6月の主要経済指標

中国経済レポート

新領域研究センター 田中 修

2019年7月31日


1-6月期のGDPは45兆933億元であり、実質6.3%の成長となった1。1-3月期6.4%、4-6月期6.2%である2。第1次産業は2兆3207億元、3.0%増、第2次産業は17兆9984億元、5.8%増、第3次産業は24兆7743億元、7.0%増である。付加価値に占める3次産業のウエイトは54.9%、2次産業は39.9%、1次産業は5.2%である3。3次産業の成長率への寄与率は60.3%、2次産業は37.1%であった。

前期比では、1-3月期1.4%、4-6月期1.6%である4

これを需要項目別の成長率への寄与率でみると、最終消費は60.1%、資本形成は19.2%、純輸出は20.7%であった5

(1)物価
①消費者物価

6月の消費者物価は前年同月比2.7%上昇し、上昇率は5月と同水準であった。都市は2.7%、農村は2.7%の上昇である。食品価格は8.3%上昇し(5月は7.7%)、非食品価格は1.4%上昇(5月は1.6%)している。衣類は1.8%上昇、居住価格は1.6%上昇した6。1-6月期では、前年同期比2.2%の上昇である。

(参考)(2017年1.6%)18年9月2.5%→10月2.5%→11月2.2%→12月1.9%(2018年2.1%)→19年1月1.7%→2月1.5%→3月2.3%→4月2.5%→5月2.7%→6月2.7%

前月比では、5月より0.1ポイント下落(5月は0.0%)した。食品価格は0.3%下落(5月は0.2%)した。食品・タバコ・酒価格は5月より0.2ポイント下落、物価への影響は約-0.05ポイント、うち生鮮野菜は9.7%下落(5月は-7.9%)し、物価への影響は約-0.25ポイント、鶏肉類価格は0.7%上昇、物価への影響は約0.01ポイント、鶏卵価格が2.6%下落、物価への影響は約-0.01ポイント、水産品価格は0.9%下落、物価への影響は約-0.02ポイント、畜肉類価格は2.2%上昇、物価への影響は約0.10ポイント、(豚肉価格は3.6%上昇、物価への影響は約0.09ポイント)であった。果物価格は5.1%上昇し、物価への影響は約0.11ポイントであった。非食品価格は0.1%下落し(5月は0.0%)、衣類は0.1%下落(5月は0.1%)、居住価格は0.0%(5月は0.0%)であった。

食品・エネルギーを除いた消費者物価(コア消費者物価)は、6月が前年同月比1.6%の上昇(5月は1.6%)、前月比では0.1%の上昇(5月は0.0%)であ7。1-6月期は1.8%の上昇である。

なお、国家統計局は、6月の前年同月比上昇率2.7%のうち食品・タバコ・酒価格は6.1%上昇し、物価への影響は約1.79ポイントとなり、このうち畜肉類価格は14.4%上昇、物価への影響は約0.59ポイント(豚肉価格は21.1%上昇、物価への影響は約0.45ポイント)、鶏肉価格は7.4%上昇、物価への影響は約0.09ポイントである。このほか生鮮野菜価格が4.2%上昇、物価への影響は約0.10ポイント、鶏卵価格が6.1%上昇、物価への影響は約0.03ポイント、果物価格は42.7%上昇、物価への影響は約0.71ポイント、水産品価格は0.5%下落、物価への影響は約-0.01ポイント、食糧価格は0.6%上昇し、物価への影響は約0.01ポイントであった。

また6月の2.7%上昇のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約1.5ポイント、新たなインフレ要因は約1.2ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董雅秀処長は、前月比が0.0%から-0.1%に転じたのは、1)生鮮野菜が市場に大量に出回り、価格が下落した、2)鶏卵の雛鶏補充生産が始まり鶏卵の供給が充足し、価格が下落した、3)エビ・蟹の供給が増加し、価格が下落した、4)スイカ・桃等の果物が集中的に市場に出回り価格が下落したが、リンゴ・梨価格は引き続き上昇し、加えて南方の一部地域で幾度も強い雨が降り、収穫・輸送に影響が出て、ドラゴンフルーツ・パイナップル等の価格が上昇した、現在果物価格は歴史的な高水準にある、5)豚肉供給がやや逼迫し、価格が上昇した、6)石油製品価格調整の影響を受け、ガソリン価格が3.5%下落、ディ-ゼル油価格が3.7%下落し、CPIを0.07ポイント押し下げた、点を挙げている。

