新型肺炎とマクロ政策(16)

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2020年4月7日


はじめに

本稿では、財政・金融当局の動向を紹介する。

4月3日 人民銀行が預金準備率引下げを発表
(1)発表内容

実体経済の発展を支援し、中小・零細企業への支援強化を促進し、社会資金調達の実際のコストを引き下げるため、人民銀行は、農村信用社、農村商業銀行、農村合作銀行、村鎮銀行、省レベル行政区内のみで営業している都市商業銀行に対し、方向を定めて預金準備率を1%引き下げ、4月15日と5月15日の2回に分けて完全実施し、毎回0.5ポイント引き下げ、これにより長期資金約4000億元を解放することを決定した。

人民銀行は、4月7日から金融機関の超過預金準備金の金利を0.72%から0.35%に引き下げることを決定した。

人民銀行は、穏健な金融政策をより柔軟に実施し、実体経済の回復・発展を支援することを際立てて位置づけ、方向を定めたコントロールを重視し、内外のバランスを併せ考慮し、流動性の合理的充足を維持し、マネー・貸出と社会資金調達規模の伸びを経済発展と適応させ、質の高い発展とサプライサイド構造改革のために適切なマネー・金融環境を作り上げる。

(2)人民銀行責任者の説明

①実体経済への支援

今回の方向を定めた預金準備率引下げは、長期資金約4000元を解放することができ、中小銀行各行は平均で長期資金約1億元を獲得でき、中小銀行が実体経済の安定を支援する資金源を有効に増やし、さらに銀行資金のコストを毎年約60億元低下させることができ、銀行の伝達を通じて小型・零細、民営企業の実質貸出金利を引き下げることに資し、実体経済を直接支援するものである。

今回の方向を定めた預金準備率引下げは、4月15日と5月15日の2回で完全実施し、一度に過度に解放することによる流動性の滞留を防止し、預金準備率引下げにより中小銀行が獲得する全資金が、比較的低金利で中小・零細企業に向けられることを確保する。

今回の預金準備率引下げ後、4000を超える中小の預金取扱金融機関(農村信用社、農村信用銀行、農村合作銀行、村鎮銀行、ファイナンス会社、ファイナンスリース会社、自動車ファイナンス会社等を含む)の預金準備率は6%にまで低下し、わが国の歴史上及び発展途上国の情況からみて、6%の預金準備率は比較的低い水準である。

②中小銀行が対象として選ばれた理由

今回の方向を定めた預金準備率引下げは中小銀行向けであり、2種類の機関が含まれる。1つは、農村信用社、農村商業銀行、農村合作銀行、村鎮銀行等の農村金融機関であり、もう1つは、省レベル行政区域内でのみ営業している都市商業銀行である。

方向を定めた預金準備率引下げで資金を獲得する中小銀行は4000近く、銀行システムに占める行数のウエイトは99%と、数が多く、分布が広範で、現地に立脚し、末端に根差しており、中小・零細企業にサービスする重要なパワーである。

中小銀行の預金準備率を一層引き下げることは、中小銀行の資金の実力を高め、より優遇金利により中小・零細企業に貸出を行うよう誘導し、「三農」・対外貿易と疫病の影響がかなり深刻な産業への貸出を拡大し、実体経済の回復・発展への支援を増強することに資するものである。

③超過預金準備の金利引下げの理由

超過預金準備は、預金取扱金融機関が法定準備を全部納めた後、自ら望んで中央銀行に預けた金であり、銀行に自主的に支配され、好きな時に清算・現金引出等の需要に用いられるものである。

人民銀行は、超過預金準備に利息を支払っており、その金利が超過預金準備金利であり、 2008年に0.99%から0.72%に引き下げて後、ずっと調整していなかった。

今回、中央銀行は超過預金準備金利を0.72%から0.35%に引き下げることで、銀行の資金の使用効率を高め、銀行が実体経済とりわけ中小・零細企業により好くサービスすることを促進することができる。

