進し、「四つの全面」2戦略手配を協調的に推進し、新発展理念を断固貫徹し、質の高い発展を推進し、各種リスク・試練に沈着・有力に対応し、わが国の経済社会発展は重大な成果を得た。

2016年~2019年のわが国GDPの年平均成長率は6.7%であり、2019年の1人当たりGDPは1万ドルを超え、2020年にわが国経済はプラス成長を実現し、総量は100兆元を突破できると予想される。

経済構造は引き続き最適化され、質・効率は不断に向上し、消費は引き続き経済成長を主として牽引する役割を発揮し、食糧生産量は6.5億トン以上で安定し、先進製造業・現代サービス業はかなり速く成長し、常住人口の都市化率は60%を超え、地域の協調発展戦略は深く実施された。

発展の新動力エネルギーは壮大に成長し、科学技術イノベーションはいくらかの重大成果を得て、新興産業が急速に発展し、伝統産業は急速にグレードアップし、大衆による起業・万人によるイノベーションが勢い盛んに展開し、各種市場主体は1.3億社(戸)を超え、新動力エネルギーは深刻に生産生活方式を変え、中国の発展の新たな優位性を築きあげている。

改革の全面深化は重大なブレークスルーを得て、サプライサイド構造改革は引き続き深化され、「行政の簡素化・権限の委譲、開放と管理の結合、サービスの最適化」改革は深く推進され、大規模な減税・費用引下げ政策が有効に実施された。

対外開放は引き続き拡大し、「一帯一路」共同建設の成果は豊富であり、外資参入のネガティブリスト管理制度が全面的に実行され、自由貿易試験区は更に大きく範囲を拡大し、対外貿易と外資利用は総体として安定を維持している。

脱貧困堅塁攻略の成果は世の注目を集め、現行基準下の農村貧困人口は全部貧困を脱する。汚染対策の程度は不断に強まり、生態環境は顕著に改善した。重大リスクは積極的成果を得て、金融の運営は総体として平穏で、リスク制御能力が一層増強された。

人民の生活水準は顕著に向上し、都市新規就業者増は6000万人を超え、教育事業は全面的に発展し、基本年金、基本医療、都市・農村最低生活保障等の社会保障水準は顕著に高まった。

小康社会が全面的に実現し、第1の百年奮闘目標を実現することは、わが国社会主義現代化建設のプロセスにおいて一里塚の意義をもち、我々が新たな歴史の交差点に立ち、社会主義現代化国家の全面建設の新たな征途を開き、第2の百年奮闘目標に向けて進軍することを示している。

19回党大会は、内外情勢とわが国の発展条件を総合分析し、第2の百年奮闘目標を2段階に分けて手配した。第1段階は、2020年~2035年であり、基本的に社会主義現代化を実現する。第2段階は、2035年~今世紀中葉であり、わが国を富強・民主・文明的で調和のとれた美しい社会主義現代化強国へと建設する。

第14次5カ年計画期間は、わが国が社会主義現代化国家の全面建設の新たな征途を開く最初の5年であり、経済社会の持続的で健全な発展の維持が極めて重要である。

外部環境からみれば、平和・発展はなお時代のテーマであるが、世界経済の枠組は深刻な調整が行われており、経済のグローバル化は逆流に遭遇し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンは衝撃に直面し、不安定性・不確定性が顕著に増加している。新型コロナ肺炎疫病等多様な要因の影響を受けて、2020年の世界経済は深い衰退に陥っており、正常な成長水準に回復するには時間を要する。

国内発展からみれば、わが国経済は既に高速成長段階から質の高い発展段階に転換しており、発展方式の転換・経済構造の最適化・成長動力の転換という難関攻略の時期にある。発展がアンバランス・不十分という問題が依然際立ち、構造的・体制的・周期的問題が相互に交錯し、イノベーション能力が質の高い発展の要求に適応しておらず、生態環境保護は任重くして道遠しで、民生保障・社会ガバナンス等の方面では顕著な不足がある。

多重要因の影響を受けて、現在経済の平穏な運営を維持する難度は大きく、需要不足が経済の安定・回復を制約しており、企業とりわけ中小・零細企業、個人工商事業者の生産経営の困難がかなり多く、雇用の安定・民生の保障は大きな圧力に直面している。

