egyptEgyptAir エジプト航空

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

エジプト航空はエジプトの国営航空会社である。エジプト航空は1932年5月に民営会社として設立され、世界で7番目の航空会社になった。1933年にエジプト航空の最初の飛行がカイロのAlmaza空港からアレキサンドリアに就航した。エジプト政府は第二次世界大戦中に同社を接収してMisrAirlinesと名前を変更したが、間もなく独立会社としてのステータスに戻った。

1960年代に同社はシリアの航空会社と統合され、新会社United Arab Airlinesとして生まれ変わった。この合併は僅か1年間で終わったが、会社は1971年までそのままの名称で、その後エジプト航空へと変更になった。2002年7月、エジプト航空は7社の子会社と持株会社へ再編成された。子会社は次のとおりである:EgyptAir Maintenance & Engineering Company、EgyptAir Ground Services Company、EgyptAir Cargo Company、EgyptAir In-flight Services Company、EgyptAir Tourism & Duty Free Shops Company、EgyptAir Medical Services Company。さらに、2006年にEgyptAir Supplementary Industries Company、2007年6月に EgyptAir Expressが加わった。

エジプト航空はアフリカ最大の航空会社で、2008年7月11日にスターアライアンスに加入した。2004年には、エジプト航空がアフリカにおける最初のIOSA承認航空会社となった。2006年には、Skytrax社(英国をベースとする航空会社コンサルタント・サービス会社)がエジプト航空を「3つ星航空会社」と評価した。

2007年10月16日にスターアライアンスの最高経営会議は、将来のメンバーとしてエジプト航空を認めることを決定した。 エジプト航空は以前より、ルフトハンサ、シンガポール航空、オーストリア航空、タイ国際航空、スイス国際航空、南アフリカ航空、トルコ航空及び英国bmi航空を含めて、スターアライアンスの幾つかのメンバーと商用・共同運航協定を既に締結していた。その9か月後にエジプト航空はスターアライアンス21番目のメンバーとなった。

2009年9月時点でEgyptAir Holding Companyの保有する機材は(EgyptAir Airlines、EgyptAir Express、EgyptAir Cargoを含む)は59機(加えて27の注文済み機材)となった。EgyptAir Airlinesの機材は平均年齢5.6年で(2009年9月時点)次のような構成:エアバスA320-200(13)、エアバスA321-200(4)、ボーイング737-500(4)、ボーイング737-800(7)、ボーイング777 200ER(9)。EgyptAir ExpressEmbraer E-170 (12)を有する。EgyptAir CargoはエアバスA300B4-203F(2)、エアバスA300 600RF(2)。さらにエジプト航空は、夏期やラマダン期間及びメッカ巡礼の特別運行のために追加航空機をウエットリースしている。

エジプト航空は次の航空会社とコード・シェア協定を持っている:
アシアナ航空(スターアライアンス・パートナー)、オーストリア航空(スターアライアンス・パートナー)、英国bmi航空(スターアライアンス・パートナー)、ガルフ・エア、大韓航空(2009年10月24日に終了)、ルフトハンサ(スターアライアンス・パートナー)、 Olympic Airlines、Royal Air Maroc、サウジアラビア航空、シンガポール航空(スターアライアンス・パートナー)、南アフリカ航空(スターアライアンス・パートナー)、スイス国際線航空(スターアライアンス・パートナー)、TAPポルトガル航空(スターアライアンス・パートナー)、タイ国際航空(スターアライアンス・パートナー)、Tunis Air、トルコ航空(スターアライアンス・パートナー)、ユナイテッド航空(スターアライアンス・パートナー)、イエメン航空。

国内の所在地

カイロ国際空港:Airport Road, Cairo, Egypt: Phone: +20-2-267-4700; Fax: +20-2-267-4555

製品・サービス

エジプト航空は、ハブ空港としてのカイロ国際空港をベースとして、中近東、ヨーロッパ、アフリカ、アジア及びアメリカにある70を超える空港との間に旅客便と貨物便を運航している。国内の広範囲なネットワークもカイロに集中している。顧客サービスのために新しい部が設立された。EgyptAir Cargoは世界各国に貨物輸送取り扱いサービスを提供している。さらに8つの国際線航空会社に対し技術サポートを提供している。

従業員数

EgyptAir Holding Companyには従業員20,734人がおり、うち7,600人がエジプト航空に勤務している。

財務情報

EgyptAir Holding Companyは2007-2008会計年度に1億7000万USドルの大幅な利益を記録した。また、38億USドル以上の資産を保有している。2007年7月31日終了の会計年度では、エジプト航空は1兆1430億USドルの記録的な売上を達成した。前年と比較して、合計のグループ収入は14%伸びた。

