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コラム

おしえて!知りたい!途上国と社会

研究所を訪れた若い人たちに、途上国と社会について不思議だな、と思った素朴なギモンを寄せていただきました。

  • 第21回 途上国の水不足問題について教えてください / ダルウィッシュ ホサム 中東・北アフリカ地域は、世界で最も水資源が少ない地域です。私はシリアの出身ですが、首都ダマスカスにいた2000年代は、水道の蛇口から水が出るのは1日に数時間だけで、毎晩断水になり、シャワーも週に1回できれば良い方でした。限られた水を工夫して少しずつ使うのが当たり前で、水は貴重であるということを日々の生活から身に染みて感じていました。 2023/11/01
  • 第20回 どうしたらウクライナに平和が戻りますか? / ヴァレンティナ・ロマノヴァ 私はウクライナ出身です。現在、日本に住んでいますが、今もウクライナにいる家族などを通じて、ウクライナ国内の実情を知ることができます。また、私はウクライナ政治を専門として20年以上になる研究者でもあります。そのような立場から、この問題について考えてみました。 2023/09/22
  • 第19回 なぜ社会主義国で格差が生じるのですか? / 荒神 衣美 社会主義とは貧富の差がない社会の実現を目標とする思想・社会体制です。しかし実際には、社会主義国でも経済格差が生じています。たとえば中国やベトナムは社会主義国ですが、いずれの国にも世界的に億万長者と称される大富豪が存在します。中国ではジャン・イーミン(Tik Tokを運営するバイトダンスの創業者)やジャック・マー(Eコマースの巨大企業アリババグループの創業者)、ベトナムではファム・ニャット・ヴオン(不動産を中心とするコングロマリットのビングループ創業者)などが挙げられます。一方で、いずれの国でも僻地の農村には日々の暮らしにも困るような貧しい人々がいるのも実態です。 2023/01/05
  • 第18回 歴史認識は途上国の政治や社会にどのような影響を与えていますか? / 新谷 春乃 国の歴史とは、その国がどのように成立し、現在までいかなる過去を歩んできたのかをまとめたものです。それをどのように社会の中で記憶し、歴史認識を形成し、公教育の中で教えるのかをめぐっては、世界各国でさまざまな問題が生じています。例えば、過去の政策や戦争、あるいは歴史上の人物の評価についての認識の違いが政治に利用されることで、国内や外国との間で政治的衝突や紛争がおこっています。日本でも、過去の植民地支配や太平洋戦争に関する歴史認識が韓国や中国との外交問題に発展してきました。このように、歴史認識をめぐる問題はその国だけでなく周辺諸国の政治や社会にも影響を与えてきました。 2022/05/13
  • 第17回 開発途上国は気候変動にどのように対応しているのですか? / 鄭 方婷 温室効果ガス濃度の上昇が原因とみられる異常気象や高温化・寒冷化は、先進国、開発途上国(以下、途上国)を問わず深刻な影響をもたらすため、各国は対応を迫られています。ただ、経済規模が大きく技術も進歩した先進国や新興国とは異なり、多くの途上国は、先進諸国や国連のような国際機関などから資金や技術面の援助を受けながら対処するのが一般的です。 2021/01/26
  • 第16回 途上国はどのように治安を改善しているのですか? / 近田 亮平 治安の改善は、途上国を含む多くの国にとって重要な課題となっています。ただし、強盗や殺人などの一般犯罪による日常的な治安の悪さから、中東地域などでのテロ組織を原因とする治安問題まで、背景は国や地域によりさまざまです。 2020/12/11
  • 第15回 地球温暖化をめぐり途上国は先進国と対立しているのですか? / 鄭 方婷 これまで、地球温暖化問題をめぐって途上国が先進諸国に非常に強い不公平感を抱いてきたことは否定できません。というのも、途上国のなかには、地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの歴史的な排出量が少ないのに、温暖化の悪影響に対して脆弱な国が多いからです。世界の国のなかで147カ国以上が含まれる途上国グループと20数カ国の先進国グループを作り、温室効果ガスの歴史的累積排出量を比べると、1990年にはそれぞれ41%と39%であり、同じくらいでした(図参照)。つまり、一つの国あたりで見ると圧倒的に先進国の排出量が上回っていたのです。これは18世紀の産業革命以後、欧米先進諸国の急激な経済発展が膨大な化石燃料(石炭・石油など)の消費に支えられてきたことによるものです。 2020/11/04
  • 第14回 「アジア連合」ってないんですか? / 青木 まき 単一の「アジア連合」というものはありません。ですが、「アジア」という名の付くグループや、アジア諸国が中心となって活動するグループはたくさんあります。 2020/10/05
  • 第13回 現地での一番の収穫は何ですか? / 荒神 衣美 私はベトナムの農村発展について研究をしています。研究のため、ベトナムのホーチミン市に2010年から2年間滞在しました。また、その他にも毎年1~2週間ほど、出張でベトナムの地方都市を含むさまざまな町に滞在しています。これまでの現地滞在では、公私にわたって、いろいろな収穫がありました。ベトナム語を覚えられたこと、調査に協力してくれる現地の研究者と知り合えたこと、土地勘が養われたこと、おいしいベトナム料理をたくさん食べられたこと……。 2020/09/09
  • 第12回 途上国に援助すると、日本にとってどんないいことがあるのですか?(高校生、兵庫県) / 山形 辰史 なるほど、「いいこと」についてですね。何かをするときに、「別の何かいいことが得られるからする」(目的追求型行動)という場合と、「それ自体がいいことだからする」(価値追求型行動)という場合の2つがあります。人は場合によって、そのどちらか、またはそれらの両方を追求するものです。「援助」については、どちらが当てはまるでしょうか。 2019/12/03
