アフリカにおける中国—戦略的な概観 (China in Africa)

9. アフリカにおける中国の通信事業の軌跡

アフリカの通信産業界での中国の市場参入の拡大は、中国の国際社会における地位を高め、欧米諸国の影響力に対抗し、急成長する中国経済を支えるために必要な資源と新市場を確保するための多面的な戦略の一部である。建設、エネルギー、鉱業と並んで通信産業は、中国の経済成長を下支えし、欧米諸国と対抗して世界での主導権を握る上で、必要な基盤を作るための4つの柱のひとつである。

したがって通信産業は、以下に示す幾つかの面で中国の戦略的利害にとって必要不可欠な産業と見なされている。

  • 外国の技術の獲得
  • 軍民両用技術の利用
  • 中国の宇宙開発・人口衛星開発プログラムの強化
  • 新市場への進出

このような分析調査は、中国共産党(CCP)と関連省庁や、中国の政治戦略構想に沿った国際競争力のある企業の創出を主業務とする政府内組織によって、綿密に推進されている。重要なのは、中国の電気通信企業は単独で活動しているのではなく、中国の世界戦略の目的に沿うように活動しているという点である。このことが、中国の電気通信産業のアフリカにおける挑戦において、効果的な対抗戦略の必要性をより一層重要にしている。

当初の分析調査は、中国がアフリカで電気通信産業戦略を展開する幾つかの拠点を選び出したと伝えている。それらにはエジプト、アルジェリア、チュニジア、ケニア、ナイジェリア、南アフリカなどが含まれる。

そのグループを引率しているのは、中国軍と中国諜報機関と関係をもつ華為技術(Huawei Technologies)や中興通迅(Zhongxing Telecom Ltd 略称:ZTE)の2社、中国電信(China Telecom) やアルカテル上海ベル(Alcatel Shanghai Bell 略称:ASB)など中国の主要企業である。技術力の向上を行っていること、低コストの生産基盤との連携、低利子の政府系資金源、政府による支援が、単独の電気通信企業にはえられない重要な競争力をこれら企業に与えている。

9.1 中国の事業手法

通信事業における中国のアフリカ戦略の連携は、新しいものではない。北京にあるITと通信事業のコンサルタント会社であるMarbridge社のMDであるMark Natkinによれば、「中国の通信業者は、開発途上国でのビジネスチャンスを見つけ、豊かな国々から参入しようとする同業者からの影響に左右されない関係を構築するために、価格競争での優位性を高めることができる。中国はビジネスと政治的利害を一体化する、長期的な戦略アプローチを取ろうとしている」「もし貴方の会社がそこへ参入してコアネットワークを築いたとしたら、その後企業を成功軌道に乗せる契約を勝ち取るための良い布石になる。それはハイリスク株のポートフォリオ商品に投資しているようなものである。多くがシェアを失うだろうが、数少ない成功者がそれらを圧倒する」とのことである。

重要な点として、「偶然かもしれないが、アフリカその他の開発途上国において中国企業の手によってなされた通信事業の多くは、産油国におけるものだった」とナトキンはいう。中国の新市場進出戦略の一部は、中国の石油会社を中国企業や後の中国の政治的利害のための先導者として機能させることである。中国の石油会社は、新市場において不必要な警戒をもたれることなく、ある程度の市場参入を許されているわけである。彼らは、それらの国々でビジネスと政治の両面のメリットを得るのを促進するため、主として情報機関などから送られてくる政府役人の受け皿となっている。このことは、なかでもとりわけ(2006年以前の)チャドやサントメ・プリンシペなどのような、政府と外交関係をもっていなかったアフリカ諸国でとくに顕著であった。

欧米諸国の通信製品メーカーと比較して中国企業は、より低コストの製品や通信システムを提供する。加えて、ASBのZhou Tao副社長によれば、中国政府によるアフリカ諸国に対する金融支援の増加は、通信事業のインフラ整備に拍車をかけている。

中国政府の役割は、Chen Jian中国商務副大臣が2004年に「中国はアフリカとの相互利益と開発全般のために、アフリカ諸国との通信分野における協力関係を拡大する。さらに中国政府は、アフリカで自国企業が通信事業を拡大できるように支援する」と述べたように、きわめて明瞭である。これはアフリカにおける中国の通信事業戦略の核を要約している。

中国系通信企業による経済界への脅威を示す重要な戦略的要素は、以下の通りである。

  • 政府による自国の通信企業への支援の結果、華為技術、ZTE、ASBなどの中国主力企業は製品価格をきわめて低く抑え、国情に適したソリューションサービスを維持できる。 ZTEと華為技術を批判するものは、アルジェリアやスーダンなど国情不安の国々に対して、外国からの支援に相当するような効果的な取引や中国政府の絶大なる支援によって安く製品を販売していると指摘する。

例えば、中国における国家的主要企業という位置付けからZTEは、顧客に対しても貸出可能な資金を低金利で調達できる。アフリカ諸国に対する融資は、政府系銀行からの優遇ローンにより推奨されており、事実上助成金と成っている。資金は中国輸出入銀行から国家開発銀行といった貸付チャンネルから提供される[下記参照]。

Balancing Act社 (コンサルティング会社、アフリカにおけるインターネットと通信事業を専門とするオンライン出版をもつ)のCEOであるRussel Southwoodによると、主要な通信機器企業は顧客への金融業務にも携わっているが、ZTEの場合は顧客向けローン事業の中身が不透明である。「優遇ローンを提供しているが、それにどのような付加的サービスが含まれているかは分からない。彼らはおそらく、顧客が欲すればExtra Departmental Branch Offices(EBDO、3Gモバイル音声技術)のようなものを価格の中に含めて販売しているのだろう」。