市場シェア

事業目的

「真のエジプトの精神を備えた競争力のある顧客サービスを提供し、顧客に、従業員に、所有者に、そして株主に対し価値を創造する」

ビジネスモデル

2002年に事業の再構築を行い、同社は安全性、顧客志向及び効果的な競争に基づいた戦略を追求している。この戦略実現のために、将来有益な成長のプラットフォームを形成すべく、人的、物的および情報の統合的なインフラストラクチャーの構築に力を注いでいる。更に、資産と設備は段階的に拡張と改善を行っている。

情報インフラに積極的な投資を行い、アマデウス予約システム、eチケットシステムの他、メンテナンスや貨物などの他の業務について多くの自動化を行なった。
アマデウスはエジプト航空のITプロジェクトの基幹システムでで、Altéa CMSを経由して、航空会社にインベントリーマネジメント、多重チャネル販売・予約、完全電子チケット管理、出発管理サービスのための最先端技術のソリューションを提供している。アマデウスは、航空会社の経営のリエンジニアリングにおいて積極的な役割を果たすとともに、収入計算、重要顧客と収入管理のような他のシステムも支援している。

市場での競争力を改善するための同社の戦略の1つは、貨物やメンテナンス、機内サービス分野でのルフトハンザ航空との提携に加えて、スターアライアンスや様々な共同運行協定などの多様な長期的提携を積極的に追求することである。スターアライアンスは世界初のまた最大の航空会社のアライアンスである。アライアンスは2004年に「地域」の概念を変更したが、それによって小さな航空会社が参画する地域市場に進出しやすくなった。スターアライアンスの市場シェアは、有償旅客キロメートル(RPK)ベースで世界市場の28%を占める。

他の戦略の柱は、短距離の国内・地域市場におけるポジションを強化するため新しく子会社を設立することであった。すべての国内空港とともにいくつかの近隣地域で競合できるサービスを提供するために、EgyptAir Expressを2007年に設立した。エジプト航空とExpressは、顧客サービスを向上させグループ収益を改善することを目的に、スケジュールを統合した。

次の5年で、会社はバランスのとれたトレード・フローの開発に焦点をあてる。具体的には、新市場を開拓すること。EgyptAir Cargoの競争力を向上させること、ハブを中心として旅客機の貨物と貨物機のオペレーションを調和させたネットワークを開発すること、貨物機ネットワークと市場価格に関する損益の意識を高めること、収益管理及び適切なITシステムを開発することである。

株主・所有権益

エジプト航空は完全な国有会社であるが、特別立法により、政府からの干渉を排し民間企業のような経営陣による運営が可能となっている。同社はエジプト政府による資金援助のない自己資金で運営されている。

エジプト航空はEgyptAir Express及びAir Sinaiを所有している。エジプト航空はさらにAir Cairo(60%)とSmart Aviation Company(20%)の資本を所有している。

政府との関係・社会貢献

エジプト航空は現在国有会社の管理下にあるが、特別立法により政府の干渉なしに運営されている。2007年にスターアライアンスに加盟することが正式決定されたことに伴い、政府は保有するエジプト航空の株式のうち20%を売却する計画を取り消した。

長期にわたってエジプト航空のトップを務めたMohamed Fahim Rayanは、1990年代の終わりに会社を民営化プログラムから外すことを目指し、議会の賛同を集めることに成功した。Rayanの反民営化方針は、Shura Councilのビジネス指向の議員たちに厳しく非難されたが、エジプト航空はエジプトの航空市場を独占しないことを強調した。

議会の委員会メンバーは、エジプト航空は民営化されるべき「最後の国営企業だ」と主張した。しかしながら、エジプト航空に新しい経営チームを送り込むべきであるとの意見が強かった。その結果、収益性と効率性を高めるために2002年に同社は再構築された。

2007年エジプト航空は、カイロ空港をベースとする企業航空会社Smart Aviation Companyを立ち上げるため、エジプト民間航空省及びEgyptian Holding Company for Airports & Air Navigationとの提携関係に入った。

製品開発

2009年エジプト航空のカイロをハブとする運行は、2009年4月の新ターミナル3の稼働開始により見直された。同社は、国際線・国内線を含む全オペレーションを、空港処理能力が倍以上となった新しいターミナルへ移した。スターアライアンス加盟企業を「1つの屋根の下」に集めるという方針の下で、カイロ空港を利用するスターアライアンスの全メンバー航空会社は、新ターミナル3(シンガポール航空とトルコ航空は未定)に移動している。

2009年のパリ航空ショーの開催中に、エジプト航空は、US lessor Aviation Capital Group (ACG)及び他のエジプトの個人・公の株主とともに、中近東及び北アフリカ地域におけるリース事業の合弁企業を設立することを発表した。新しい合弁企業はCivil Aviation Finance and Operating Leases (CIAF-Leasing)と命名され、当初は小型機が中心となるであろう。
2009年10月末から、現在のカイロからムンバイ、クアラルンプールを結ぶフライトは分割され、それぞれ単独のフライトとなる。