動き出すASEAN経済圏-2008年への展望  

アジアの経済圏シリーズ

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ASEANがAFTA創設へと動いた背景、AFTA構想の概要、ASEAN内の各産業の発展動向と域内分業の現状、そして各国のAFTAへの対応等、ASEANの域内貿易・域内協力にかかわる諸問題を解明し、21世紀に向けたASEANの発展の方向を展望する。

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■ 動き出すASEAN経済圏-2008年への展望
■ 糸賀滋  編
■ B5判
■ 278pp
■ 1994年
■ ISBN4-258-23006-8
■ 品切れ

CONTENTS

表紙・目次

まえがき / 糸賀 滋

第1章 アジア太平洋地域におけるASEANの位置づけ / 青木 健
第1節 アジア太平洋地域の台頭
 高成長をみせた環太平洋諸国/環太平洋におけるアジア太平洋地域の台頭/アジア太平洋地域内部での日本の比重低下
第2節 強まる世界経済における地域主義的傾向
 日米の相互依存関係/地域主義の台頭
第3節 統合進むアジア太平洋経済とその含意
 域内輸出比率・貿易依存度の上昇/統合促進メカニズム/アジア太平洋地域経済統合の世界経済へのインパクト/日本経済-域内統合の原動力
第4節 ASEANの位置づけと役割
 環太平洋地域・アジア太平洋地域とASEAN/ASEANと「太平洋成長のトライアングル」/工業化実現のための条件整備/アジア太平洋地域におけるASEANの役割(1)-太平洋の分裂回避/アジア太平洋地域におけるASEANの役割(2)-ASEAN内外への求心力強化/アジア太平洋地域におけるASEANの役割(3)-APECでの積極的な活動

第2章 ASEANの設立と機能変化 / ウォン・シュアン・ヤン
はじめに
第1節 ASEANの設立と経済協力体への移行
 1.ASEAN結成へ
 2.国家発展志向と域外輸出
 3.シンガポールによる貿易自由化案
 4.第一回首脳会議(バリ)
第2節 ASEAN産業享禄の実態
 1.ASEAN産業プロジェクト(AIP)
 2.ASEAN産業補完計画(AIC)
 3.ASEAN合弁事業計画(AIJV)
第3節 貿易自由化-ASEAN特恵取極(PTA)
 1.特恵貿易協定が決まるまで
 2.特恵取極の仕組みと現状
第4節 経済協力における新視点 -1980年代末に向けて
 1.これまでの域内協力の限界とその原因 産業協力/PTA
 2.域内協力効果を高めるための努力

第3章 AFTA(ASEAN自由貿易地域)構想-目的とその効果- / ウォン・シュアン・ヤン、北村 かよ子
第1節 AFTA構想成立までの経緯とその背景
 はじめに
 1.AFTA形成の経緯
 2.AFTA構想決定の背景
  国際経済・政治環境の変化/アジア地域の経済環境の変化
第2節 AFTA実現の手段と政策課題
 1.CEPTスキーム
 2.残された政策課題-非関税障壁の撤廃
 3.実効性ある組織的枠組みの設置
第3節 AFTAの見通しと効果
 1.AFTAの現状
 2.AFTAの見通しと効果

第4章 ASEAN域内分業構造の現状と問題点 / 青木 健
第1節 1980年代ASEAN貿易構造の変化
 1.高まる世界経済・貿易におけるASEANの地位
 2.高度化する貿易構造
 3.続く「太平洋成長のトライアングル」構造
第2節 ASEAN域内貿易の特質と問題点
 1.域内貿易の特質
  マレー半島中心の域内貿易/域内貿易の高度化
 2.域内貿易と国際分業
  域内貿易の財別分析/域外との比較優位構造
 3.地域ハブとしてのシンガポールとその役割
  シンガポールの3つの機能/シンガポール企業によるマレー半島ネットワークの形成/エレクトロニクス貿易のマレー半島分業関係
 4.ASEAN域内分業の課題
  域外からの輸入拡大/輸出入類似化現象/輸出用輸入の増加/ASEAN域内貿易の問題点