  • 中国企業は、それぞれの市場において進出初期の段階で主要なサプライヤーになる。それらの企業はその後、経済が成長するに伴いネットワークを構築していく。彼らはまた、例えばチュニジアやリビアにおいてそうだったように、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)などの先進技術を紹介し、導入するビジネスチャンスをえる。そうした国々では、過去の実績よりも価格に関心が向いている。これら市場におけるこのような経験を土台に、輸送コストを抑えるためアフリカに低コストの生産拠点を増やすなどして、通信企業はアフリカにおける将来の拡大に向けて地歩を固めている。
  • 中国企業は豊富な労働力と低い人件費ゆえ、欧米のライバル企業と比べて僅かなコストで製品・サービスを提供できる。例えば、中国には年間200万人の工学部卒業生がいるが、フランスでは30万人、ドイツは10万人だ。フランスやドイツのエンジニアの平均年収はおよそ11万米ドルであるのに対し、中国ではたったの1万9000米ドルである。同様に、中国人の週平均労働時間は50時間であるのに対し、フランスやドイツでは38時間だ。
  • 中国Ministry of Information Industry (MII)によると、中国は開発途上国としてアフリカの開発途上国と同様な面があり、同じ途上国の見地から情報通信技術(ICT)分野における開発に関する豊富な経験を生かしている。同省の課長は、アフリカは学生と教員両方への教育などあらゆる能力開発を必要としており、能力開発とe-learningはアフリカ大陸で開発を推進するための重要な要素だと述べた。
  • 西アフリカの企業は、様々な理由から中国企業から通信機器を調達するのは魅力的だといっている。例えばZTEは、Hutchison Telecomの子会社でありガーナにおける携帯電話会社4社のひとつであるKasapa Telecom Ltd.が通信機器を調達しようとした際、最良の条件を提示した。Kasapa Telecom Ltd.のMDであるRobert Palitzによると、「5社が応札したが、うち2社は中国系企業であった。ZTEが価格、スピード、サービス、事業意欲の点において優れていたので落札した」。さらに彼は「われわれは交渉により決めた価格から恩恵を受けながら、市場への迅速な対応を可能とするために、契約期間内に通信網の成長を遂げさせる能力をもっている。この業者(ZTE)は良質のサービス諸条件を備えている」と語った。

アフリカでの中国通信機器販売業者の展望についてパリッツは「私には予測はしかねるが、確かに非中国系企業は、市場参入の進展が顧客1人当たりのコストをどこまで下げられるかに依存する市場において、苦戦を強いられている。中国系業者は、中国国外でのビジネスプロジェクトを経験することでマネジメントに熟達してきており、古くからある業者の歴史的優位性は減少して行くかもしれない」と答えている。

  • ASBのZhou Tao副社長は、中国政府からアフリカ諸国に対する資金援助が増加していることは、通信事業のインフラ整備に拍車をかけていると述べている。中国輸銀はASBに対して、海外での事業拡大のため2004年に6330万米ドルの資金援助をした。「中国とアフリカ諸国が確固たる政治的相互信頼を築いていくにつれ、アフリカ側は中国企業に、さらなるインフラ整備に参画して欲しいと望んでいる」と同副社長はいう。「われわれは、中国系通信機器メーカーはアフリカにおいてさらに大きなビジネスチャンスを掴むと信じている」。
  • 香港にあるUOB Kay Hian SecuritiesのアナリストであるVictor Yipによると、「中国でのビジネスでZTEと華為技術は、製品の品揃えの簡素化と低価格化に集中することを学んだ。開発途上国の人々は幻想を必要としていない。彼らが欲しいのは機能性である。」
  • 野村證券の通信機器アナリストRichard Windsorによると、アジア系(中国系とインド系)のモバイル端末のメーカーがアメリカとヨーロッパの同業他社に突きつけているもっとも大きな脅威のひとつは、「ホワイトラベル」電話機と呼ばれている開放性である。これは、モバイルサービス事業者が自社ブランドとして販売したり、パーツを(アジアのメーカーから)調達して携帯端末を自作したりすることができるものである。北京の通信事業リサーチ会社であるBDA ConsultingのDuncan Clark会長は、この件に関して「ZTEはブランド化の推進にも、業者と消費者が望んでいる内容の製品を提供するホワイトラベル戦略にも、乗り気である」という。
  • ZTEのShi Lirong副社長によると、ヨーロッパと北米で増加しつつあるサービスプロバイダーが、中国系サプライヤーと新規の提携契約を結ぶひとつの理由は、これまでのパートナー企業からの供給がうまく行かなくなっているからである。「近年における研究開発費の削減は、Lucent/Alcatel、Nortel、Siemensなど西洋の電話機器メーカーの、市場における技術的優位性を失わせたかもしれない」。「しかし、これまで開発途上国での販売努力に力を集中してきた中国系機器メーカーはまったく違う。われわれはこのような問題を抱えていない。それらの国々にはバブル経済の崩壊はなかったので市場環境は正常である。市場での投資は増え続けている。研究開発投資に問題はない。われわれは予算を増やし続けている」。
  • 最後の要素として、中国は常に、潜在顧客をひきつけるよう可能な限り最大限の注意を払っている。マクロの戦略的な介入手法は、その国の権力エリート達を味方につけるための鍵であり、これによっていかなるビジネスプランにも入札が可能になる。政府自身が権力エリートと密着しなくても、こうすることで中国政府は中国国有企業やビジネスマンとの食物連鎖を機能させている。

9.2. アフリカのターゲット国

中国企業にとってアフリカにおける通信事業の最上位クラスのマーケットは、アルジェリア、エジプト、チュニジア、モロッコ、南アフリカで、中国のアフリカにおける通信事業総資産の60%を占めている。それ以外の国ではナイジェリアとアンゴラが群を抜いている。ここで重要な点は、中国のアフリカにおける通信事業開発は、主要航路、および、軍事専門用語で「通信シーレーン(SLOG)」と呼ばれる戦略要所をつなぐ沿岸諸国から始まったという点である。海運の動きを追跡することは、とくに戦時においては重要である。これは、中国の通信事業の世界的性質を考えるならば、中国のアフリカにおける通信事業への投資が中国共産党の世界戦略構想に密接に関係していることを示唆している。それは通信関連事業における投資決定の唯一の動機ではないが、重要なもののひとつである。

第二層に入る国々は、中国の経済成長の見地からも重要な、市場参入が可能で亜大陸の他の地域に対する投資拠点となる国、あるいはエネルギーや天然資源が豊富な国々である。たとえば、東アフリカの戦略拠点としてのケニアは良い例である。スーダンは中国の石油輸入量の7~8%を占め、日量30万バレル以上の石油を供給しているという点で2番目の例としてあげられる。この他に第二層の国々には、アンゴラ、エチオピア、ガーナ、コートジボワール、チュニジア、ジンバブエなどが含まれる。

中国のアフリカの通信業界市場への浸透に関係して、軍事と安全保障上考慮すべき重要な点がある。例えば中国政府の国外における宇宙開発プログラムとの関係では、中国資本により建設され中国人技術者だけの手によって運営されているもっとも重要な地上基地は、ナミビア沿岸のSwakopmundにある衛星追跡ステーションである。国家機密にかかわるような建設事業を行っているのは次のような企業である。China Great Wall Industry Corp (CGWIC)、ナミビアのウィントフックにあるChina State Construction Group、China Aerospace Machinery and Electronics Corporation (CAMEC)、China Aerospace International Holding Ltd (CASIL)。

