新型肺炎とマクロ政策(22)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年4月22日


はじめに

本稿では、国家発展・改革委員会の記者会見、4月21日の国務院常務会議の概要を中心に紹介する。

4月20日 人民銀行が貸出プライムレート引下げ

1年物を0.2ポイント引き下げ、3.85%に、5年物を0.1ポイント引き下げ4.65%とした。今年に入って、2回目、2カ月ぶりの引下げである。

中国証券報2020年4月21日は、これには3つのシグナルがあるとし、①既に利下げのコースに進入し、将来貸出プライムレートはなお引き下げの余地がある、②多くの措置を併用して実体経済の資金調達コスト引下げ支援を強化する、③1年物に比べ5年物の下げ幅を少なくしたのは、監督管理層が「住宅は投機のためのものではない」という基調を緩めないことを意味する、としている。

4月20日 国家発展・改革委員会記者会見
(1)1-3月期GDP成長率-6.8%について

今年1-3月期は極めて尋常ではなく、新型肺炎の疫病は第2次世界大戦以来最も深刻なグローバル危機であり、各国の経済社会の正常運営に重大な影響をもたらし、わが国の発展にも未曾有の衝撃をもたらしている。今年1-3月期のGDPは前年同期比-6.8%となり、主要マクロ経済指標に顕著な低下が出現した。マクロ経済データは実際のところ、ミクロ主体の冷暖と市場環境の変化を反映している。最近数日、各方面は1-3月期のマクロ経済情勢について、異なる角度から解読している。ここで、5点見方を述べたい。

①1-3月期のわが国経済のマイナス成長は、歴史的に比較できないものである。

1-3月期の経済情勢を分析するには、百年遭遇したことのない疫病の衝撃の大背景の下、綜合的に勘案しなければならない。

新型肺炎疫病が突如やってきて、正常な経済活動を深刻に抑制し、世界の多くの国の経済には停止・半停止の状態が出現し、国際経済・貿易の往来はここしばらく停頓している。疫病期間の経済運営は、正常な生産生活秩序下の経済運営とは比べられない。

このため、今年1-3月期の経済下振れは、決して中国経済の発展のファンダメンタルズを正常に反映したものではないし、突発した深刻な事件がもたらした結果である。

②中国経済は疫病がもたらした空前の試練を経験している。

今回の疫病は、新中国成立以来伝染の速度が最も速く、感染の範囲が最も広く、防御の難度が最大な初めての重大突発公共衛生事件である。疫病の衝撃に対し、我々は迅速果断に非伝統的な防御措置を採用し、比較的短時間に本土の疫病伝染を遮断し、14億人の基本生活を有力に保障し、社会秩序の安全・安定を維持した。

疫病防御のプロセスにおいて、我々が一定の代価を支払うことは避けがたかったが、生命はプライスレスであり、人民大衆の生命の安全と身体の健康と比べれば、経済は短期的にこの代価を負担すべきであり、支払うに値するものでもある。

③現在、経済運営の正常秩序は順を追って回復している。

現在各地方は常態化した疫病防御をしっかり行う前提の下、秩序立った業務・生産再開、商店・マーケットの再開プロセスにある。3月以降の情況を見ると、各経済指標は徐々に好転している。

生産方面では、電力使用量・貨物輸送量等の実物量指標は顕著に回復しており、3月の工業の下落幅は1-2月に比べ12.4ポイント大幅に縮小し、サービス業の生産指数の下落幅は3.9ポイント縮小し、4月上旬の電力使用量は前年同期比1.5%増となっている。

需要方面では、内需が不断に回復しており、1-3月の投資の下落幅は1-2月より8.4ポイント縮小し、消費は1.5ポイント縮小している。

予想方面では、3月の製造業購買担当者指数(PMI)は16.3ポイント上昇し、非製造業ビジネス活動指数は22.7ポイント上昇し、50%以上に戻った。IMFも、中国経済に出現した回復傾向は人々を鼓舞するものだと指摘している。

