新5カ年計画党中央建議の準備(2)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年10月8日


はじめに

国家発展・改革委員会の何立峰主任は、9月17付の人民日報に「習近平『新時代の中国の特色ある社会主義』経済思想を学習・貫徹し、第14次5カ年計画編成と発展・改革政策をしっかり実施する」と題する論文を発表した。本稿は、その概要を紹介する。

18回党大会以降、習近平総書記はマルクス主義政治家・思想家の深刻な洞察力・鋭敏な判断力・理論創造力をもって、一連の独創的意義を有する新理念・新思想・新戦略を提起し、改革開放と社会主義現代化建設を推進し、歴史的な変革を実現し、歴史的な成果を得て、実践の中で、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を形成し、不断に豊かに発展させ、発展・改革政策をしっかり実施するために根本的なよりどころを提供した。

1.習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想の重大な意義を十分認識する
(1)習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、広範な時代背景・長期の実践の基礎・豊富な理論の淵源を備えている。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、

①中国の特色ある社会主義が新時代に入り、わが国社会の主要な矛盾に新たな転換が発生し、経済発展が新常態に入り、改革開放が新たな段階に入り、世界経済が百年未曾有の大変局にあるという歴史条件の下で形成されたものであり、

②確固とした理想・信念、鮮明な人民の立場、強烈な時代の息吹、広大なグローバル的視野を含んでおり、

③国情に立脚し、世界に目を向け、未来をリードする指導思想である。

我々は、その重大意義と独創的貢献を深く学習し、全面的に理解して、一層思想を統一し、意志を統一し、行動を統一しなければならない。

(2)習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の重要な構成部分である。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、わが国経済発展の成功・実践と貴重な経験を深刻に総括し、新時代の中国の特色ある社会主義経済建設の時代背景、根本的立場、政治保障、制度的基礎、テーマ・主線、発展理念、実現の方途、内外関係、活動方法等の一連の重大問題について系統的に回答したものである。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、

①中国の特色ある社会主義が新時代に入ったという重大な論断を行い、社会の主要な矛盾の転換に着目し、わが国の経済発展が新常態に入り、質の高い発展の段階に転換したことを提起し、中国経済をどう見るかを明確にした。

②人民を中心とする発展思想を堅持し、新発展理念を全面的に貫徹し、中国経済をどう運営するかを明確にした。

③サプライサイド構造改革の推進を堅持し、現代化された経済システムを建設し、中国経済をどうするべきかを明確にした。

(3)習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、当代の中国・21世紀世界におけるマルクス主義政治経済学の最新の理論成果である。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、

①マルクス主義政治経済学と中国の具体的現実を結びつけた更なる理論的飛躍であり、マルクス主義の経典作者が未だ足を踏み入れず、先輩・先人が予見しえず、西側経済理論が解決できなかった一連の重大理論実践問題について創造的に回答したものである。

②新中国成立以来、わが党が社会主義経済建設を模索して形成してきた思想の清華を継承し、発揚して、共産党の執政ルール・社会主義建設ルール・人類社会の発展ルールへの認識を一層深化させたものである。

③人類運命共同体の構築を提起し、「一帯一路」共同建設イニシアチブを発出し、世界経済の発展の難題を解決し、グローバル化をリードして精確な方向へと発展させ、中国の知恵と中国の方案を貢献したものである。

(4)習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、わが国経済の質の高い発展を手引きし、社会主義現代化強国を建設するための科学的行動指南である。

①峻厳・複雑な内外情勢に対し、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想の引率の下、我々は困難・試練を1つ1つ克服・戦勝することに成功し、世にまれに見る経済発展の奇跡を創造した。

②習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、わが国経済発展の実践に対する深刻な理論的総括であり、新時代の中国共産党員の経済思想の旗印であり、全党全国上下が経済活動をしっかり行うために正確な奮闘方向を指し示したものである。

③この思想は、21世紀中葉までに社会主義現代化強国を実現するための壮大な青写真を描き、中華民族の偉大な復興な復興という中国の夢を実現するという最強のメッセージを発したものである。

(5)習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、重大なリスク・試練に科学的に対応し、重大な困難・問題を有効に解決する強大な思想的武器である。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、

①経済政策に対する党の集中統一的な指導を堅持し、経済政策の制度化建設への党の指導を強化し、中国経済が常に正確な方向に沿って発展することを確保するよう強調した。

②大局に立脚し、経済社会の発展ルールをよりどころとすることを常に堅持し、わが国の経済発展の段階的特徴を精確に把握し、改革開放によって安定・発展を促すことを堅持し、社会の生産力の発展を制約する各種の束縛・障害を不断に打破するよう、常に強調した。

③一貫して憂患意識を増強し、危機とチャンスに弁証法的に対応し、政策の主動権をしっかり把握し、重大リスク・試練を科学的・有効に防止・解消しなければならないと、常に強調した。

2.習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、発展・改革政策をしっかり行うための根本的なよりどころであることを深刻に理解する

