トルコ100年の歴史を歩く――首都アンカラでたどる近代国家への道――

他社で出版した研究成果

平凡社

2023年10月、トルコ共和国は建国100年を迎える。世界中の国々を見渡してみれば、まだ若い国ではある。しかし、その地理的な位置や宗教的立場から近年の国際政治・経済の場面でその存在感を高めつつある。
そのトルコの首都は「アンカラ」だ。観光地と知られ、華やかなイスタンブールとは違い、アンカラにはトルコ大国民議会や大統領府や省庁などの政治関連の建物や難関大学などが建ち並び、どちらかといえば地味でお堅いイメージだ。しかし建国の父ケマル・アタトゥルクが眠る廟やケマルの銅像は、トルコの人々の精神的な拠りどころとして大切にされている。また近年、大型ショッピングモールや流行りのカフェやレストラン、欧米資本のホテルなどが数多く建てられ、トルコの経済発展を垣間見ることもできる。一方で、クーデターやデモ、テロが起きた公園や通り、標的となった大学があり、そこには犠牲者を悼む碑などを目にする。つまり、アンカラはトルコの首都であるとともに、トルコの100年の歩みそのものなのである。
本書はアンカラ市内の政府関連施設や博物館、モスクや大学、そして主要交通機関を紹介しながらトルコ共和国100年の歴史を多数の写真とともに読み解くもの。現代のトルコ情勢を長きにわたり調査を行ってきた現地在住の気鋭の研究者ならではの視点満載の1冊。

トルコ100年の歴史を歩く――首都アンカラでたどる近代国家への道――

■ トルコ100年の歴史を歩く――首都アンカラでたどる近代国家への道――
今井 宏平
■ 1,056円(本体価格 960円)
■ 208pp
■ 2023年9月
■ ISBN978-4-5828-6038-2

“本書は建国100周年を迎えたトルコ共和国に関して、首都であるアンカラの変化を通して、その現状と変容について描写した新書です。本書の目的は2つです。1つ目は多くの写真と地図を通して、より臨場感のある形でトルコ共和国を理解してもらうことを目指しました。2つ目は首都でありながらこれまで常にイスタンブルの陰に隠れてきたアンカラにスポットを当てるということです。トルコに興味を持った方は旅行ガイドブックを読む感覚で本書を手にとって頂ければと思います。本書を通じてトルコの政治や外交をより深く知りたいと思った方は拙著『トルコ現代史』(中央公論新社、2017年)に進んで頂ければ幸いです”

2023年9月22日
著者 今井宏平(在アンカラ海外研究員)
※所属は出版当時のものです。

Contents

第1章 西洋化とイスラームのはざまで
第2章 郊外都市への変貌
第3章 つわものどもが夢の跡
第4章 デモ・クーデター・テロの記憶
第5章 外交と政策決定の中心地