第5章 局地経済圏の意義と役割-「成長の三角地帯」を中心に- / 北村 かよ子
第1節 局地経済圏とはなにか
 1.トライアングル・アプローチ
 2.局地経済圏形成の促進要因
 3.輸出加工区・自由貿易地域と局地経済圏との相違
第2節 ASEAN域内の局地経済圏の特色と現状
 1.成長の三角地帯(SIJORI)の誕生
 2.SIJORIの現状
 3.SIJORIの影響
第3節 AFTAに対するSIFORIの役割

第6章 セクター別分析
第1節 繊維産業 / 平井 東幸
 はじめに
 1.ASEAN諸国の繊維製品の域内貿易
  域内取引の少ない繊維貿易
 2.繊維産業と域内分業
  順調に発展する繊維産業/各国の繊維産業の規模比較/進まぬ域内分業/急成長する繊維製品貿易
 3.わが国との関係-貿易と投資
 おわりに
第2節 自動車産業 / 高山 勇一
 1.ASEAN諸国の自動車市場の現状
  自動車の保有状況/自動車販売の状況
 2.ASEAN諸国の自動車産業の現状
  自動車生産の推移/自動車産業政策の推移/ASEAN諸国における先進国メーカーの進出状況
 3.自動車産業における域内分業の現状
  ASEANでの生きない分業政策の推移/自動車における国際分業の特徴/日経メーカーによる域内分業の現状
 4.今後の展望
  成長市場のASEAN/ASEAN市場の問題点/今後のBBCの課題/BBCと新たな国際分業体制の構築
第3節 電子・電機産業 / 安部 誠
 はじめに
  1980年代後半の急速な成長/直接投資の急増
 1.ASEAN電子・電機さん魚の貿易構造とその変化
  輸出構造の変化/ASEAN域内貿易の構造
 2.日系企業のASEAN進出と域内分業
  日系企業の調達先のシフト/部品メーカー進出の地域的偏差/地場企業の伸び悩みと域内取引の活発化/企業内分業の進展/企業内分業の多様化/在ASEAN日系企業の「二重構造」
 3.域内関税引き下げと域内分業の行方
 4.今後のASEAN電子・電機産業の課題
  賃金上昇とASEAN電子・電機産業の将来/域内分業の方向性/今後の課題-外資と地場のリンケージ
第4節 石油化学産業 / 永尾 経夫
 はじめに
 1.石油化学工業とは
 2.多極化する供給構造-東アジア諸国の参入
 3.東アジア諸国で新設が進む背景
  需要サイドからの理由/投資サイドからの理由/所要投資額が大きいことについての対応策/経済性を改善するための対応策
 4.東アジアの石油化学 
  全体需給概況/生産能力
 5.ASEAN諸国の石油化学
  シンガポール/タイ/マレーシア/インドネシア/フィリピン
 6.ASEAN各国の石油化学産業の特徴-コスト競争力の不足と効率の輸入関税
 7.AFTAとの関係
第5節 金融セクター / 岩見 元子
 1.経済発展と金融
 2.ASEAN四カ国の金融・資本市場の現状
  マレーシア/タイ/フィリピン/インドネシア
 3.ASEANの金融センターとしてのシンガポール
 4.金融機関の地域展開
 5.日系進出企業の資金調達

第7章 国別分析
第1節 タイ / 糸賀 滋
 はじめに
 1.貿易構造と関税引き下げ
  輸入代替工業化から輸出志向へ/関税削減の効果
 2.CEPTにみるタイの立場
  加速的引き下げ品目/除外品目/原産地規則
 3.政府の動き
 4.今後の対策
 5.業界の動き
  パーム・オイル/石油化学産業
第2節 フィリピン / 近藤 まり
 はじめに
 1.フィリピンのCEPTプログラム
 2.CEPTをめぐる政治過程
  政府のAFTA加盟決定理由/アキノ政権下での研究委員会の発足/AFTA勧告委員会の設立/除外品目決定への第一ラウンド/ネガティブ・プロテクション問題 除外品目決定への第二ラウンド/政治過程の問題点/政府・経済界の相互批判/CEPT行政令の発布
 3.実業界の反応-アンケート・ビジネス会議の結果から
  AFTAに対する一般的認識/自社の属する産業、および自社活動へのAFTAの影響/AFTAに対する各社の経営戦略/AFTAにおける政府の役割/ビジネス会議での活発な討議
 まとめ