わが国の発展は、多くの方面の優位性・条件を備えており、独特な政治・制度の優位性、豊かな経済的基礎、巨大な市場の潜在力があり、億万の人民の勤労・知恵、人力・人材資源が豊富で、発展は強い強靭性があり、経済が長期に好い方へ向かうファンダメンタルズは変わりはなく、変わりもしない。我々が発展への自信を確固とし、困難・試練に対峙し、わが国の発展の重要な戦略的チャンスの時期を擁護し、しっかり用いさえすれば、必ずや社会主義現代化国家の全面建設の新たな局面を不断に切り拓くことができる。

2.第14次5カ年計画期間の経済社会発展の指導方針を深刻に理解する

「建議」は、第14次5カ年計画期間の経済社会発展の指導思想と遵守すべき原則を、明確に提起した。

中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、19回党大会・19期2中全会・3中全会・4中全会・5中全会精神を深く貫徹し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学的発展観、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとすることを堅持し、党の基本理念・基本路線・基本方略を全面的に貫徹し、「経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・生態文明建設」の総体手配を統一的に推進し、「社会主義現代化国家の全面建設、改革の全面深化、全面的に法に基づく国家統治、全面的に厳しい党内統治」の戦略手配を協調推進し、「イノベーション・協調・グリーン・開放・共に享受」の新発展理念を断固貫徹し、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、質の高い発展の推進をテーマとし、サプライサイド構造改革を主線とし、改革・イノベーションを根本動力とし、人民の日増しに増大する素晴らしい生活への需要の満足を根本目的とし、発展と安全を統一し、現代化した経済システムの建設を加速し、「国内大循環を主体とし、国内・国際2つの循環が相互促進する新たな発展の枠組」を早急に構築し、国家ガバナンスシステムとガバナンス能力の現代化を推進し、マクロ経済の長期安定、社会の安定・調和を実現しなければならない、と強調することは、社会主義現代化国家の全面建設のために、好いスタート・歩みを踏み出すものである。

党の全面指導を堅持し、経済社会発展を党が指導する体制メカニズムを堅持・整備し、中国の特色ある社会主義制度を堅持・整備し、「新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築する」能力・水準を不断に高めることは、質の高い発展を実現するために、根本保証を提供するものである。

人民を中心とすることを堅持し、新発展理念堅持し、改革開放の深化を堅持し、システムの概念を堅持する。

上述の指導思想・原則は、第14次5カ年計画期間の経済社会発展の指導方針を共同で構成している。

これは、党中央が、中国の特色ある社会主義発展の実践経験を全面総括し、当面及び今後一時期の内外発展の大勢を正確に把握し、わが国の発展環境が直面する深刻・複雑な変化を深く分析し、2035年の長期目標と将来5年の発展目標を統一的に考慮した基礎の上に、提起したものである。

指導方針は、内容が豊富・意義が重大であり、真剣に学習・理解し、全面的に貫徹実施しなければならない

指導方針を1つの有機的な全体とし、その精神の実質・核心の重要意義・イノベーションの観点・実践の要求を深刻に理解し、内在するロジックと相互関係を掌握し、実際の政策を更に好く指導しなければならない。

党中央が提起した一連の戦略思想と政策手配を結びつけ、更に視野を広げ、指導方針を更に深層レベルで理解・把握し、各政策を有機的にリンクさせ、協同推進しなければならない。

指導方針と「建議」が提起した発展目標・戦略任務・重大措置を融合・貫通し、「建議」精神を理解・貫徹する系統性・全体性を増強しなければならない。

3.第14次5カ年計画期間の経済社会発展指導方針を全面的に貫徹する

指導方針は、総体要求・行動指南であり、第14次5カ年計画期間の経済社会発展の各方面にまで貫徹しなければならない。実際の政策の中で、指導方針の確実な実施・実現に注意し、新発展理念をしっかり貫徹しなければならない。

国情に立脚し、発展に力を凝集し、自身の事柄にしっかり取り組むことに力を入れなければならない。

19回党大会は、わが国はなお長期に社会主義初級段階にあるという基本国情に変わりはなく、わが国は世界最大の発展途上国であるという国際地位に変わりはないことを明確に指摘した。

