mauritaniaRed Back Mining Inc

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Red Back Mining Inc.は、アフリカに焦点を置く金会社である。ガーナのChirano金鉱(90%出資)とモーリタニアのTasiast金鉱(100%所有)を所有・運営している。Tasiastは現在商業生産に入っている。2009年の金生産高は約230, 000オンスを予定している。

Ded Back Miningは、2007年8月にTasiast金鉱をLundin Mining Corporationから購入した。Lundin Miningには2億2500万USドルが支払われ、Macquarie Bank LimitedにTasiastが負っていた負債を返済し(4,250万USドル+利息の30万USドル)、金ヘッジを止めた(1,010万USドル)。現在会社はTasiastの100%所有者で、負債を持たず、ヘッジもしていない。

Ded Back Miningは1988年にChampion Resources Inc.の社名で、カナダのブリティッシュコロンビア州会社法のもと設立された。2004年にRed Back Mining NLと合併、会社名をRed Back Mining Inc.とした。

Tasiast金鉱とその採鉱リースはTasiast Mauritanie Limited S.A. (TMLSA)によって100%所有されている。Ded Back Miningは、オランダ法人のRed Back Mining B.V.を通じてTMLSAを所有している。

Tasiast地区は当初、モーリタニア地質学探査事務局(OMRG)によって1993年から1996年の間に、ヨーロッパ開発基金プロジェクトの一環として探査された。2003年の初め、現在のTasiast開発許可を含む包括的な許可を持っていたTasiast Mauritanie Ltdが、カナダに拠点を置く探査会社、Defiance Mining Corpに買収された。Rio Narcea Gold Mines Ltdは、このDefiance Miningと2004年に合併したことで、Tasiastプロジェクトを手に入れた。そしてRio Narcea Gold MinesがLundin Miningに買収され、Lundin MiningからDed Back MiningがTasiastを購入した。

国内の所在地

Red Back Miningのモーリタニアにおける所有地はTasiast、Ahmeyim-Tijirit、Karetの3許可エリアからなり、合計面積は16,222km2である。

Tasiast許可エリアはモーリタニアの北西部に位置し、首都ノアクショットから約300km、港町ヌアディブ(Nouâdhibou)からは東南に162kmの距離である。Tasiast許可エリアは、InchiriとDakhlet Nouâdhibou区域の行政権限内にあり、独立しては隣接した5つのPRMからなる。合計面積は6,306km2である。

製品・サービス

金探査と採鉱。

従業員数

現在採用中(400人の労働人員を予定)。

財務情報

会社統計

2009年4月1日から6月30日の3ヶ月間 2008年4月1日から6月30日の3ヶ月間
Chirano Tasiast Chirano Tasiast
採掘された金鉱石 (‘000t) 811 1,180 1,991 697 540 1,237
精錬された金鉱石 (‘000t)  583 294 877 595 374 969
平均グレード (g/t) 2.5 3.3 2.8 1.7 3.0 2.3
平均リカバリー 90.5% 94.0% 91.7% 91.5% 93.0% 92.1%
製造された金, CIL (oz) 43,264 33,399 76,663 29,764 34,955 64,719
製造された金, ダンプろ過  (oz) - 3,574 3,574 - - -
売られた金(oz) 37,273 37,722 74,995 30,354 36,735 67,089
現金営業費 per oz(注 3)
営業 $430 $327 $378 $431 $437 $434
ローヤルティー $ 31 $ 28 $ 29 $ 38 $ 27 $ 32
減価償却、その他の償却と増額 オンスあたり (注 3) $111 $201 $156 $103 $237 $183
2009年1月1日から6月30日の6ヶ月間 2008年1月1日から6月30日の6ヶ月間
Chirano Tasiast Chirano Tasiast
採掘された金鉱石 (‘000t) 1,638 2,139 3,777 1,542 879 2,421
精錬された金鉱石 (‘000t)  1,196 645 1,841 1,140 698 1,838
平均グレード (g/t) 2.2 3.4 2.6 1.9 3.0 2.4
平均リカバリー 90.8% 94.1% 91.9% 91.3% 94.0% 92.3%
製造された金, CIL (oz) 77,522 69,549 147,071 63,695 64,483 128,178
製造された金, ダンプろ過  (oz) - 3,574 3,574 - - -
売られた金(oz) 72,820 74,007 146,827 64,365 60,912 125,277
現金営業費 per oz(注 3)
営業 $469 $299 $383 $420 $417 $418
ローヤルティー $ 29 $ 28 $ 28 $ 31 $ 27 $ 29
減価償却、その他の償却と増額 オンスあたり (注 3) $ 96 $200 $148 $ 97 $236 $165

注1 : 生産統計は、端数処理のため多少計算の食い違う可能性がある。
注2 : 2009年にChiranoで売られた金には、地下操業で再生し生産前開発中に資産計上した4,208oz(今年の現在まで:5,675oz)は含まれていない。
注3 : GAAPの評価ではない。損益の計算書中の費用を売却済の金(oz)で割って算出された。Tasiastでは、約$80/oz(今年現在まで:$87/oz)(2008年四半期および現在まで:$139/oz)の減価償却およびその他の償却が、2007年のTasiast鉱物資源の購入時の、公正価格過剰分の償却分である。

