10月の主要経済指標

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2019年12月3日


(1)物価
①消費者物価

10月の消費者物価は前年同月比3.8%上昇し、上昇率は9月より0.8ポイント加速した。都市は3.5%、農村は4.6%の上昇である。食品価格は15.5%上昇し(9月は11.2%)、非食品価格は0.9%上昇(9月は1.0%)している。衣類は1.2%上昇、居住価格は0.5%上昇した1。1-10月期では、前年同期比2.6%の上昇である。

(参考)(2017年1.6%)(2018年2.1%)→19年1月1.7%→2月1.5%→3月2.3%→4月2.5%→5月2.7%→6月2.7%→7月2.8%→8月2.8%→9月3.0%→10月3.8%

前月比では、9月より0.9%上昇(9月は0.9%)した。食品価格は3.6%上昇(9月は3.5%)した。食品・タバコ・酒価格は9月より2.7%上昇、物価への影響は約0.84ポイント、うち生鮮野菜は1.7%下落(9月は-7.6%)し、物価への影響は約-0.04ポイント、鶏肉類価格は2.5%上昇、物価への影響は約0.03ポイント、鶏卵価格が1.5%下落、物価への影響は約-0.01ポイント、水産品価格は1.1%下落、物価への影響は約-0.02ポイントであった。畜肉類価格は14.7%上昇、物価への影響は約0.91ポイント、(豚肉価格は20.1%上昇、物価への影響は約0.79ポイント)であった。果物価格は5.7%下落し、物価への影響は約-0.10ポイントであった。非食品価格は0.2%上昇し(9月は0.2%)、衣類は0.3%上昇(9月は0.8%)、居住価格は0.0%(9月は0.1%)であった。

食品・エネルギーを除いた消費者物価(コア消費者物価)は、10月が前年同月比1.5%の上昇(9月は1.5%)、前月比では0.1%の上昇(9月は0.2%)である2。1-10月期は1.7%の上昇である。

なお、国家統計局は、10月の前年同月比上昇率3.8%のうち食品・タバコ・酒価格は11.4%上昇し、物価への影響は約3.37ポイントとなり、このうち畜肉類価格は66.8%上昇、物価への影響は約2.92ポイント(豚肉価格は101.3%上昇、物価への影響は約2.43ポイント)、鶏肉価格は17 .3%上昇、物価への影響は約0.21ポイントである。このほか生鮮野菜価格が10.2%下落、物価への影響は約-0.27ポイント、鶏卵価格が12.3%上昇、物価への影響は約0.07ポイント、果物価格は0.3%下落、物価への影響は約-0.01ポイント、水産品価格は2.7%上昇、物価への影響は約0.05ポイント、食糧価格は0.5%上昇し、物価への影響は約0.01ポイントであった。

また豚肉価格の上昇要因を除くと、前月比約0.1%上昇、前年同月比約1.3%上昇である。 なお、国家統計局都市司の沈贇高級統計師は、前月比の上昇幅が9月と同水準だったのは、1)果物・生鮮野菜の供給が充足し、価格が下がり、合計でCPIを0.14ポイント押し下げた、2)鶏卵価格が上昇から下落に転じた、3)豚肉価格の上昇がCPI上昇幅の9割近くを占めた、4)豚肉価格の上昇の牽引と、消費の代替の影響により、牛肉・羊肉・鶏肉・鴨肉価格が1.0~3.1%上昇し、合計でCPIを0.06ポイント押し上げた、5)季節の変化の影響を受け、アパレル価格が上昇し、6)国慶節機関の旅行増加により、旅館宿泊・旅行者手数料・航空券価格が上昇し、この3項目でCPIを0.01ポイント押し上げた、点を挙げている。

また、10月の前年同月比消費者物価上昇幅が、9月より0.8ポイント拡大した特徴として、1)生鮮野菜価格が下落し、果物価格が上昇から下落に転じ、この2項目でCPIを0.28ポイント押し下げた、2)豚肉価格の上昇幅が、CPI上昇幅の3分の2近くを占め、3)牛肉・羊肉・鶏肉・鴨肉・鶏卵価格の上昇率が12.3~21.4%の間で、この5項目でCPIを0.41ポイント押し上げた、3)医療保健、教育・文化・娯楽、衣料価格が上昇し、CPIを約0.49ポイント押し上げた、4)ガソリン価格が15.4%下落、ディーゼル油価格が16.2%下落し、この2項目でCPIを0.36ポイント押し下げた、としている。