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想は、新中国の経済理論建設において、時代を画す意義を備えた重大成果であり、科学性・時代性・先進性・実践性を備えている。

発展改革部門は真剣に学習し、その核心・重要意義、精神の実質、豊富な内容、実践の要求を深刻に理解しなければならない。

(1)政治を重んじることを旗色鮮明にし、党の集中・統一的な指導を堅持・強化しなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための根本的な政治保証である。

習近平総書記は、「中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴であり、中国の特色ある社会主義制度の最大の優位性である」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、思想によるリードを強化し、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想を理解・実践することに努力しなければならない。

制度の優位性を堅持し、「全局を総覧し、方向を把握し、パワーを凝集する」党の役割を発揮させ、経済政策を党が指導する制度的優位性を、確実にガバナンス機能に転化しなければならない。

組織的な保障を際立たせ、正しい気風・綱紀粛正を重視し、堅固な戦闘堡塁と質の高い専門化した幹部の陣容を作り上げなければならない。

(2)人民を中心とする発展思想を堅持し、人民大衆の獲得感・幸福感・安全感を増強しなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための根本的出発点であり、着地点である。

習近平総書記は、「人民は党執政の最大の活力であり、党執政の最も豊富な根本基盤でもある」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、人民大衆が最も関心をもち、最も直接的で、最も現実的な利益問題をしっかり把握し、「幼児には保育があり、学生には教育があり、労働者には収入があり、病人には医療があり、老人にはケアがあり、住む家があり、弱者には援助がある」等の方面で、不断に新たな進展を得なければならない。

力を尽くし、力量に応じて進めるという原則を堅持し、「共に建設し、共に治め、共に成果を享受する」という理念を堅持し、最も広範な人民の根本利益を不断にしっかり実現し、しっかり擁護し、しっかり発展させなければならない。

(3)新発展理念を断固貫徹し、経済の質の高い発展を早急に推進しなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための根本理念による先導である。

習近平は、「発展理念は発展行動の先導である」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、発展の新段階・新特徴を軸に、主たる攻め口を確定し、「イノベーション・協調・グリーン・開放・(発展の成果)共に享受」という新発展理念を、発展の全プロセス・各分野に貫徹し、「更に質が高く、更に効率が良く、更に持続可能で、更に安全な」発展を実現しなければならない。

社会主義建設ルールをよりどころとして、段階的な重大戦略目標に焦点を絞り、政策任務と政策措置を細分化し、一歩一歩実行して長期に成果を上げなければならない。

(4)安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、マクロ・コントロールを引き続き強化・改善しなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための中心任務である。

習近平総書記は、「安定の中で前進を求めるという政策の総基調は、治国・執政の重要原則である」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、経済発展の中で安定と前進の関係を正確にうまく処理し、「安定」した大局を計画し、「前進」の動力を発揮させ、経済の平穏・健全・持続可能な発展を維持しなければならない。

国家発展計画の戦略的誘導の役割をうまく発揮させ、マクロ・コントロールの方向・時機・程度・テンポをしっかり把握し、政策の併せ技をしっかり打ち出し、マクロ・コントロールの展望性・的確性・有効性を高めなければならない。

(5)経済発展の新常態に適応し、これを把握し、リードして、サプライサイド構造改革を不断に深化させなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための主線である。

習近平総書記は、「新常態を認識し、新常態をリードすることは、現在及び今後一時期、わが国経済発展の大ロジックである」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、わが国経済発展の段階的特徴を歴史的・弁証法的に認識し、大趨勢を分析し、大戦略を研究し、大政策を協調し、大プロジェクトを推進しなければならない。

主要な矛盾と矛盾の主要方面にしっかり取り組み、サプライサイド構造改革の深化を堅持し、供給システムと内需の適応性を高め、需要が供給を牽引し、供給が需要を創造する更にハイレベルの動態的バランスを形成しなければならない。

(6)政府と市場の関係を正確にしっかり処理し、経済体制改革を全面的に深化させなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための重点要求である。

習近平総書記は、「経済体制改革は改革全面深化の重点であり、核心問題は政府と市場の関係をうまく処理することである」と強調した。

発展・改革政策をしっかり行うには、資源配分における市場の決定的役割を発揮させ、政府の役割を更に好く発揮させ、経済体制のカギ・基礎となる重大改革において、ブレークスルー・イノベーションを進めなければならない。

混合所有制改革更に大きな範囲・更に深層レベルで推進し、所得分配制度改革を深化させ、ハイレベルの市場システムを早急に建設し、更に系統的に整備され、更に成熟・定型化したハイレベルの社会主義市場経済体制を構築しなければならない。

(7)国内・国際の2つの大局を統一に、自身の事柄に着実にしっかり取り組まなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための重要な注力点である。

習近平総書記は、「不動心を維持し、自信を増強し、精力を集中して自身の事柄にしっかり取り組むことは、我々が各種リスク・試練に対応するカギである」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、自分を主とし、経済発展方式の転換を加速し、経済発展の構造を調整し、発展の質・効率を高めなければならない。

