IDEスクエア

論考

2022年マレーシア総選挙における「緑の波」とその背景

The "Green Wave" and its Background in the 2022 Malaysian General Election

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/0002000024

2023年9月

(14,404字)

「緑の波」はマレー人保守化の表れか?

昨年11月19日、マレーシアで第15回総選挙が実施された。この選挙では、いずれの政治勢力も過半数の票を獲得できず、選挙後の交渉の末、野党連合・希望連盟(Pakatan Harapan:PH)の指導者であったアンワル・イブラヒムを首相とする連立政権が誕生した1。2020年以降の政局から引き続き、勝者を決めたのは、多数派工作を行う政治家間の駆け引きであった。一方、有権者の投票の結果、議会内第一党となったのは、保守的なマレー・ムスリム政党である汎マレーシア・イスラーム党(PAS)である。PASが第一党となるのは初めてであり、この躍進は、その党旗の色にちなんで「緑の波」と評された。

PASは、イスラーム法に基づいて統治を行う「イスラーム国家の樹立」を党の目標に掲げ、イスラーム教聖職者が率いる政党である。PASが所属する国民同盟(Perikatan Nasional:PN)は、2020年から選挙前まで国民戦線(Barisan Nasional:BN)と連立し、政権の一員であったが、現政権成立以降は野党連合となっている。

なぜ、PASおよびPNは今回、勢力を拡大したのか。本論考では、①現職、②地域、③世代の3つの観点から、この問いを検討する。結論を先取りすると、①PASおよびPNは今回の選挙では現職優位を享受できたうえ、かつての与党である統一マレー人国民組織(UMNO)支持を離反した有権者の票が流れ込んだ、②今回PNへの支持が強かった地域には偏りがあり、元々PASへの強力な支持や組織力が存在していた、③オンラインでの選挙運動が若年層からの支持調達に寄与し、PASとともにPNを率いるマレーシア統一プリブミ党(PPBM)の脆弱な組織力を補ったと論じる。

また、これらの点からは説明できない状況として、マレー人が圧倒的多数派ではない選挙区でのPASの勝利という新たな変化がみられたが、PASおよびPNへの支持拡大を、マレー人有権者がイスラーム主義に傾倒した結果と結論付けられるほどの材料はない。

(左)アブドゥル・ハディ・アワンPAS総裁、(右)ムヒディンPPBM総裁

(左)アブドゥル・ハディ・アワンPAS総裁、(右)ムヒディンPPBM総裁
「現職」としての評価とUMNOの衰退

まず、現在のマレーシア政治における政党間の関係を確認しておこう。図1は、今回の選挙における各勢力・政党の民族・宗教政策に関する立ち位置を示したものである。マレーシアでは独立以来、民族政策に関して穏健派であったBNが選挙で勝利しており、政権交代に至った前回2018年の総選挙でも比較的近い立ち位置を取るPHが支持されていた。今回マレー半島部の選挙区で争ったBN、PH、PNの3勢力には2、PASと同じマレー・ムスリム政党であるUMNOと、人民公正党(PKR)/国家信託党(AMANAH)、PPBMがそれぞれ属している。そのなかでも、PASは最も保守的な立ち位置を取る政党といえる。

図1 マレーシアの各政党・連合の民族に関する政策位置

図1 マレーシアの各政党・連合の民族に関する政策位置

(出所)筆者作成

マレー半島部(165議席)の各選挙区において、PASの競合相手となったのは、これらのマレー・ムスリム政党である。有権者人口に占めるマレー人の割合が高い選挙区では、いずれの政党連合もおおむねマレー・ムスリム政党から候補者を立てており、これらの政党間での争いとなった。まず、これらの政党の結果を確認する(表1)。獲得議席数をみると、PASの44議席がトップである。政党連合として合算した場合は非マレー人政党の獲得議席が追加され、PHが最多勢力となるものの3、マレー・ムスリム政党同士の争いとしては、PNは他勢力より獲得議席を大幅に増やした。さらに、各党が候補者を立てた選挙区での平均得票率についても、PKRやUMNOと比べ、PASの得票率は約15%高く、また前回選挙比でも著しい伸びをみせた。

