5月及び1-5月期の主要経済指標

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年6月30日


(1)物価
①消費者物価

5月の消費者物価は前年同月比2.4%上昇し、上昇率は4月より0.9ポイント減速した。都市は2.3%、農村は3.0%の上昇である。食品価格は10.6%上昇し(4月は14.8%)、非食品価格は0.4%上昇(4月は0.4%)している。衣類は0.4%下落、居住価格は0.5%下落した1。1-5月は4.1%の上昇である。

(参考)(2017年1.6%)→(2018年2.1%)→19年8月2.8%→9月3.0%→10月3.8%→11月4.5%→12月4.5%(2019年2.9%)→20年1月5.4%→2月5.2%→3月4.3%→4月3.3%→5月2.4%

前月比では、0.8%下落(4月は-0.9%)だった。食品価格は3.5%下落(4月は-3.0%)した。食品・タバコ・酒価格は4月より2.4%下落、物価への影響は約-0.77ポイント、うち生鮮野菜は12.5%下落(4月は-8.0%)し、物価への影響は約-0.33ポイント、卵価格は4.1%下落し、物価への影響は約-0.02ポイント、食糧は0.3%上昇し、物価への影響は約0.01ポイント、水産品価格は1.3%上昇し、物価への影響は約0.02ポイントであった。畜肉類価格は5.7%下落、物価への影響は約-0.41ポイント(豚肉価格は8.1%下落、物価への影響は約-0.37ポイント)であった。果物価格は0.8%下落し、物価への影響は約-0.01ポイントであった。非食品価格は0.0%(4月は-0.2%)であり、衣類は0.2%上昇(4月は-0.1%)、居住価格は0.2%下落(4月は-0.2%)であった。

食品・エネルギーを除いた消費者物価(コア消費者物価)は、5月が前年同月比1.1%の上昇(4月は1.1%)、前月比では0.0%(4月は0.0%)である2。1-5月では、前年同期比1.2%の上昇となった。

なお、国家統計局は、5月の前年同月比上昇率2.4%のうち食品・タバコ・酒価格は8.5%上昇し、物価への影響は約2.55ポイントとなり、このうち畜肉類価格は57.4%上昇、物価への影響は約2.55ポイント(豚肉価格は81.7%上昇、物価への影響は約1.98ポイント)である。このほか果物価格は19.3%下落し、物価への影響は約-0.43ポイント、生鮮野菜価格は8.5%下落、物価への影響は約-0.22ポイント、卵価格は12.3%下落、物価への影響は約-0.08ポイント、水産品価格は3.7%上昇、物価への影響は約0.07ポイント、食糧価格は1.5%上昇し、物価への影響は約0.03ポイントであった。

また5月の2.4%上昇のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約3.2ポイント、新たなインフレ要因は約-0.8ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、「CPIの前月比下落幅が4月より0.1ポイント縮小した背景として、食品価格の下落が主要な要因だとし、1)各地方が自身で生産する生鮮野菜が大量に出荷され、価格が引き続き下落した、2)豚肉の生産能力が一層回復し、豚肉供給が引き続き増加した。加えて気温が上昇し、消費が減退する時期に入った、3)果物と鶏卵の供給が充足した、4)休漁期に入り、水産品供給が減少した、5)新しい夏服が売り出された、6)原油価格の持続的下落の影響を受け、液化石油ガスが1.9%下落した。

また、前年同期比で4月より上昇幅が0.9ポイント縮小した背景として、1)豚肉価格の上昇幅が縮小した、2)牛肉・羊肉・鶏肉価格の上昇幅が4.4~19.4%の間であった、3)果物・鶏卵価格の下落幅が拡大した、4)教育・文化・娯楽、医療・保健価格が上昇した、5)交通・通信、衣類、居住価格が下落した」としている。

②工業生産者出荷価格

5月の工業生産者出荷価格は前年同月より3.7%下落した。前月比では4月より0.4%下落(4月は-1.3%)した。1-5月は前年同期比1.7%下落した。

(参考)(2017年6.3%)→(2018年3.5%)→19年8月-0.8%→9月-1.2%→10月-1.6%→11月-1.4%→12月-0.5%(2019年-0.3%)→20年1月0.1%→2月-0.4%→3月-1.5%→4月-3.1%→5月-3.7%

