2010年代に入り、ASEAN5カ国(タイ、マレーシア、インドネシア、マレーシア、シンガポール)の商業銀行部門は、域内資本参加が進み大きく変容している。国際経済環境の変化はどのような課題をもたらし、それらの課題と域内資本参加の拡大はどのように関連しながら進展しているのか。こうした問題を、各国の規制や主要銀行の動向、金融・資本移動の環境の観点から実証的に捉える。ここで確認される変容が、東南アジア経済の歴史や経済成長過程の中で、また新たなASEANの金融秩序の形成に対してどのような意味を示しているのか、その位置づけを探り提示することを目的とする。