表1 2022年総選挙——マレー半島部各選挙区におけるマレー・ムスリム政党の選挙結果

表1 2022年総選挙——マレー半島部各選挙区におけるマレー・ムスリム政党の選挙結果

(出所)マレーシア政府官報P.U. (B) 605 - 620および各種報道より筆者作成

こうしたPASおよびPNの勢力拡大に重要であったのは、第一に彼らが「現職」としての優位を享受できたうえ、かつての与党UMNOの衰退にますます拍車がかかったことである。今回の選挙は、これまでの選挙とは異なり、政治勢力間の対立構造が有権者にとって、とりわけ分かりづらかった。3勢力の「三つ巴」である点は、2018年総選挙時と同様であったが、当時とは各勢力の位置づけや関係が大きく変化した。

BNは、前回2018年も今回も「与党」として選挙に挑んだ。PHは、2018年時には政権交代が有力視される野党だったが、今回は単独での政権獲得が難しく、かつ他との連立も相対的に難しい(と選挙前はみられていた)野党となった。前回単独で戦ったPASは4後述するとおり地盤であるマレー半島の北東部を中心に一定の支持はあるものの、政権を奪取できる見込みはない三番手であった。それが2020年の政変でPHを離脱した人々(現在のPPBM)との連携に至り、今回PNとして初めて選挙を「与党」側で迎えることになった。

そしてなにより、今回の選挙前までともに政権を組んでいたはずのBNとPNは、PASの仲介も実らず、UMNOとPPBMの対立により、連携無しに各選挙区で対決することとなった。つまり、有権者にとっては、「与党」の選択肢が選挙区内に2つ存在したのである。「三つ巴」の2018年以前の選挙では、強い与党BNとそれに挑む野党連合(あるいは乱立した弱い野党)という構図が独立以来続いてきた。「与党」が2つ存在するという今回の選挙は、これまでになく複雑な状況だったといえるだろう。

では、どのような地域で、保守的なPASへの支持が拡大したのだろうか。この点を考えるにあたり、今回の選挙で勝利政党がPASへと交代した地域をみていこう。2018年総選挙では別の勢力が勝利していたが、今回新たにPASが議席を獲得したという選挙区は24ある5

表2 2022年総選挙においてPASが新たに獲得した選挙区の内訳

表2 2022年総選挙においてPASが新たに獲得した選挙区の内訳

(注)MCA:マレーシア華人協会、MIC:マレーシア・インド人会議、
PBM:マレーシア民族党、PEJUANG:祖国戦士党。
(出所)マレーシア政府官報P.U. (B) 605 - 620および各種報道より筆者作成。

表2に、過去3回(2008、2013、2018年)の各区の勝利政党をまとめた。この期間は、与党であったBNの勢力が下院総議席の3分の2を割り、弱体化の兆しがみえ始めた時期である。そして、2008年と2013年の選挙時には、PASは現在のPHの前身である野党連合・人民連盟(Pakatan Rakyat:PR)に属していた。

今回PASへの勝利政党の交代があった24の選挙区のうち、PASが獲得した経験があるのは2013年の3議席、2008年の4議席に過ぎない(重複を除くと、計5議席)。つまり、今回PASが新たに勝利した大半の選挙区は、PASを支持する人々が元々一定程度存在していたような地域ではないのである。したがって、やはりマレー人の間でPASへの支持が以前よりも拡大したのだと解釈できるだろう。