5月の工業生産者購入価格は、前年同月比5.0%下落(4月は-3.8%)した。前月比では4月より1.2%下落(4月は-2.3%)した。1-5月は前年同期比2.2%下落した。

また5月の3.7%下落のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約-0.5ポイント、新たなインフレ要因は約-3.2ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董莉娟高級統計師は、前月比の下落幅が4月より0.9ポイント縮小した背景として、国際原油価格の変動の影響を受け、石油関連業種製品価格の下落幅がある程度縮小したし、1)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業、化学原料・化学製品製造業の下落幅が縮小し、この3つでPPIを約0.24(4月は0.76)ポイント押し下げた、2)非鉄金属精錬・圧延加工業が下落から上昇に転じた、3)鉄金属精錬・圧延加工業が下落から横ばいに転じた、4)石炭採掘・洗浄業価格の下落幅が拡大した、としている。

また、前年同月比の下落幅が4月より0.6ポイント拡大した背景として、1)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業、化学原料・化学製品製造業、鉄金属精錬・圧延加工業、石炭採掘・洗浄業価格の下落幅が拡大した、2)非鉄金属精錬・圧延加工業の下落幅が縮小した、としている。

③住宅価格

5月の全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格は前月比11都市が低下(4月は11)し、同水準は2(4月は9)であった。上昇は57である(4月は50)。

前年同月比では、価格が下落したのは7都市(4月は7)であった。同水準は0(4月は0)、上昇は63(4月は63)である。

国家統計局都市司の孔鵬首席統計師は、「疫病防御と経済社会の発展を統一的に推進する政策が積極的成果を得て、生産生活秩序は引き続き回復し、住宅需要が一層解放された。70の大中都市の不動産市場価格は総体として安定しているが、価格はやや上昇している。

前月比では、70大中都市のうち、4の一線都市の新築分譲住宅価格は4月から0.7%上昇し、上昇幅は4月より0.5ポイント拡大した。うち北京は0.5%上昇、上海は0.8%上昇、広州は0.3%上昇、深圳は0.6%上昇であった。31の二線都市の新築価格は0.6%上昇し、上昇幅は4月より0.1ポイント拡大した。35の三線都市の新築価格は0.7%上昇し、上昇幅は4月より0.1ポイント拡大した。

前年同月比では、70大中都市のうち、一線都市の新築価格は2.9%上昇し、上昇幅は4月と同水準であった。二線都市の新築価格は5.4%上昇し、上昇幅は4月より0.2ポイント縮小し、連続13カ月縮小した。三線都市の新築価格は4.8%上昇し、上昇幅は4月より0.3ポイント縮小し、連続14カ月縮小した」と指摘している。

(2)工業

5月の工業生産は前年同月比実質4.4%増となった。前月比では、1.53%増となった3。主要製品別では、発電量4.3%増(4月は0.3%)、鋼材6.2%増(4月は3.6%)、セメント8.6%増(4月は3.8%)、自動車19.0%増(うち乗用車2.7%増、SUV車33.5%増、新エネルギー車-22.0%)となっている。4月の自動車5.1%増(うち乗用車-2.0%、SUV車12.4%増、新エネルギー車-17.2%)に比べ、自動車・SUV車が大きく伸び、乗用車がマイナスからプラスに転じた。地域別では、東部4.9%増、中部4.2%増、西部5.4%増、東北7.0%増である。分類別では、国有株支配企業2.1%増、株式制企業4.8%増、外資企業3.4%増、私営企業7.1%増であった。

(参考)(2017 年6.6%)→(2018年6.2%)→19年8月4.4%→9月5.8%→10月4.7%→11月6.2%→12月6.9%(2019年5.7%)→20年1-2月-13.5%→3月-1.1%→4月3.9%→5月4.4%

1-5月期の工業生産は前年同期比実質-2.8%となった。主要製品別では、発電量-3.1%、鋼材1.2%増、セメント-8.2%、自動車-23.6%(うち乗用車-29.7%、SUV車-18.7%増、新エネルギー車-41.0%)となっている。

