人民銀行第2四半期貨幣政策執行報告

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年8月11日


はじめに

本稿では、8月6日に公表された「人民銀行2020年第2四半期(4-6月期)貨幣政策執行報告」の概要を紹介する。なお、前報告から変化したポイントは太字で示している。

1.マクロ経済の展望
1.1 概況

2020年に入り、新型肺炎疫病はわが国経済社会に深刻な衝撃をもたらしたが、党中央の堅固な指導の下、全国が上下心を一つに協力し、疫病防御と経済社会発展政策の統一で重大な成果を得た。

4-6月期、わが国のGDPは前年同期比3.2%成長し、成長率は1-3月期に比べ10ポイント上昇し、明らかに予想より好い。中長期でみて、わが国経済が安定の中で好転し、長期に好い方向に向かい、質の高い発展をとげるというファンダメンタルズに変わりはない1

(1)わが国経済は強靭性を示し、常態化した疫病防御の中で、経済社会の運営は基本的に正常に向かい、経済は急速に回復・成長している2

現在わが国の疫病防御と経済回復は、いずれも世界の前列を歩んでおり、経済は既に1-3月期に疫病がもたらした「需給への衝撃」から、4-6月期の「供給は急速に回復、需要は徐々に改善」へと変化し、市場の予想は総体として安定し、下半期の経済成長は潜在成長率水準に戻ることが見込まれる。

わが国の発展はなお長期に需要な戦略的チャンスの時期にある。近年、3大堅塁攻略戦は着実に推進され、サプライサイド構造改革が深化され、雇用情勢は安定を維持し、個人所得は着実に増加し、人民の生活が引き続き改善され、 「新しいタイプのインフラ建設、新しいタイプの都市化建設、交通・水利等の重大プロジェクト建設」が有力に推進され、新産業・新業態・新動力エネルギーが形成され急速に発展している。

積極的財政政策は更に積極的に結果を出し、穏健な金融政策は更に柔軟・適度にし、実体経済とりわけ小型・零細企業、民営企業への金融サービスは不断に強化されている。

穏当・果断に金融リスクを防止・コントロールし、金融システムは総体として健全であり、各種のリスクを解消する能力を備えている。

人民元レートは、合理的均衡水準で基本的安定を維持し3、経済が外部衝撃に対応する能力が増強されている。

1.2 リスク・試練

世界経済は衰退に陥り、国内経済はなお少なからぬ試練に直面している4

(1)国際環境

国際的な疫病はなおかなり長くピーク状態が続く時期にあり、 地政学的に緊張する局面が台頭し、一部国家の経済貿易摩擦が日増しに深刻化し5、不安定・不確定要因がかなり大きい。

2020年の世界経済の収縮を、IMFは4.9%、世界銀行は5.2%と予測しており、世界銀行は「世界経済は、第2次世界大戦以降最も深刻な衰退に陥る可能性がある」としている。

(2)国内経済

わが国の、疫病の輸入と世界経済リスクの防止への圧力は依然としてかなり大きく、国内経済運営に対する疫病のダメージはなお存在し、 レストラン・観光、文化・娯楽等のサービス業の回復は相対的に緩慢である。

上半期、疫病の影響をヘッジするため、カウンターシクリカルな調節をある程度強化し、 マクロレバレッジ率は段階的な上昇が出現した。経済成長が潜在水準に回帰するに伴い、マクロレバレッジ率も徐々に合理的水準に回帰している。

経済運営にはなお構造的・体制的・周期的問題が存在し、発展がアンバランス・不十分という問題が依然として際立っている。

これについて、客観的に認識し、理性的に対応し、自信を確固とし、不動心を維持し、チャンスの意識とリスク意識を増強し、自身の事柄に真剣にしっかり取り組み、改革とコントロール、短期と長期、内部均衡と外部均衡を結びつけ、経済の競争力・イノベーション力・リスク対抗能力を増強し、 内需拡大という戦略基点をしっかり把握し、市場主体の活力を大いに保護して奮い立たせ、経済社会発展の各政策にしっかり取り組まなければならない。

(3)物価

2020年初のCPIの前年同期比上昇率は5%以上であり、主として豚肉価格のかなり速い上昇が牽引すると同時に、供給に対する疫病の影響が重なり、構造的特徴のみならず、段階的特徴もある。

各部門の多くの措置が供給を保障し価格を安定させ、金融政策が穏健を維持するに伴い、2月以降物価上昇率は3%以下にまで着実に下落し、初歩的な推計では年間のCPI上昇率平均値は合理的区間にある。