また、6月の前年同月比消費者物価上昇幅が、5月と同水準であった特徴として、1)果物価格が大きく上昇したが、気候等の要因の影響のほか、昨年同期の価格がかなり低かったことも上昇幅拡大の原因の1つとなった、2)豚肉価格の上昇幅が拡大した、3)生鮮野菜価格の上昇幅が縮小した、4)医療保健、教育・文化・娯楽、居住価格が上昇し、CPIを約0.84ポイント押し上げた、としている。

②工業生産者出荷価格

6月の工業生産者出荷価格は前年同月と同水準であった。前月比では5月より0.3%下落(5月は0.2%)した。1-6月期は、前年同期比0.3%上昇である。

(参考)(2017年6.3%)18年9月3.6%→10月3.3%→11月2.7%→12月0.9%(2018年3.5%)→19年1月0.1%→2月0.1%→3月0.4%→4月0.9%→5月0.6%→6月0.0%

6月の工業生産者購入価格は、前年同月比0.3%下落(5月は0.0%)した。前月比では5月より0.1%下落(5月は0.2%)であった。1-6月期は、前年同期比0.1%上昇である。

また6月の0.0%のうち、前年の価格上昇の本年への影響は約0.3ポイント、新たなインフレ要因は約-0.3ポイントである。

なお、国家統計局都市司の董雅秀処長は、前月比では上昇幅が0.2%から-0.3%に転じたが、その特徴は、1)石油関連業種が国際原油価格の変動の影響を受け、石油・天然ガス採掘業、石油・石炭その他燃料加工業価格の上昇が下落に転じ、2)市場供給充足の影響を受け、鉄金属精錬・圧延加工業価格の上昇が下落に転じ、3)最近の鉄鉱石需要の増加・供給のやや逼迫の影響を受け、鉄金属採掘・洗浄業価格が上昇した、とする。

また、前年同月比では、上昇から横ばいに転じたたが、その特徴は、1)石炭採掘・洗浄業、非金属鉱物製造業価格の上昇幅が縮小し、2)石油・石炭その他燃料加工業、石油・天然ガス採掘業、鉄金属精錬・圧延加工業価格が上昇から下落に転じ、3)鉄金属採掘・洗浄業価格の上昇幅が拡大した、とする。

③住宅価格

6月の全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格は前月比5都市が低下(5月は2)し、同水準は1(5月は1)であった。上昇は64である(5月は67)。

前年同月比では、価格が下落したのは0都市(5月は0)であった。同水準は0(5月は0)、上昇は70(5月は70)である。

国家統計局都市司の劉建偉高級統計師は、「6月は、各地方が、党中央・国務院の手配を貫徹実施し、『住宅は住むためのものであって、投機のためのものではない』という位置づけを常に堅持し、地価・住宅価格・予想を安定させることを軸に、主体的責任を打ち立て、不動産市場の平穏で健全な発展を確保した。

前月比では、70大中都市のうち、4の一線都市の新築分譲住宅価格は0.2%上昇し、上昇幅は5月より0.1ポイント縮小した。うち北京は0.1%下落、上海は0.3%上昇、広州は0.3%上昇、深?は0.5%上昇した。31の二線都市の新築価格は0.8%上昇し、上昇幅は3カ月連続同水準であった。35の三線都市の新築価格は0.7%上昇し、上昇幅は5月より0.1ポイント縮小した。

前年同月比では、70大中都市のうち、一線都市の新築価格は4.4%上昇し、上昇幅は5月と0.3ポイント縮小した。二線都市の新築価格は11.4%上昇し、上昇幅は5月より0.7ポイント縮小した。三線都市の新築価格は10.9%上昇し、上昇幅は5月より0.4ポイント縮小した」と指摘している。