9.3. アフリカにおける電気通信連合の役割

中国のアフリカ市場への浸透のパターンを見てみると、次の点が浮かび上がって来る。

  • 中国企業は、1) 彼らがもつ既存の製品・サービス販売ネットワークを持ち込み、2) これを新市場参入と基盤強化のための発射台とするべく、グローバルな事業者と提携する。
  • ターゲットの国々で取引を成立させるのあたって必要な政治力に接近するため、地元の通信会社と提携する。
  • 外国企業と競争し契約を勝ち取るため、中国企業同士で手を組む。
  • 上述の基準を満たさない非中国系企業とのジョイントベンチャーを避ける。

背景となるアフリカ市場の拡大は顕著である。例えば、アフリカにおける携帯電話の契約者数は(2004年には7680万人、1998年には僅か750万人だったのに対し)2008年には2億8000万人にも上り、これは30%以上の普及率を意味する。すでにアフリカ市場に参入済みの主要中国企業はすべて、将来の市場成長を見込んで、アフリカ市場に経営努力を集中させる意思をはっきりと表明している。彼らがアフリカ市場でこれからも成長できるかどうかは、価格競争力、無線通信網の拡大、主要な欧米企業との提携などにかかっている。

無線通信市場に関するアフリカのビジネス環境の展望は明るい。アフリカでは3Gサービスが2003年から利用可能になった。さらなる3Gサービスの導入が見込まれている。ZTEの既存の時分割複信・符号分割多元接続(TD-SCDMA)は、大成功だった昨年の作動テストを踏まえて、アフリカ市場向け出荷が決定している。それは、ZTEがTD-SCDMA端末の最大サプライヤーとして参加した北京オリンピックで作動テストされ成功したものだ。その際、ZTEは中国移動通信公司(China Mobile)の総発注量の約30%を供給し、通信インフラと端末の両方に関して最大の3Gサービス事業者と成った。端末部門は、2007年においてZTE内でもっとも成長が早かった部門のひとつであり、前年比69.16%の増加比率で販売収益が成長、2007年には3000万個以上の輸出を記録した。

9.3.1. 選ばれた重要パートナーと契約

アフリカ市場参入に際しての外国提携先の役割について見てみると、以下のようになっている。

  • 2006年12月にComptel Corporation(ヘルシンキ上場:convergent mediation、charging、provisioning、network inventoryなどのOSSソフトウェアの主要企業)は、華為技術の正規の提携企業になった。コンプテル社は華為技術にとって、顧客へのネットワーク融合技術やプロビジョニングのサービス展開のために望ましいパートナーであるということである。華為技術とコンプテル社はすでにTelecom Namibiaに対するCDMA音声通話、Data Provisioning、Mediation solutionを含む共同プロジェクトを展開している。
[注:コンプテル社のInstantLink provisioning solutionは、有料サービスを作動させる命令の受信をはじめ、あらゆる処理を網羅するサービスである。それは華為技術の機材と連結されて、サービスプロバイダーが新規顧客に迅速かつ効果的に働きかけ、サービス提供することを可能にするものである。Comptel Eventlinkは、華為技術のネットワーク内データも含む多くの多様な情報源から、利用に関する情報を集め処理し課金システムに送るconvergent mediation solutionである。]

コンプテル社は1997年以来、南アフリカ、ナミビア、ナイジェリア、ガーナ、モロッコ、スーダン、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、パキスタン、ヨルダン、サウジアラビアなどの中東地域とアフリカで企業活動を展開している。コンプテル社は1986年に設立され、フィンランドのヘルシンキ株式市場(CTL1V)に上場している。

  • 2006年10月にEmirates Telecommunications Corporation(Etisalat)は、華為技術をUMTS/HSPA(UTMS:Universal Mobile Telecommunications Systemの略語で欧州を中心とした第3世代移動通信システムの規格、HSPA:High Speed Packet Accessの略語で第3世代携帯電話のデータ通信規格W-CDMAを拡張して高速化した規格)の全国的ネットワーク構築のため、主要な提携先サプライヤーとして選ばれた。3年契約で、華為技術は全国的UMTS/ HSPAネットワーク構築の為の1000以上のNode-B(=BTS:無線基地局)ベースステーションを含む次世代型UMTS機器を提供するが、これは中東とアフリカにおけるIub/IP(Interface UMTS B/ Internet Protocol)通信環境に基づく最初のHSPAネットワークである。華為技術は2003年12月以来、UAEにおける3Gサービス開始のためにEtisalatと提携して事業を展開している。Etisalatはエジプト、サウジアラビア、スーダンを含む14カ国以上の国をカバーするネットワークをもっている。またEtisalatは、アフリカ大陸、とくに東アフリカ地域に海底ケーブルを敷設する東アフリカ海洋システム(TEAMS)計画にも参加している。

Etisalatは、アフリカと中東で継続的な拡大をめざす華為技術の戦略にとって重要な歯車になっている。例えば、2006年にEtisalatを中心とするコンソーシアムはエジプトで、22億9000万ユーロの第三のモバイルネットワークの開発権を勝ち取った。このネットワークは、およそ12億米ドルの費用を投じて、スウェーデンのエリクソン社と華為技術共同で作られている。このジョイントベンチャーはボダフォン、Mobinilの既存のサービスプロバイダーと競争している。

2007年11月にロンドンで開催されたFinancial Times Telecom World eventで、EtisalatのCOOであるAhmed Abdulkarim Julfarは、同社がアフリカ事業をさらに拡大する計画であることを明らかにした。
[注:ロンドンに出版拠点をおく『The Middle East』誌によると、Etisalatは資産時価総額においてフィナンシャルタイムズ社の上位企業500にランクインしており、中東では資産時価総額が6番目に大きな企業である。]

  • 華為技術は、南アフリカのアフリカ最大のモバイルサービス事業者であるMTNによって、戦略パートナーとして選ばれた。南部アフリカ地域最大の国際モバイルサービス事業者のひとつであるMTNは、アフリカで増加しているモバイルサービス需要に応えるため、自社のGSM関連サービスの拡大プロジェクトをサポートする目的で、華為技術のGSM Base Station Sub-System (BSS)を選んだ。
  • 2006年後半に華為技術は、コートジボアールでGSMネットワークの構築のため、Comium Mobileに事業パートナーとして選ばれた。その契約には、フル・ターンキーのGSM、GPRS (General Packet Radio Serviceの略語でGSM方式の携帯電話網を使ったデータ転送技術)、3G、インテリジェント・ネットワークなどのサービスの提供などが含まれている。このプロジェクトでは華為技術のEnerG GSM solutionシステムと次世代型GSM両面密度型のベーストランシーバー基地局(BTS)などが採用された。Comium MobileはGSMネットワークを展開するため、華為技術をシエラレオネとリベリアにおける3年契約の事業パートナーに選んだ。
[注:Comium Mobileは西アフリカにおける通信事業ライセンスを積極的に取得している。Comium MobileはComium Group Luxemburgの完全子会社である。コートジボワールに加え、リベリアやシエラレオネでGSM 900/1800、International Voice、ブロードバンド無線インターネットサービスなどのサービスを提供できる認可企業であり、低コストの国際テレホンカード事業に加え、郵便サービスを利用したプリペイド音声コミュニケーション、付加価値サービス、SMS(Short Message Service;短文を送受信できるサービス)、安全性重視の光速インターネットアクセスなどのサービスを含む、総合的なモバイルサービスと電話通信サービスを提供している。]