④強大な国内市場が底固め・支えの役割を有力に発揮している。

わが国は14億人の大市場を有し、完備した産業システムと豊富な人的資源を有し、市場の深まりと挽回の余地は巨大である。今回の疫病対応において、少なからぬ企業は防御需要に対応し、技術改造・生産能力拡大と生産転換・生産拡大を迅速に展開し、大衆の基本需要である工業製品・農産品の生産・販売はプラスの成長を維持し、医療救済・衛生防疫等の業種が急速に発展し、オンライン講義・オンライン事務処理・遠隔医療等の新業態の成長が急速であり、情報伝達・ソフトウエア・情報技術サービス業の付加価値は前年同期比13.2%増と大幅に伸びた。

いくらかの重大な外資プロジェクト建設は急速に推進されており、国際知名企業も地域本部を中国に置く等の交渉プロセスを加速している。これらの情勢に逆行した新たな成長スポット・成長の極は、いずれも中国経済の巨大な発展の潜在力を示している。

⑤マクロヘッジ政策はなお大きな余地があり、引き続き力を発揮する。

疫病の衝撃に対応するため、前段階では企業支援・雇用安定・内需拡大等の方面で、各地方・各部門は次々に一連の政策措置を打ち出し、現在これらの政策は徐々に実施されている。

国際疫病の「第二波」等の影響を受け、国内の需給循環がなお完全に円滑になっておらず、一部の企業とりわけ中小・零細企業の生産経営がなおかなり大きな困難に直面しており、一部個人工商事業者の業務停止問題がなお比較的際立っていることは、我々も注意している。各種市場主体が遭遇している困難・試練について、我々もわが事のように感じている。

今後、我々は党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、関係部門と共に、財政・金融、投資・消費、雇用・民生等の方面で、より力強い、より的確な政策措置を早急に打ち出し、企業の難関克服支援に力を入れ、生存・発展能力を高め、経済運営を確実に安定させる。

(2)今後の政策措置

前段階では、各地方・各部門は党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、企業支援・雇用安定・内需拡大等の方面で、続々と一連の政策措置を打ち出し、基本を維持し、大局を安定させるために、積極的作用を発揮した。

現在、国際疫病の「大流行」が世界経済にもたらした巨大な衝撃、わが国経済にもたらした巨大な試練に対して、党中央・国務院は既に検討のうえ、疫病防御の常態化の前提の下、「雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想」を安定させる政策を強化し、庶民の雇用を維持し、基本民生を維持し、市場主体を維持し、食糧・エネルギー安全を維持し、産業チェーン・サプライチェーンの安定を維持し、末端の運営を維持しなければならないと決定し、かつ更に大きなマクロ政策の程度をもって疫病の影響をヘッジし、改革開放を断固深化させ、脱貧困堅塁攻略戦決戦の目標・任務達成を確保し、小康社会を全面的に実現しなければならないことを明確にした。

今後我々は、関係部門と共に、早急に決められた手順に従い、包括的マクロ政策を打ち出して実施し、経済の平穏な運営維持に努力する。重点は、以下の方面である。

①業務・生産再開

常態化した疫病防御にしっかり取り組む基礎の上に、経済社会の生産生活秩序の全面回復を早急に推進し、経済の循環を円滑化する。これは、経済運営を安定させる重要な前提である。

現在業務・生産再開が直面している難点・隘路に対して、調整・整備後の「企業・事業単位業務・生産再開、疫病防御措置ガイドライン」を早急に実施し、各地の好い経験・方法を総括・普及させ、時宜に合わない臨時規制措置と不合理な各規定を早急に整理・廃止しなければならない。

大プロジェクト・大企業の牽引作用を確実に発揮させ、数が多く広大な小型・零細企業と個人工商事業者の商店・マーケット再開支援に力を入れ、産業チェーンの川上・川下、大中小企業の協同による業務・生産再開、本格生産を牽引しなければならない。