Tasiast資源
分類 トン
(Mt) (g/t) (Moz)
証明済 計 33.8 1.43 1.56
可能  計 30.0 1.45 1.40
備蓄  計 3.7 0.76 0.09
合計 67.5 1.40 3.05

市場シェア

Tasiastはモーリタニアで最初の純金鉱である。2007年に銅と金の生産がモーリタニアで始まった。2008年にTasiastは約125,000オンスの金を生産した。First Quantumは、2008年に金を100,000オンス生産した。

事業目的

「会社の目的は、所有する鉱山を最大限に利用•開発し、見込みのある広大な土地を積極的に探査することである。」

ビジネスモデル

全体としてDed Back Miningの戦略の焦点は、所有する資産の開発と世界に広がる買収機会の追求を通して、キャッシュフロー、生産量および鉱物資源を増やすことである。

会社の資源と備蓄基地の増加を目的とした、積極的な探査プログラムが現在進行中である。Tasiastにおいては、商用開発のため、この地帯に沿った鉱物資源を含む見込みのあるエリアを特定するための、広範囲における探査プログラムを開始している。

株主・所有権益

Ded Back Miningは、子会社であるTasiast Mauritanie Limited SA (TMLSA)を通してTasiast金鉱山の権利を100%所有している。

政府との関係・社会貢献

Tasiast金鉱は、2007年7月18日にモーリタニアの前大統領Sidi Mohamed Ould Cheikh Abdallahiによって正式にオープンした。

2009年のモーリタニア大統領選挙の延期が原因で政治的な不安定状態となり、それがいくつかの営業許可の発行を遅らせることにつながった。生産目標を達成するには、Tasiasの新しい廃石ダムの利用とダンプ濾過の十分な灌漑が必要なため、最終的な許可を適当な時期に受け取ることが重要であった。

2009年の第2四半期中にモーリタニア政府との交渉を終え、そこで2009年と2010年にいくらかの年間手数料を払い、現行の資本拡張プログラムの下、加工工場の生産能力を上げることになった。これらの手数料は、全ての許可を受取った後にはじめて支払うもので、年間生産量130,000オンスを超える分を対象に計算される。2009年の予測生産高は230,000オンスで、2010年が250,000オンスであることから、これらの追加的費用はそれぞれ800万USドルと960万USドルと見積もられる。これらの支払いは、追加ロイヤリティーとして計上される。

2009年9月、Ded Back Miningは商用ダンプ濾過と新しい廃石保管施設のための最終許可を政府から受け取った。

モーリタニア法第2088−011号(2008年4月27日制定)は、特定の採鉱活動(すなわち、鉱物資源の探査・探鉱・採掘)に対する税の枠組みを設定している。

新しい採鉱税体制は、直接投資への誘因を提供することで、モーリタニア鉱業を奨励することを意図している。新しい鉱業法に明文化された目的は、以前の1999年の法律では要約して取り扱われていた特定の規定を、明確にすることにある。また、新体制は特定の税や関税の軽減措置を設け、特に商工業収益への課税(BICとして知られる)に上限を設定し、また研究開発期間および資源採掘初年度については、特定の採鉱器機に対する税金と(または)関税を免除している。

新しい鉱業税体系には(それぞれが特定の税体系に属する)3つの明確な発展段階があり、また関税や付加価値税(VAT)を課す財の分類もしている。

第1期「探査期」は、鉱物資源の探策および調査をする期間に相当し、これはフィージビリティ•スタディが終了して懸案の場所で鉱床や採掘場を開くという決定が下されるまで続く。

第2期「架設期」は、探索調査期の終了から採掘試運行(いわゆるローデージ)のはじめまでの期間である。条例103(2)では、試運行のはじまりは、1日あたりの生産量が、採鉱場を管轄する行政大臣へ提出されたフィージビリティ•スタディに記された量の10%を超えた日から数えて2ヶ月目の最初の日とされている。

第3期「生産期」は、採掘試運行が始まった時点から始まり、さらに2つの小期間に分類されている:そのうちの一つ、「初期生産期」と呼ばれる小期間では、採鉱企業は試運行の始まりから36ヶ月間の税金控除期間という恩恵を受けることができる。次の「通常生産期」と呼ばれる小期間は税金控除期間の終わりから始まり、その鉱脈あるいは採掘場の寿命が尽きるまでとされ、採掘場所の復元の完了をもって期間終了となる。

採鉱活動に適用される直接課税規則:鉱脈や採石場からの採鉱によって得られた利益は、商工業収益への課税(BIC)と最低固定税(IMF)の対象となる。しかし、採鉱に関する条例の113項と116項において、工業用採鉱や採石場運営業者は上記の税金控除期間に相当する36カ月間はBICとIMFから免除されると規定されている。36カ月を過ぎると、これらの採鉱業者たちは以下の税金の対象となる。BICとして、その時に効力のある税率で課せられるが、25%の上限が設定されている。また、モーリタニア領内において発生した研究費も控除される。一方、IMFとして、一般の税規定によって定められているIMF税率(2.5%)の二分の一の税率が課される。なお、この税率は1.75%を超えてはならないとされている。