  • 2006年には、Millicom International Cellularのコンゴの事業者であるOasis Sprlが、華為技術とGSMネットワーク提供についてターンキー契約を結んだ。契約の初期段階では、華為技術がEnerG GSMの技術的プラットフォームの提供と導入を行い、国中に500以上の通信基地局を設置した。このネットワークは、音声コミュニケーション、光速インターネット通信サービス、オンデマンド・ビデオ、MMS(Multimedia Messaging Service)、電子決済システムなどのサービスを提供している。この初期段階のネットワークは182の大都市で人口の85%をカバーした。
[注:Millicomはアメリカでの携帯電話サービスのために設立され、1982年にはアメリカ連邦通信委員会から、3つの携帯電話開発ライセンスのうちのひとつを付与された。同年ミリコム社は、Racal Electronics Plcとの提携により後にVodafone Group Plcへと発展した合弁企業を設立した。Millicom International Cellular S.A. (MIC Group)は、1990年12月14日にスウェーデンのIndustriförvaltnings AB KinnevikとMillicomによって、国際携帯電話サービスの合弁会社として創業された。1993年にはMICはMillicomと、Millicom買収の協議に入った。MICは1993年12月31日、NASDAQ株式市場での株式買い取りを開始した。MICは買収の結果Millicomの全株式を取得し、それに加えてMACH社(ルクセンブルグに本拠をおく大手ソリューションプロバイダー)、イギリスにあるMillicom傘下の公衆電話事業である3C社も手中に収めた。Millicomがもつその他の事業には衛星テレビ事業、英国でのブロードバンドライセンス、コンピューターネットワーク会社であるInnova Inc.などがあるが、これらはAmerican Satellite Network Inc.という新会社へ譲渡された。]

アフリカにおけるMICの実績は以下の通りである。
  • 2005年にZTEはPortugal Telecom (PT)と技術提携協定をもったが、これはZTEのアフリカにおける展望を強化するものであった。研究開発に関するMOUは製品・サービスの開発を含み、両社に新市場参入の機会を与えるものである。また、PTが株式を保有しているアンゴラ、カーボヴェルデ、ケニア、モロッコ、モザンビークの事業者のキャリア・プロジェクトに共同で入札することも認めている。
  • また2005年にZTEは、France Telecomの非対象デジタル加入者回線(ADSL)関連機器の国際的サプライヤーになるため、フランステレコムと提携した。フランステレコムは世界中で1億1860万人の顧客を持ち、アルカテル社とも提携を交わしており、アルカテル社の符号分割多元接続技術(CDMA)の端末間ソリューションへのCDMA通信アクセスポートフォリオを統合することで合意している。
[注:フランステレコム社はセネガルのSonotal、マリのSNO Ikatel、コートジボアールのCôte d’Ivoire Telecom、モーリシャスのMauritius Telecom各社の過半数株式か支配権を持ち、フランス語圏アフリカにおける電気通信産業界では非常に大きな地位を占めている。ZTEは、エジプトのカイロとナイルデルタ地帯で予定されている、CDMAのアップグレード化のための10万回線のCDMA通信事業プロジェクトで、主要な役割を果たすであろう。]

  • 2003年にZTEは、アフリカ大陸の20ヵ国で新規通信システムを導入するため、Comtelの名で知られるアフリカの地元通信事業グループと提携した。約2億4000万ドルの資金が、東南部アフリカ市場共同体(Comesa)への非同期転送モード(ATM)を導入するプロジェクトを遂行するのに使われた。ZTEは、既存の通信タワー用か、あるいはエジプトからスワジランドまで延長されたComesa圏内を結ぶ送電線用に、光ファイバーケーブルを敷設するというプロジェクトに着手する予定だ。中国系企業は2億4000万ドルの事業費用のかなり部分を出資したので、Comtelの主要株主になるであろう。

ComtelはComesaによって設立された企業で、Comesa圏の地域通信ネットワークの確立を推進することがその目的である。2000年5月にモーリシャスで事業登録されたComtelは、国際電話をかけるのにこれまで欧米企業の通信回線利用料として支払われていた1億2000万ドルの年間コストを節約しようとしている。またComtelは、Comesa加盟国と他の国々とを直結で繋ぐ通信接続のサービスを導入する予定である。現在、アフリカからの多くの通話はニューヨークを経由しなければアジアに繋がらない。Comesaの加盟20ヵ国はザンビア、ジンバブエ、ケニア、マラウイ、ナミビア、セーシェル、コンゴ共和国、エジプト、モーリシャス、アンゴラ、エチオピア、ウガンダ、スーダン、ルワンダ、スワジランド、ブルンジ、エリトリア、ジブチ、コモロ、マダガスカルである。このプロジェクトへの中国の参加は、通信分野におけるアフリカ諸国との経済協力に高い優先度がおかれていることを示している。

アフリカでのICT分野は、2001年から2007年の期間において、中国から合計約30億米ドルの投資を受けてきた。中国のアフリカにおけるICT分野での投資は、主に通信機器の販売という形態をとっている。それは、中国の製造業者とアフリカの公的企業や民間企業との間の、通常の商業契約を含む場合もある。場合によっては国有通信事業者による中国製機器の購入に当てられる政府間金融に繋がることもある。

国際的な注目がアフリカのVodacom、MTN、Celtelなどの新規民間企業に注がれる傾向がある一方、中国企業はとくにその国の通信事業者への技術と通信機器の提供を行う主要企業として市場参入を果たしている。15億米ドルという桁違いの情報通信技術プロジェクトとして、エチオピア農村でのモバイル通信網普及の共同プロジェクトなどもある。