②マクロ政策のヘッジ

重点は、更に積極的に成果を出す財政政策、更に柔軟・適度な金融政策によって疫病の影響をヘッジし、短期の衝撃の趨勢的な変化への転化を防止することにある。

主要なものは、財政政策は、財政赤字の対GDP比率を引き上げ、疫病対策特別国債を発行し、地方政府特別債券の規模を大幅に増やし、末端の運営に対する支援を強化し、脆弱部分を補強する重大プロジェクトへの資金支援を強化し、疫病対策の安定への支援を強化することである。

金融政策は、預金準備率引下げ・利下げ・再貸出等の多様な方式を通じて、流動性の合理的充足を維持し、貸出市場金利の低下を誘導し、実体経済とりわけ中小・零細企業の支援に資金を用いることである。

③内需拡大

外需に阻まれる情況下、内需拡大戦略を断固実施し、経済の基盤をしっかり安定させるために支えを提供しなければならない。

わが国には14億人の大市場があり、巨大な需要の潜在力を内包している。消費推進方面では、重点は、自動車・家電等の庶民の伝統的大口消費を積極的に安定させ、公共消費を適切に増やす。同時に、個人消費の高度化の大きな趨勢と疫病期間に湧き出てきた新たな需要に順応して、グリーン消費・情報消費・デジタル消費・スマート消費・ヘルスケア消費等の新興の消費成長スポットを大いに育成して、オンライン消費の勢いに乗った成長を推進し、オフライン消費の早急な回復を促進することである。

有効な投資の拡大方面では、重点は、脆弱分野とりわけ疫病防御で暴露された不足・脆弱項目に焦点を絞り、公共衛生防御と応急医療救済能力の建設を加速し、都市の老朽化した住宅団地の改造を実施し、県都を重要な媒介役とした新しいタイプの都市化建設を大いに推進し、環境衛生施設の能力のレベルアップ・拡大、都市公共施設のランク・グレードのアップ、公共サービス施設の基準引上げ・面積拡大、産業関連施設の質・効率向上を推進し、伝統的インフラと新しいタイプのインフラへの投資を強化し、伝統産業の改造・グレードアップを促進し、戦略的新興産業への投資を拡大することにある。

④企業支援

企業とりわけ中小・零細企業は、経済活力の源泉・雇用の主力軍である。現在、疫病の経済運営への衝撃は、企業に対する影響に集中的に体現されている。

我々は企業の生産経営が直面する際立った困難に対し、ビジネス環境の最適化により牽引し、企業の発展能力の向上を目標とし、既に打ち出した各企業支援政策を早急に実施する。同時に、関連支援措置を更に検討して打ち出し、減税・費用引下げを推進し、企業の資金調達コストと建物賃料を引き下げ、初めて借り入れる中小・零細企業の比率と無担保貸出のウエイトを高め、起業債務保証貸出への利息補助支援を強化し、あらゆる手を尽くして企業とりわけ中小・零細企業の経営安定を支援する。

対外貿易・外資企業の正常な生産経営秩序の回復を全力で促進し、国際物流の円滑化を保障し、企業の受注・市場・シェア維持を支援し、輸出企業が国内市場を積極的に開拓することを大いに支援・奨励し、難関克服を援助する。

同時に、引き続き外資のビジネス環境を最適化し、外資の直接投資の範囲を一層拡大し、重大外資プロジェクトの実施を積極的に推進する。

⑤雇用・民生

雇用は最大の民生であり、脱貧困堅塁攻略は、今年達成しなければならないハードな任務である。

大学卒業生・出稼ぎ農民・貧困地域の労働力等の重点層に焦点を絞り、企業支援・雇用安定政策をしっかり実施し、職業訓練への支援を強化する。

起業・イノベーションにより雇用を牽引し、新業態の発展と柔軟な就業を促進する。

出稼ぎ農民が現地・近場で就業するルートを開拓し、業務・生産再開において貧困地域の労働力を優先的に使用する。

疫病の衝撃を十分考慮し、影響を受けた困窮大衆を、規定に基づき最低生活保障・特別困窮者ケア・臨時救済等の政策保障と就業援助の範囲に組み入れる。

わが国のマクロ政策の余地は十分充足している。我々は、内外経済情勢の発展・変化を密接にフォローし、経済のモニタリング・予測・事前警告を強化し、グローバルな疫病の変化とわが国の経済の運営情況に応じて、マクロ政策に対し適時調整・整備を進める。