4月3日 地方政府特別債券規模の増加、中小・零細企業へのインクルーシブファイナンス支援強化に関する財政・金融当局の共同記者会見
財政部
(1)地方政府特別債券規模の発行・使用情況

前倒しで下達する地方政府特別債券の限度額を増やすことは、債券の発行・使用の進度を加速することに資するものであり、マクロ政策の調節を強化し、疫病防御と経済社会発展政策手配を統一的に企画・推進することにとって重要な意義を有するものであり、党中央・国務院はこれを高度に重視している。

習近平総書記は、中央政治局会議、中央政治局常務委員会会議、疫病防御と経済社会発展政策手配を統一的に企画・推進する会議において、「積極的財政政策はより積極的に結果を出し、財政赤字の対GDP比率を適切に高め、特別国債を発行し、地方政府特別債券の規模を増やさなければならない」と強調した。

李克強総理は、疫病対策領導小組と国務院常務会議を何度も主催し、地方政府特別債券発行を加速してうまく使用し、建設中のプロジェクトの建設と、条件を具備したプロジェクトのできるだけ早い着工を推進し、有効な投資の拡大を牽引するよう要求した。

韓正副総理等国務院の領導同志も、何度も関連政策について、明確に要求を提起した。

3月31日の国務院会議は、特別テーマを検討・手配し、さらに地方政府特別債限度額を前倒しで下達し、有効な投資拡大を牽引することを確定し、財政部は党中央・国務院の政策決定・手配を断固として貫徹する

今年に入り、党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、全人代常務委員会の授権を根拠に、財政部は前倒しで2020年度の一部の新規増発特別債券限度額1兆2900億元を下達した。2020年3月31日までに、全国の各地方が発行した新規増発特別債券は1.08兆元で、84%を占め、発行規模は前年同期比63%増加し、約2.5カ月前倒しで既定の発行任務を達成すると予想している。

各地方が発行した新規増発特別債券を使用したプロジェクトは8255億元で、発行額の77%を占め、国務院常務会議の手配に基づき、各地方が発行した新規増発特別債券は、鉄道・軌道交通等の交通インフラ、生態環境保護、農林水利、都市インフラ、産業パーク等の分野の重大インフラプロジェクトの建設に全部用いている。各地方が条件に合致した重大プロジェクトの資本金に用いた特別債券の規模は約1300億元であり、社会資本を積極的に牽引し、有効な投資を拡大した。

発行情況からみると、今年の新規増発特別債券の平均発行期限は14.5年であり、うち10年以上の長期債券の発行は9331億元であり、86%を占め、2019年に比べるとウエイト(34%)は、0.52ポイント増え、往年と比べると期限はより合理的になり、プロジェクトの実際の期限とより釣り合っている。総体としてみると、新規増発地方政府特別債券の発行・使用情況は、比較的良好である。

(2)地方政府特別債券の増額

3月31日、国務院常務会議は、これまで既に下達した特別債券限度額の発行・使用の基礎の上に、一定手順に基づきさらに前倒しで一定規模の地方政府特別債券を下達することを決定した。この手配は、2020年度予算の計上、地方の実際のプロジェクト建設の需要と特別債券の発行・使用の進度等の要因を総合して確定したものであり、近々財政部は関連手順を早急に履行した後下達する。

資金の投資先は、引き続き国務院常務会議が確定した重大インフラプロジェクト建設に重点的に用いる。これは主として

①交通インフラ、エネルギープロジェクト、農林水利、生態環境保護プロジェクト、民生サービス、コールドチェーン物流施設、都市インフラ、産業パークインフラ等の7大分野を含む。同時に、