これは4年計画のプロジェクトで、2006年に最初の合意がなされ、ZTE、華為技術、中国国際通信建設公司(CITCC)によって実施された。これが完了すれば、エチオピアの光ファイバー事業の展開は2倍以上、モバイル通信網の拡大能力は3倍以上、地方での通信網カバー域は2倍、固定電話回線のケーブル総長は4倍の規模になる見込みである。2007年にZTEは、初期の2段階にわたる建設プロジェクトを開始した。このプロジェクトの活動の中心は、国有のZTEと民間企業の華為技術、民間企業と公的企業との等分出資であるフランスと中国の合弁会社Alcatel Shanghai Bellの3社であった。大方の資金は中国の国営銀行が直接提供した。ZTEは2004年に中国輸出入銀行にある5億米ドルの信用与信枠を使って、この事業のため資金を投入した。同様に華為技術は2004年に、中国輸銀から6億米ドルの輸出・販売業者向け与信融資枠と、中国開銀から100億米ドルの与信融資枠を受けた。強調すべき点は、これらの融資は世界的な事業を行うために提供されているという点である。

中国のICTプロジェクトの顕著な一例は、2006年に合意されたガーナにおけるNational Communication Backbone Infrastructural Projectである。中国輸銀は、中国交通部がイニシアティブをとったこのプロジェクトの7000万米ドルの費用のうち3100万米ドルを融資している。このプロジェクトは、ガーナにおける固定電話通信技術の活性化と拡大を目指しているものである。

9.4. アフリカで事業を行う中国の通信事業企業

華為技術(Huawei Technologies)

華為技術は、大手通信企業である中国電信と中国聯合通信有限公司(China Unicom)への主要サプライヤーであると共に、世界で上位10社の通信機器メーカーの中の1社である。そのメイン製品にはスイッチ回路、インテリジェント・ネットワーク、Synchronous Digital Hierarchy(SDH)、通信ネットワーク、無線、datacom、broadband integrated services(BISDN)、電力供給、フリースペース光学システムなどである。企業情報筋によれば売上の1%は軍事関係であるが、それでもこの圧縮されたかのような小さな数値は、通信機器と通信サービスの年間売上において3000万米ドル以上になっているという。

華為技術の製品とソリューションサービスは100ヵ国以上の国で展開されており、世界の通信事業者の上位50社のうち31社に、また、世界中で10億人以上のユーザーにサービスを提供している。2006年に同社は82億米ドルの年間収益を上げ、44000人以上の従業員がいる。収益の半分以上は海外での売上(48億米ドル)によるものである。

華為技術はしばしば「北京の軍部と強い関係があり、不正な輸出や産業スパイの歴史がある中国企業である」と評されているが、この疑惑を根拠のないものとして強く否定している。

中興通迅(ZTE communications)

前身はChina Aerospace Industry Corporation(CAIC)傘下の第691号電気製品工場であったが、Zhongxing Telecom(中興通迅、ZTE)は、中国最大の通信機器上場メーカー、および無線ソリューションプロバイダーとなった。ZTEは香港と深圳で株式上場しており、中国では華為技術に次ぐ2番目に大きな通信機器販売業者である。同社は固定電話、携帯電話、データベース、光通信網、インテリジェント・ネットワーク、次世代型のネットワークと携帯電話に関する通信機器の開発と製造を行っている。

同社は通信関連機器の輸出、ジョイントベンチャーの設立、地域の通信業者への投資などにより、成長市場で積極的に拡大を遂げてきた。ZTEのLi Taifong会長は2006年10月に、アフリカ市場を次のビジネスハブとして捉えてターゲットにおいていることを明らかにした。

ZTEは2002年にWiMAX (Worldwide Interoperability for Microwave Accessの略で高速無線通信の規格)のサービス提供を開始して以来、米国と中国に3つのWiMAX研究開発センター(WiMAX R&D center)を設立した。WiMAX事業用に400名を超えるR&D人材を抱え、WiMAXの分野で増加しつつある多様なパテントを保有している。

アルカテル上海ベル社(Alcatel Shanghai Bell: ASB)

アルカテル上海ベル社(ASB)は、アジアでもっとも大きな通信機器とソリューションサービスを提供するサプライヤーのひとつ。ASBはアジア太平洋地域におけるAlcatel-Lucentの中国現地法人である。この企業は世界中に豊富な資源を持ち、中国の通信産業としては最初に外国で資本参加した企業である。ASBはアルカテル・ルーセント社の包括的な次世代型(NGN)のポートフォリオから恩恵を受けている。

2007年にABSは、中国のサービスプロバイダーである中国移動通信公司にTD-SCDMAを提供するため、(TD-SCDMAネットワークソリューションを開発していた)大唐移动社(Datang Mobile)と提携した。大唐移动社とASBは、中国移動通信公司のため、上海と広州でTD-SCDMAサービスを展開した。ASBはそのネットワークで使われるNode-B機器を提供した。

中国移動通信集団公司(China Mobile)

中国移動通信集団公司は中国最大手の通信業者で、1997年にニューヨークと香港の株式市場に上場された。中国の主要モバイルサービス・プロバイダーとして、この企業グループは世界で最大の、統合的で連続的な接続を実現する完全デジタル携帯電話ネットワークと世界最大の携帯電話契約数を誇っている。2006年にこの企業は「フィナンシャルタイムズ」によって再度世界の上位500社に選ばれ、また「フォーブスマガジン」では世界企業2000社に選ばれた。

2007年4月には、中国移動通信集団公司は経済の急成長が見られるアフリカと東南アジアの企業を買収する意向を示した。しかしながら、南アフリカに拠点をもつ通信業者MTNの株式取得を狙っているという報道に関しては否定した。だが情報筋によると、ある時期MTNが中国による買収計画のターゲットであったことは確からしい[下記参照]。

9.5. 数カ国での事例研究

アルジェリア

アルジェリアは中国にとって、アフリカにおける主要な戦略パートナー国のひとつである。それは、石油と対テロ戦争に関係している。

エネルギーの分野ではアルジェリアは、中国の胡錦涛主席が2003年に国家主席に就任してから、最初の外遊で訪問したアフリカ最初の国である。彼は2004年2月初頭にアルジェリアを訪れ、エネルギーと通信の分野での協力体制に関する幅広い枠組の、様々な協定書に署名した。

しかしながら中国は、胡錦涛訪問の前の段階からすでに、アルジェリアの通信業界において活発に活動していた。華為技術は1999年にアルジェリアに進出、今日ではアルジェリアにおける通信業界と個人通信市場において80%以上のシェアをもっている。同社はアルジェリアにおけるCDMA wireless local loop (WLL)システムとターミナルの最大プロバイダーであり、Algeria Telecom既存のPSTN(一般加入電話回線ネットワーク)と統合可能な統括的スイッチセンター(C&C08)を採用した有線と無線の包括的CDMA WLLネットワークソリューションを、Algeria Telecomに提供した。このネットワークはHonet、固定電話回線、ADSL、その他業者のCDMA WLL機器と接続ができ、アルジェリアの7つの県を113000回線でカバーするアクセスネットワークを構築するには、セットアップ費用が少なくて非常に柔軟性のあるネットワークである。