なお、国家統計局によれば、5月27日までに、一定規模以上の工業の67.4%が、正常の生産水準の8割以上に達した。業種別では、新興製品・装置製造業・原材料業種の伸びは速いが、消費財業種(アパレル、家具、文教・工芸・美術、革靴)は5.0~11.4%下落している。

1-5月の一定規模以上の工業企業利潤総額は1兆8434.9億元、前年同期比-19.3%(1-4月-27.4%)であった。うち国有株支配企業の利潤総額は4404.2億元、同-39.3%、株式制企業は1兆3478.8億元、同-19.2%、外資企業は4659.2億元、同-18.4%、私営企業は5607.3億元、同-11.0%である。5月の一定規模以上の工業企業利潤総額は5823.4億元、前年同期比6.0%増(4月-4.3%)であった。

(参考)2019年1-8月-1.7%→1-9月-2.1%→1-10月-2.9%→1-11月-2.1%→2019年-3.3%→20年1-2月-38.3%→1-3月-36.7%→1-4月-27.4%→1-5月-19.3%

1-5月の一定規模以上の工業企業の本業営業収入100元当たりのコストは84.77元(1-4月84.91元、前年同期比0.58元増)である。5月末の資産負債率は56.9%(4月末56.8%、前年同期比0.1ポイント増)であった。

なお、国家統計局工業司の朱虹解高級統計師は、5月の利潤が4月のマイナスからプラスに転じた背景として、「①コスト上昇圧力が顕著に緩和した。5月の一定規模以上の工業企業の本業営業収入100元当たりのコストは84.29元で、前年同期0.21元増となったが、増加額は4月に比べ1.00元減少し、3・4月以来の、単位当たりコストの大幅上昇が企業経営にもたらした圧力を緩和した。②工業品価格の変動増加が企業に営利の余地を増やした。5月の工業生産者工場出荷価格は前年同期比3.7%下落、下落幅は4月より0.6ポイント拡大した。同時に、工業生産者購入価格は5.0%下落し、下落幅は4月より1.2ポイント拡大した。工業生産者購入価格の下落幅が工業生産者工場出荷価格の下落幅を顕著に上回ったことは、企業の営利の余地を増やすことに有利であった。③石油加工、電力、化学工業、鉄鋼等重点業種の利潤改善が顕著となった。④5月の投資収益が大幅に増えたことも、一定程度5月の利潤の顕著な改善をもたらした」としながらも、「疫病の影響下、市場の需要は依然としてかなり弱く、利潤上昇の持続性はなおしばらく観察を必要とする。①工業販売の伸びがある程度鈍化している。②利潤が好転した業種の数がある程度減少している。41の業種中21業種の利潤の伸びが4月より加速あるいは下落幅が減少したが、4月よりも12業種減った」としている。

(3)消費

5月の社会消費品小売総額は3兆1973億元、前年同月比-2.8%(実質-3.7%)である。なお、自動車を除く伸びは、-3.5%である。5月は前月比では、0.79%増である4。都市は-2.8%、農村は-3.2%である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は1兆1664億元、同1.3%増であり、うち穀類・食用油・食品2.5%増、アパレル・靴・帽子類-0.6%、建築・内装1.9%増、家具3.0%増、自動車3.5%増、家電・音響機器類4.3%増となっている。自動車の伸びは、4月の-0.0%からプラスに転じた。

(参考)(2017年10.2%)→(2018年9.0%)→19年8月7.5%→9月7.8%→10月7.2%→11月8.0%→12月8.0%(2019年8.0%)→20年1-2月-20.5%→3月-15.8%→4月-7.5%→5月-2.8%

1-5月期の社会消費品小売総額は13兆8730億元、前年同期比-13.5%である。なお、自動車を除く伸びは、-13.0%である。都市は-13.5%、農村は-13.0%である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は4兆9317億元、同-12.7%であり、うち穀類・食用油・食品-11.2%、アパレル・靴・帽子類-23.5%、建築・内装-14.3%、家具-17.5%、自動車-17.0%、家電・音響機器類-18.4%となっている。