②疫病防御と投資需要の変化等と結びつけ、投資先を適切に最適化し、国家重大戦略プロジェクトに単独支出し、重点的に支援する。

③都市の老朽化した住宅団地の改造分野を増やし、地方が応急医療救済、公共衛生、職業教育、都市熱・ガス供給等都市インフラプロジェクトに振り向けることを認める。

④5Gネットワーク、デジタルセンター、AI、物流、モノのインターネット等の新しいタイプのインフラの建設を加速する。

金額を分配する際、「プロジェクトの進展を資金がフォローする」という原則を堅持し、重点プロジェクトが多く、リスク水準の低い地方に傾斜配分する。同時に、今年の新規増発地方特別債券について、条件の合致した重大プロジェクト資本金に用いる比率を適切に高め、一層社会資本の投入増大を牽引する。

党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、これまで財政部は既に関係部門と、地方政府が早急に着手・準備をしっかり行うよう指導・督促し、プロジェクトの備蓄・審査認可・選抜等の活動を前倒しで展開してきた。

現在地方からのフィードバックの情況からみると、今回さらに一定規模の地方政府特別債券を前倒しで下達した後、できるだけ速やかにプロジェクト実施に至ることは可能であり、できるだけ速やかに実物成果量を形成し、経済に対する有効な牽引作用を発揮することができると予想している。

(3)小型・零細企業支援

財政部は小型・零細企業の資金調達・発展を高度に重視している。

疫病の発生以来、財政部は人民銀行、銀行保険監督管理委員会等の部門と協同し、一連の措置を遅滞なく採用し、国家融資担保(債務保証)基金と各レベル政府債務保証・再保証機関の普遍的な保証料引下げを推進し、保証書差入要求を取り消し、サービス効率を高め、小型・零細企業のために資金調達の信用増強サービスの提供を加速している。

条件に合致した起業債務保証貸出の期間延長を認め、疫病の影響を受けた小型・零細企業のために貸出・利息補助等を優先的に提供している。

財政部はさらに、引き続き人民銀行、銀行保険監督管理委員会等の部門と協調を強化し、関連政策をしっかり実施し、協同効果を形成し、金融機関が小型・零細企業への支援を強化し、小型・零細企業の難関克服を支援するよう誘導する。

(4)地方政府特別債券のリスク管理

特別債券の役割をより好く発揮させると同時に、リスクを防止しなければならない。我々は、4方面から考慮した。

①早く成果を上げる。

各地方が、中央が前倒しで下達した限度額に基づき、早急に発行するよう要求する。4-6月期に発行を終え、できるだけ早くプロジェクトに交付し、実質的な使用を進め、できるだけ早く作用を発揮させるよう努力する。これは、現在疫病が経済に影響を与えている情況下、最も緊迫していることである。

②プロジェクトをしっかり選ぶ。

7方面の分野に調整を加え、いくらか分野を拡大した。地方は、中央が確定した分野に基づいてプロジェクトを選択し、とりわけ重点プロジェクト、遅かれ早かれ実施しなければならないプロジェクトを把握しなければならない。さらに、牽引作用が大きいプロジェクトを選び出し、地方政府、地方政府関係部門が密接に協力し、地方政府が責任を負わなければならないと、特別に要求した。財政部門、発展改革部門、さらに他の関係部門は、いずれも自自分の役割を発揮して、しっかり協力しなければならない。地方政府は、プロジェクト選択を確定後、国家発展・改革委員会、財政部に報告し、審査・認可と厳しい検査を受けなければならない。

③規格に合わせる。

地方が選択したプロジェクトを中央関係部門が審査・検査する際には、すべての特別債券プロジェクトが規格に合い、特別債券管理の条件に合っていなければならない。つまり、一定の収益のある公益的プロジェクトに用い、プロジェクトは資金調達と収益がバランスしたものでなければならない。プロジェクト建設の実効を上げることを確保すると同時に、リスクを防止する。

④全プロセスで監督管理する。

特別債券に監督管理を貫徹するという要求に基づき、全プロセスで特別債券の発行・使用情況をフォロー・了解し、問題を発見したら、直ちに是正し実施する。

人民銀行
(1)小型・零細企業支援

新型肺炎の疫病が中小・零細企業に重大な影響を生み出していることについて、人民銀行は習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとして、党中央・国務院の政策決定・手配を断固として貫徹し、迅速に行動し、主動的に結果を出して、疫病の変化がもたらした新たな試練に積極的に対応し、内需拡大・生産再開・雇用維持を支援してきた。