2003年4月に華為技術はアルジェリアで、14地域にGSMネットワークを拡大するプロジェクトを請け負った。

2005年に華為技術は、アルジェリア・テレコムから次世代通信基幹ネットワークの通信機器の購買契約を受注した。このプロジェクトの基幹通信ネットワークはアルジェリア全域をカバーし、そのために豊富なデータサービス特性、知的情報特性、そして信頼度の高い次世代向けアプリケーションを提供する必要がある。華為技術は特製のASON(集中管理型光通信網)をベースとしたOptiX OSN(Open Storage Networkの略語)システムをもっていたおかげで、そのプロジェクトを勝ち取ることができた。

2007年3月に華為技術は、アルジェリアの重要な旅客輸送ルートであるTabiaとMecheriaを結ぶ220kmの鉄道用にGSM-R通信ソリューションを提供するため、アルジェリア連邦鉄道Société Nationale des Transports Ferroviaires (SNTF)に事業パートナーとして選ばれた。この契約において華為技術は、ALSTOM社(フランスの重電機メーカー)に鉄道信号通信システムを提供してもらい、GSM-Rネットワークの設計とエンジニアリングサービスをSNTFへ提供する。完了するとTabiaとMecheria間路線は、世界水準のGSM-R技術が配備されたアルジェリアの最初の近代的な鉄道となる。

2007年5月に華為技術は、アルジェリアの首都であるアルジェでCDMA 2000 1xEV-DOネットワークを公式に開始させた。華為技術のLiteFMEソリューションによりCRBT(Color Ring Back tone)、EV-DOデータサービス、EV-DO用前払い方式ポータル、固定電話網におけるビデオ電話、企業ユーザー用のPBXサービスであるIntegrated Centrexを含むアルジェリア・テレコムのPSTN、CDMA、WLLネットワーク、ADSLのシステム統合が可能となる。 [注:2007年初頭にアルジェリア・テレコムは、通信速度を8Mbpsまで上げた企業ユーザー用のADSL Assila Pack Pro 3000、ADSL Assila Pack Pro 4000、ADSL Assila Pack Pro 8000の3つの新サービスを導入した。]

その他の開発事例には以下のようなものがある。

  • GSM、CDMA、スイッチング、アクセス関連機器を含むテレコム機材の3000万米ドル相当の寄付
  • 2006年末の研修センターの設立
  • l2007年9月、アルジェに北西アフリカ地域事務所を開設
  • サービス収益を高めながら、OPEX(事業運営費)、CAPEX(資本支出)、user churn (短期間でユーザーが契約を乗り換えること)の削減が可能になるEv-Do Rev.A(第3世代の高速な移動体通信方式)の試験的プロジェクトの準備

中興通迅(ZTE)

2003年にZTEは、アメリカ企業数社の提示額より18~21%低い金額で携帯電話ネットワーク事業を落札し、アルジェリアにおいてアフリカ最大のCDMA WLLを建設する契約を獲得した。最終的な契約金額は、最初の敷設工事といくつかの派生工事で3200万米ドルである。同社が低い契約価格を提示できたのは、中国輸出信用保険公司(Sinosure)と中国工商銀行(ICBC)のソフトローンのおかげだが、これは政府助成を受けた中国ビジネスの典型例である。この取引はアルジェリアの全8地域の43の県をカバーする、ZTEによるふたつのCDMA WLLネットワーク構築を含んでいる。

2004年10月にZTEはアルジェリアで、地元企業INATELと協力して(無線固定ターミナルとその他の機器のための)製造施設を建設すると発表した。

2005年までにZTEは(アルジェリア北部のTizi Ouzou、Bouira、Bejaiaの3県を含む)全国の95%をカバーする全国的CDMAネットワークを提供した。新しいネットワークはMobile Switching System (MSS)、Base Station System (BSS)、Packet Data Serving Node (PDSN)、Operation and Maintenance Center (OMC)、修理センター、研修センター、ソフトウェア・サポートセンターを伴っている。

2006年にZTEはアルジェリアで、当時1200万人の契約者がいた最大のモバイル業者であるATM Mobilisと光通信機器の供給契約を締結した。この契約においてZTEは、通信機器、電源、光通信網管理ソフト、SDH/PDHアナライザーを含む光通信機器を提供した。
エジプト



エジプトは6000万人を超える人口を持ち、南アフリカ、モロッコに次いでアフリカで3番目に大きな携帯電話市場である。エジプトのモバイル市場はMobiNilとVodafone Egyptの民間通信事業者2社によって占められている。この2社は、2006年にアラブ首長国連邦に拠点をおくEtisalatが第三世代(3G)サービスを提供する第三のプロバイダーに選ばれる前までは、数年にわたり携帯電話プロバイダーの地位を専有していた。

2002年にエジプトの情報技術省(MCIT)と中国の情報産業部(M11)はICT分野の産業育成に関して合意、MOUを取り交わした。

華為技術

2000年に華為技術はエジプト市場に参入し、中東と北アフリカの事業はエジプトで管理されてきた。この国に研修センターをおいている。Telecom Egyptは華為技術のTELLINソリューションを利用して、エジプト全土をカバーする固定電話インテリジェント・ネットワークを構築した。華為技術はまた、Telecom Egyptが10000のネットワーク容量で、音声・データサービスを含むCDMA WLLサービスを固定電話とモバイルユーザー双方に提供できるようにした。さらにTelecom Egyptは、華為技術のHonetアクセスネットワークを利用できる50万回線のMSAN(Multi Service Access Network)ソリューションを全国に作った。加えてTelecom Egyptは、50以上のノードをもつカイロ大都市コアネットワークを構築するため、華為技術のOptiX 10G機器を配備した。2006年にTelecom Egyptと華為技術は、無線ローカルループターミナルを製造する契約を交わしている。

華為技術は、Telecom Egyptの電話サービスを地方にも広めるため上エジプト地域とスエズ運河地域に、華為技術のCDMA2000 WLLスイッチとベースステーションをターンキーで設置する工事をRaya NS社(RNS)に発注した。

華為技術により供給されたRoda、Abbassia、Alexandria、Suez、Tanta、Mansura、Sohag、Meniaの8地域をカバーするエジプトのIN Hardware Installationネットワークは、RNSによって設置された。さらにRNSは、自社のネットワーク管理システムと共に17の都市をカバーする4つの光ファイバーリングの設置を完成させた。また、10Gbpsと155/622Mbpsの光ファイバー通信機器の最初の試験運転を行う契約を得た華為技術は、その設置工事契約をRNSと結んだ。

