アジア通貨危機と金融危機から学ぶ  

アジアを見る眼

No.99

アジア通貨危機のメカニズムを解説し、その原因についての諸説を検討する。IMFの対応の問題点や、現在アジア諸国で進みつつある企業や銀行の再建についても考察する。

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■ アジア通貨危機と金融危機から学ぶ
■ 国宗 浩三  著
■ 1,540円(本体価格 1,400円)
■ 新書判
■ 326pp
■ 2001年3月
■ 品切れ

CONTENTS


はじめに
第1節 為替レートの決まり方の基本
第2節 外貨の需要・供給と国際収支
第3節 キャベツと外貨の違いと通貨危機
第4節 通貨危機という現象の説明
第5節 アジア通貨危機の原因は何か?

第1節 経済成長の限界
第2節 国際競争力の低下
第3節 仲間内資本主義(クローニーキャピタリズム)
第4節 企業統治(コーポレート・ガバナンス)
第5節 金融監督
第6節 「経済構造が悪かった」だけでは説明できない

はじめに 
 1.増大する国際金融取引 
 2.市場の失敗 
 3.不確実性と金融市場
第1節 通貨危機と国際金融市場 
 1.情報の非対称性という厄介な問題 
 2.群衆行動と通貨危機の伝染 
 3.アジア通貨危機と群衆行動 
 4.通貨投機の理論と複数均衡(Multiple equilibria)、自己実現的予想(Self-fulfilling Prophecy)  
 5.複数均衡は、特に対応が困難 
 6.その他の説明
第2節 国際金融市場の問題にどう対処するべきか?
第3節 国境を越える資金の種類と本章の結論

第1節 IMFとは? 
 1.発足当時~1970年代:金ドル本位制度(ブレトンウッズ体制)下で、短期的な国際収支問題を支援する機関として機能 
 2.1980年代:途上国援助機関への変質と中南米の累積債務危機 
 3.1990年代:旧ソ連諸国、東欧諸国など移行経済諸国の市場経済化を支援
第2節 IMFへの批判を検討する際の三つのポイント
 1.マクロ安定化政策(短期的な国際収支の改善策)
 2.債務問題(仲介者としての役割)
 3.構造改革 
第3節 官僚機構の問題とIMF
 1.官僚機構は仕事を作り出す 
 2.官僚機構に良い仕事をさせるためには─(利益相反の防止)
 3.官僚機構の自己改革は難しい
 4.責任の所在が曖昧であるという問題
第4節 当面の改革の方向性

はじめに 
 1.通貨危機と金融危機 
 コラム(1) 複数均衡と通貨危機、金融危機 
 2.金融危機の後遺症は長引きやすい 
第1節 借り手の動機(インセンティブ)の歪み 
 1.借金の効用と不効用 
 2.対応策 
第2節 倒産処理 
 1.倒産と破産 
 コラム(2) インドネシアの新破産法
 2.倒産処理の社会的意義 
 3.企業を再建するか清算するかの判断
 4.望ましい倒産処理への障害
 コラム(3) 情報の非対称性、利害対立、機会主義的行動、交渉費
 5.対応策
 コラム(4) アジア通貨危機後の法制度改革について
まとめ

第1節 バランスシート調整と代理費用(エージェンシー・コスト) 
 1.比較的健全な企業の問題行動
 2.代理費用 
 3.これまでに出てきた概念との関連
 4.代理費用と企業の資本構成
 5.限界的な代理費用と望ましい資本構成
 コラム(5) 代理費用と限界的な代理費用
 6.企業の価値と企業の資本構成
第2節 通貨危機による資本構成の変化と資金調達費用の増大
第3節 さまざまな対策の評価
 1.債権放棄 
 2.増資(による負債の消却)
 3.債務株式交換 
 コラム(6) タイ・ペトロケミカル社(TPI)の債務整理
 4.なぜ、債務交渉が可能なのか? 
 5.政府による民間債務交渉の仲介・促進
 6.間接的な方法  
まとめ

第1節 銀行の特殊性 
 1.特殊性1:金融仲介と代理監督 
 2.特殊性2:取付け騒ぎ 
 3.特殊性3:外部性 
 4.特殊性4:政府の関与 
第2節 銀行の倒産処理の難しさ 
 1.難しさ1:再建か清算かの判断 
 2.難しさ2:迅速性 
 3.難しさ3:銀行救済とモラル・ハザード  
第3節 具体的な政策の要点 
 1.銀行処理の枠組みについて 
 コラム(7)肥大化するインドネシア銀行再建庁の任務と資産 
 2.不良債権処理に関する留意点 
 3.銀行の資本増強に際しての留意点 
 4.モラル・ハザード対策 
おわりに 強固な金融システムをめざして 
 コラム(8)韓国資本市場の混乱