4-6月期以降、多くの大口取引商品価格に異なる程度の上昇が出現し、PPIの前月比上昇率がプラスに転じ、前年同期比下落幅が縮小していることも、需要の回復を反映している。

最近、一部の省の水害が農産品の生産・輸送にいくらか影響を生み出しており、先進経済体のマネーサプライ量の急速な上昇は、将来大口取引商品価格を引き上げる可能性があり、加えて世界の疫病の変化と防御措置のサプライチェーン・産業チェーンに対する衝撃にはなお不確定性があり、なお各種要因がもたらす可能性のある短期的な物価の攪乱について密接に注意を払う必要がある。

中長期で見ると、わが国の経済運営は総体として平穏であり、総需給は基本的にバランスしており、サプライサイド構造改革が深く推進され、市場メカニズムの役割が更に好く発揮され、金融政策は穏健を維持し、マネー条件は合理的・適度であり、長期にインフレあるいはデフレの基礎は存在しない。

2.今後の主要な政策の考え方

人民銀行は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとすることを堅持し、党中央・国務院の政策決定・手配を断固として貫徹実施し、小康社会の全面実現の目標・任務をしっかり念頭に置いて、疫病防御と経済社会発展政策を統一的に推進し、疫病防御が常態化する前提の下、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を堅持し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想の安定)政策を着実にしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧及びエネルギーの安全、産業チェーンとサプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務を全面実施し、脱貧困堅塁攻略決戦・決勝の目標・任務の達成を確保し、小康社会を全面的に実現する。

穏健な金融政策を更に柔軟・適度とし、精確に誘導し、マネーサプライと社会資金調達規模の合理的伸びを維持し、サイクルを跨った設計・調節を整備し、安定成長・雇用保障・構造調整・リスク防止・インフレ抑制の関係をうまく処理し、安定成長とリスク防止の長期バランスを実現する。

的確性と一定期間の有効性を増強し、疫病防御と経済・金融情勢に応じて金融政策のオペレーションの程度・テンポ・重点を把握し、実体経済の回復支援と 持続可能な発展6を更に際立てて位置づけ、多様な金融政策手段を総合的に運用かつ刷新し、流動性の合理的充足を維持し、金融政策の伝達メカニズムを円滑にし、 構造的金融政策の精確な点滴灌漑作用7 を有効に発揮させ、政策の「直接到達性」を高め8、実体経済とりわけ中小・零細企業の難関克服・平穏な発展を支援しなければならない。

多くのルートで予想をしっかり誘導し、物価水準の基本的安定を維持する。

金融サプライサイド構造改革を深化させ、金融・科学技術・産業の良性循環と三角形の相互作用の形成を推進し9、人民元・外貨政策を協調させ、国内経済と対外経済の間のバランスをうまく処理し、国内大循環を主体とし、 国内・国際の2つの循環が相互に促進する新たな発展の枠組みを早急に形成する10

(1)穏健な金融政策を更に柔軟・適度にし、精確に誘導11する。

疫病防御と経済発展の実際から出発し、多様な金融政策手段を総合的に運用して流動性の合理的充足を維持し、市場金利を誘導し公開市場操作金利と中期貸借ファシリティーを軸に平穏に運営し、マネーサプライと社会資金調達規模の合理的な伸びを維持する12

貸出が市場主体の実際の資金需要に釣り合うことを促進し、資金を平穏に秩序立てて実体経済に投下し、経済成長の潜在成長率への回帰を支援する13

健全で持続可能な資本補充の体制メカニズムを整備し、銀行の実体経済への金融サービスと金融リスクの防止・解消の能力を高める。

総合的な資金調達コストの引下げ、優遇金利による貸出、中小・零細企業向け貸出の元本償還・利払い猶予の実施等の一連の政策を通じて、金融システムの各種企業への合理的な利益移譲を推進する14

財政部門との有機的な協同を強化し、政府債券の順調な発行を促進し、雇用・産業・投資・消費等の政策との合成力を発揮する15

(2)再貸出・再割引政策と実体経済に直接到達する金融政策手段の牽引帯同作用を積極的に発揮させ、企業を安定させて雇用を保障する政策をしっかり実施する。

引き続き、1兆元の再貸出・再割引政策をしっかり実施し、3000億元の特別再貸出と5000億元の再貸出・再割引等の政策を手仕舞いした後、政策の安定性を維持し、農業関係、小型・零細企業、民営企業と疫病の影響がかなり重い業種に対して、包摂的・持続的な資金支援を提供する。