エジプトのモバイルサービス最大企業であるMobile Services (Mobinil)と華為技術は、2005年にエジプトでソフトスイッチのテスト運転に着手し、この期間に試験的モバイルネットワークの最初の通信を完了した。MobiNilと華為技術は2006年に、ネットワーク容量を予想される500万人顧客分まで増強する契約を交わした。
[注:2G/3G方式の携帯電話コアネットワーク構築のなかにソフトスイッチを導入した最初の通信機器サプライヤーであったMobiNilは、コアネットワーク構築のために華為技術を提携先として選んだ。MobiNilの株主はOrangeとOrascom Telecom Holdingである。]

2006年にTelecom Egyptは、密度波長分割多重方式(DWDM)技術を提供するために華為技術を提携企業として選んだ。この技術は、複数のビデオ・オーディオ・データチャンネルを同時にひとつの光ファイバーで伝送し、異種のフォーマットに対応してネットワークの通信効率と回線容量を増やすことができる。この3年契約はカイロにおけるTelecom Egyptのネットワーク容量を増やし、サービスの質を向上させながら、事業運営コストを削減させるであろう。

Telecom Egyptの経営戦略を指揮するDawlat El Badawi副会長は以下のように語っている。
「先端技術による高品質通信への需要の高まりは、電話事業者たちにとってのパラダイムシフトである。もともとスイッチ回路制御の音声データトラフィックを行うよう設計されていたものが、現存のネットワークは、大容量のデータを扱ってストリーミングビデオを伝送したり、急増するユーザーにインターネットアクセスを提供したりする必要がある。ネットワークを進化させることが鍵で、それには綿密な調査と分析がいる。華為技術はDWDM技術で産業界をリードしていく通信ネットワーク構造を提供し、セキュリティーと既存サービスの質の向上を行いながら、顧客に最先端のサービスアクセスを可能にする。」

華為技術のDWDM機器は、全国的なネットワークと都市間ネットワークの、併せて250を超えるネットワークに適用されてきた。華為技術のDWDM技術は、中東ではアラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、チュニジア、アルジェリア、モロッコなど、多くの国で広く採用されている。

2005年に華為技術は、事業パートナーや多様な通信機器製品の消費者と下請業者の教育を目的とする地域技術支援センターと研修センターを、カイロに開設した。研修施設は300㎡の敷地面積を持ち、一度に150名の研修生を受け入れるキャパシティーをもつ13の教室と研究室を備えている。オープニングの時点で、全部で58の研修プログラムが利用可能であった。

その折り華為技術のTian Feng副社長は、「われわれは4年前にエジプトに進出したが、われわれの知識と経験は世界で最高レベルのものである」と誇らしげに述べ、「エジプトの地理的条件は戦略上重要である」と語った。ふたつのセンターへの投資額は合計2000万米ドルに達した。

中興通迅(ZTE)

2004年5月6日にZTEと華為技術は、他の世界的大企業たちとの激しい競争の末、CDMA技術を使った携帯電話ネットワークをエジプトで始める契約を勝ち取った。この契約は両中国企業とEgyptian Communications Company (ECC)とのあいだで結ばれ、2000万米ドルを超える費用を投じて最大10万人以上のユーザーにサービスを提供することを目標に、CDMA携帯電話ネットワークを開始するというものであった。

ECCは世界的な電気通信企業7社が参加した国際入札を行って、中国企業を選択した。ECCのOkail Bashir会長によれば、この選択において価格は重要な判断要素ではあったが、製品の低価格だけではなく、重要なのは技術的な効率性であった。

このプロジェクトの第一段階は、デルタ地方の48000回線、カイロ近郊16地区の52000回線に及んでいた。第二段階では800メガのコアネットワーク、アクセスネットワーク、固定電話無線ターミナルなどが含まれる。さらにZTEは、2005年にCDMA WLLを100 CDMA WLLにする契約を交わした。
アンゴラ



アンゴラは近年、中国のもっとも重要な通信事業市場のひとつに成長した。この国で最大の通信事業者はZTEである。

2005年にZTEは、アンゴラで2番目に大きな固定電話事業者であったMundostartel (MST)との6900万米ドルの契約を交わして、アフリカで最初の商用WiMAXネットワークの展開を開始した。ZTEはMundostartelに、全国的なWiMAXネットワークを構築するための通信機器を供給した。このネットワークは3つの都市(ルアンダ、ベンゲラ、ロビト)をカバーし、600万人以上の人々にブロードバンドとボイプ(VoIP:音声を符号化し圧縮し伝送する技術)サービスを提供する。最終的には8つの州で展開される予定である。それはまたZTEにとって、CDMA2000 1xとEV-DO技術を用いたNGNベースのIPプラットフォームを初めて導入した事例であった。

その契約においてZTEは、802.16e(モバイルWiMAX)ネットワーク、roaming support architecture、product serialisationに拡張性を与えるベースステーションとカスタマー構内設備(CPE)を含む端末間WiMAXソリューションを、MSTに提供した。

ZTEによれば、このネットワークは、従来の固定電話回線音声通話などアナログサービスを、モバイル通信トラフィックなどのデジタル信号によって同じネットワークで伝送できるようにするNGN技術を提供する。これは、アフリカでは初めてだったろう。
[注:Mundostartelはアンゴラにおける固定電話ネットワークを展開する事業ライセンスをもっており、2010年までに市場シェアを40%まで伸ばしたい考えである。Telecom NamibiaはMSTの44%の株式を所有し、9700万米ドルの全保有株式のうち無線ネットワークの費用のために4200万米ドルの出資をした。]

2006年11月にアンゴラのPeido Nandó首相は深圳のZTE本社を訪問し、アンゴラの次世代システムに関するZTEの提案を受け取った。ZTEは100人のフルタイム従業員をアンゴラで雇用しており、サントメ・プリンシペへの進出を検討している。目下はアンゴラでの4億米ドルのプロジェクトにより、ZTEは(この国で最大の電気通信企業である)Angola TelecomとMSTelem社を現地パートナー企業として、NGNアクセスネットワーク、インテリジェント光通信ターミナル(IOT)、GSM/CDMAネットワークに取り組んでいる。アンゴラ軍上層部は軍事指令センターの通信システムに不満をもっていることから、ZTEは、アンゴラ軍のため約8000万米ドルの高セキュリティー機密電気通信ネットワークの構築プロジェクトにも取り組んでいる。

アルカテル上海ベル(ASB)