(2)工業

6月の工業生産は前年同月比実質6.3%増となった。6月は前月比では、0.68%増となった8。主要製品別では、発電量2.8%増(5月は0.2%)、鋼材12.6%増(5月は11.5%)、セメント6.0%増(5月は7.2%)、自動車-15.2%(うち乗用車-16.8%、SUV車-14.5%、新エネルギー車50.5%増)となっている。5月の自動車-21.5%(うち乗用車-23.8%、SUV車-25.6%、新エネルギー車16.0%増)に比べ、自動車・乗用車のマイナス幅が縮小し、新エネルギー車が大きく拡大した。地域別では、東部6.1%増、中部8.5%増、西部7.9%増、東北4.3%増である。

(参考)(2017年6.6%)18年9月5.8%→10月5.9%→11月5.4%→12月5.7%(2018年6.2%)→19年1-2月期5.3%→3月8.5%→4月5.4%→5月5.0%→6月6.3%

1-6月期の工業生産は前年同月比実質6.0%増となった。主要製品別では、発電量3.3%増、鋼材11.4%増、セメント6.8%増、自動車-14.2%(うち乗用車-16.1%、SUV車-18.7%、新エネルギー車34.6%増)となっている。

1-6月期の一定規模以上の工業企業利潤総額は2兆9840.0億元、前年同期比2.4%減(1-5月期-2.3%)であった。うち国有株支配企業の利潤総額は9368.8億元、同8.7%減、株式制企業は2兆1390.6億元、同0.2%増、外資企業は7186.2億元、同8.4%減、私営企業は7430.7億元、同6.0%増である。6月の一定規模以上の工業企業利潤総額は6019.2億元、前年同期比3.1%減(5月1.1%)であった。

1-6月期の一定規模以上の工業企業の本業営業収入100元当たりのコストは84.33元(1-5月期84.36元、前年同期比0.22元増)である。6月末の資産負債率は57.0%(5月末56.8%、前年同期比0.3ポイント減)であった。

なお、国家統計局工業司の朱虹統計師は、「1-6月期の利潤が比較的多かったのは、建材、電力、電気機械・器材、酒・飲料・精製茶製造業であり、この4業種で利潤を2.6ポイント押し上げた。利潤減少は、市場需要低迷により自動車製造の利潤が大幅に減少し、原油・鉄鉱石価格の上昇等の要因を受けて、石油加工、鉄鋼の利潤が減少し、この3業種で利潤を6.3ポイント押し下げた」としている。

(3)消費

6月の社会消費品小売総額は3兆3878億元、前年同月比9.8%増である。6月は前月比では、0.96%増である9。都市は9.8%増、農村は10.1%増である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は1兆3163億元、同9.7%増であり、うち穀類・食用油・食品9.8%増、アパレル・靴・帽子類5.2%増、建築・内装1.1%増、家具8.3%増、自動車17.2%増、家電・音響機器類7.7%増となっている。自動車の伸びは、5月の2.1%増からプラス幅が拡大していた。

(参考)(2017年10.2%)18年9月9.2%→10月8.6%→11月8.1%→12月8.2%(2018年9.0%)→19年1-2月期8.2%→3月8.7%→4月7.2%→5月8.6%→6月9.8%

1-6月期の社会消費品小売総額は19兆5210億元、前年同月比8.4%増(実質6.7%増)である。都市は8.3%増、農村は9.1%増である。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は7兆1124億元、同4.9%増であり、うち穀類・食用油・食品10.4%増、アパレル・靴・帽子類3.0%増、建築・内装3.6%増、家具5.7%増、自動車1.2%増、家電・音響機器類6.7%増となっている。

1-6月期、一定額以上のレストランの収入は7.2%増であった。全国インタ-ネット商品・サ-ビス小売額は4兆8161億元で、前年同期比17.8%増となった。うち実物商品は3兆8165億元、同21.6%増で、社会消費品小売総額の19.6%を占めている。

(4)投資
①都市固定資産投資

1-6月期の都市固定資産投資は29兆9100億元で、前年同期比5.8%増であった。6月は前月比では0.44%増である10。地域別では、東部4.4%増、中部9.4%増、西部6.1%増、東北-3.6%となっている。内資企業は6%増で、1-5月より0.2ポイント増、外資企業は1.2%増、同1.6ポイント減である。