実体経済に直接到達する2つの金融政策手段16を積極的に推進し、地方法人金融機関が雇用・職場の基本的安定のために小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス支援を強化するよう誘導し、精確なコントロール効果を強化し、企業を安定させて雇用を保障する政策をしっかり実施する17

小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの期間延長の支援手段を運用し、小型・零細企業の元本償還・利払い圧力を確実に緩和し、小型・零細企業の難関克服を援助する。小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス支援計画を運用し、小型・零細企業の担保不足という痛みを解決し、小型・零細企業向け無担保貸出のウエイトを高め、小型・零細企業の資金調達難の問題を緩和する18

(3)金融・貸出政策の経済構造調整を促進する役割を発揮させ、実体経済に更に好くサービスする。

「3ランク・2優遇」の預金準備の枠組を一層整備し19、銀行が小型・零細企業向け貸出を増やす健全で長期有効なメカニズムを確立する。

長期・短期を併せ考慮して、総合的に施策を行い、商業銀行の中小・零細企業への金融サービス能力を向上させるプロジェクトを引き続き展開し、銀行内部の貸出資源配分と考課・インセンティブを最適化する。

脱貧困堅塁攻略への金融支援実施を農村振興政策とリンクさせることを検討し、脱貧困堅塁攻略の成果を引き続き強固にし、高める。農村振興への商業銀行サービスの考課方法を早急に打ち出し、金融資源が農村振興分野に集中するよう誘導する。

製造業に関する銀行・企業のマッチングを推進し、製造業への長期融資支援を増やす20

「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という位置づけをしっかり堅持し、「不動産を短期的経済刺激の手段としない」ことを堅持し、地価・住宅価格・予想の安定を堅持し21、不動産金融政策の連続性・一致性・安定性を維持し、不動産金融のプルーデンス管理制度をしっかり実施する22

(4)金利・為替レートの市場化改革を深化させ、金融資源の配分効率を高める。

引き続き、LPR(貸出プライムレート)改革を深化させ、市場化・法治化原則に基づき、8月末に既存の変動金利貸出の金利決定基準の転換を基本的に完成し23、金融政策の伝達メカニズムを円滑にし、改革の方法を用いて総合的な社会資金調達コストの顕著な低下を推進する。

市場金利決定の自律的なメカニズムの作用をしっかり発揮させ、預金金利決定行為を規範化し、公平な金利決定秩序を擁護し24、金融機関が貸出の年率換算金利を明示するという要求を厳格に実施するよう督促し、金融消費者の権益を確実に保護する。

為替レートの市場化改革を深化させ、市場需給を基礎とし、通貨バスケットを参考として調節を進め、管理された変動為替レート制度を整備し、人民元レートの弾力性を維持し、マクロ経済と国際収支の調節における為替レートの自動安定器としての作用を発揮させる。市場の予想を安定させ、合理的な均衡水準における人民元レートの基本的安定を維持する。

外為市場の発展を加速し、実需原則に基づく輸出入企業のために為替レートリスク管理サービスを提供する。

企業が「リスク中立的」な財務理念を樹立し、外貨デリバティブ商品を通じて為替レートのリスクを管理するよう誘導する。

人民元の資本項目の兌換化を着実に推進し、人民元のクロスボーダー使用の政策枠組とインフラを整備し、クロスボーダーの貿易・投資における人民元の自由な使用を支援する。

(5)金融市場のシステムを整備し、安定成長・構造調整・改革促進とリスク防止方面における金融市場の役割を確実によく発揮させる。

債券市場の市場化・法治化・国際化建設を強化し、発展によってイノベーションを促し、実体経済に対する債券市場のサービス能力を高める。制度建設を強化し、債券市場の管理制度を整備し、制度・基準の統一を促進し、債券市場の効率を高める25

民営企業の債券発行による資金調達を支援する。

市場化・法治化の原則を堅持し、債券のデフォルトリスクの防止・処理メカニズムを整備する。

金融市場インフラの統一的な監督管理と相互連結を強化し、委託管理機関と取引報告のデータベースの整備を推進し、金融市場全体の安定と安全で効率の高い運営を確保する。

債券市場の制度面・システム面の開放を積極かつ穏当に推進し、より多くの中長期投資家を引き入れる。

(6)金融サプライサイド構造改革を深化させ、高度な適応性・競争力・包摂性を備えた健全な現代金融システムを整備する。

金融機関改革を一層推進し、開発性金融機関・政策性金融機関の改革を引き続き深化させ、業務の境界を厳格化し、プルーデンス監督管理を強化し、経済の構造転換と質の高い発展支援における開発性・政策性金融の役割を十分発揮させる。

