国際価値連鎖:その展開と通商政策への影響
2013年7月5日 (金曜)
政策研究大学院大学(GRIPS)想海樓ホール
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主催:ジェトロ・アジア経済研究所、世界貿易機関(WTO)
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基調講演2
ロバート・クープマン 米国国際貿易委員会研究事業本部長
中国の米国に対する影響力を貿易データでみると、中国経済は急速に成長し、現在、米国の輸入の大きなシェアを占めていることが分かる。また、従来の伝統的な貿易データによれば、中国からの輸入は総体的に増加の一途を辿っている。しかし、国際分業の現状を考慮して貿易収支を見直すと、2004年における米国の対中貿易赤字は大幅に減り、その一方で、対日と対EU15カ国について赤字が増大する。
GVCモデルを使った米国国際貿易委員会の研究によると、2030年において、中国は貯蓄率が下がれば消費主導型の経済になることが予測されている。GDPを産業別に見ると、製造業部門のシェアは2030年までに減少し、一方でサービス部門のシェアが増大することになる。産業別の対米輸出については、2030年まで、中国の成長は投資ではなく消費によって牽引され、米国の対中貿易の均衡パターンが変わることになる。
産業部門の様々な要素が重要であると同様に、国内措置も重要である。TPPが自由貿易のイニシアティブになり得るのと同時に、国際サービス協定(TA2)も重要になりつつある。中国や他国でどのようなことが起きているかということに捉われすぎずに、ゆっくりと広い視点で政策環境を見渡す必要がある。一般的に良い経済政策とは、数十年間にわたり成長の基盤となるようなものである。10年間単位で見ると経済はかなり大きな変化があり、これが将来的な政策課題へ多大な影響を及ぼすということである。

ロバート・クープマン
米国国際貿易委員会研究事業本部長