多国籍企業の生産形態:中間財を取り入れた水平型・垂直型共存モデルの作成と分析

調査研究報告書

内田陽子 小山田和彦  編

2014年3月発行

表紙 / 目次 (103KB)
第1章
多国籍企業研究に関するサーベイ (417KB) / 内田陽子・小山田和彦
企業の海外進出に関して、一般均衡理論の枠組みのもとで海外直接投資を取り扱う理論研究が行われており、企業の進出形態によって、それぞれの企業タイプを(1)輸出費用の削減に動機を求める水平型直接投資企業、(2)生産費用の削減に動機を求める垂直型直接投資企業、(3)同じく生産費用の削減に動機を求め輸出先が第三国となる輸出基地型直接投資企業、(4)水平型的動機と垂直型的動機が互いに補強しあう複合型直接投資企業に分けて説明することが試みられてきた。本章では、それぞれの企業タイプについて、水平型、垂直型、水平・垂直共存型、輸出基地型、複合型の順に先行研究の整理を行ない、最後に今後の拡張の方向性について論じている。

第2章
近年の世界的な貿易量増加に見られる特徴の一つに、垂直型生産ネットワークの発展による中間投入の増加を挙げることができるだろう(Feenstra[1998])。生産ネットワークは、多国籍企業活動の拡大にともなって形成されてきたと理解されている。多国籍企業は生産構造の違いによって水平型と垂直型の二つの直接投資タイプに分けることができ、さらに近年、企業活動が複雑化することにともなって垂直型の発展形態である輸出基地型や複合型が出現した。本章では、中間財を考慮した垂直型モデルであるZhang and Markusen[1999]をベースに、水平型と垂直型の多国籍企業を同時に取り扱うことができるよう拡張したモデルとそのシミュレーション結果を示している。また、最後に来年度行う予定である拡張の方向性について議論している。