②工業生産者出荷価格

10月の工業生産者出荷価格は前年同月より1.6%下落した。前月比では9月より0.1%上昇(9月は0.1%)した。1-10月期は、前年同期比-0.2%である。

(参考)(2017年6.3%)→(2018年3.5%)→19年1月0.1%→2月0.1%→3月0.4%→4月0.9%→5月0.6%→6月0.0%→7月-0.3%→8月-0.8%→9月-1.2%→10月-1.6%

10月の工業生産者購入価格は、前年同月比2.1%下落(9月は-1.7%)した。前月比では9月より0.2%上昇(9月は0.2%)であった。1-10月期は、前年同期比0.5%下落である。

また10月の1.6%下落のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約―1.2ポイント、新たなインフレ要因は約-0.4ポイントである。

なお、国家統計局都市司の沈贇高級統計師は、前月比上昇幅が9月と同水準であったが、その特徴は、1)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業、ガス生産・供給業価格が下落から上昇に転じ、2)鉄金属採掘・洗浄業、鉄金属精錬・圧延加工業、石炭採掘・洗浄業価格の上昇幅が縮小し、3)農産副食品加工業の上昇率が9月と同水準となり、4)非鉄金属精錬・圧延加工業価格が上昇から下落に転じた、とする。

また、前年同月比では、下落幅が0.4ポイント拡大したが、1)石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業、化学原料・化学製品製造業、鉄金属精錬・圧延加工業価格の下落幅が拡大し、2)鉄金属採掘・洗浄業、非鉄金属精錬・圧延業価格の上昇幅が縮小し、3)石炭採掘・洗浄業価格が上昇から下落に転じた、とする。

③住宅価格

10月の全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格は前月比17都市が低下(9月は12)し、同水準は3(9月は5)であった。上昇は50である(9月は53)。

前年同月比では、価格が下落したのは1都市(9月は1)であった。同水準は0(9月は0)、上昇は69(9月は70)である。

国家統計局都市司の孔鵬首席統計師は、「各地方は、党中央・国務院の手配を引き続き貫徹し、『住宅は住むためのものであって、投機のためのものではない』という位置づけを堅持し、不動産市場は一層安定傾向にあり、価格上昇率はある程度反落した。

前月比では、70大中都市のうち、4の一線都市の新築分譲住宅価格は0.1%上昇し、上昇幅は9月より0.3ポイント縮小した。うち北京は0.2%下落、上海は0.4%上昇、広州は0.1%下落、深圳は0.4%上昇であった。31の二線都市の新築価格は0.5%上昇し、上昇幅は9月より0.1ポイント縮小した。35の三線都市の新築価格は0.6%上昇し、上昇幅は9月より0.2ポイント縮小した。

前年同月比では、70大中都市のうち、一線都市の新築価格は4.7%上昇し、上昇幅は9月と0.1ポイント拡大した。二線都市の新築価格は8.7%上昇し、上昇幅は9月より0.6ポイント縮小した。三線都市の新築価格は7.7%上昇し、上昇幅は9月より0.7ポイント縮小した」と指摘している。

(2)工業

10月の工業生産は前年同月比実質4.7%増となった。10月は前月比では、0.17%増となった3。主要製品別では、発電量4.0%増(9月は4.7%)、鋼材3.5%増(9月は6.9%)、セメント-2.1%(9月は4.1%)、自動車-2.1%(うち乗用車-8.7%、SUV車2.6%増、新エネルギー車-39.7%)となっている。9月の自動車-6.9%(うち乗用車-12.6%、SUV車-4.0%、新エネルギー車-24.2%)に比べ、自動車・乗用車のマイナス幅が縮小し、SUV車がマイナスからプラスに転じ、新エネルギー車のマイナス幅が拡大した。地域別では、東部3.6%増、中部6.5%増、西部5.8%増、東北3.2%増である。分類別では、国有株支配企業4.8%増、株式制企業5.4%増、外資2.1%増、私営企業5.4%増であった。

(参考)(2017 年6.6%)→(2018年6.2%)→19年1-2月期5.3%→3月8.5%→4月5.4%→5月5.0%→6月6.3%→7月4.8%→8月4.4%→9月5.8%→10月4.7%