ただ、これらの選挙区での過去の勝利政党をみてみると、弱体化を続けてきたUMNOのさらなる凋落が、PASの躍進を促したのだと考えられる。PASへと勝利政党が変わった24の選挙区のうち、半数の12議席はPH所属政党(PKR、AMANAH、PPBM)が前回2018年の勝者であったが、残り12議席は過去3回の選挙でUMNOが獲得し、いわば彼らの「地盤」であった選挙区である。つまり、2008年以降の野党連合に対する支持拡大や2018年総選挙での政権交代時においても野党勢力になびかず、与党UMNOへの支持が優勢であった地域である。そうした地域の有権者は「与党」である候補を好み、根強く票を投じていたと推察される。

今回、「与党」の選択肢がUMNOとPASの2つあるなかで、両者を分ける争点となったのは汚職、そして政治的クリーンさである。UMNOでは汚職裁判で有罪が確定し、選挙前に収監されたナジブ元首相に加え、総裁のザヒド自身も汚職裁判中である。PASは、自党は汚職で訴追された政治家が率いる政党ではないとUMNOを批判し、クリーンさを前面に出して選挙を戦った。実際、世論調査でも候補者を選ぶ基準として、汚職がなくクリーンで信頼できることを挙げる人は非常に多く、さらにザヒドUMNO総裁への指導者としての支持率は、マレー人有権者の間でも15%と突出して低かった6。したがって、上記の地域の有権者はより好ましい「与党」として、PASを選択したのだと考えられる。

「地域」要因と有力政治家の影響力

図2 マレー半島部各州・連邦直轄領地図

図2 マレー半島部各州・連邦直轄領地図

(出所)筆者作成

PNの勢力拡大を考えるうえで重要な観点として、第二に「地域」的な要因が挙げられる。今回PNへの支持はたしかに拡大したが、全国で満遍なく高い支持を得たのではなく、マレー半島北部での支持が中心であった。

表3 2022年総選挙結果の州別概要(マレー半島部)

表3 2022年総選挙結果の州別概要(マレー半島部)

(注)1) クアラルンプールとプトラジャヤに加え、ボルネオ島部のラブアンも含む。
2) 対比した前回結果はPAS単独のもの。PPBMは前回PHに所属していたため、
前回結果はPH側に反映されている。
(出所)マレーシア政府官報P.U. (B) 605 - 620および各種報道より筆者作成。

表3に示した州別の選挙結果では、その偏りが明らかに認められる。下院議席獲得数や各選挙区の平均得票率をみると、マレー半島部の北部に位置する4州(プルリス、クダ、クランタン、トレンガヌ)ではPASが席巻しており、クダ州の1議席を除いてすべての議席を獲得するという一強の状況となった。得票率で50~60%の支持を得ており、他の2陣営を圧倒している。一方、北部4州以外の地域では大きくPN得票率が下がり、獲得議席数も少ない。BNやPHがPNを上回る支持を得た州も多い。

PNへの支持にこうした地域的な偏りが存在する背景には、各政党の組織力の地域差がある7。これは、各党の起源やマレー半島部における民族分布の偏りによって生じてきた。まず、UMNOは半島南部のジョホール州に深く根ざしてきた政党だ。UMNOはジョホール州出身のマレー人政治家を中心にジョホールバルで結成され、当地は政治家や草の根の党員の供給源となってきた(Hutchinson 2020)。

他方、保守的なマレー人を支持層とするPASは、マレー人の人口割合が高い半島北東部のクランタン州とトレンガヌ州で独立直後から長年支持を得てきた。これは、マレー半島部では、選挙区の有権者人口に占めるマレー人の割合が北部ほど高く、南下するほど低くなることと関連している(表3)。PASは幾度も両州の州議会で多数派となっており、クランタン州では1999年以降、トレンガヌ州では2018年以降、現在まで州政権を握っている。反対に、2018年の選挙時も政権交代を果たしたPHへの支持は、両州で極めて弱く、「地域」要因の重要性を象徴する事例の一つであった。