我々は一連の措置を打ち出し、疫病防御、業務・生産再開、実体経済発展のために精確な金融サービスを提供した。

①流動性の合理的な充足を維持した。

金融市場のオープン後、1.7兆元の短期流動性を提供した。年初我々は預金準備率を0.5ポイント全面的に引き下げ、8000億元を解放した基礎の上に、3月我々は方向を定めた預金準備率引下げで5500億元の長期資金を解放し、インクルーシブ分野の貸出に用いた。

②再貸出・再割引の精確な支援を提供した。

3000億元の防疫特別再貸出を設け、半分以上を中小・零細企業に振り向けた。財政による利息補助後、小型・零細企業が負担する利息コストは1.3%に下がった。3000億元以外にも、我々はさらに再貸出・再割引額を5000億元新たに増やし、「三農」支援、小型・零細企業支援再貸出金利を0.25ポイント引き下げ、もともとの2.75%から2.5%に調整した。中央銀行は低コストのインクルーシブな資金支援を運用し、重点分野の中小・零細企業の業務・生産再開を支援した。

③貸出金利の低下を誘導した。

3月30日の公開市場操作において基準金利を再び20ベーシスポイント引き下げ、今年に入り累計で30ベーシスポイント引き下げた。

④金融系統組織の合成力を統一して企画・発揮させた。

国有大型銀行が小型・零細企業へのインクルーシブな支援を増やし、政策性銀行が特別貸出支援を実施するよう督促し、地方法人銀行が末端にしっかりサービスするよう誘導し、 カウンターシクリカルな調節を強化した。

これらの措置の成果は、現在みるところ顕著である。M2・社会資金調達規模と名目GDP成長率と基本的に釣り合い、やや高い。実体経済がまだ完全に業務・生産再開、本格生産に至っていない背景の下、新規貸出増は史上最高である。中小・零細企業の資金調達が増えた割合が拡大し、金利は低下している。短期金融市場の金利の中枢は総体として低下している。人民元レートは相対的に穏健である。外部金融リスクの衝撃は、有効に防止されている。

(2)インクルーシブファイナンス

国務院第88回常務会議は、中小・零細企業へのインクルーシブファイナンス支援の提供を一層強化することを決定した。

①中小銀行への再貸出・再割引額を1兆元増やす。

先に3000億元があり、後に5000億元があり、さらに1兆元である。これは連続したプロセスであり、支援のポイントが増え、カバー面が拡大し、市場からの資金調達コストがかなり高い中小・零細企業が、再貸出・再割引の政策支援を獲得する。

②中小銀行への方向を定めた預金準備率引下げをさらに実施する。

中小銀行は広範に分布しており、末端に根差し、もともと包摂的な性質を有している。中小銀行に対し比較的低い預金準備率を実施することは、金融サプライサイド構造改革を推進するための重要措置であり、改革の方法を通じて金融供給構造と貸出資金配分を最適化し、中小銀行が中小・零細企業にさらに好く的を絞り、貸出供給を増やし、融資コストを引き下げ、実体経済にサービスすることを支援する。

③債券による資金調達支援を増やす。

金融機関が3000億元の小型・零細金融債券を発行し、無担保社債による純資金調達が昨年より1兆元増えるよう誘導する。これは、金融機関の資金源を一層増やし、企業の多元化した低コストの資金調達のルートを開拓し、金融サービス水準を高めることに資するものである。

(3)金融政策の方向性

今後、穏健な金融政策は、より柔軟・適度を重視しなければならない。

最低ラインを守るという考え方を堅持し、疫病防御と経済情勢の段階的変化に応じて、政策の程度・重点・テンポをうまく把握し、実体経済の回復・発展支援をより際立てて位置づける。

金融政策の総量・カウンターシクリカルな調節を強化すると同時に、安定成長・リスク防止とインフレ抑制の関係をうまく処理し、M2・社会資金調達規模の伸びが名目GDP成長率と基本的に釣り合い、やや高めとなることを実現する。