1-10月期の工業生産は前年同月比実質5.6%増となった。主要製品別では、発電量3.1%増、鋼材9.8%増、セメント5.8%増、自動車-11.1%(うち乗用車-14.8%、SUV車-10.8%、新エネルギー車11.5%増)となっている。

1-10月期の一定規模以上の工業企業利潤総額は5兆151.0億元、前年同期比-2.9%(1-9月期-2.1%)であった。うち国有株支配企業の利潤総額は1兆4715.5億元、同-12.1%、株式制企業は3兆6623.3億元、同-2.4%、外資企業は1兆2585.0億元、同-4.0%、私営企業は1兆3915.0億元、同5.3%増である。10月の一定規模以上の工業企業利潤総額は4275.6億元、前年同期比-9.9%(9月-5.3%)であった。

1-10月期の一定規模以上の工業企業の本業営業収入100元当たりのコストは84.28元(1-9月期84.34元、前年同期比0.21元増)である。10月末の資産負債率は56.8%(9月末56.9%、前年同期比0.5ポイント減)であった。

なお、国家統計局工業司の朱虹統計師は、「①ハイテク製造業・戦略的新興産業・装置製造業の利潤の伸びが高かった、②自動車製造業の下落幅が縮小した、③計算機・通信その他電子設備製造業の伸びが加速した、④私営企業・小型企業の利潤は安定的な伸びを維持した、⑤外資の下落幅が縮小した」としている。

(3)消費

10月の社会消費品小売総額は3兆8104億元、前年同月比7.2%増(実質4.9%増)である。なお、自動車を除く伸びは、8.3%増である。10月は前月比では、0.46%増である4。都市は7.0%増、農村は8.6%増である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は1兆2322億元、同1.2%増であり、うち穀類・食用油・食品9.0%増、アパレル・靴・帽子類-0.8%、建築・内装2.6%増、家具1.8%増、自動車-3.3%、家電・音響機器類0.7%増となっている。自動車の伸びは、9月の-2.2%からマイナス幅が拡大した。

(参考)(2017年10.2%)→(2018年9.0%)→19年1-2月期8.2%→3月8.7%→4月7.2%→5月8.6%→6月9.8%→7月7.6%→8月7.5%→9月7.8%→10月7.2%

1-10月期の社会消費品小売総額は33兆4778億元、前年同月比8.1%増、都市は7.9%増、農村は9.0%増である。なお、自動車を除く伸びは、9.0%増である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は11兆8919億元、同3.8%増であり、うち穀類・食用油・食品10.4%増、アパレル・靴・帽子類2.8%、建築・内装3.4%増、家具5.4%増、自動車-1.0%、家電・音響機器類5.4 %増となっている。

1-10月期、一定額以上のレストランの収入は7.1%増であった。全国インターネット商品・サービス小売額は8兆2307億元で、前年同期比16.4%増となった。うち実物商品は6兆5172億元、同19.8%増で、社会消費品小売総額の19.5%を占めている。

(4)投資
①都市固定資産投資

1-10月期の都市固定資産投資は51兆880億元で、前年同期比5.2%増であった。10月は前月比では0.40%増である5。地域別では、東部4.0%増、中部9.3%増、西部4.9%増、東北-4.5%となっている。内資企業は5.4%増で、1-9月より0.2ポイント減、外資企業は2.0%増、同0.2ポイント増である。

インフラ投資(電力・熱・天然ガス・水生産供給以外)は前年同期比4.2%増(1-9月期は4.5%)である。うち、鉄道運輸は5.9%増(1-9月期は9.8%)、道路輸送は8.1%増(1-9月期は7.9%)、水利0.6%増(1-9月期は1.9%)、公共施設0.2%増(1-9月期は0.9%)、生態環境保護・環境対策37.4%%増、環境モニタリング・対策サービス32.7%増であった。

(参考)都市固定資産投資:(2017年7.2%)→(2018年5.9%)→19年1-2月期6.1%→1-3月期6.3%→1-4月期6.1%→1-5月期5.6%→1-6月期5.8%→1-7月期5.7%→1-8月期5.5%→1-9月期5.4%→1-10月期5.2%

