アジアにおける環境政策と社会変動  -産業化・民主化・グローバル化—

アジアの環境政策と社会変動について、直接規制と経済的手段、情報公開と参加、環境紛争、技術開発、国際協力、国際協調等具体的な政策過程の事例研究を踏まえて検討する。

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■ アジアにおける環境政策と社会変動 -産業化・民主化・グローバル化—
寺尾忠能 大塚健司  編
■ 4,620円(本体価格 4,200円)
■ A5判
■ 388pp
■ 2005年2月
■ 品切れ

CONTENTS

表紙・目次等

まえがき

序章 アジアにおける環境政策と社会変動 / 寺尾忠能・大塚健司

第1節 問題の所在
第2節 先行研究と本研究のアプローチ
第3節 本書の構成と論点

第1章 中国における大気汚染対策の評価-費用効率性と政策実施コストの観点から- / 堀井伸浩

はじめに
第1節 現行の直接規制とその問題点
第2節 現行の経済的手段とその問題点
第3節 中国における望ましい大気汚染対策についての試論
むすび

第2章 インドネシアにおける河川浄化プログラムの実施過程-工場排水対策を中心に- / 小島道一

はじめに
第1節 環境担当省庁の設立と環境法の整備
第2節 対象河川・企業を絞ったエンフォースメントの強化:PROKASIH
第3節 排水対策に関する企業のレーティング:PROPER PROKASIH
第4節 経済危機と河川浄化対策の建て直し
まとめ

第3章 インドにおける工業汚染対策の展開と課題-司法積極主義に関する一考察- / 辻田祐子

はじめに
第1節 汚染規制と執行
第2節 ケーススタディ
第3節 分析:司法積極主義下の市民社会の役割
おわりに

第4章 中国の環境政策実施過程における情報公開と公衆参加-工業汚染源規制をめぐる公衆監督の役割- / 大塚健司

はじめに
第1節 情報公開と公衆参加をめぐる政策展開
第2節 監督検査活動の継続-上からの宣伝と動員-
第3節 企業環境対策状況に関する情報公開制度の試行-グローバル・モデルの中国化-
第4節 工業汚染源規制における公衆監督の役割と課題
おわりに

第5章 台湾における民主化, 地方分権化と環境政策-政策形成過程と執行をめぐる政治経済学- / 寺尾忠能

はじめに
第1節 産業化の進展と環境問題の発生, 環境行政の展開
第2節 環境汚染の改善状況
第3節 環境行政部門による排水源に対する取り締まりの実効性
第4節 地方政府の環境行政部門の拡充
第5節 地方政府による環境政策と地方政治
第6節 反公害運動と地域社会の再生をめざす取り組み
第7節 まとめと展望

第6章 韓国における放射性廃棄物処分場建設問題-2003年扶安候補地をめぐって- / 石坂浩一

はじめに
第1節 韓国原子力産業と廃棄物の現状
第2節 扶安候補地をめぐる対立の経過
第3節 各主体の検討と今後の課題
むすび

第7章 環境技術開発に対する助成措置の役割-日本における脱硫技術開発の経験から- / 伊藤康

はじめに
第1節 技術開発に対する助成措置をめぐる議論
第2節 大型プロジェクトによる脱硫技術の開発
第3節 大型プロジェクトによる乾式脱硫技術開発の波及効果
第4節 環境技術開発に対する助成措置は機能するか
おわりに

第8章 タイにおける廃棄物問題の構造と国際協力の課題-タイ南部での協力事例をもとに- / 藤井美文

はじめに
第1節 タイの廃棄物問題の現状とその構造
第2節 日本とタイの廃棄物処理の歴史にみる廃棄物問題と社会構造の関係
第3節 タイの廃棄物問題の新たな解決手段と国際協力のあり方
おわりに

第9章 環境規制の国際的調和化とその限界-日米欧における自動車関連環境規制の調和化とアジアにおける含意- / 城山英明

はじめに
第1節 自動車関連環境規制をめぐる差異化と国際的調和化-日米欧の場合-
第2節 国際的調和化の背景とそのメカニズム
第3節 差異の持続
おわりに

第10章 世界ダム委員会勧告に残された課題-国際環境政策過程における参加問題- / 藤倉良

はじめに
第1節 WCD
第2節 WCD勧告
第3節 WCD勧告の技術的問題点
第4節 WCDのフォローアップ
第5節 まとめと考察

終章 本書のインプリケーションと今後の課題・展望 / 寺尾忠能・大塚健司