1-5月期、レストランは-36.5%(5月は-18.9%)であった。全国インターネット商品・サービス小売額は4兆176億元で、前年比4.5%増となった。うち実物商品は3兆3739億元、同11.5%増(1-4月は8.6%増)で、社会消費品小売総額の24.3%を占めている。実物商品のうち、食品は37.0%増、日用品は14.9%増である。

なお、国家統計局によれば、中央・地方が打ち出した自動車消費安定・促進政策の牽引の下、個人の自動車購入・買換え需要が引き続き解放され、5月の3.5%の伸びは、2018年5月以来の高値であるとしている。自動車工業協会による5月の乗用車販売量も7%増となっている(4月は-2.6%)。また、不動産販売がある程度回復し、家電更新消費促進政策が力を発揮し、居住関係商品(家電・音響機器、家具、建築・内装材料)がマイナスからプラスに転じた。

(4)投資
①都市固定資産投資

1-5月期の都市固定資産投資は19兆9194億元で、前年同期比-6.3%であった。5月は前月比では5.87%増である5。地域別では、東部-4.0%、中部-15.1%、西部-0.9%、東北-2.5%となっている。内資企業は-6.5%で、外資企業は-0.2%であった。

製造業投資は、前年同期比-14.8%(1-4月は-18.8%)であった。

インフラ投資(電力・熱・天然ガス・水生産供給以外)は前年同期比-6.3%(1-4月は-11.8%)である。うち、鉄道輸送は-8.8%(1-4月は-16.1%)、道路輸送は-2.9%(1-4月は-9.4%)、水利-2.0%(1-4月は-6.0%)、公共施設-8.3%(1-4月は-13.6%)であった。

(参考)都市固定資産投資:(2017年7.2%)→(2018年5.9%)→19年1-8月5.5%→1-9月5.4%→1-10月5.2%→1-11月5.2%→2019年5.4%→20年1-2月-24.5%→1-3月-16.1%→1-4月-10.3%→1-5月-6.3%

インフラ投資: (2017年19.0%)→(2018年3.8%)→19年1-7月3.8%→1-8月4.2%→1-9月4.5%→1-10月4.2%→1-11月4.0%→2019年3.8%→20年1-2月-30.3%→1-3月-19.7%→1-4月-11.8%→1-5月-6.3%

なお、1-5月の新規着工プロジェクト計画総投資は、前年同期比7.9%増(1-4月は1.1%増)となった。

②不動産開発投資

1-5月期の不動産開発投資は4兆5920億元で前年同期比-0.3%である。うち住宅は3兆3765億元、0.0%である。オフィスビルは2080億元、同-1.2%である。地域別では、東部-0.1%、中部-6.8%、西部5.6%増、東北0.5%増となっている。

(参考)(2017年7.0%)→(2018年9.5%)→19年1-7月10.6%→1-8月10.5%→1-9月10.5%→1-10月10.3%→1-11月10.2%→2019年9.9%→20年1-2月-16.3%→1-3月-7.7%→1-4月-3.3%→1-5月-0.3%

1-5月期の分譲建物販売面積は4億8703万㎡で、前年同期比-12.3%(1-4月は-19.3%)であった。うち、分譲住宅販売面積は-11.8%(1-4月は-18.7%)、オフィスビルは-26.7%(1-4月は-32.0%)である。地域別では、東部-9.9%、中部-17.3%、西部-9.3%、東北-22.4%である。

(参考)分譲建物販売面積:(2017年7.7%)→(2018年1.3%)→19年1-7月-1.3%→1-8月-0.6%→1-9月-0.1%→1-10月0.1%→1-11月0.2%→2019年-0.1%→20年1-2月-39.9%→1-3月-26.3%→1-4月-19.3%→1-5月-12.3%

1-5月期の分譲建物販売額は4兆6269億元、前年同期比-10.6%(1-4月は-18.6%)であった。うち、分譲住宅販売額は-8.4%(1-4月は-16.5%)、オフィスビルは-35.3%(1-4月は-37.5%)である。地域別では、東部-7.7%、中部-18.5%、西部-9.0%、東北-19.5%である。