  • 第11回 発展途上国の支援のために私たちができることって何でしょう? / 青山 由紀子 途上国への支援と聞くと、どんなイメージを持ちますか? ひとくちに途上国の支援といっても、実はかたちはさまざまです。国が途上国の経済発展や福祉のために行う援助(政府開発援助――ODA)、国連や世界銀行などの国際機関による援助政策、非政府組織(NGO)によるプロジェクト、そして実は民間企業も途上国支援のための活動を行ったりしています。 2019/08/13
  • 第10回 途上国に外国企業が工場を作ると、その国の発展につながるのですか? / 田中 清泰 インターネットなどの情報通信技術の発展や、途上国の外国資本に対する規制の緩和などによって、多くの企業が途上国に工場を建てるようになりました。 2019/08/08
  • 第9回 発展途上国で食料に困っている人はどれくらいいますか? / 清水 達也 「食料に困っている」状態といえば、まず飢餓(きが)が思い浮かびます。 2019/07/22
  • 第8回 なぜアフリカでは紛争が多いんですか? / 武内 進一 中部アフリカのルワンダでは、1994年に少数派民族(トゥチ)を標的とした大量虐殺が起こり、少なくとも50万人が殺されました。この殺りくの引き金となったのは、内戦のなか、トゥチが反政府武装勢力を支援していると疑った政権中枢の人々が、彼らを抹殺するよう呼びかけたことでした。国民を保護すべき国家の指導者が、国民の殺りくを呼びかけた恐ろしい事件です。 2019/06/19
  • 第7回 途上国についてどのように調べたらいいですか? / 木村 公一朗 質問ありがとう!インターネットや図書館の検索システムを使うと、たくさんの関連ウェブページや本がヒットすると思います。そこから多くの知識や情報を得ることができますが、完全に理解するためには他に知らなければならないことがあったり、筆者によって論点や分析方法、結論が違ってたりしていて、結局どう整理したらいいのか途方に暮れることもあるのではないでしょうか。 2018/11/09
  • 第6回 発展途上国が先進国になるには何年かかりますか? / 熊谷 聡 発展途上国が先進国になるには何年ぐらいかかるのか、というのは難しい質問です。世界の多くの国がいまも先進国になれていないからです。あと数年で先進国になる国もあるでしょうし、50年後も先進国になれない国があるかもしれません。 2018/09/18
  • 第5回 発展途上国と先進国を分ける基準って何ですか? / 熊谷 聡 「発展途上国」は経済が「発展」する「途上」にある国であって、「先進国」は経済発展によって経済が世界でも「先進」的な水準に達している国……というと、なんとなく分かったような、分からないような感じですね。このふたつの線引きはあいまいで、ただひとつの基準はありません。国連や世界銀行は「発展途上国」にあたる定義をそれぞれ持っていますし、研究者もそれぞれに「先進国」や「発展途上国」の基準を示してから経済発展の分析を行うことがよくあります。 2018/09/04
  • 第4回 途上国の縫製工場に女性が多いのはなぜですか? / 牧野 百恵 まず、「なぜ豊かな国よりも貧しい国に縫製工場が多いのか」を考えてみましょう。縫製産業は他の産業と比べて、ミシンを動かすために多くの人手が必要です。衣類を製造・販売する会社からすると、価格を下げれば下げるほど衣類は売れるはずなので、できるだけ安く作りたいと思います。そのためにはどうしたらよいのでしょうか。原材料の布や糸を安く調達することも考えられますが、とりわけ人手が多く必要な縫製産業では、労働者を安い賃金で雇うことができれば衣類の価格をぐっと抑えることができます。このようなわけで、賃金が安い途上国に、縫製工場はより多くあるのです。ちなみに、これは縫製工場に限った話ではなく、機械よりも人手が比較的多く必要な産業に共通することです。 2018/06/22
  • 第3回 研究テーマは何ですか? なぜそれにしたんですか? / 木村 公一朗 質問ありがとう! 私は、グローバル化が発展途上国企業の成長にあたえる影響について研究してきました。もともと、発展途上国のことに関心を持ったのは、小学生のころ(1980年代)、エチオピアの飢饉やバングラデシュの貧困を報じるニュースを見たことがきっかけでした。また、中学校の図書室で、ジェトロ・アジア経済研究所のことが紹介されていた『学術研究者になるには』(ぺりかん社、1978年)を読み、研究に興味を持つようになりました。そのころ、国際政治の変化(冷戦の終結)や技術の変化(とくに情報通信技術[ICT]の発達)などをきっかけに、企業活動の地球規模化(グローバル化)が加速しました。そして、高校の修学旅行で、外国との経済取引を増やしながら急成長し始めた中国を訪れ、グローバル化と中国経済の関係に興味を持ちました。 2018/06/06
  • 第2回 ベトナムの文化や習慣で驚いたことや尊敬していることはありますか? / 藤田 麻衣 ベトナムで生活したときに驚いたことは、プライベートについて質問をたくさんされたことです。知りあいではない人、たとえばタクシーの運転手さんとの会話であっても、どこから来たのか、何才なのか、結婚しているのか、結婚相手は日本人なのか、子どもは何人いるのか、子どもの性別は、子どもは何才か、などと質問攻めにされることは日常茶飯事です。私は女性ですが、面と向かって体重は何キロか、とたずねられたこともあります! これは、今から10年以上前のことですが。 2018/03/23
  • 第1回 途上国の企業が先進国に進出することもあるのですか? / 藤田 麻衣 海外に行くというのは、なかなか大変なことです。旅行などで海外に行ったときに、言葉が通じなかったり習慣が違ったりして、現地で思うように事が運ばない経験をした人も多いのではないでしょうか。 2018/02/15