インフラ投資: (2017年19.0%)→(2018年3.8%)→19年1-2月期4.3%→1-3月期4.4%→1-4月期4.4%→1-5月期4.0%→1-6月期4.1%→1-7月期3.8%→1-8月期4.2%→1-9月期4.5%→1-10月期4.2%

②不動産開発投資

1-10月期の不動産開発投資は10兆9603億元で前年同期比10.3%増である。うち住宅は8兆666億元、14.6%増である。オフィスビルは4988億元、同1.6%増である。地域別では、東部8.4%増、中部10.0%増、西部15.7%増、東北9.5%増となっている。

(参考)(2017年7.0%)→(2018年9.5%)→19年1-2月期11.6%→1-3月期11.8%→1-4月期11.9%→1-5月期11.2%→1-6月期10.9%→1-7月期10.6%→1-8月期10.5%→1-9月期10.5%→1-10月期10.3%

1-10月期の分譲建物販売面積は13億3251万㎡で、前年同期比0.1%増(1-9月期は-0.1%)であった。うち、分譲住宅販売面積は1.5%増(1-9月期は1.1%)、オフィスビルは-11.9%(1-9月期は-11.0%)である。地域別では、東部-2.1%、中部0.6%増、西部3.8%増、東北-5.0%である。

(参考)分譲建物販売面積:(2017年7.7%)→(2018年1.3%)→19年1-2月期-3.6%→1-3月期-0.9%→1-4月期-0.3%→1-5月期-1.6%→1-6月期-1.8%→1-7月期-1.3%→1-8月期-0.6%→1-9月期-0.1%→1-10月期0.1%

1-10月期の分譲建物販売額は12兆4417億元、前年同期比7.3%増(1-9月期は7.1%)であった。うち、分譲住宅販売額は10.8%増(1-9月期は10.3%)、オフィスビルは-11.5%(1-9月期は-11.1%)である。地域別では、東部6.8%増、中部6.8%増、西部10.1%増、東北3.3%増である。

(参考)分譲建物販売額:(2017年13.7%)→(2018年12.2%)→19年1-2月期2.8%→1-3月期5.6%→1-4月期8.1%→1-5月期6.1%→1-6月期5.6%→1-7月期6.2%→1-8月期6.7%→1-9月期7.1%→1-10月期7.3%

10月末の分譲建物在庫面積は4億9323万㎡、9月末比23万㎡減、前年同期比-6.6%で、うち分譲住宅在庫面積は125万㎡減であった。

1-10月期のディベロッパーの資金源は14兆5151億元であり、前年同期比7.0%増(1-9月期は7.1%)であった。うち、国内貸出が2兆1288億元、7.9%増、外資が131億元、63.2%増、自己資金が4兆6996億元、3.3%増、手付金・前受金4兆9163億元、9.4%増、個人住宅ローン2兆2137億元、14.1%増である。

③民間固定資産投資

1-10月期の全国民間固定資産投資は29兆1522億元であり、前年同期比4.4%増である6

(参考)(2018年8.7%)→(2018年8.7%)→19年1-2月期7.5%→1-3月期6.4%→1-4月期5.5%→1-5月期5.3%→1-6月期5.7%→1-7月期5.4%→1-8月期4.9%→1-9月期4.7%→1-10月期4.4%

(5)対外経済
①輸出入

10月の輸出は2129.3億ドル、前年同月比-0.9%、輸入は1701.2億ドル、同-6.4%となった7。貿易黒字は428.1億ドルであった。

(参考)輸出:(2017年7.9%)→(2018年9.9%)→19年1月9.2%→2月-20.8%(1-2月期-4.6%)→3月13.8%→4月-2.8%→5月1.0%→6月-1.3%→7月3.3%→8月-1.0%→9月-3.2%→10月-0.9%

輸入:(2017年 15.9%)→(2018年 15.8%)→19年1月-1.3%→2月-4.6%(1-2月-2.7%)→3月-7.6%→4月4.2%→5月-8.5%→6月-7.1%→7月-5.2%→8月-5.6%→9月-8.3%→10月-6.4%

1-10月期の輸出は2兆379.6億ドル、前年同月比-0.2%、輸入は1兆6976.7億ドル、同-5.1%となった。貿易黒字は3402.9億ドルであった。

1-10月期の輸出入総額が3兆7356.3億ドル、前年同期比-2.5%であったのに対し、対EU3.1%増、対米-14.9%8(9月は-14.8%)、対英7.9%増、対日-5.2%9(9月は-4.9%)、対アセアン6.4%増である。