(3)新しいタイプのインフラ

社会各界は新しいタイプのインフラ建設に非常に広範に関心を寄せており、これは比較的ホットな話題である。

新しいタイプのインフラの概念について、我々は中央の関連文件・精神・要求を真剣に学習し、内外の発展の現状を系統的に整理し、初歩的に研究した結果、新しいタイプのインフラとは、新発展理念によってリードされ、技術革新を駆動とし、情報ネットワークを基礎として、質の高い発展の需要に対し、デジタルへの転換・スマートへのグレードアップ・融合による革新等のサービスを提供するインフラシステムであると考えている。現在、新しいタイプのインフラは、主として3方面の内容が含まれる。

①情報インフラ

主として、新世代情報技術の変化により生成されるインフラを指す。たとえば、5G・モノのインターネット・工業インターネット・衛星インターネットに代表される通信ネットワークのインフラ、AI・クラウドコンピューティング・ブロックチェーン等に代表される新技術インフラ、データセンター・インテリジェントコンピューティングセンターに代表されるコンピューティングインフラなどである。

②融合(ユニファイド)インフラ

主として、インターネット・ビッグデータ・AI等の技術の深い応用を指し、伝統的なインフラの転換・グレードアップを支え、進んで融合インフラを形成するものを指す。たとえば、高度道路交通システム(ITS)インフラ、スマートエネルギーインフラ等である。

③革新インフラ

主として、科学研究、技術開発、製品研究・製造を支える公益的な属性を備えたインフラを指す。たとえば、重大科学技術インフラ、科学教育インフラ、産業技術革新インフラ等である。

当然、技術革命と産業の変革に伴い、新しいタイプのインフラの内容・外延は一定不変ではなく、我々は引き続きフォロー・研究する。

18回党大会以降、我々は新しいタイプのインフラ建設で顕著な成果を得ており、「質の高い発展」を支える役割が急速に発揮されている。

情報インフラでは、飛躍的な発展・進歩を得ており、高速光ファイバーは既に全国すべての都市・郷鎮及び99%以上の行政村をカバーしており、4Gネットワーク利用者は12億を超えている。

融合インフラでは、転換・グレードアップを支援・推進する作用が日増しに際立っており、スマートシティ建設の道筋がより鮮明となり、情報技術が都市の精緻な管理能力を積極的に賦与している。

革新インフラでは、科学技術研究を有力に支えており、国家発展・改革委員会は既に55の国家重大科学技術インフラを配置・建設しており、科学技術イノベーションと経済発展において牽引作用を発揮している。

今後国家発展・改革委員会は、関係部門と連携し、研究を深化させ、統一的企画を強化し、制度を整備する。重点は4方面である。

①トップダウン設計を強化する。

「新しいタイプのインフラの発展推進に関する指導意見」を検討し、打ち出す。

②政策環境を最適化する。

新しいタイプのインフラの長期供給の質・効率を高めることを重点に、「新興産業の持続的・健全な発展に資するための参入規則」を改訂・整備する。

③プロジェクト建設にしっかり取り組む。

5Gネットワークの手配を加速し、光ファイバーブロードバンドの最適化・グレードアップを促進し、全国一体化されたビッグデータセンターの建設を加速する。伝統的インフラの「デジタル化」「スマート化」へのグレードアップを着実に推進する。同時に、革新インフラを前倒しで配置する。

4月20日 国有資産監督管理委員会の記者会見
(1)中央企業の主要な経済指標

中央企業の1-3月期営業収入は6兆元、前年同期比11.8%減であり、8割超の企業の営業収入が低下した。純利益は304億元で、同58.8%減であり、57社の企業の純利益が低下し、26社の企業が純損失となった。3月の純利益は2月より顕著に上昇したが、前年同期と比べ、なお大きな開きがある。