中小・零細企業の特徴と現在直面している拘束条件を十分考慮し、打ち出した各対応措置をしっかり実施し、企業の難関克服を支援する。

国際協力を強化し、多くのルートで予想の誘導をしっかり行う。

(4)預金金利引下げの可能性

金利の低下は、表面的には確かに銀行の利鞘を縮小させているが、我々は多くの措置を採用してもいる。たとえば、中央銀行は低コストの資金を提供しているし、ほかに我々は、市場の合理的に充足した流動性を維持しており、銀行の金融市場からの資金調達コストは低下している。同時に、我々は銀行への支援、とりわけ中小銀行への支援を強化しようとも考えている。

金利体系にはバラスト機能があり、当然1つの手段として使用できるが、この手段は特殊なので、実行するには考慮すべきことが多い。たとえば、物価の情況は、現在CPIは1年物の預金金利より明らかに高く、預金金利は1.5%、CPIは5.3%である。この問題を考慮しなければならない。このほか、経済成長、内外のバランス、金利が低すぎること、通貨の切下げ圧力の増大等の要因をも考慮しなければならない。とりわけ預金金利は一般庶民との関係がより直接的であり、もしマイナス金利にするなら、十分評価を加え、庶民の受け止め方を考慮しなければならない。

(5)今回の疫病の影響はリーマンショックを超えるか

現在から見て、まだ超えてはいない。たとえば、2月24日以降、各国家の株式市場はおおよそ25%下落したが、2008年の金融危機期間の下落幅は、おおよそ50%前後であり、50%は危機のメルクマールである。今回は現在までに25%で下げ止まっている。今後さらに25%下がらないかは、はっきりとは言えない。

現在、比較的明確なものとしては、IMFが最近、「2020年の世界経済はマイナス成長が出現する可能性があり、衰退の程度は2008年の金融危機を超える可能性がある」と表明した。この言い方は相対的・比較的に明確であるが、「可能性」という言葉を用いてもおり、不確定である。

衝撃が大きいと同時に、我々は、現在各国家はいずれも大きなヘッジ政策を打ち出しており、このほか国際上各国家は疫病防御を強化し、国際協力の程度も増大していることをも見て取っている。このため、今後を密接にフォローし、高度に注意を払う必要がある。

銀行保険監督管理委員会
(1)全般的情況

銀行保険監督管理委員会は、党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、国務院金融安定発展委員会の指導の下、一連の有効な措置を採用し、銀行・保険機関が企業の業務・生産再開支援に力を入れるよう誘導し、金融の安全・安定を擁護し、積極的成果を得た。統計によれば、1-3月期の銀行業の各貸出の新規増は7兆元近くになり、前年同期比1.18兆元増であり、経済発展を有力に支援した。保険機関も保険保障機能をと社会のスタビライザーとしての役割を発揮した。

(2)中小・零細企業への支援

疫病発生以来、多くの中小・零細企業が困難に直面しているが、その中で1つ非常に際立った問題は、資金チェーンが逼迫していることである。我々は直ちに一連の政策を採用し、企業の資金圧力を緩和した。統計によれば、2月末、18の大中型商業銀行のインクルーシブな小型・零細企業への貸出残高は5.55兆元であり、前年同期比31.8%増であった。貸出の平均金利は5.22%であり、前年比0.32ポイント低下した。うち、5つの大型銀行のインクルーシブな小型・零細企業への貸出の平均金利は4.4%であり、前年比0.3ポイント低下した。

我々は、以下の方面の政策に取り組んだ。

①小型・零細企業への貸出の「増量・面の拡大・質の向上・コスト引下げ」の実現に努力した。

与信総額1000万元以下のインクルーシブな小型・零細企業への貸出は、伸びを各貸出の伸びより低くしてはならず、貸出残高のある会社数が年初の水準より低くなってはならないことの実現を確保した。うち、5つの大型銀行は、上半期インクルーシブな小型・零細企業への貸出を前年同期比30%増とするよう努力しなければならないとした。

