開発途上国におけるガバナンスの諸課題  -理論と実際-

経済協力シリーズ

No.203

東アジアの経験を踏まえながら、ガバナンスの中心テーマである汚職、司法制度、民主化、地方分権化、援助プログラムが抱える制度上の問題点を考察する。

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■ 開発途上国におけるガバナンスの諸課題 -理論と実際-
■ 黒岩 郁雄  編
■ 4,070円(本体価格 3,700円)
■ A5判
■ 340pp
■ 2004年2月
■ 品切れ

CONTENTS

まえがき / 黒岩郁雄

第I部 汚職,反汚職対策,司法制度の諸問題

 はじめに-概念の検討
 1.グッド・ガバナンスの概念
 2.グッド・ガバナンスと「参加」議論の背景
 3.グッド・ガバナンス概念の構成要素
II 腐敗の構造とグッド・ガバナンス
 1.腐敗とは何か
 2.腐敗の構成要素
 3.四つの型の腐敗
III 腐敗の効果と削減対策
IV 腐敗とグッド・ガバナンス概念の関係
むすび

第2章 グッド・ガバナンス構築の側面から見たアロヨ政権下における汚職問題と反汚職取り組み / 小山田英治

はじめに
I  汚職・腐敗の定義と近年の汚職研究
 1.汚職の定義
 2.近年の汚職研究と反汚職施策
II フィリピンの汚職の現状と要因分析
 1.汚職の全体像
 2.汚職の構造とその分析
III 反汚職プログラムと反汚職に取り組む政府機関
 1.汚職問題に取り組む政府機関
 2.政府内に設置されている汚職防止・取締り機関
IV 国家反汚職計画枠組み
V アロヨ政権下における反汚職取り組み
VI 政府機関による反汚職取り組み状況と成果
VII 市民社会組織,民間企業,ドナー機関による反汚職取り組み
最後に

はじめに
I 危機発生とガバナンス
 1.通貨危機
 2.銀行危機
 3.社会危機
II 危機後の経済回復の遅れ-投資低迷とガバナンス
 1.危機後の投資動向
 2.日系企業の投資動向
 3.ガバナンスと投資のボトルネック
III 危機後の政治体制の変化とガバナンス
 1.危機前のガバナンスと投資の関係
 2.汚職の理論モデルと政治体制の変化
 3.民主主義への移行とガバナンス改革の意義
むすび

第II部 東アジアの経済発展とガバナンス

はじめに
I 50年代比較行政学との類似性
II 経路をどう説明するか
III 事例-韓国の政策金融
IV 多様な経路

はじめに
I 東アジアの経済発展とレント
 1.レントと産業政策
 2.レント・シーキングの種類と問題点
II レント・シーキングと国家
 1. 介入主義者の反駁:国家論的アプローチ
 2. レント・シーキングを決定する要因
III 東アジアのパラドックスの解明
 1. レント・シーキングのインプット-アウトプット分析
 2.レントが価値創造的になるための条件
 3.レント・シーキング長期動学モデル
むすび

第III部 民主化,地方分権化,ODA支援

はじめに-なぜ民主化支援再検討なのか
I 検討の基礎
 1.六つの基本的な設問
 2.民主化とは何か
 3.なぜ民主化を支援するのか
II 誰の民主化を支援するのか
 1. 途上国の主体性を重視する国際社会の原則
 2.民主化支援と政治的コンディショナリティ
 3.「民主化実現への働きかけ」と「民主化支援」
III 支援にはどのような方法がありうるのか
IV 民主化支援はどのような原則で行われるのか-主権への介入の正統性について
 1. 主権への介入
 2.介入行動の整合性の欠如
V 民主化支援の援助効果をどのように評価するのか
 1.直接支援の場合
 2.政治的コンディショナリティの場合
結語 
 1.“特殊な”ケースの論議から“一般理論”への脱皮を
 2.恣意的で不整合な介入の抑制を
 3.評価手法の改善を

はじめに
I 分権化の基礎理論と関連諸概念
 1. 分権化とは何か-分権化の類型
 2.なぜ分権化するか,何を分権化するか
II 途上国の分権化-歴史的・理論的背景と実態
 1. 途上国における「過剰な中央集権」
 2. 援助理論・実務における分権化の位置づけ
 3.途上国における分権化の潮流
III 地方分権化,開発,ガバナンス-1990年代の議論を中心に
 1.分権化と公共サービス供給
 2.分権化と国家の財政機能
結語

はじめに
I インドネシアに対する日本のODA
 1.スハルト政権下でのODA概観
 2.スハルト政権崩壊後のODA環境の激変
 3.「許された」モラル・ハザードからの教訓
II インドネシアにおける開発メカニズムのレビュー
 1. 中央集権体制下での開発メカニズム
 2. リハビリテーションというトリック
III 地方分権下の開発施策の模索はじめに
 1.既存インフラの維持管理欠如-南スラウェシ州での調査から
 2.新規開発とネガティブ・サイクル
IV 今後の開発とODA支援の考察 
 1.まだ経済インフラか
 2.ソフト支援
 3.参加型から住民自立型へ

おわりに