(参考)分譲建物販売額:(2017年13.7%)→(2018年12.2%)→19年1-7月6.2%→1-8月6.7%→1-9月7.1%→1-10月7.3%→1-11月7.3%→2019年6.5%→20年1-2月-35.9%→1-3月-24.7%→1-4月-18.6%→1-5月-10.6%

5月末の分譲建物在庫面積は5億1771万㎡、4月末比483万㎡減、前年同期比1.7%増で、うち分譲住宅在庫面積は436万㎡減、同1.9%増であった。

1-5月のディベロッパー資金源は6兆2654億元であり、前年同期比-6.1%(1-4月は-10.4%)であった。うち、国内貸出が1兆703億元、-0.5%、外資が34億元、15.3%増、自己資金が2兆106億元、-0.8%、手付金・前受金1兆9479億元、-13.0%、個人住宅ローン1兆154億元、-0.9%である。

③民間固定資産投資

1-5月期の全国民間固定資産投資は11兆2232億元であり、前年同期比-9.6%である6

(参考)(2018年8.7%)→(2018年8.7%)→19年1-7月5.4%→1-8月4.9%→1-9月4.7%→1-10月4.4%→1-11月4.5%→2019年4.7%→20年1-2月-26.4%→1-3月-18.8%→1-4月-13.3%→1-5月-9.6%

(5)対外経済
①輸出入

5月の輸出は2068.1億ドル、前年同月比-3.3%、輸入は1438.9億ドル、同-16.7%増となった。貿易黒字は629.3億ドルであった7

(参考)輸出:(2017年7.9%)→(2018年9.9%)→19年8月-1.0%→9月-3.2%→10月-0.8%→11月-1.3%→12月7.6%(2019年0.5%)→20年1-2月-17.2%→3月-6.6%→4月3.5%→5月-3.3%

輸入:(2017年 15.9%)→(2018年 15.8%)→19年8月-5.5%→9月-8.2%→10月-6.2%→11月0.8%→12月16.3%(2019年-2.8%)→20年1-2月-4.0%→3月-0.9%→4月-14.2%→5月-16.7%

1-5月の輸出は8849.9億ドル、前年同月比-7.7%、輸入は7636.3億ドル、同-8.2%増となった。貿易黒字は1213.6億ドルであった。

1-5月の輸出入総額が1兆6486.2億ドル、前年比-8.0%であったのに対し、対EU-7.3%、対米-12.7%8(1-4月は-15.2%)、対日-3.4%9(1-4月は-4.9%)、対アセアン0.9%増である。

1-5月輸出の労働集約型製品のうち、アパレル類前年比-22.8%、紡績21.3%増、靴-30.6%、家具-16.8%、プラスチック製品-1.2%、鞄-29.9%、玩具-14.5%増である。電器・機械は同-7.1%、ハイテク製品は-3.3%である。

②外資利用

1-5月の外資利用実行額は3551.8億元(ドル換算512.1億ドル)、前年同期比-3.8%(ドル換算-6.2%)であった10。5月は686.3億元(ドル換算98.7億ドル)、同7.5%増(ドル換算4.2%増)である。

(参考)(2017年7.9%)→(2018年0.9%)→19年1-8月6.9%→1-9月6.5%→1-10月6.6%→1-11月6.0%→2019年5.8%→20年1月4%→1-2月-8.6%11→1-3月-10.8%→1-4月-6.1%→1-5月-3.8%

1-5月のハイテク産業の外資利用は前年同期比2%増であった。

1-5月、主要経済体・地域では、「一帯一路」沿線国家が前年同期比6%増、アセアンが10.1%増であった。

③外貨準備

5月末、外貨準備は3兆1016億ドルであった。4月末に比べ102億ドルの増加(4月は308億ドル増)で、2カ月連続増加した。人民銀行は、主要各国の資産価格が上昇したことなど、総合的な要因が働いたためとしている。

④米国債保有

4月末の米国債保有高は、前月比88億ドル減の1兆728億ドルで、2位。11カ月連続1位の日本は、57億ドル減の1兆2660億ドルである。

(6)金融

5月末のM2の残高は210.02兆元、伸びは前年同期比11.1%増と、4月末と同水準、前年同期より2.6ポイント加速した。M1は6.8%増で、4月末より1.3ポイント加速、前年同期より3.4ポイント加速した。5月の現金純回収は1778億元であった。