また、マレー人の割合が低い地域は、華人やインド人などの非マレー人人口の割合が高いことを意味する。2008年総選挙以降、全国的な傾向として華人を中心に非マレー人はBN支持を離れ、PHを支持するようになった8。また、彼らにとって、マレー・イスラームの優位性を強調するPASは、相対的に中道であるBNよりもさらに好ましくない選択肢であるため、非マレー人の人口比が高くなる地域ほどPASは支持されない。今回PASが北部の州でより強く支持され、それ以外の地域で比較的BNやPHへの支持が維持されたことは、こうした地域差がより明確に現れた結果といえるだろう。

こうした「地域」要因は、長らくマレーシアの政治に影響を与えてきたものであるが、今回は前回選挙よりも色濃く表れたともいえる。前回の2018年総選挙では、マハティール元首相のようなUMNOを離脱した政治家たちの影響力に注目が集まったが、今回2022年では「地域」要因のほうが上回り、地元における彼らの影響力は跡形もなく消えてしまったようにみえるのだ。

2018年の政権交代では、UMNOを離党した有力政治家たちの存在が、それぞれ地元の州でマレー人有権者の支持票を野党へ集約することに貢献した。クダ州におけるマハティール元首相と息子のムクリズ、ジョホール州におけるムヒディン元首相、サバ州におけるシャフィ元サバ州首相といった面々である。サバ州の地域政党である伝統党を率いるシャフィを除いて、彼らは離党後、PPBMを結成しPHに合流していた。

日本でも報道されたように、いずれの勢力にも属さない新党を再び立ち上げたマハティールとムクリズはクダ州の地元選挙区で立候補したが、現職候補であったにもかかわらず、ともに得票数第4位と全く支持を得られなかった9。またムヒディン自身は議席を獲得し、PPBM/PNも全国で善戦したものの、地元のジョホール州ではPPBM/PNへの支持はさほど振るわなかった。前述したとおり、マハティールらが敗北したクダ州では、PAS/PNへの支持が他の勢力を圧倒した一方、ムヒディンが立ったジョホール州ではUMNOとPHへの根強い支持が残っていたのである。

つまり、2018年の政権交代での彼らの影響力は、彼ら自身の力というよりも、ここまで述べてきた地域要因や、政権交代への期待という当時の「風」との相乗効果であったようだ。たしかに、政権を率いた経験のある政治家たちの合流によって、野党勢力は政権担当能力を備えたというイメージを手にし、当時の与党BNの代替可能な選択肢になりえたのであろう。しかし、マハティールやムヒディンは、前所属UMNO時代からの動員資源など、地元における実体としての影響力を持っていたわけではなかった。マレー人保守層のUMNO離れおよび非マレー人のBN離れという有権者側の動きと、彼らの動きが呼応したのである。

今回選挙でのマハティールやムヒディンの立ち位置は、地元のマレー人有権者の動向に同調したものではなく、2020年以降政界で生じた駆け引きの結果にすぎない。有権者の間では、UMNO離れにさらに拍車がかかるなかで、伝統的に存在していた地域や民族の亀裂がやはり機能した。PASの組織力の影響下にあるクダ州では、2018年時PPBMがPHに連れてきた保守的なマレー人の票が、UMNOへの継続的な忌避感とPHへの失望をもって、そのままPNに流れた。UMNOの組織力が残るジョホール州では、マレー人人口比率が高い地域ではUMNOへの支持が維持され、低い地域ではPHが支持されたのである。

ただし、こうした従来の議論では説明できない状況も現れている。マレー人人口が8割を切る選挙区におけるPASの勝利である。

前項の表2には、PASが今回選挙で新たに議席を獲得した選挙区に関して、人口に占めるマレー人の割合も示した。前回2018年の総選挙では、18あったPASの獲得議席すべてがマレー人割合80%以上の選挙区だったが、今回80%未満の選挙区で10、60%未満でも1議席獲得している。つまり、マレー人が圧倒的多数派ではない民族混合選挙区においても、今回支持を拡大した。具体的には、クダ州アロースター、同州パダン・スライ、パハン州クアンタン、スランゴール州カパルなどでは、2008、2013年頃から野党連合PH(2016年以前はPR)が勝利しており、穏健政党が支持される地域とみられていたが、今回PASが議席を獲得した。