インフラ投資(電力・熱・天然ガス・水生産供給以外)は前年同期比4.1%増(1-5月期は4.0%)である。うち、鉄道運輸は14.1%増(1-5月期は15.1%)、道路輸送は8.1%増(1-5月期は6.2%)、水利1.1%増(1-5月期は-1.8%)、公共施設-0.3%(1-5月期は-0.8%)、生態環境保護・環境対策48.0%増であった。

(参考)都市固定資産投資:(2017年7.2%)18年1-9月期5.4%→1-10月期5.7%→1-11月期5.9%→2018年5.9%→19年1-2月期6.1%→1-3月期6.3%→1-4月期6.1%→1-5月期5.6%→1-6月期5.8%

インフラ投資: (2017年19.0%)18年1-9月期3.3%→1-10月期3.7%→1-11月期3.7%→2018年3.8%→19年1-2月期4.3%→1-3月期4.4%→1-4月期4.4%→1-5月期4.0%→1-6月期4.1%

②不動産開発投資

1-6月期の不動産開発投資は6兆1609億元で前年同期比10.9%増である。うち住宅は4兆5167億元、15.8%増で、不動産開発投資に占める比重は73.3%である。オフィスビルは2815億元、同-0.7%である。地域別では、東部9.9%増、中部8.9%増、西部15.5%増、東北12.7%増となっている。

(参考)(2017年7.0%)18年1-9月期9.9%→1-10月期9.7%→1-11月期9.7%→2018年9.5%→19年1-2月期11.6%→1-3月期11.8%→1-4月期11.9%→1-5月期11.2%→1-6月期10.9%

1-6月期の分譲建物販売面積は7億5786万㎡で、前年同期比-1.8%(1-5月期は-1.6%)であった。うち、分譲住宅販売面積は-1.0%(1-5月期は-0.7%)、オフィスビルは-10.0%(1-5月期は-12.2%)である。地域別では、東部-4.6%、中部-0.5%、西部2.3%増、東北-8.3%である。

(参考)分譲建物販売面積:(2017年7.7%)18年1-9月期2.9%→1-10月期2.2%→1-11月期1.4%→2018年1.3%→19年1-2月期-3.6%→1-3月期-0.9%→1-4月期-0.3%→1-5月期-1.6%→1-6月期-1.8%

1-6月期の分譲建物販売額は7兆698億元、前年同期比5.6%増(1-5月期は6.1%)であった。うち、分譲住宅販売額は8.4%増(1-5月期は8.9%)、オフィスビルは-12.5%(1-5月期は-12.3%)である。地域別では、東部4.7%増、中部6.1%増、西部8.4%増、東北0.9%増である。

(参考)分譲建物販売額:(2017年13.7%)18年1-9月期13.3%→1-10月期12.5%→1-11月期12.1%→2018年12.2%→19年1-2月期2.8%→1-3月期5.6%→1-4月期8.1%→1-5月期6.1%→1-6月期5.6%

6月末の分譲建物在庫面積は5億162万㎡、5月末比766万㎡減、前年同期比-8.9%で、うち分譲住宅在庫面積は672万㎡減であった。

1-6月期のディベロッパ-の資金源は8兆4966億元であり、前年同期比7.2%増(1-5月期は7.6%)であった。うち、国内貸出が1兆3330億元、8.4%増、外資が43億元、51.8%増、自己資金が2兆6731億元、4.7%増、手付金・前受金2兆8465億元、9.0%増、個人住宅ロ-ン1兆2806億元、11.1%増である。

③民間固定資産投資

1-6月期の全国民間固定資産投資は18兆289億元であり、前年同期比5.7%増である11

(参考)(2018年8.7%)1-8月期8.7%→1-9月期8.7%→1-10月期8.8%→1-11月期8.7%→2018年8.7%→19年1-2月期7.5%→1-3月期6.4%→1-5月期5.5%→1-5月期5.3%→1-6月期5.7%

