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「アラブの春」後の移行期過程 ─帰結を分ける諸要因— 
Comparative Analysis of the Post-Arab Uprising Transition Process: Interim Assessment of the Factors Influencing the Divergence of Interim Regimes

中東レビュー

Volume 1

池内 恵
2014年2月発行
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概 要

はじめに
2011年には、「アラブの春」の社会的な異議申し立ての高まりを受けて、複数のアラブ諸国で政権が動揺あるいは崩壊した。アラブ世界に共通して広がった社会からの反政府的圧力に晒された各国の反応は、それぞれに異なっており、政権の崩壊あるいは退陣以後の移行期政治の展開にも大きな偏差がある。本論文ではチュニジア、エジプト、リビア、イエメンの政権崩壊後の新体制設立を目指す移行期政治を比較検討し、当面の帰結とそこに至る経路を分析する。そこから、当面の帰結を分けた諸要因や、中長期的な帰結を規定する諸要因を考察するための基礎的な概念を提示し、それらの概念に沿って各国の移行期政治の基礎的な事実関係を整理しておく。

焦点を当てるのは移行期過程の初期条件や制度設計である。本論文の構成は、第1節で移行期政治の当面の帰結を概略したうえで、第2節以降で帰結に影響を及ぼしたとみられる主要な要因を検討する。第2節では、移行期政治の初期条件(旧政権の崩壊の様態)を、第3節では暫定政権の性質を、第4節では移行期政治の「ゲームのルール」のあり方やその設定主体を取り上げる。