BN政権下では、マレー人人口比率が高い選挙区と相対的に低い民族混合選挙区では、同じマレー人有権者であっても支持政党が異なる傾向があった。与党BNは、前者では保守的なマレー人野党であるPASなどに敗北することがあった一方、マレー半島部の議席定数で6割弱を占める後者の民族混合選挙区では、穏健な民族政策を採ることが評価され、マレー人、非マレー人双方から支持を得ていた10。2000年代後半以降、BN離れは進んできたが、民族混合選挙区における代替的な選択肢は、同じく穏健な立ち位置を採るPH(2016年以前はPR)であった。

つまり、今回、上述の選挙区ではマレー人有権者が穏健政党ではなく、保守政党に投票しており、非マレー人有権者とは投票先が異なるという選挙区内での分極化が起こっているのではないかと推察される。原因としては、UMNOへの反発やマレー人有権者の保守化に加えて、2020年以降、再び野党となったPHへの失望もあるだろう。また、前述のクダ州の2区では、UMNO以上に弱体化が進んでいる華人政党MCAやインド人政党MICがBNとして候補者を擁立していたため、マレー人有権者票のPASへの集約が促されたとみられる。

選挙キャンペーン手法の変化と若年層の支持

第三に、若年層からの支持の重要性という「世代」要因が挙げられる。

PPBMの総裁であるムヒディンは、開票後のPNの記者会見において、PNにもたらされた予想外の勝利は、若い有権者のおかげだと強調した11。また、PAS側でも、今回過去最多の議席数を獲得できた要因は、TikTokのおかげで若年層やマレー人有権者にリーチできたからだと認識されている12

実際、選挙結果に基づく分析によれば、PNを支持した人々のなかでは、30歳代や30歳以下の若年層の占める割合が高かったようだ(Welsh 2023)。若年層全体でみれば、PHとPNが拮抗して支持を集めているため、PNへの票が抜きんでていたというわけではないが、今回のPNの躍進において、若年層からの支持が重要な貢献を成していたことは読み取れる。

他方、政治に関する情報収集においてTikTokを用いる人は、PNを支持する傾向が高いことも示されている(Washida 2023)。したがって、若い世代の有権者からの支持を集めることに役立ったのが、SNSを活用したPNの選挙戦略であったと考えられる。

PNは、どのようにSNSを用いて若年層にアプローチしたのか。前回の選挙ではFacebookやTwitterを使ったキャンペーンが盛り上がったが、今回PNが注力したのはTikTokである。とりわけ、ムヒディンがTikTok上で人気を集めていた。ノッティンガム大学のブリジット・ウェルシュによれば、ムヒディンはPNの躍進を牽引し、2018年の政権交代時のマハティールに匹敵する役割を果たしたのである(Welsh 2023)。前述のとおり、ジョホール州ではPHとUMNOへの支持が強固に維持されていたため、ムヒディン元首相の影響力は州内では地元選挙区のみに限られていた。しかし、全国的には様相が異なっていたのである。

支持者たちは、親しみを込めてムヒディンを「Abah(お父さん)」と呼んでいる。新型コロナ蔓延下での首相在任時、ムヒディンがテレビ演説で国民に語りかける姿が「父親のようだ」とインターネット上で話題となったことから広まった愛称である。ムヒディン自身、今回の選挙戦でこうした愛称や印象を大いに利用した13。さらに、ムヒディンが音楽に合わせてリズムを取りながら、BNとPHのロゴを「スワイプ」して消去するショート動画は、公開4日で約400万回再生された14。同じくTikTokを使う他党の政治家と比べて、圧倒的な再生数である。