人民元貸出残高は163.39兆元で前年同期比13.2%増であり、伸び率は4月末より0.1ポイント加速し、前年同期より0.2ポイント減速した。5月の人民元貸出増は1.48兆元(4月は1.7兆元)で、前年同期より伸びが2984億元増加している。うち住宅ローンは7043億元増、企業等への中長期貸出は5305億元増であった。

人民元預金残高は204.57兆元で、前年同期比10.4%増であった。5月の人民元預金は2.31兆元増(4月は1.27兆元増)で、前年同期より伸びが1.09兆元増加している。うち個人預金は4819億元増、企業預金は8054億元増であった。

(参考)M2 :2017年12月8.1%→18年12月8.1%→19年8月8.2%→9月8.4%→10月8.4%→11月8.2%→12月8.7%→20年1月8.4%→2月8.8%→3月10.1%→4月11.1%→5月11.1%

5月末の社会資金調達規模残高は268.39兆元であり、前年同期比12.5%増となった。うち、実体経済への人民元貸出残高12は162兆元、13.3%増、委託貸付残高は11.27兆元、-5.8%、信託貸付残高は7.4兆元、-6.1%、企業債券残高は26.39兆元、20.4%増、政府債券残高40.78兆元、17.2%増13、株式残高は7.55兆元、6.1%増である。

構成比では、実体経済への人民元貸出残高は60.4%(前年同期比0.4ポイント増)、委託貸付残高は4.2%(同-0.8ポイント)、信託貸付残高は2.8%(同-0.5ポイント)、企業債券残高は9.8%(同0.6ポイント増)、政府債券残高は15.2%(同0.6ポイント増)、株式残高は2.8%(同-0.2ポイント)である。

5月の社会資金調達規模のフローは3.19兆元で、前年同期より1.48兆元増加した。うち、実体経済への人民元貸出は1.55兆元増(伸びが前年同期比3647億元増)、委託貸付は273億元減(減少が358億元減)、信託貸付は337億元減(減少が285億元増)、企業債券純資金調達2971億元(1938億元増)、政府債券純資金調達1.14兆億元(7505億元増)、株式による資金調達は353億元(94億元増)である。

(7)財政

1-5月の全国財政収入は7兆7672億元で、前年同期比-13.6%となった14。中央財政収入は3兆5998億元、同-17%、地方レベルの収入は4兆1674億元、同-10.4%である。税収は6兆6810億元、同-14.9%、税外収入は1兆862億元、同-4.9%であった。

(参考)財政収入:(2017年7.4%)→(2018年6.2%)→19年1-8月3.2%→1-9月3.3%→1-10月3.8%→1-11月3.8%→2019年3.8%→20年1-2月-9.9%→1-3月-14.3%→1-4月-14.5%→1-5月-13.6%

1-5月の全国財政支出は9兆281億元、前年同期比-2.9%であった15。中央レベルの支出は1兆3171億元、同-2%、地方財政支出は7兆7110億元、同-3.1%である。

なお、1-5月の地方政府基金収入は2兆2442億元、前年同期比-3.1%であり、うち国有地土地使用権譲渡収入は2兆1091億元、同0.9%増(1-4月は-4.5%)であった。

5月末の地方政府債務残高は24兆2075億元。うち、一般債務は12兆6115億元、特別債務は11兆5960億元である。なお、5月に発行した債券は1兆3025億元(うち一般債券2715億元、特別債券1兆310億元)、再資金調達債券2627億元である。1-5月期に発行した債券は3兆1997億元(うち一般債券9448億元、特別債券2兆2549億元)、再資金調達債券4973億元である16

(8)雇用

5月の全国都市調査失業率は5.9%、うち、25-59歳の調査失業率は5.4%で、4月より0.1ポイント下降した。31大都市調査失業率は5.9%となった。

(参考)全国都市調査失業率:2018年12月4.9%→19年8月5.2%→9月5.2%→10月5.1%→11月5.1%→12月5.2%→20年2月6.2%→3月5.9%→4月6.0%→5月5.9%