小型・零細企業への貸出を初めて受ける会社のウエイトを高めることに力を入れた。無担保貸出と継続貸出業務のウエイトを適切に高め、企業の資金調達コストを引き下げた。

②借入の元本償還・利払い延期政策をしっかり実施した。

臨時の元本償還・利払い延期を実施し、懲罰的な利息徴収を免じ、貸出リスク分類のランクを引き下げず、信用情報記録に影響が出ないようにした。

不完全な統計では、現在償還が延期されている中小・零細企業への貸出の元本・利息は7000億元余りに達し、広範な企業主と個人工商事業者がこの政策を享受している。

③疫病の影響が深刻な業種・地域の中小・零細企業への貸出支援を増やした。

卸・小売、旅館・レストラン、ホテル、物流・輸送、文化・観光などの業種は疫病から受けたダメージが比較的大きく、銀行に対し「貸しはがし・貸出中止・貸出圧縮をしてはならない。特に貸出金利を引き下げて、企業の利益を図らなければならない」と要求した。同時に、無担保貸出と中長期貸出の方式を増やすことを通じて、企業のできるだけ速やかな業務・生産再開を支援した。

④政策性銀行のカウンターシクリカルな調節作用を発揮させ、民営、小型・零細企業の発展を支援した。

政策性銀行が中小銀行向けに低コストの資金を提供し、転貸方式により民営、小型・零細企業に相対的に優遇された金利での貸出を行い、金利は現地のインクルーシブな小型・零細企業への貸出金利を上回らないようにすることを奨励した。現在、転貸残高は既に1800億元余りに達し、年初に比べ17%増加した。今後、我々は一層これを強化する。

⑤フィンテックの運用を強化し、小型・零細企業のために精確・迅速なサービスを提供した。

ビックデータ、クラウドコンピューティング等の技術の利用を奨励し、オンラインとオフラインを連動させてサービスし、インターネット・携帯・電話等の方式を通じて、広範な中小・零細企業が足を運ばすに金融サービスを得られるようにした。

⑥企業の資金調達コストを確実に引き下げた。

銀行の手数料徴収の整理を一層展開し、「歩積両建」「預金で貸出を決める」等の規定違反行為を厳格に調査・処分し、保険機関が融資への信用強化を提供することを奨励した。

(3)産業チェーンの支援

①我々は、銀行がコア企業に依拠し、情報・資金の流れと物流等の情報に基づき、コア企業及び川上・川下の企業のために、全チェーン・全方位の金融サービスを提供することを奨励する。

②産業チェーンのコア企業への支援を増やし、流動資金の貸出と中長期貸出を増やし、コア企業が適切な方式により川上・川下の企業の資金の占用を減らし、川下企業のために支払延期の利便を提供することを奨励する。

③コア・川上・川下の中小・零細企業の資金調達需要のフォローを継続し、積極的に売掛金・注文書・倉庫証券・在庫担保融資を発展させ、金融商品・サービスを刷新する。

今年は、産業チェーン上の中小・零細企業のために、売掛金融資8000億元を提供することになると予想される。

④銀行・保険機関が対外貿易を安定させる作用を強化することを奨励し、クロスボーダー金融サービスチェーンを整備、国外金融機関と協力を展開し、グローバル産業チェーンの安定のために信用支援と融資サービスを提供する。

⑤産業チェーンへの金融サービスの科学技術水準を高め、銀行が専門の貸出ソフト・情報システムを開発することを奨励し、コア企業と協力を深化させ、系列とのリンク・情報共有・資金監督コントロール等の方面で協調を強化することを奨励する。

調査・研究により、工商銀行と建設銀行は数千本の産業チェーンを既に円滑にしており、全方位の金融サービスを提供していることが分かった。今後、銀行保険監督管理委員会は、深く詳細でしっかりした産業チェーンへの金融サービスを引き続き推進する。