(5)対外経済
①輸出入

6月の輸出は2128.4億ドル、前年同月比-1.3%、輸入は1618.6億ドル、同-7.3%となった12。貿易黒字は509.8億ドルであった。

(参考)輸出:(2017年7.9%)18年9月13.9%→10月14.3%→11月3.9%→12月-4.4%(2018年9.9%)→19年1月9.3%→2月-20.8%(1-2月期-4.6%)→3月13.8%増→4月-2.7%→5月1.1%→6月-1.3%

輸入:(2017年 15.9%)18年9月14.3%→10月20.3%→11月2.9%→12月-7.6%(2018年 15.8%)→19年1月-1.3%→2月-4.8%(1-2月-2.8%)→3月-7.8%→4月4.1%→5月-8.5%→6月-7.3%

1-6月期の輸出は1兆1711.5億ドル、前年同月比0.1%増、輸入は9899.9億ドル、同-4.3%となった。貿易黒字は1811.6億ドルであった。

1-6月期の輸出入総額が2兆1611.5億ドル、前年同期比-2.0%であったのに対し、対EU4.9%増、対米-14.2%13(5月は-14.5%)、対英10.1%増、対日-4.0%14(5月は-4.5%)、対アセアン4.2%増である。

1-6月期輸出の労働集約型製品のうち、アパレル類前年同期比-4.9%、紡績0.7%増、靴-0.2%、家具2.2%増、プラスチック製品10.5%増、鞄0.0%増、玩具23.7%増である。電器・機械は同-0.6%、ハイテク製品は-2.3%である。

②外資利用

1-6月期の外資利用実行額は4783.3億元(707.4億ドル)、前年同期比7.2%増(ドル換算3.5%増)であった15。6月の外資利用実行額は1092.7億元(161.3億ドル)、前年同期比8.5%増(ドル換算3%増)であった。

(参考)(2017年7.9%)18年1-8月2.3%→1-9月2.9%→1-10月3.3%→1-11月-1.3%→2018年0.9%→19年1月4.8%→1-2月期5.5%→1-3月6.5%→1-4月6.4%→1-5月6.8%→1-6月7.2%16

1-6月期のハイテク産業は同44.3%増で、ウエイトは28.8%に達した。ハイテク製造業17は502.8億元、同13.4%増、ハイテクサ-ビス業18は875.6億元、同71.1%増であった。

1-6月期、国内地域別では、西部349.6億元、同21.2%増、自由貿易試験区は同20.1%増、ウエイトは14.5%に達した。

1-6月期、国・地域別では、韓国63.8%、シンガポール10.5%、日本13.1%、ドイツ81.3%増、EU22.5%増、アセアン7.2%である19

③外貨準備

6月末、外貨準備は3兆1192億ドルであった。5月末に比べ182億ドルの増加(5月は61億ドル増)である。増加は2カ月連続である。

④米国債保有

5月末の米国債保有高は、前月比28億ドル減の1兆1102億ドルで、24カ月連続首位、3カ月連続減少となった。日本は2位のままで、370億ドル増の1兆1010億ドルである。

(6)金融

6月末のM2の残高は192.14兆元、伸びは前年同期比8.5%増と、5月末と同水準、前年同期より0.5ポイント加速した。M1は4.4%増で、5月末より1ポイント加速、前年同期より2.2ポイント減速した。1-6月期の現金純回収は628億元であった。

人民元貸出残高は145.97兆元で前年同期比13%増であり、伸び率は5月末より0.4ポイント減速し、前年同期より0.3ポイント加速した。6月の人民元貸出増は1.66兆元(5月は1.18兆元)で、前年同期より伸びが1786億元減少している。1-6月期の人民元貸出増は9.67兆元で、前年同期より伸びが6440億元増加している。うち住宅ロ-ンは3.76兆元増、企業等への中長期貸出は3.48兆元増であった。

人民元預金残高は187.57兆元で、前年同期比8.4%増であった。6月の人民元預金は2.27兆元増(5月は1.22兆元増)で、前年同期より伸びが1710億元増加している。1-6月期の人民元預金は10.05兆元増で、前年同期より伸びが1.05兆元増加している。うち個人預金は6.82兆元増、企業預金は1.84兆元増であった。