疫病の世界大流行が内外需要の突然の収縮、原油等の大口取引商品価格の急減な下落をもたらし、一部エネルギー系中央企業は全社会の利益を図る国家政策を執行し、市場と政策の相乗効果により、石油・石油化学、航空、自動車、電力網等の企業収入・収益はいずれも深く落ち込んだ。

(2)中央企業の現状

全体として見ると、多数の中央企業の生産経営は未曾有の困難に遭遇し、収益の回復・増加は巨大なプレッシャーに直面しているが、各企業はいすれも有効な措置を採用し、困難克服に努力し、あらゆる手を尽くして損失を挽回し、総体としての運営はなお平穏な状態を維持している。

①業務・生産再開が急速に推進され、企業の経営活動は基本的に回復している。

石油・石油化学、電力網・電力、鉄鋼、機械・装置製造、航空輸送等の企業は、春節・疫病期間も業務を止めず、生産経営を全力で安定させた。中央企業は2月末に業務・生産再開率が90%を超え、現在は99.4%に達した。

疫病の衝撃がかなり大きかった建築・自動車・観光等の企業は困難を克服し、同業者より先駆けて業務を再開した。重点プロジェクト・重大プロジェクトを受け持っている中央企業は、全力で重点・進度を維持している。

②多数の企業の営利状況が、既に顕著に好転している。

全国疫病防御情勢が好転し、生産生活秩序が急速に回復するに伴い、中央企業は3月、営業収入2.2兆元を実現し、既に1月の水準にまで回復している。11社の企業の1-3月期は、既に前年同期比利益増を実現している。43社の企業の3月の利益水準は前年同月と同じ水準を回復している。37社の企業の収益の下落幅は、1-2月より10ポイント以上縮小している。

③重点業種の投資が平穏に伸びている。

疫病期間の部分業務・生産停止の影響を受け、1-3月期中央企業が達成した固定資産投資は3647.6億元、前年同期比4.5%減であったが、3月達成した投資は、前年同期比4.1%増であり、月別投資規模は既に正常水準まで回復している。重点業種をみると、1-3月期の石油・石油化学企業の固定資産投資は、前年同期比12.4%増であり、電力企業は同2%増、3月の電信企業は同12.3%増である。

④企業の財務構造が基本的に安定している。

3月末の中央企業の平均資産負債比率は65.6%、前年同期比0.1ポイント減である。56社の企業の資産負債比率が前年同期比減となり、37社の企業の下落幅は1ポイントを超え、全体償還能力は安定を維持している。

(3)今後の政策

①3つを安定させる。

1)経営を安定させなければならない。

国際・国内市場を統一的に企画し、生産・輸送・販売・備蓄を統一的に企画し、中央企業の経営安定維持に努める。

2)産業チェーンを安定させなければならない。

中央企業の産業チェーンにおけるトップとしての牽引作用を発揮させ、サプライチェーンをつなぎ、川上・川下と協同し、わが国の産業チェーン・サプライチェーンの安定性・競争力を維持する。

3)企業を安定させなければならない。

各種リスク防止にしっかり取り組み、重大リスクを発生させない最低ラインをしっかり守り、「ゾンビ企業」の処理を除き、出資企業で倒産や大規模な給与引下げ・リストラを出現させず、社会の不安定要因を増やさないよう努力する。