さらに、採鉱に関する条例は、全額が採鉱や採石場操業のために使われる債務の利息については、その全額を債務企業の課税対象収入から控除できると定めている。債務企業は、この控除を目的に、債務額を株主資本金額の3倍を超過させてはならない。この債務–自己資本比率の基準は、会計年度を通じて一貫して守られなければならない。この比率を超えた部分の利息は、控除の対象外となる。その上、その利息がモーリタニアの永住者でない者に支払われた場合、その支払利息は、支払いが行われた時点で有効な税率での源泉徴収税の対象となる。ただし、その源泉徴収税率は10%を超過することはない。

もしある会計年度において営業損失(NOL)が報告された場合、その損失は翌年に繰り越されて翌年度の利益から控除される。もしその年度の利益が前年度の損失を全額控除するのに十分でない場合は、損失の計上された年度に続く5会計年度に渡り、残りのNOLを繰り越すことができる。10%の源泉徴収税は、モーリタニアの親会社または提携会社以外の株主に支払われる配当金にも課せられる。

直接契約会社や下請け会社と同様、 国と採鉱に関する合意をした外国籍会社の従業員に支払われる給与は、賃金・給与税への課税の対象となる。しかし、これらの従業員に適用される個人所得税率は標準税率(15%から30%の範囲内)の半分であり、これは20%を超えてはならないとされている。

権利費と鉱業ロイヤリティー

採鉱業に特有の税には、権利費(droits rémunératoires)、年次の「表土」ロイヤリティー、そして鉱業ロイヤリティーが含まれる。権利費は、小規模採鉱許可の所有者または保持者によって、証書に関連する以下の行為がなされたとき支払われなければならない:調査許可に関する発行、延長、減産、更新、期限前の終了もしくは譲渡; 採鉱許可に関する発行、延長、減産、更新、期限前の終了、譲渡もしくは寄贈;小規模採鉱許可に関する発行、譲渡、更新;採鉱権の発行、更新、譲渡;小規模採鉱権の発行、更新、譲渡。

年次の表土ロイヤリティーは、採石場や採鉱権の所有者もしくは小規模採鉱権の保持者によって支払われる。ロイヤリティーは法で定められ、課税対象収入からの控除は認められていない。ロイヤリティーは採鉱許可、小規模採鉱開発許可、もしくは産業採鉱開発権の保持者によって支払われる。その金額は、モーリタニア国内における最終精製段階での売上価格か、売上前に輸出される場合はその製品のFOB価格を基準に算出される。ロイヤリティーは、積荷サンプルを除く全ての売上および輸出に課せられ、その率はその鉱物がどのグループに属するかにより1.5%から6%の間で決まる。さらに、産業採鉱に関しては、ロイヤリティー率は以下の3つのサブグループによって調整されている:サブグループ1(建設材料1.4%);サブグループ2(産業材料1.6%);サブグループ3(装飾材料1.8%)。

付加価値税(VAT):

資源開発許可、小規模採鉱開発許可、または産業採鉱開発権の保持者による以下の物品の輸入は、VATの対象となる。架設期、税金控除期間、および通常生産期における自動車; 初期生産期と通常生産期における産業投入物、石油製品、潤滑油、設備以外の予備部品;重機用燃料を含む他の輸入物品。関税に適用される規定はVATにも適用される(一時的許可の場合と通関料や関税からの完全免除の場合を除く)。

輸出される鉱物はVAT対象となるが、税率は0%である。採鉱や採石場生産物の輸出により生じたVATの払い戻しは、関係書類の提出から3カ月以内に国から支払われる。上記のVAT政策は、採鉱会社の契約者や直接下請け業者にも適用される。

関税:

通関料や関税の賦課は、活動の時期によって異なる。探索調査期には採鉱会社は以下の恩恵を受ける:
「特別一時許可」制度により、自動車や設備機器にかかるすべての通関料や関税支払いは一時停止となる、また設備機器の予備部品、産業投入物(原材料や消耗品)、燃料や潤滑剤、そして軽自動車の部品に関しては、その通関料と関税は完全免除される。

架設期と生産期(税金控除期間と通常生産期)における通関税制度は以下のようになる:「特別一時許可」により、設備機器に対する全ての通関料と関税支払いはすべて一時停止となり; 設備機器と軽自動車の予備部品、産業投入物、燃料と潤滑剤は完全に免除され;自動車には一律5%の通関料の支払いが課せられる。

製品開発

Ded Back Miningは、Tasiast加工施設の処理量を名目上3mtpaに拡張している。その拡張には、粉砕サーキット、第2ボールミル、追加のCILタンクそして溶離能力を持った金の保管部屋が含まれる。拡張した粉砕サーキットと第2ボールミルの稼働開始は第2四半期の終わりまでに完了した。拡張された工場の他の要素については、2009年の第3四半期の終わりまでには稼働開始できる見込みである。