(参考)M2 :2017年12月8.1%→18年9月8.3%→10月8%→11月8%→12月8.1%→19年1月8.4%→2月8%→3月8.6%→4月8.5%→5月8.5%→8.5%

6月末の社会資金調達規模残高は213.26兆元であり、前年同期比10.9%増となった。うち、実体経済への人民元貸出残高20は144.71兆元、13.2%増、委託貸付残高は11.89兆元、-9.9%、信託貸付残高は7.88兆元、-4.9%、企業債券残高は21.28兆元、11.2%増、地方政府特別債券残高8.45兆元、44.7%増、株式残高は7.13兆元、3.3%増である。

構成比では、実体経済への人民元貸出残高は67.9%(前年同期比1.4ポイント増)、委託貸付残高は5.6%(同-1.3ポイント)、信託貸付残高は3.7%(同-0.6ポイント)、企業債券残高は10%(同0.1ポイント増)、地方政府特別債券残高は4%(同1ポイント増)、株式残高は3.3%(同-0.3ポイント)である。

6月の社会資金調達規模(フロ-)は2.26兆元であり、前年同期比7705億元増となった。1-6月期の社会資金調達規模(フロ-)は13.23兆元であり、前年同期比3.18兆元増となった。うち、実体経済への人民元貸出は10.02兆元増(伸びは前年同期比1.26兆元増)、委託貸付は4933億元減(同3070億元減)、信託貸付は928億元増(同2815億元増)、企業債券純資金調達1.46兆元(同4382億元増)、地方政府特別債券純資金調達1.19兆元(同8258億元増)、株式による資金調達は1205億元(同1306億元減)である。

構成比では、実体経済への人民元貸出は75.8%(前年同期比-11.4ポイント)、委託貸付は-3.7%(同4.3ポイント増)、信託貸付は0.7%(同2.6ポイント増)、企業債券残高は11%(同0.8ポイント増)、地方政府特別債券は9%(同5.4ポイント増)、株式は0.9%(同-1.6ポイント)である。

(7)財政

1-6月期の全国財政収入は10兆7846億元で、前年同期比3.4%増となった21。中央財政収入は5兆1589億元、同3.4%増、地方レベルの収入は5兆6257億元、同3.3%増である。税収は9兆2424億元、同0.9%増、税外収入は1兆5422億元、同21.4%増であった。

(参考)財政収入:(2017年7.4%)18年1-9月8.7%→1-10月期7.4%→1-11月6.5%→(2018年6.2%)→19年1-2月7%→1-3月6.2%→1-4月5.3%→1-5月3.8%→1-6月3.4%

1-6月期の全国財政支出は12兆3538億元、前年同期比10.7%増であった22。中央レベルの支出は1兆6890億元、同9.9%増、地方財政支出は10兆6648億元、同10.8%増である。

なお、1-6月期の地方政府基金収入は2兆9792億元、前年同期比1.6%増であり、うち国有地土地使用権譲渡収入は同-0.8%(5月は-6%)であった。

6月末の地方政府債務残高は20兆5477億元。うち、一般債務は11兆8397億元、特別債務は8兆7080億元である。なお、1-6月期に新たに増発した債券は2兆1765億元(うち一般債券7899億元、特別債券1兆3866億元)であり、年間発行限度額3兆800億元の70.7%である。うち6月は7170億元であり、1-6月期の類計発行規模の3分の1、単月の発行規模の新記録となった。このほか借換・再融資債券6607億元である。

(8)雇用

6月の全国都市調査失業率は5.1%、うち、全国25-59歳の調査失業率は4.6%で、5月より0.1ポイント悪化した。31大都市調査失業率は5.0%となった(年間目標は、いずれも5.0%以内)。

(参考)全国都市調査失業率:2018年9月4.9%→10月4.9%→11月4.8%→12月4.9%→19年1月5.1%→2月5.3%→3月5.2%→4月5.0%→5月5.0%→6月5.1%

31大都市調査失業率:2018年9月4.7%→10月4.7%→11月4.7%→12月4.7%→19年2月5.0%→3月5.1%→4月5.0%→5月5.0%→6月5.0%