1-10月期輸出の労働集約型製品のうち、アパレル類前年同期比-4.8%、紡績0.4%、靴0.3%増、家具1.0%増、プラスチック製品11.3%増、鞄-0.1%、玩具26.0%増である。電器・機械は同-0.7%、ハイテク製品は-2.5%である。

②外資利用

1-10月期の外資利用実行額は7524.1億元(ドル換算1107.78億ドル)、前年同期比6.6%増(ドル換算2.9%増)であった10。10月の外資利用実行額は692億元(ドル換算100億ドル)、前年同期比7.4%増(ドル換算2.9%増)であった。

(参考)(2017年7.9%)→(2018年0.9%)→19年1月4.8%→1-2月期5.5%→1-3月6.5%→1-4月6.4%→1-5月6.8%→1-6月7.2%→1-7月7.3%→1-8月6.9%→1-9月6.5%→1-10月6.6%11

1-10月期のサービス業は5383.5億元、前年同月比13.5%増である。ハイテク産業は2224.8億元、同39.5%増で、ウエイトは29.6%に達した。ハイテク製造業12は786.9億元、同5.5%増、ハイテクサービス業13は1438億元、同69.3%増であった。

1-10月期、国内地域別では、東部前年同期比6.8%増、中部同6%増、西部同5.2%増である。自由貿易試験区は1083.9億元、23.9%増、ウエイトは14.4%、長江経済ベルトは3683億元、8%増、ウエイトは49%に達した。

1-10月期、国・地域別では、シンガポール31.7%増、韓国23.9%増、アセアン22.1%増である14

③外貨準備

10月末、外貨準備は3兆1051億ドルであった。9月末に比べ127億ドルの増加(9月は147億ドル減)である。2カ月ぶりに増加に転じた。

④米国債保有

9月末の米国債保有高は、前月比11億ドル減の1兆1024億ドルで、2位。日本は4カ月連続1位となり、289億ドル減の1兆1458億ドルである。

(6)金融

10月末のM2の残高は194.56兆元、伸びは前年同期比8.4%増と、9月末と同水準、前年同期より0.4ポイント加速した。M1は3.3%増で、9月末より0.1ポイント減速、前年同期より0.6ポイント加速した。10月の現金純回収は734億元であった。

人民元貸出残高は150.59兆元で前年同期比12.4%増であり、伸び率は9月末より0.1ポイント減速し、前年同期より0.7ポイント減速した。10月の人民元貸出増は6613億元(9月は1.69兆元)で、前年同期より伸びが357億元減少している。うち住宅ローンは4210億元増、企業等への中長期貸出は2216億元増であった。

人民元預金残高は190.97兆元で、前年同期比8.2%増であった。10月の人民元預金は2372億元増(9月は7193億元増)で、前年同期より伸びが1163億元減少している。うち個人預金は6012億元減、企業預金は6993億元減であった。

(参考)M2 :2017年12月8.1%→18年12月8.1%→19年1月8.4%→2月8%→3月8.6%→4月8.5%→5月8.5%→6月8.5%→7月8.1%→8月8.2%→9月8.4%→10月8.4%

10月末の社会資金調達規模残高は219.6兆元であり、前年同期比10.7%増となった。うち、実体経済への人民元貸出残高15は149.13兆元、12.5%増、委託貸付残高は11.67兆元、-8.4%、信託貸付残高は7.62兆元、-3.4%、企業債券残高は22.81兆元、14.2%増、地方政府特別債券残高9.41兆元、29.6%増、株式残高は7.26兆元、4.1%増である。

構成比では、実体経済への人民元貸出残高は67.9%(前年同期比1.1ポイント増)、委託貸付残高は5.3%(同-1.1ポイント)、信託貸付残高は3.5%(同-0.5ポイント)、企業債券残高は10.4%(同0.3ポイント増)、地方政府特別債券残高は4.3%(同0.6ポイント増)、株式残高は3.3%(同-0.2ポイント)である。

10月の社会資金調達規模(フロー)は6189億元であり、前年同期比1185億元減となった。うち、実体経済への人民元貸出は5470億元増(伸びが前年同期比1671億元減)、委託貸付は667億元減(減少が282億元減)、信託貸付は624億元減(減少が742億元減)、企業債券純資金調達1622億元(99億元増)、地方政府特別債券純資金調達200億元減(減少が1068億元増)、株式による資金調達は180億元(4億元増)である。1-10月期の社会資金調達規模(フロー)は19.41兆元であり、前年同期比3.21兆元増となった。

