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開催報告

アジア経済研究所 オンライン講座「SDGsから考える脱石炭:いま筑豊炭田から何が学べるか」

アジア経済研究所は、2022年6月17日に「SDGsから考える脱石炭:いま筑豊炭田から何が学べるか」と題するオンライン講座を開催しました(共催:地球環境戦略研究機関(IGES)、後援:福岡県田川市、田川市教育委員会)。このページでは、講演の要旨および講演動画を無料公開しています。ぜひご覧ください。

1.趣旨説明〜報告
[00:42~] 趣旨説明(佐藤 寛 (ジェトロ・アジア経済研究所 研究推進部 上席主任研究員))

昨今の脱石炭に向けた気候変動政策への関心の高まりによって世界中で石炭火力発電所や炭鉱閉山の動きが加速している。そうした影響を受ける人々や地域に配慮した「公正な移行」はどのように実現できるのか。

本セミナーではかつて日本が経験したエネルギー革命に着目し、現代へのレッスンを探ることを目的に開催する。

[05:59~] 報告「国際社会の石炭脱却に向けた動き」
(大田 純子 氏 (地球環境戦略研究機関(IGES)北九州アーバンセンター 研究員))

2021年に開催されたCOPを中心に、国際的な気候変動交渉の動向について説明を行った。近年の特徴のひとつとして、市民、特に若者などを中心に1.5度目標や気候正義への関心が高まっていること、また、COPが環境問題の交渉を行う場から、より対話型で人道問題、損失と損害、気候正義など広範な分野を巻き込んだ場へと形を変えてきていることなどが報告された。

[17:14~] 報告「脱石炭:日本の旧産炭地から学ぶ教訓」
(佐々木 晶子 (ジェトロ・アジア経済研究所 研究推進部 開発・新領域研究推進課 研究マネージメント職))

近年、脱炭素化社会に向けた公正な移行が叫ばれているが、1950〜60年代の日本がかつて経験したエネルギー政策の転換(エネルギー革命)や炭鉱閉山によって大きな影響を受けた旧産炭地の経験から、学ぶべき教訓について3つの公正性の要素から整理し、報告した。

[27:55~] 報告「炭鉱閉山と田川市:地域再生からSDGs実現に向けた道のり」
(中村 太郎 氏 (福岡県田川市 経営企画課 企画政策係 係長))

筑豊炭田の炭都として発展した福岡県田川市について、炭鉱閉山から現在に至るまでの人口や政策の推移について発表した。
特に自治体としてこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、総合計画の変遷や近年のSDGsへの取り組みについて報告が行われた。

 [37:18~] 報告「旧産炭地の博物館の歩み」
(福本 寛 氏 (田川市石炭・歴史博物館 文化生涯学習課文化係 事務主査))

田川市では閉山後、地元の郷土研究会による貴重な炭坑資料の収集、山本作兵衛氏の炭坑記録画等の世界記憶遺産認定など、炭鉱の「負の遺産」というイメージを払拭し、文化財として新たな価値付けを行う取り組みが進められてきた。
そうした中で、旧産炭地における博物館として取り組まれてきた活動や課題について報告が行われた。

2.ディスカッション(モデレーター:(佐藤 寛 (ジェトロ・アジア経済研究所 研究推進部 上席主任研究員))

4名の報告をもとに、途上国における公正な移行の実施可能性や課題、日本国内の地域振興との関連性、脱炭素化社会に向けて、田川市のような旧産炭地の自治体が世界に発信すべきメッセージなど様々な観点からディスカッションが行われた。

※解説はすべて講演時点のものです。

お問い合わせ先
ジェトロ・アジア経済研究所 研究推進部 研究イベント課
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