国民経済循環の円滑化を主とし、内需拡大という戦略視点をしっかり把握し、生産・分配・流通・消費にまず立脚し、国内市場に依拠して、国内大循環を主体とし、国内・国際2つの循環が相互促進する新たな発展の枠組みの形成を推進しなければならない。

断固として対外開放を拡大し、多国間協力に積極的に参加し、ハイレベルの開放により質の高い発展を推進しなければならない。

(8)正確な政策の策略・方法を堅持し、目標志向・問題志向・結果志向を際立たせなければならない。これは、発展・改革政策をしっかり行うための重要な方法論である。

習近平総書記は、「経済の持続的発展を推進するには、正確な思想・政策があるだけではなく、正確な政策の策略・方法がなければならない」と指摘した。

発展・改革政策をしっかり行うには、トップダウン設計と慎重な運営を結びつけ、科学的に計画し、国家の戦略配置と精確に符合させるのみならず、大胆に模索し、新たな経験を形成し、新たな認識を深め、新たな方案を貢献しなければならない。

評価を強化して実施の取組みを督励し、マクロ政策制定からミクロ政策の実施に至る障碍を有効に打開し、上下が一つとなり、気持ちが一つに向かう政策の合成力の形成を推進しなければならない。

3.習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想により、第14次5カ年計画の編成と発展・改革政策をしっかり行わなければならない

第14次5カ年計画期間は、小康社会を全面的に実現し、第一の百年奮闘目標を実現した後、勢いに乗じて上昇し、社会主義現代化国家を全面的に実現するという新たな征途をスタートさせ、第二の百年奮闘目標に向け進軍する第一の5年である。第14次5カ年計画をしっかり編成・実施することは、意義が重大・深淵である。

発展・改革部門は高度な政治的責任感と歴史的使命感によって、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想を深く学び忠実に用いて、第14次5カ年計画の編成と発展・改革の各政策を確実にしっかり行わなければならない。

(1)理論武装を引き続き強化する

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想の学習・貫徹を、重大な政治任務として取り組むことを堅持し、「四つの意識」1を不断に増強し、「四つの自信」2を確固として、「二つの擁護」3を成し遂げる。

全面・系統的に学び、「原著を学び、原文を学び、原理を悟る」ことを堅持し、「学んで考え、実践で悟り、貫徹・実施する」という思想的自覚・政治的自覚・行動的自覚を増強しなければならない。

深く思考して学び、その核心・重要意義、精神の実質、豊富な内容を深刻に理解し、事物の表面現象を知るだけでなく、その事物の本質とその生まれた原因を知らなければならない。

実際と連携して学び、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」経済思想を自覚的に用いて頭脳を武装し、実践を指導し、政策を推進しなければならない。

(2)第14次5カ年計画を科学的に編成する

オープンに策を問い、衆知を集めて有益な意見を広く吸収し、トップダウン設計の強化と計略を民に問うことの堅持を統一し、人民の希望に合致し、時代の特徴が豊かで、現代な建設の新局面を開く5カ年計画の編成に努力する。

発展環境を深く研究・判断し、発展のチャンスを正確に研究・判断し、困難・試練の透徹した分析を行わなければならない。

総体的な発展の考え方を真剣に計画し、目標・指標を科学的に制定し、第14次5カ年計画期間の発展目標、政策の考え方、重点任務を提起しなければならない。

重大任務を精確に計画し、①経済発展の推進、人民の福祉増進、リスクの防止・解消等を軸に、重大政策を研究して打ち出し、②内生的な動力を増強・発展させ、市場の活力を奮い立たせることを軸に、重大措置を研究して打ち出し、③脆弱部分の補強、グレードアップの促進、持続力の増強、民生の優遇を軸に、重大プロジェクトを研究し推進して、社会主義現代化国家の全面建設のための新たな征途において、良好なスタートを切り、良好な歩みを踏み出さなければならない。

(3)心とパワーを集中して、発展・改革政策をしっかり行う

発展・改革政策に対する党の全面指導強化を堅持し、習近平総書記の重要指示精神と党中央の政策決定・手配を断固貫徹実施し、フォローアップ・督促を強化して、完全実施を確保する。

第一の百年奮闘目標の実現に立脚し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策を着実にしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務を全面実施し、既に打ち出し手配した政策を早急に実施して実効を上げ、脱貧困堅塁攻略決戦・決勝の目標・任務の達成を確保し、小康社会を全面的に実現しなければならない。

第二の百年奮闘目標に着眼し、重点改革・任務の推進に力を入れ、断固として対外開放を拡大し、地域・都市・農村重大戦略をきめ細かく実施し、強大な国内市場の形成を促進し、短期の試練への対応と長期の矛盾解消を結びつけ、経済の平穏・健全・持続可能な発展の維持に力を入れなければならない。

  1. 政治意識・大局意識・核心意識・一致意識
  2. 中国の特色ある社会主義の道・理論・制度・文化への自信
  3. 習近平総書記の党中央・全党の核心としての地位の擁護、党中央の権威と集中・統一的な指導の擁護