31大都市調査失業率:2018年12月4.7%→19年8月5.2%→9月5.2%→10月5.1%→11月5.1%→12月5.2%→20年2月5.7%→3月5.7%→4月5.8%→5月5.9%

1-5月の新規就業者増は460万人17、前年同期より伸びが137万人少なかった。

なお、国家統計局は、調査失業率が4月よりやや低下した原因として、1)経済運営が徐々に改善している、2)雇用優先政策の成果が顕在化している、3)従業員の職場復帰情況が引き続き好転しているとし、5月末・6月初めに従業員職場復帰率が80%を超えた一定規模以上の企業のウエイトは、前回調査より1.2ポイント高くなり、うち工業は0.6ポイント、サービス業は1.7ポイント高くなったとする。

他方、雇用圧力はなお軽視できないとし、次の点を指摘している。

1)雇用総量圧力がかなり大きい

疫病の影響を受けて、企業の生産経営の困難が際立ち、労働者募集の需要が低下している。いくらかの工商事業者と小型・零細企業の疫病後の回復がかなり遅く、雇用吸収に一定の影響を与えている。1-5月の新規就業者増は、前年同期より伸びが137万人少なかった。5月の全国都市調査失業率は、前年同月を0.9ポイント上回っている。

2)雇用が不十分という現象がかなり顕著になっている

5月、1.2%の就業者が職場でまだ就業していない状態にあり、往年の正常な水準を上回っている。企業従業員の週平均労働時間は、前年同月に比べ0.2時間減っている。

3)大学生等の重点層の雇用圧力がなお大きい

5月、全国20-24歳の大学・専門学校以上の人員(主として新卒の大学生)の調査失業率は4月より1.7ポイント、前年同月より3.3ポイント上昇している。今年の大学卒業生規模は874万人に達し、歴史最高であり、大学卒業生が集中的に労働市場に参入するに伴い、大学生の失業率は引き続き上昇する可能性がある。

(9)社会電力使用量

5月は前年同期比4.6%増である。うち、第1次産業は15.5%増、第2次産業は2.9%増、第3次産業は3.6%増、都市・農村住民生活用は15%増であった。

1-5月は前年同期比-2.8%である。うち、第1次産業は7.1%増、第2次産業は-4%、第3次産業は-6.3%、都市・農村住民生活用は5.2%増であった。

(参考)(2017年6.6%)→(2018年8.5%)→19年8月3.6%→9月4.4%→10月5.0%→11月4.7%→(2019年4.5%)→20年2月-0.1%(1-2月-7.8%)→3月-4.2%→4月0.7%→5月4.6%

(10)輸送

1-5月の鉄道貨物輸送量は17.25億トン、前年同期比0.8%増であった。5月の鉄道貨物輸送量は3.67億トン、前年同期比1.3%増であった18

1-5月の道路貨物輸送量は112.37億トン、同-12%であった。5月の道路貨物輸送量は30.43億トン、同0.4%増であった19

1-5月の全社会貨物輸送量は157.32億トン、同-10.4%であった。5月の全社会貨物輸送量は40.7億トン、同0.4%増であった。

(参考)鉄道貨物:(2017年10.7%)→(2018年9.1%)→19年1-8月6.1%→1-9月6.1%→1-10月6.4%→1-11月6.7%→2019年7.2%→20年1-2月1.4%→1-3月1.8%→1-4月0.7%→1-5月0.8%

道路貨物:(2017年10.1%)→(2018年7.4%)→19年1-8月5.8%→1-9月5.7%→1-10月5.2%→1-11月5.3%→2019年5.1%→20年1-2月-24.8%→1-3月-19.5%→1-4月-15.9%→1-5月-12%

全社会貨物:(2017年9.3%)→(2018年7.1%)→19年1-8月6%→1-9月5.9%→1-10月5.5%→1-11月5.5%→2019年5.5%→20年1-2月-19.8%→1-3月-16.1%→1-4月-13.7%→1-5月-10.4%