②4つを維持する。

1)国家の民生を維持しなければならない。

石炭・電気・石油・ガス、通信、食糧等の基礎産品・サービスの供給を確実に保障し、経済社会の正常な秩序を維持するために、有力な支えを提供する。

2)重大プロジェクトを維持しなければならない。

重大科学技術特別プロジェクト、「第13次5カ年計画」の重大プロジェクト、「一帯一路」の重点プロジェクト等の計画どおりの推進・着実な実施を全力で保障する。

3)安全生産を維持しなければならない。

企業の主体的責任を厳格に実施し、「安全生産特別対策3年キャンペーン」を全面的に展開し、疫病防御が常態化する条件の下での安全生産活動に早急にしっかり取り組む。

4)質の高い発展を維持しなければならない。

新発展理念をしっかり堅持し、品質第一・効率優先を際立たせ、質・効率・動力の変革を推進し、質・効率の高い経済成長の実現に努力し、党・国家の活動の大局に更に好く奉仕する。

③1つを強化する。

党の指導を強化し、党の建設を強化し、中央企業党委員会(党組)の指導作用、各レベルの党組織の戦闘堡塁作用、広範な党員・幹部の先鋒としての模範作用を十分発揮し、疫病防御と企業の改革・発展を統一的に企画するために堅固な保障を提供しなければならない。

4月21日 国務院常務会議
(1)貧困人口・最低生活保障対象者・失業者への支援保障強化

現在経済発展が直面する未曾有の試練に対応し、更に的確な措置を採用し、基本民生保障と最低ラインの保障を強化しなければならない。

①農村貧困人口への支援を強化しなければならない。

国家重大プロジェクト建設は、優先的に貧困労働力を手配して工事につかせ、仕事を与えることで保障に代える投資建設の分野と実施範囲を拡大し、労務報酬比率を10%から15%に引き上げ、貧困支援の作業場・公益ポスト等の現地・近場での就職機会を開拓する。

貧困支援マイクロファイナンスの償還期限を今年末まで延長する。

疫病の影響を受けて貧困に戻り、貧困に陥る可能性がある者について徹底洗い出しを強化し、支援をしっかり行う。

労働能力のある貧困寸前の人口について、貧困支援マイクロファイナンス利息補助、技能訓練等の貧困支援政策に組み入れることを認め、支援を与える。

積極的に措置を採用し、貧困地域の特色ある産品の販売拡大を促進し、農民の所得を増やす。

②最低生活保障の条件に合致する都市・農村困窮家庭について、保障すべきものはすべて保障を与え、失業保険未加入で所得が最低生活保障基準より低い出稼ぎ農民等の失業者を、遅滞なく最低生活保障・救済等の範囲に組み入れなければならない。

疫病の影響を受けて暫時困難に遭遇している者に対して、臨時救済をしっかり実施する。

③今年既に打ち出した高齢失業者の失業保険受領期限延長、失業補助金の段階的実施、物価臨時補助基準引上げ等の失業者支援措置を詳細に実施する基礎の上に、失業保険の保障範囲を都市・農村すべての失業保険加入失業者にまで更に拡大する。このうち、昨年1月以降に加入し、保険加入期間が1年に満たない失業出稼ぎ農民を、段階的に保障範囲に組み入れる。

(2)インクルーシブファイナンス

金融機関が小型・零細企業により好くサービスすることを促進するため、銀行支店の総合業績考課指標におけるインクルーシブファイナンスのウエイトを10%以上に引き上げ、小型・零細企業向け貸付を増やすよう奨励する。

同時に、中小銀行の貸倒引当カバー率の監督管理要求を段階的に20ポイント引き下げ、より多くの貸出資源を解放し、小型・零細企業へのサービス能力を高める。

(3)小型・零細企業の賃料負担軽減

小型・零細企業と個人工商事業者の賃料負担を軽減するため、国有建物を借りているサービス業の小型・零細企業と個人工商事業者に対して、1-6月期は3カ月分の賃料を免除する。国有企業とりわけ中央企業と大学・大学院・研究所等の企業・事業単位は、率先して賃料を減免しなければならない。

家主が賃料を減免した場合は、規定に基づき当該年度の不動産税・都市土地使用税を減免し、かつ銀行が賃料を減免した家主に対し必要に応じ、優遇金利で担保付貸出を行うよう誘導する。

非国有建物の賃料を減免した場合は、家主に上述の各優遇政策を同等に享受させることを認める。