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研究者のご紹介

新型肺炎とマクロ政策(32)

中国経済レポート

 

新領域研究センター 田中 修

2020年6月18日


はじめに

本稿では、6月17日の中国・アフリカ疫病対策団結サミットにおける習近平国家主席の講話、国務院常務会議の概要を紹介する。

6月17日 中国・アフリカ疫病対策団結サミット

習近平国家主席の講話のうち、経済関連は以下のとおりである。

現在、疫病はなお世界に蔓延しており、中国とアフリカはいずれも疫病対策・経済の安定・民生の保障の非常に困難な任務に直面している。我々は、人民至上・生命至上を堅持し、資源を統一的に企画し、団結・協力して、最大の努力を尽くして人民の生命の安全と身体の健康を保護し、最大限度疫病のマイナス面の影響を引き下げなければならない。

(1)我々は断固として手を携え、疫病対策に取り組まなければならない(省略)
(2)我々は断固として中国・アフリカ協力を推進しなければならない

疫病のもたらした衝撃を克服するため、我々は「一帯一路」共同建設の協力を強化し、中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットの成果を早急に実施し、協力の重点を、健康・衛生、業務・生産の再開、民生改善の分野に傾斜させなければならない。

中国は、中国・アフリカ協力フォーラムの枠組みの下で、関係アフリカ諸国の2020年末に期限が到来する無利子貸出の対中債務を免除する。

中国は国際社会と一緒に、疫病が特別重く、プレッシャーが特別大きいアフリカ諸国への、一層の債務猶予期限延長を含む支援を強化し、当面の困難の克服を援助する。

中国は、中国に関係する金融機関がG20債務猶予イニシアティブを参照して、市場ルールに基づき、アフリカ諸国と商業ベースのソブリン・ローンにつき友好的に協議を進めることを奨励する。

中国はG20構成国と一緒に、G20債務返済期限猶予イニシアティブを実施し、かつ当面債務返済期限猶予イニシアティブの基礎の上に、G20がアフリカ諸国を含む関係国家に対し債務返済猶予期限を一層延長するよう呼びかける。

中国は、国際社会とりわけ先進国とマルチの金融機関が、アフリカの債務猶予・軽減問題において更に有力な行動を採用することを希望する。

中国は、アフリカの希望を尊重する基礎の上に、国連・WHO及びその他パートナーと疫病対策の協力を展開する。

アフリカが持続可能な発展を推進することは、遠い道のりである。

中国は、アフリカ大陸が自由貿易地域を建設し、アフリカが相互接続(コネクティビティー)を強化し、産業チェーン・サプライチェーンの建設を保障することを支援し、アフリカと一緒に、共同でデジタル経済・スマートシティ・クリーンエネルギー・5G等の新業態の協力を展開し、アフリカの発展・振興を促進したいと願っている。

(3)我々は断固マルチ主義を実践しなければならない

団結・協力は、疫病対策の最有力な武器である。

中国は、アフリカと一緒に、国連を核心とするグローバルガバナンスシステムを擁護し、WHOが世界の疫病対策のために更に大きな貢献を行うことを願っている。

我々は、疫病の政治化、ウイルスへのレッテル貼りに反対し、人種差別・イデオロギー上の偏見に反対し、国際的な公平・正義を断固守り抜く。

(4)我々は、中国・アフリカの友好を断固推進しなければならない

現在、世界は百年未曾有の大変局を経験している。

新たなチャンス・試練に対して、中国・アフリカは、これまでのいかなる時期と比べても、協力を更に強化する必要がある。

私は、各位と密接な連携を維持し、友好・相互信頼を打ち固め、彼我の核心利益問題において相互に支援し、中国・アフリカと発展途上国の根本利益を共同で擁護し、中国・アフリカの全面・戦略協力パートナシップのハイレベルな発展を推進したいと願っている。