2002年にアルカテル上海ベル社(ASB)とAngolan Telecomは、アンゴラ南部と東部(Namibe、Huile、Cunene、Lunda Norte)の電気通信ネットワークを拡大して最適化する6000万米ドルの事業契約を交わした。この契約は設計、プロジェクト管理、製品開発、通信機器ソリューションなどを含む。

Shanghai BellはAlcatelに、S12スイッチング機器、Litespan統合アクセス機器、SDH622MとSDH155M光通信機器、光ケーブル、電気ケーブルなどを提供した。同社はまた人工衛星地球ステーションの建設と既存の人工衛星地球ステーション4基を再建、加えてAngolan Telecomの全外部回線の設置に貢献した。
[注:これらの建設と設置工事は2005年に開始された。日本の財団法人海外通信・放送コンサルティング協力(JTEC)がこの工事の監督を担当した。]

中国国際通信建設公司(CITCC)

2005年にCITCCは、ルアンダにおけるAngola Telecomの電話通信ネットワーク向上のため、4段階からなるプロジェクトを完遂した。CITCCはまた42kmに及ぶ電話通信用ダクトを建設、366kmの電話ケーブルを引き、20万人に電話回線を提供した。

華為技術

華為技術はアンゴラ6州に拠点を持ち、電気通信技術研修施設の建設とUniversity of TelecommunicationsのSchool of Telecommunications Technologies (ITEL)の施設向上のために700万米ドルを投資した。この大学は現在、ルアンダに建設中である。

華為技術はまた、NGN、アクセスネットワーク、インテリジェント光通信、GSM、CDMA、データコム製品をアンゴラに導入した。

同社はAngola TelecomおよびMSTelcomと協力枠組み協定をもっている。

南アフリカ



アフリカにおける中国の通信事業の発展にとって重要なもうひとつのエリアである南アフリカは、アフリカ大陸におけるZTEと華為技術の本部、およびロジスティックセンターとして機能している。ヨハネスブルグにある華為技術のサブサハラ指令センターはとくに印象的で、所在地は
1st floor, Building 28, The Woodlands, Woodmead in Johannesburg
である。華為技術はまた南アフリカに研修センターを有しTelkomと共同運営している。

中国企業は、南アフリカで開発された技術を北京や上海に伝えること、MTNなどの大規模事業者とジョイントベンチャーを組んで、競争力に劣る第三国に進出することをめざしている。

華為技術

華為技術が最初に首都プレトニアで南アフリカ市場に参入したのは1998年のことであり、その後1999年にヨハネスブルグに拠点を移した。ケープタウン大学(UCT)とともに訓練プログラムを進めており、基礎的なものから高度なものまで、通信関連エンジニアに通信機器に関する訓練を行う予定である。華為技術は、この大学に自社の研修施設として完全に機能するよう、必要な機材を提供している。

音声、IP、ビデオが統合されたアクセスプラットフォームを提供する21CN統合的アクセスサービス・ネットワークにおいて、華為技術はTelkomにとって唯一の戦略パートナーである。さらに華為技術はVodacomに対し、先進的な3Gターミナルと、高性能IPネットワークと付加価値サービスを伴うCellCを提供している。同社はまた2005年にMTNの国際戦略パートナーになっており、通信機器と関連サービスの提供を柱とする6億米ドルの3年契約に関し枠組み合意している。華為技術はまた、固定電話事業者であるSNO社によって選ばれた最初の提携会社である。ノースウェスト州政府は華為技術からIP WANを購入、実施している。

華為技術は訓練プログラムに非常に重点を置いている。例えば同社はTelkomとともにZululand Universityに資金提供しており、南アフリカの"Talent Plan"を支援して、大学院生に奨学金と研究テーマを提供している。

華為技術はまた、南アフリカと周辺国のために、IPエンジニアリング、技術訓練、修了証書を無料で提供するIPネットワーク訓練センターをUCTに開設した。昨年一年間でこのセンターは100人以上に訓練を施し、認定証を与えている。

2006年8月6日には、南アフリカのWoodmeadにもうひとつの研修センターが開設された。ナイジェリア、ケニア、エジプト、チュニジアにある他の施設に加え、この施設ができたことでアフリカ全体での華為技術の研修センターは合計5ヵ所になった。2007年末時点では、400人以上のアフリカ人がこれらのセンターから卒業した。

中興通迅(ZTE)

ZTEはVodafone Group plcを通じて市場参入し、2007年7月に南アフリカのVodacom株の50%を取得した。ボダフォンは新興市場でのポジションを強化するため、ノキアとモトローラの最安値機種への対抗商品として、超低価格の携帯電話を発表した。Vodafone 125とVodafone 225という第二世代(2G)方式携帯電話は、ZTEとのボダフォンのパートナーシップの成果である。
[注:ボダフォンはまた華為技術と協力した3G方式の機種の開発、フランスSafranの携帯電話製造部門であるSagemと協力した超低価格GSM対応機種の開発に取り組んでいる。]

中国はMTNに注目しているか?

2007年から2008年初頭にかけての期間、中国最大の一般回線固定電話業者であるChina Telecomが、南アフリカのモバイル業者MTNグループの株式を取得するという噂が繰り返し流れた。ヨーロッパの情報筋によると、中国によるMTNの買収は長年にわたり計画されてきたという。最初は、2005年末に企業グループが買収に乗り出すと考えられていた。その後China Mobileが中国輸銀の大規模融資を受けてビッドを行うと推測された。

9.6. 近年の展開

  • 2008年9月:ZTEは通信ネットワークを拡大するための7000万米ドルの契約を発表した。中国の華為技術はトリポリに光通信ネットワークを構築する2000万米ドルの契約を勝ち取った。リビアは全国的なインターネットと携帯電話のサービスを計画している。中国企業はこれらの開発において最前線にいる。
  • 2008年10月:ナイジェリアからの情報によると、NIGCOMSAT(Nigerian Communications Satellite Limited)のインフラを商業通信用に使う計画が進行中である。これは、NIGCOMSAT名で通信回線を全国に展開して、民間の通信事業者(PTOs)やGSM事業者に対抗するというものである。運営にはナイジェリア政府とZTEがあたる。NIGCOMSATは、音声・データ通信サービスおよびその他の付加価値サービスを提供する通信ネットワークを構築しているといわれる。 [参考:NIGCOMSAT衛星は2007年5月17日に中国で打ち上げられた。国家保安庁(SSS)、国家情報局(NIA)、国家安全保障局(NSA)などナイジェリア情報諸機関の、通信統合インフラとして機能するものとみられている。]
  • 2008年11月:中国のZTEはモーリタニアで2.5GHzモバイルWiMAX商業ネットワークを構築する契約を勝ち取った。この契約においてZTEは、コアネットワーク、通信機器、無線アクセスユニット通信ターミナルを提供する事になっている。