コーポレートガバナンスメカニズムの強化を核心として、商業銀行とその他金融企業の改革を引き続き深化させ26、株主総会・董事会・監事会と管理層の関係を規範化し、経営授権制度を整備し、有効な政策決定・執行・チェックアンドバランスのメカニズムを形成し、経営管理水準とリスクコントロール能力を高める。

(7)重大金融リスク防止・解消の堅塁攻略戦を引き続きしっかり戦い、リスクが総体としてコントロール可能で、持続的に収斂することを確保し、システミックリスクを発生させない最低ラインを断固しっかり守る。

堅塁攻略戦で得た段階的成果を強固にする基礎の上に、「大局を安定させ、統一的に協調し、分類して施策を実施し、精確に爆弾を処理する」という基本方針と政策を堅持し、マクロ経済情勢の新たな変化を統一的に考慮し、疫病対策、経済回復とリスクの防止・コントロールの関係をしっかり把握し27、各リスク解消の任務を穏当に推進し、システミック金融リスクを発生させない最低ラインをしっかり守る。

銀行とりわけ中小銀行が多くのルートで資本を補充し、ガバナンスを整備することを支援し、不良債権の処理を強化し、金融機関の健全性を強化する28

3.不動産融資の状況

6月末、主要金融機関(外資を含む)の不動産融資残高は47.4兆元、前年同期比13.1%増であり、伸びは3月末より0.8ポイント鈍化した。各種融資残高に占める不動産融資残高のウエイトは28.7%であった。

うち、個人住宅ローン残高は32.5兆元、同15.7%増であり、伸びは3月末より0.2ポイント鈍化した。住宅開発融資残高は9.1兆元、同12.0%増であり、伸びは3月末より1.6ポイント鈍化した。

4.中小銀行の預金準備率を引き下げた

4月3日、人民銀行は農村信用社、農村商業銀行、農村合作銀行、村鎮銀行と省レベル行政区域内で経営する都市商業銀行の預金準備率を1ポイント引き下げることを公表し、4月15日と5月15日の2回で完全実施し、毎回0.5ポイント引き下げ、計長期資金約4000億元を解放した。

同時に、4月7日から、中央銀行における金融機関の超過準備金の金利を0.72%から0.35%に引き下げた。6月末、金融機関の超過準備金の比率は1.6%であり、前年同期より0.4ポイント低下し、超過準備金金利引下げ政策前の3月末に比べて、0.5ポイント低下した。これは、この措置が、銀行が貸出を増やすよう奨励することに重要な役割を発揮したことを示している。

上述の政策は、金融機関が中小・零細企業向け貸出を強化するよう誘導し、金融機関の 資金使用効率を高め、社会資金調達コストを引き下げ、実体経済の発展を支援することに資するものであった。

5.新型肺炎疫病の影響に対するマネー・貸出支援を強化した

人民銀行は党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、疫病防御と経済社会の発展を統一的に推進し、一連のマネー・貸出支援政策を採用して、企業の安定による雇用保障に力を入れ、「6つの安定」を着実にしっかり実施し、「6つの保障」を全面実施した。

(1)流動性の合理的充足を維持した

金融市場において、春節開始後1.7兆元の短期流動性を提供し、市場の予想を有効に安定させ、3回の預金準備率引下げで1.75兆元の長期資金を解放した。

(2)3回にわたり1.8兆元の再貸出・再割引をしっかり実施して、新型肺炎疫病防御と経済社会の発展を統一的に推進した

2020年上半期、人民銀行は3回に分けて、3000億元の特別再貸出、5000元の再貸出・再割引、1兆元の再貸出・再割引、計1.8兆元を計上し、疫病対策、業務・生産再開と中小・零細企業等の実体経済の発展を支援した。

6月末までに、3000億元の特別再貸出と5000億元の再貸出・再割引政策は既に手仕舞いとなり、7月27日には、1兆元の再貸出・再割引政策は既に地方法人銀行に対し、優遇金利で累計4573億元を貸し出し、疫病防御と業務・生産再開のために積極的役割を発揮した。