6月17日 国務院常務会議
(1)金融機関の企業への利益移譲

党中央・国務院の手配に基づき、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策をしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務を実施するには、積極的財政政策とりわけ、困難を緩和し市場主体を奮い立たせる規模の大きい政策の役割をしっかり発揮させると同時に、実体経済への金融政策の支援を強化し、企業とりわけ中小・零細企業の難関克服を支援し、金融機関と企業の共生・共栄を推進しなければならない。

今年1-5月、預金準備率引下げ、再貸出・再割引、市場金利の低下誘導等の措置を通じて、人民元貸出は前年同期比で伸びが大きくなっており、企業の総合資金調達コストは低下している。

今後は、「政府活動報告」の要求に基づき、

①合理的に利益を移譲するという要をしっかり把握して、市場主体を保障し、経済の基盤をしっかり安定させる。

貸出金利と債券金利の一層の低下誘導・優遇金利での一層の貸出、中小・零細企業向け貸出の元本償還・利払い猶予の実施、小型・零細企業向け無担保貸出支援、銀行の手数料徴収削減等の一連の政策を通じて、金融システムが年間で各種企業に対し、1.5兆元の利益の合理的な移譲を推進する。

②預金準備率引下げ・再貸出等の手段を総合的に運用して、市場の流動性の合理的充足を維持する

資金調達難の解決を強化し、企業の資金プレッシャーを緩和し、年間の人民元貸出の新規増加と社会資金調達の新規増加規模がいずれも前年を上回るようにする。

③市場ルールを遵守し、資金が直接企業に達する政策手段と関連メカニズムを整備する

維持と抑制を区分する要求に基づき、新たに増える融資資金は主として製造業・一般サービス業とりわけ中小・零細企業に流し、緊急の困難緩和・「雪中に炭を送る」援助効果を更に好く発揮し、逸脱・空転を防ぎ、金融リスクを防止する。

④中小・零細企業への金融サービスの能力・動力を増強する

中小銀行の資本金を合理的に補充する。

銀行が内部考課・インセンティブメカニズムを整備するよう督促し、考課におけるインクルーシブファイナンスのウエイトを高める。

不良債権の償却処分を強化する。貸出に不合理な条件を付加することを厳禁する。

市場主体の実際の資金調達コストを確実に低下させ、借入の難度を確実に引き下げる。

(2)費用引下げ

今年に入り、各関係部門・単位は、全国有料道路の通行料免除、工商業企業の電力価格引下げ、電気通信料金の引下げ、政府基金関連の費用徴収の減免等の一連の費用引下げ措置を打ち出し、企業の困難緩和のために積極的役割を発揮した。

今後、雇用・民生・市場主体の保障をしっかり押さえなければならない。

①既に決めた費用引下げ措置は、有言実行・完全実施しなければならない。

工商業の電力価格の5%引下げ、航空会社・民間航空発展基金と輸出入貨物港湾建設料の免除、船舶油汚染損害賠償基金の徴収半減政策の年末までの延長、ブロードバンド・専用回線使用料の15%引下げを通じて、上半期の費用引下げ措置とつなげて、年間で企業の負担を計3100億元余り減らす。

②ルールに適合しない費用徴収を断固禁止する。

様々な名目での費用徴収、ルールに反した税取立て・費用徴収、徴収の明確化・簡素化を口実にした市場主体への不合理な負担増を厳禁する。

既に廃止・徴収停止・徴収免除・徴収基準引下げを行った基金項目については、断固として企業に恩恵を到達させなければならない。

③「行政の簡素化・権限の委譲、管理と緩和の結合、サービスの最適化」改革を深化させ、市場化・法治化・国際化されたビジネス環境を作り上げる。

輸出入段階、企業への融資、公共事業、物流、行政審査・認可関連仲介サービス等の重点分野での手数料徴収特別対策を展開する基礎の上に、制度・メカニズムを整備し、制度上からみだりに費用を徴収する土壌を除去する。