わが国は世界第二の経済体であるが、1人平均水準は決して高くはなく、農業の基礎は堅固ではなく、製造業・サービス業はミドル・ハイレベルに向け邁進しているところである。わが国が現代産業・人民生活・生態環境等の分野が先進国水準に接近あるいは達するには、なお長期の非常に困難な努力を払う必要がある。

発展は、わが国の一切の問題を解決する基礎・カギであり、我々は基本国情をしっかり把握し、最大の現実に立脚し、経済建設を中心とすることを堅持し、断固として発展を党の執政・興国の第一の重要任務としなければならない。

しかし、発展は科学的発展・質の高い発展でなければならず、新発展理念をしっかり貫徹し、発展方式を確実に転換し、質の変革・効率の変革・動力の変革を推進しなければならない。とりわけ、イノベーション駆動による発展を堅持し、現代産業システムを発展させ、新たな発展の枠組を構築しなければならない。

14億の人口を有する発展中の大国として、中国が自身の事柄にしっかり取り組むことが、すなわち世界への最大の貢献であり、各国にチャンスをもたらすことにもなる。

安定の中で前進を求め、実効を重んじ、各方面の政策を協調推進しなければならない。安定の中で前進を求めるという政策の総基調は、治国・執政の重要原則である。国際経済政治の枠組が複雑で変化に富む情況下、わが国のような大きな経済体から言えば、一定意義上、安定を重視することこそが前進となる。

リスク意識を増強し、(最悪事態を想定して)最低ラインを守る考え方を強化し、重大リスク・試練の防止・解消を重視し、発展の主動権をしっかり把握し、自身の発展の安定性によって外部環境の不確定性に対応しなければならない。

2020年、新型コロナ肺炎疫病の衝撃と世界経済の深い衰退に対し、我々は「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)の基礎の上に、政策を着実にしっかり実施し、「庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障」しなければならないと提起した。「6つの保障」とりわけ「前の三つの保障」を実施してこそ、経済の基盤をしっかり安定させ、民生の最低ラインをしっかり保障することができる。食糧・エネルギーの安全を保障し、産業チェーン・サプライチェーンの安定を保障することは、経済の発展・社会の安定と国家の安全に関わり、末端の運営の保障は、国家ガバナンスシステムを有効に運営するための重要な保障である。

「六つの保障」は当面の政策の注力点であるばかりでなく、第14次5カ年計画期間に直面・解決しなければならない重大課題である。保障により安定を促し、安定の中で前進を求めてこそ、更に高い目標を実現するために、基礎を打ち固めることができる。

経済社会は、大きなシステムである。発展の全体性・協同性を増強し、根底・基盤を固め、優位性を発揚し、不足部分を補充し、脆弱部分を補強することに力を入れ、「都市・農村と地域間のバランスのとれた発展、産業の合理的配置・構造の最適化、経済・社会の協調発展、人と自然の調和・共生」を促進しなければならない。

わが国の経済は既に世界経済に深く融け入っており、国内・国際の2つの大局を統一し、国内・国際の2つの市場・2種類の資源を十分利用しなければならない。我々は、「国内大循環を主体とし、国内・国際2つの循環が相互促進する新たな発展の枠組を構築する」と強調しているが、決して門を閉ざし閉鎖的運営を行うことはなく、内需拡大戦略を断固実施するだけでなく、対外開放の拡大を更に強化し、国際協力・競争の新たな優位性を構築しなければならない。

宗旨を実践し、民のために執政し、発展の中で民生を更に好く保障・改善しなければならない。全身全霊人民に奉仕することは、わが党の根本宗旨であり、発展の根本目的も、民生の福祉増進である。現在、教育、医療、老人ケア、住宅、食品・薬品の安全、所得分配等の方面で、人民が少なからず不満をもっている部分がある。

小康社会の全面実現に伴い、素晴らしい生活への人民の需要は、更に広範かつ日増しに多元化しており、経済社会の発展のための各政策に対して新たな要求を提起している。民の望むものは施政の向かうところである。人民を中心とする発展思想を実施・実現し、人民が最も関心をもち、最も直接的で、最も現実的な利益問題をしっかり解決し、社会の公平を促進し、人民大衆の獲得感・幸福感・安全感を不断に増強しなければならない。