(3)実体経済に直接到達する2つの金融政策手段を創設し、中小企業の発展と企業の安定による雇用保障を支援した

①2020年6月1日、人民銀行は銀行保険監督管理委員会、財政部、国家発展・改革委員会、工業・情報化部と通知(銀発2020年122号)を発出し、2020年末までに期限が到来する小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの元金、2020年末までに存続する小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの利息について、銀行業が企業の申請に応じて、一定期限内元本償還・利払い猶予を与え、最長では2021年3月31日までの延長を認め、かつ懲罰的利息を免ずることにした。

同日、別通知(銀発2020年124号)で、小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの期限延長支援手段を創設し、400億元の再貸出資金を提供し、地方法人銀行にその元本猶予の約1%相当の奨励を提供し、小型・零細企業の期限猶予による元本償還・利払い圧力を確実に緩和した。

②通知(銀発2020年125号)を発出して、小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス支援計画を創設し、4000億元の再貸出資金を提供し、地方法人銀行に対し、その実際に出した無担保貸出の40%相当について、優遇資金支援を提供し、小型・零細企業の資金調達難の問題を確実に解決した。

この2つの新手段は、金融政策のオペレーションを、金融機関の小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスと直接連携させ、精確なコントロールを保証し、企業の安定による雇用保障を有力に支援した。

(4)金融系統組織の合成力を統一的に発揮させた

疫病リスクを地域・レベルに分けて、差別化した金融サービスを提供するよう、金融機関を誘導した。国有大型銀行が小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスを強化するよう督促し、政策性銀行の特別貸出支援をしっかり実施し、地方法人銀行が末端にしっかりサービスするよう誘導した。

6.金利の市場化改革を深化させた

LPR(貸出プライムレート)改革を推進し、企業向け貸出金利を引き下げた29

LPRの運用を一層推進した。6 月に公布した1年物のLPRは3.85%(3月より20ベーシスポイント低下)、5年以上物は4.65%(同10ベーシスポイント低下)である。

LPR引下げ誘導の下、貸出金利は顕著に低下し、かつ低下幅はLPRの低下幅より大きかった。市場化・法治化の原則に基づき、既存の変動金利貸出の金利決定基準の転換を秩序立てて推進し、6月末には、既存貸出の金利決定基準の転換進度は既に55%に達した。うち、既存の企業向け貸出の転換進度は76%である。転換プロセスにおいて、貸出金利はある程度低下し、企業の利息支出を直接減らした。

次の金利決定サイクルがから、企業はLPR低下がもたらす政策ボーナスを享受することができ、資金調達コスト引下げ効果は更に顕著となる。市場化されたLPRは市場の需給の変化を更に好く反映するようになり、金融政策の貸出金利への伝達効率は顕著に上昇する。

同時に、LPR改革は預金金利の市場化改革にも重要な役割を果たす。

  1. これは、報告自身が太字にしている。以下、ことわりのない太字は筆者。
  2. これは、報告自身が太字にしている。
  3. 「総体的な安定」から、従来の表現に変更された。
  4. これは、報告自身が太字にしている。
  5. 新たに盛り込まれた。
  6. 新たに盛り込まれた。
  7. 必要なところに資金を流すこと。
  8. 新たに盛り込まれた。
  9. 新たに盛り込まれた。
  10. 新たに盛り込まれた。習近平総書記が最近強調しているものである。
  11. 「精確に誘導」が新たに盛り込まれた。
  12. 前回の「名目GDP成長率に基本的に釣り合わせ、かつやや高めにする」という表現が改められた。
  13. 新たに盛り込まれた。
  14. 新たに盛り込まれた。
  15. 新たに盛り込まれた。
  16. 小型・零細企業の債務の元本償還・利払い猶予、小型・零細企業への優遇貸出。
  17. 新たに盛り込まれた。
  18. 新たに盛り込まれた。
  19. 「3ランク」は、金融機関システムの重要性の程度、機関の性質、サービスの位置づけ等に基づき、預金準備率を3ランクに設定するもの。「2優遇」は、インクルーシブファイナンスへの方向を定めた預金準備率政策の考課基準を満たした第1・第2ランクの銀行に預金準備率の優遇を与え、県域にサービスする銀行が新たな預金増の一定比率を現地貸出に用いる考課基準に達した場合に預金準備率の優遇を与えるもの。
  20. 新たに盛り込まれた。
  21. 新たに盛り込まれた。
  22. 新たに盛り込まれた。
  23. 具体的期限が定められた。
  24. 新たに盛り込まれた。
  25. 新たに盛り込まれた。
  26. 「大型」の限定がはずれた。
  27. 新たに盛り込まれた。
  28. 新たに盛り込まれた。
  29. これは、報告自身が太字にしている。