  1. 国家統計局によれば、2011年のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
  2. コア消費者物価は2013年から公表が開始された。
  3. 2019年8月は0.40%増、9月は0.68%増、10月は0.39%増、11月は0.76%増、12月は0.61%増、20年1月は-2.82%、2月は-23.24%、3月は30.04%増、4月は2.20%増である。
  4. 2019年8月は0.66%増、9月は0.78%増、10月は0.56%増、11月は0.84%増、12月は0.71%増、20年1月は-10.13%、2月は0.42%増、3月は0.66%増、4月は0.77%増である。
  5. 2019年8月は0.42%増、9月は0.43%増、10月は0.41%増、11月は0.44%増、12月は0.42%増、20年1月は-4.07%、2月は-20.55%、3月は6.13%増、4月は6.20%増である。
  6. この統計は2012年から公表が開始された。
  7. 前月比では、輸出3.3%増、輸入-7.1%である。季節調整後の5月は、前年同月比輸出-0.8%、輸入-8.9%、前月比輸出6.4%増、輸入5.1%増である。
  8. 輸出2019年8月-16.0%→9月-21.9%→10月-16.2%→11月-23.0%→12月-14.6%→20年12月-27.7%→3月-20.8%→4月2.2%増→5月-1.2%、 輸入2019年8月-22.3%→10月-15.7%→10月-14.3%→12月2.7%→12月7.8%→20年12月2.5%→3月-12.6%→4月-11.1%→5月-13.5%である。
  9. 1-5月の輸出は565.5億ドル、前年同期比-1.6%、輸入は644.2億ドル、-5.0%、5月の輸出は132.6億ドル、同11.2%増(4月は33.0%増)、輸入は124.7億ドル、同-5.4%(4月は-5.1%)である。
  10. 伸びは人民元ベ-スである。
  11. ドルベ-スでは、(2017年4%)→(2018年3%)→19年1-8月3.2%→1-9月2.9%→1-10月2.9%→1-11月2.6%→2019年2.4%→20年1月2.2%→1-2月-10.4%→1-3月-12.8%→1-4月-8.4%→1-5月-6.2%である。
  12. 一定期間内に実体経済(非金融企業と世帯)が金融システムから得た人民元貸出であり、銀行からノンバンクへの資金移し替えは含まない。
  13. 2019年12月から、国債と地方政府一般債券を統計に組み入れ、これまでの地方政府特別債券と併合し「政府債券」とした。
  14. 主な収入の内訳は、国内増値税2兆3662億元、前年同期比-22%、国内消費税6581億元、-11.3%、企業所得税1兆8313億元、-13%、個人所得税4810億元、0.7%増、輸入貨物増値税・消費税5663億元、-20.5%、関税970億元、-17.5%である。輸出に係る増値税・消費税の還付は6328億元であり、-18.3%である。都市維持建設税は1870億元、-17.4%、車両購入税は1260億元、-18%、印紙税は1332億元、9.9%増(うち証券取引印紙税は817億元、18.4%増)、資源税は720億元、-9.6%、環境保護税は99億元、-10.9%である。不動産関連では、契約税2331億元、前年同期比-7.1%、土地増値税2490億元、-7.2%、不動産税1224億元、-8.3%、耕地占用税499億元、-4%、都市土地使用税873億元、-9.3%であった。
  15. 主な支出は、教育1兆2857億元、前年同期比-4.6%、科学技術2718億元、-12.7%、文化・観光・スポ-ツ・メディア1148億元、-7.5%、社会保障・雇用1兆4651億元、5.8%増、衛生・健康7800億元、7.5%増、省エネ・環境保護1998億元、-10%、都市・農村コミュニティ7355億元、-19.7%、農林・水産7369億元、1.7%増、交通・運輸4823億元、-16.6%、債務利払い3405億元、6.1%増である。
  16. 2019年1-5月期に新たに増発した債券は1兆4596億元(うち一般債券5998億元、特別債券8598億元)。このほか借換・再融資債券4780億元である。
  17. 2019年は1352万人である。
  18. 鉄道のデータは速報値である。
  19. 道路のデータは湖北省を除いている。前年同期比も同様。