(7)財政

1-10月期の全国財政収入は16兆7704億元で、前年同期比3.8%増となった16。中央財政収入は8兆662億元、同4.4%増、地方レベルの収入は8兆7042億元、同3.3%増である。税収は14兆1514億元、同0.4%増、税外収入は2兆6190億元、同27.1%増であった。

(参考)財政収入:(2017年7.4%)→(2018年6.2%)→19年1-2月7%→1-3月6.2%→1-4月5.3%→1-5月3.8%→1-6月3.4%→1-7月3.1%→1-8月3.2%→1-9月3.3%→1-10月3.8%

1-10月期の全国財政支出は19兆587億元、前年同期比8.7%増であった17。中央レベルの支出は2兆7577億元、同9.0%増、地方財政支出は16兆3010億元、同8.7%増である。

なお、1-10月期の地方政府基金収入は5兆6740億元、前年同期比9.1%増であり、うち国有地土地使用権譲渡収入は同6.9%増(9月は5.8%)であった。

10月末の地方政府債務残高は21兆3800億元。うち、一般債務は11兆9235億元、特別債務は9兆4565億元である。なお、1-10月期に新たに増発した債券は3兆367億元(うち一般債券9070億元、特別債券2兆1297億元)である。10月は、新規債券は発行されていない。このほか借換・再融資債券1兆2420億元である。

(8)雇用

10月の全国都市調査失業率は5.1%、うち、全国25-59歳の調査失業率は4.6%で、9月と同水準であった。31大都市調査失業率は5.1%となった(年間目標は、いずれも5.5%前後)。

(参考)全国都市調査失業率:2018年12月4.9%→19年1月5.1%→2月5.3%→3月5.2%→4月5.0%→5月5.0%→6月5.1%→7月5.3%→8月5.2%→9月5.2%→10月5.1%

31大都市調査失業率:2018年12月4.7%→19年2月5.0%→3月5.1%→4月5.0%→5月5.0%→6月5.0%→7月5.2%→8月5.2%→9月5.2%→10月5.1%

1-10月期の新規就業者増は1193万人(年間目標1100万人以上)18であった。

(9)社会電力使用量

10月は前年同期比5.0%増である。うち、第1次産業は9.1%増、第2次産業は3.4%増、第3次産業は14.5%増、都市・農村住民生活用は2.7%増であった。

1-10月期は前年同期比4.4%増である。うち、第1次産業は5.2%増、第2次産業は3.0%増、第3次産業は9.3%増、都市・農村住民生活用は5.9%増であった。

(参考)(2017年6.6%)→(2018年8.5%)→19年2月7.2%(1-2月期4.5%)→3月7.5%→4月5.8%→5月2.3%→6月5.5%→7月2.7%→8月3.6%→9月4.4%→10月5.0%

(10)輸送

1-10月期の鉄道貨物輸送量は35.42億トン、前年同期比6.4%増であった。10月の鉄道貨物輸送量は3.87億トン、前年同期比9%増であった。

1-10月期の道路貨物輸送量は339.63億トン、同5.2%増であった。10月の道路貨物輸送量は36.84億トン、同1.5%増であった。

1-10月期の全社会貨物輸送量は436.44億トン、同5.5%増であった。10月の全社会貨物輸送量は47.42億トン、同2.5%増であった。

(参考)鉄道貨物:(2017年10.7%)→(2018年9.1%)→19年1-2月3.3%→1-3月3.0%→1-4月4.6%→1-5月5.1%→1-6月5.5%→1-7月6%→1-8月6.1%→1-9月6.1%→1-10月6.4%

道路貨物:(2017年10.1%)→(2018年7.4%)→19年1-2月4.1%→1-3月5.9%→1-4月5.8%→1-5月5.8%→1-6月5.7%→1-7月5.8%→1-8月5.8%→1-9月5.7%→1-10月5.2%

全社会貨物:(2017年9.3%)→(2018年7.1%)→19年1-2月4.6%→1-3月6.1%→1-4月6.1%→1-5月6.0%→1-6月5.9%→1-7月6.1%→1-8月6%→1-9月5.9%→1-10月5.5%