1-6月期の新規就業者増は737万人(年間目標1100万人以上の約67%)23であった。

(9)社会電力使用量

6月は前年同期比5.5%増である。うち、第1次産業は3.8%増、第2次産業は4.9%増、第3次産業は8.1%増、都市・農村住民生活用は5.7%増であった。

1-6月期は前年同期比5.0%増である。うち、第1次産業は5.0%増、第2次産業は3.1%増、第3次産業は9.4%増、都市・農村住民生活用は9.6%増であった。

(参考)(2017年6.6%)18年9月8%→10月6.7%→11月6.3%→(2018年8.5%)→2月7.2%(1-2月期4.5%)→3月7.5%→4月5.8%→5月2.3%→6月5.5%

(10)輸送

1-6月期の鉄道貨物輸送量は20.65億トン、前年同期比5.5%増であった。6月の鉄道貨物輸送量は3.54億トン、前年同期比7.5%増であった。

1-6月期の道路貨物輸送量は190.08億トン、同5.7%増であった。6月の道路貨物輸送量は35.86億トン、同5.5%増であった。

1-6月期の全社会貨物輸送量は245.81億トン、同5.9%増であった。6月の全社会貨物輸送量は45.91億トン、同5.5%増であった。

(参考)鉄道貨物:(2017年10.7%)18年1-9月7.9%→1-10月8.2%→1-11月8.7%→(2018年9.1%)→19年1-2月3.3%→1-3月3.0%→1-5月4.6%→1-6月5.1%→1-6月5.5%

道路貨物:(2017年10.1%)18年1-9月7.5%→1-10月7.7%→1-11月7.5%→(2018年7.4%)→19年1-2月4.1%→1-3月5.9%→1-4月5.8%→1-5月5.8%→1-6月5.7%

全社会貨物:(2017年9.3%)18年1-9月7%→1-10月7.3%→1-11月7.2%→(2018年7.1%)→19年1-2月4.6%→1-3月6.1%→1-4月6.1%→1-5月6.0%→1-6月5.9%

(11)所得

1-6月期の都市住民1人当たり平均可処分所得は2万1342元であり、前年同期比実質5.7%(名目8.0%)増加した24

農民1人当たり可処分所得は7778元であり、同実質6.6%(名目8.9%)増加した25。農民の収入の伸びが都市住民の収入の伸びを上回った。出稼ぎ農民(1億8248万人)の月平均収入は3913元、名目6.9%増であった。

都市・農村1人当たりの可処分所得格差は、2.74:1である(前年同期より0.03ポイント縮小)26

全国住民1人当りの可処分所得は1万5294元であり、実質6.5%増(名目8.8%増)であった27。うち、賃金所得は8793元、名目8.7%増、経営純所得は2467元、名目8.9%増、財産純所得は1321元、名目13.2%増、移転純所得は2715元、名目6.8%増である。全国住民1人当たり可処分所得の中位数は1万3281元であり、名目9.0%増である。

1-3月期の住民1人当たり消費支出は1万330元、実質5.2%(名目7.5%)増加し、都市住民1人当たり消費支出は1万3565元、実質4.1%(名目6.4%)増28、農民1人当たり消費支出は6310元、実質6.4%(名目8.7%)増であった。