基本公共サービスと非基本公共サービスを合理的に区分し、力を尽くして行い、力量を推し量って実施し、健全な基本公共サービス体系を整備し、公共サービスの提供方式を刷新し、社会(民間)のパワーを支援して非基本公共サービスの供給を増やし、大衆の多層レベル・多様化した需要を満足させなければならない。

民生の保障・改善も、内需拡大に有益であり、民生の方向を際立たせ、雇用優先政策を強化し、人民の所得水準を高め、個人消費と有効な投資を拡大し、市場空間を開拓し、経済成長を牽引して、経済の良性循環の新たな道を歩まなければならない。

「建議」は既に審議・通過し、国務院はこれに基づき、第14次5カ年計画要綱を制定する。指導方針を第14次5カ年計画要綱制定の中に真に体現させ、主要指標の設定から重点任務の計画まで、重大プロジェクトの確定から重大政策の提起まで、すべて建議が提起した経済社会発展の指導方針を鮮明に体現し、新発展理念を全面貫徹し、質の高い発展の推進をしっかり念頭に置き、新たな発展の枠組の構築に力を入れ、わが国の実際に合致し、人民の願望に順応し、将来の発展を牽引する好い要綱を制定しなければならない。

特別計画・地域計画・空間計画及び地方計画を制定する際には、全国を一つとすることを堅持し、大局意識とシステムの概念を確実に増強し、切込み口・注力点を正確に探し、指導方針の各要求を関係計画の中に貫徹し、「位置づけが正確で、境界が明白で、機能が相互補完し、統一的にリンクした」国家計画体系を形成しなければならない。

健全な政策協調と活動協同のメカニズムを整備し、計画実施のモニタリング・評価メカニズムを整備し、第14次5カ年計画の発展に関する政策決定・手配の実施・実現を確保しなければならない。

中国の改革・発展の巨大な成果は、広範な幹部・大衆の新事業開始への苦労と、多くの辛苦から生まれたものである。計画を現実に変え、指導方針を実際の行動の中に真に体現するには、依然として懸命な働きに依拠しなければならない。

各地方・各部門は、責任を担う覚悟を強化し、勤勉精神を発揚し、形式主義・官僚主義を強く戒め、経済社会発展の各政策を着実にしっかり実施しなければならない。

わが国は大きく、各地の情況は千差万別であり、現実に基づいて方法を検討することを堅持し、一切を実際から出発し、中央・地方と各方面の積極性を更に好く発揮させなければならない。複雑な情勢下で発展を計画し、実施に取り組む能力を不断に高め、改革・イノベーションの方法をうまく用いて難題を解決し、リスクを解消して、政策を創造的に展開しなければならない。

発展を制約する体制メカニズムの障碍を断固打破し、資源配分における市場の決定的役割を十分に発揮させ、政府の役割を更に好く発揮させて、「行政の簡素化・権限の委譲、開放と管理の結合、サービスの最適化」改革を深化させ、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を作り上げ、起業・イノベーションのために規制を緩和し、負担を減らし、ハードルを引き下げ、億を上回る市場主体の活力と社会の創造力を十分奮い立たせ、発展を推進する強大な動力エネルギーを凝集しなければならない。

青写真は既に描き終え、使命は人を奮発させる。我々は、習近平同志を核心とする党中央周囲更に緊密に団結し、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を見引きとし、「四つの意識」を増強し、「四つの自信」3を確固とし、「二つの擁護」4を成し遂げ、困難に立ち向かい、開拓・進取の精神で、一切の積極要因を十分動員し、わが国が富強・民主・文明で、調和がとれて美しい社会主義現代化強国を建設・実現し、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するために、新たなより大きい貢献を行わなければならない。

  1. 経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設を一体的に進める。
  2. 小康社会の全面的に実現、改革の全面深化、法に基づく国家統治の全面推進、全面的な厳しい党内統治。
  3. 中国の特色ある社会主義の道・理論・制度・文化への自信。
  4. 習近平総書記の党中央・全党の核心としての地位の擁護、党中央の権威と集中・統一的な指導の擁護。