  1. 国家統計局によれば、2011年のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
  2. コア消費者物価は2013年から公表が開始された。
  3. 2019年1月は0.52%増、2月は0.45%増、3月は0.92%増、4月は0.30%増、5月は0.43%増、6月は0.68%増、7月は0.19%増、8月は0.34%増、9月は0.71%増である。
  4. 2019年1月は0.84%増、2月は0.39%増、3月は0.91%増、4月は0.40%増、5月は0.64%増、6月は0.87%増、7月は0.19%増、8月は0.65%増、9月は0.68%増である。
  5. 2019年1月は0.45%増、2月は0.42%増、3月は0.42%増、4月は0.40%増、5月は0.39%増、6月は0.41%増、7月は0.41%増、8月は0.41%増、9月は0.42%増である。
  6. この統計は2012年から公表が開始された。
  7. 前月比では、輸出-2.4%、輸入-4.9%である。10月の春節要因調整後前年同月比は、輸出-1.3%、輸入-10.2%、前月比では輸出-1.6%、輸入3.7%増である。
  8. 輸出1月-2.4%→2月-28.6%→3月3.7%増→4月-13.1%→5月-4.2%→6月-7.8%→7月-6.5%→8月-16.0%→9月-21.9%→10月-16.2%、輸入1月-41.2%→2月-26.1%→3月-25.8%→4月-25.7%→5月-26.8%→6月-31.4%→7月-19.1%→8月-22.3%→9月-15.7%→10月-14.3%である。
  9. 1-10月期の輸出は2576.5億ドル、-2.1%、輸入は1178.1億ドル、-7.6%である。10月の輸出は257.7億ドル、-7.8%(9月は-5.0%)、輸入は116.3億ドル、-7.3%(9月は-6.7%)である。
  10. 伸びは人民元ベースである。
  11. ドルベースでは、(2017年4%)→(2018年3%)→19年1月4.8%→1-2月3.0%→1-3月3.7%→1-4月3.5%→1-5月3.7%→1-6月3.5%→1-7月3.6%→1-8月3.2%→1-9月2.9%→1-10月2.9%である。
  12. 航空・宇宙関連機器及び装置製造業、電子・通信設備製造業、計算機・オフィス設備製造業などが含まれる。
  13. 情報サービス、研究・設計サービス、科学技術成果実用化サービスなどが含まれる。
  14. 1-10月期、ドルベースでは、シンガポール55.2億ドル、韓国50.4億ドル、日本33.3億ドル、米国27億ドル、英国20.3億ドル、ドイツ14.4億ドル、オランダ10.3億ドルである。
  15. 一定期間内に実体経済(非金融企業と世帯)が金融システムから得た人民元貸出であり、銀行からノンバンクへの資金移し替えは含まない。
  16. 主な収入の内訳は、国内増値税5兆4346億元、前年同期比3.2%増、国内消費税1兆2120億元、18.7%増、企業所得税3兆6350億元、5.6%増、個人所得税8776億元、-28.6%、輸入貨物増値税・消費税1兆3323億元、-9.2%、関税2364億元、-3.6%である。輸出に係る増値税・消費税の還付は1兆3694億元であり、10.4%増である。都市維持建設税は4117億元、-0.4%、車両購入税は2927億元、-0.4%、印紙税は2157億元、12.4%増(うち証券取引印紙税は1132億元、27.5%増)、資源税は1583億元、11.6%増、環境保護税は218億元、46.7%増である。不動産関連では、契約税5168億元、前年同期比6.6%増、土地増値税5477億元、11.7%増、不動産税2410億元、1.5%増、耕地占用税1146億元、7.1%増、都市土地使用税1819億元、-11.1%であった。
  17. 主な支出は、教育2兆7687億元、前年同期比9.2%増、科学技術6386億元、10.9%増、文化・観光・スポーツ・メディア2859億元、4.2%増、社会保障・雇用2兆5070億元、8.7%増、衛生・健康1兆4324億元、9.9%増、省エネ・環境保護5057億元、15.2%増、都市・農村コミュニティ2兆1436億元、11.3%増、農林・水産1兆6167億元、6.9%増、交通・運輸9628億元、7.9%増、債務利払い7129億元、13.2%増である。
  18. 2018年は1361万人である。