(12)省エネ

1-6月期、GDP単位当りエネルギー消費は前年同期比で2.7%低下した29

  1. 2010年10.6%、2011年9.5%、2012年7.9%、2013年7.8%、2014年7.3%、2015年6.9%、2016年6.7%、2017年6.8%、2018年6.6%である。
  2. 2018年1-3月期6.8%、4-6月期6.7%、7-9月期6.5%、10-12月期6.4%である。
  3. 2018年のウエイトは3次産業52.2%、2次産業40.7%、1次産業7.1%である。
  4. 2018年1-3月期1.5%、4-6月期1.7%、7-9月1.6%、10-12月期1.5%である。
  5. 2018年の成長率への寄与率(速報ベース)は、最終消費76.2%、資本形成32.4%、純輸出-8.6%である。
  6. 国家統計局によれば、2011年のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
  7. コア消費者物価は2013年から公表が開始された。
  8. 2018年9月は0.49%増、10月は0.48%増、11月は0.39%増、12月は0.49%増、19年1月は0.46%増、2月は0.46%増、3月は0.96%増、4月は0.37%増、5月は0.38%増である。
  9. 2018年9月は0.74%増、10月は0.79%増、11月は0.71%増、12月は0.72%増、19年1月は0.91%増、2月は0.49%増、3月は0.99%増、4月は0.51%増、5月は0.75%増である。
  10. 2018年9月は0.46%増、10月は0.46%増、11月は0.45%増、12月は0.42%増、19年1月は0.44%増、2月は0.46%増、3月は0.46%増、4月は0.43%増、5月は0.42%増である。
  11. この統計は2012年から公表が開始された。
  12. 前月比では、輸出-0.5%、輸入-6.0%である。6月の春節要因調整後前年同月比は、輸出2.6%増、輸入-2.4%、前月比では輸出4.6%増、輸入3.2%増である。
  13. 輸出11月9.8%増→12月-3.3%→1月-2.4%→2月-28.6%→3月3.7%増→4月-13.1%→5月-4.2%→6月-7.8%、輸入11月-25.0%→12月-35.8%→1月-41.2%→2月-26.1%→3月-25.8%→4月-25.7%→5月-26.8%→6月-31.4%である。
  14. 1-6月期の輸出は695.3億ドル、-1.1%、輸入は816.1億ドル、-6.4%である。6月の輸出は121.3億ドル、2.4%増(5月は0.5%)、輸入は140.0億ドル、-5.0%(5月は-15.9%)である。
  15. 伸びは人民元ベ-スである。
  16. ドルベ-スでは、(2017年4%)18年1-9月6.4%→1-10月6.5%→1-11月1.1%→2018年3%→19年1月4.8%→1-2月3.0%→1-3月3.7%→1-4月3.5%→1-5月3.7%→1-6月3.5%である。
  17. 航空・宇宙関連機器及び装置製造業、電子・通信設備製造業、計算機・オフィス設備製造業などが含まれる。
  18. 情報サ-ビス、研究・設計サ-ビス、科学技術成果実用化サ-ビスなどが含まれる。
  19. 1-6月期、ドルベ-スでは、韓国36.4億ドル、シンガポ-ル33.2億ドル、日本19.8億ドル、米国16.3億ドル、英国13.6億ドル、ドイツ11.3億ドル、オランダ7.2億ドルである。
  20. 一定期間内に実体経済(非金融企業と世帯)が金融システムから得た人民元貸出であり、銀行からノンバンクへの資金移し替えは含まない。
  21. 主な収入の内訳は、国内増値税3兆5570億元、前年同期比5.9%増、国内消費税8471億元、23.3%増、企業所得税2兆5199億元、5.3%増、個人所得税5639億元、-30.6%、輸入貨物増値税・消費税8291億元、-2.7%、関税1405億元、-3.4%である。輸出に係る増値税・消費税の還付は9779億元であり、27.7%増である。都市維持建設税は2606億元、2.5%増、車両購入税は1862億元、3.1%増、印紙税は1389億元、6.9%増(うち証券取引印紙税は769億元、17.1%増)、資源税は959億元、14.2%増、環境保護税は113億元、140%増である。不動産関連では、契約税3184億元、前年同期比7.1%増、土地増値税3565億元、10.3%増、不動産税1477億元、-0.5%、耕地占用税824億元、2.8%増、都市土地使用税1133億元、-13.4%であった。
  22. 主な支出は、教育1兆8117億元、前年同期比10.5%増、科学技術4276億元、17.3%増、文化・観光・スポ-ツ・メディア1604億元、5.9%増、社会保障・雇用1兆7645億元、6.7%増、衛生・健康1兆95億元、8.3%増、省エネ・環境保護3145億元、19.7%、都市・農村コミュニティ1兆4232億元、13.5%増、農林・水産9445億元、13%増、交通・運輸6766億元、22.3%増、債務利払い4104億元、12.1%増である。
  23. 2018年は1361万人である。
  24. 2018年は実質5.6%増。
  25. 2018年は実質6.6%増。
  26. 2018年は2.69:1である。
  27. 2018年は実質6.5%増である。
  28. 2018年1-9月期は4.3%増。
  29. 2018年は-3.1%。