PPBMによるTikTokでの選挙運動は、若年層とそのなかでもマレー人有権者の2方向を対象にしていた15。前者向けには、「#PNBEST」「#bersihdanstabil(高潔と安定)」などのハッシュタグが付けられた、前述したムヒディンのスワイプ動画のような動画と、後者に向けては人種や宗教間の対立を煽るような動画が作成された。オーストラリア国立大学のロス・タプセルが行ったPPBMの情報局長であるワン・サイフルへのインタビューによれば、PPBMがそうしたショート動画を制作し、WhatsApp(LINEのように1対1あるいはグループでメッセージのやり取りや通話を行うアプリ)の多数のグループや若年層に人気の説教師や支持者を持つPASの動員ネットワークを使って、それらを拡散したという(Tapsell 2023)。また、PPBMは、接戦の選挙区内においてSNS投稿を拡散するため、投稿の「ブースト」やインフルエンサーの雇用を広告代理店に依頼していた(Tapsell 2023)。

こうした一連のオンラインキャンペーンには、多額の資金を要したはずである。2023年に入り、ムヒディンやワン・サイフルなど複数のPPBM関係者が職権乱用やマネーローンダリングなどの汚職容疑で汚職防止委員会によって逮捕され、党の銀行口座は捜査のために凍結された。ムヒディンが首相在任時に実施した、新型コロナ下での建設業者に対する経済支援策に関連して、贈収賄やマネーローンダリングなどの容疑がかけられている。ムヒディンはこの逮捕を政治的迫害と呼び、無実を主張しているが、対立陣営はこれらの不正資金を元手に選挙運動が実施されたと非難している16

では、なぜ、オンラインの選挙運動がPNの勢力拡大に寄与したのだろうか。3点の理由が考えられる。第一に、オンラインに注力した戦略によって、PN、とりわけPPBMの組織力の弱さを補完できたということが挙げられる。

各党が持つ組織力には大きな差があり、それぞれ異なる動員戦略をとってきた。UMNOは、長期政権時代、全国に張り巡らされた党の地方組織による動員ネットワークを活用し、広範な支持を維持してきた。たとえば、党員が1人あたり10人の近隣住民について政党支持動向を把握するノルマを課され、戸別訪問を行うなど、草の根の党員の動員力が重視されてきた(Weiss 2020)。

前述のとおり、UMNOを離党したマハティールやムヒディンによって新たに結成されたPPBMは、こうした与党UMNO時代に謳歌できた充実した組織力を備えていない。PASはかつてのUMNOに次ぐ強い組織力を持ち、同様の地方支部組織による動員を行ってきた(Weiss 2020)。しかし、その影響力は、マレー半島北部ないし宗教保守層という制約があった。

他方、長年野党であったPHの各党は、UMNOやPASほどの組織力を持っていない。そこで選挙では、知名度のある党中央の幹部が、全国各地の選挙区で開催される政党演説会を行脚することで、市民を動員する戦略をとってきた。PKRが大規模集会を行う社会運動を通じて、都市中間層を中心とする大衆を動員し、勢力を拡大してきたという経緯が大きく影響している。さらに、資金力や組織力が劣る野党政治家は、選挙区内での知名度を向上させる必要性に迫られており(Weiss 2020)、そうした弱点を補うための戦略であると考えられる。

2018年の政権交代を経ても、BNとPHの集票戦略に大きな変化はなく、PNの二党も対面での選挙運動については以前と同様の方針であったとみられる。つまり、PNの二党は、今回の選挙での集票力の向上を、対面での選挙運動を通じて目指そうという意欲を持っておらず、組織力が弱いPHが得意としてきた、大衆を集会に動員する手法に注力してはいなかった。

マレー系各党の党首脳の選挙期間中の行動から、このことが確認できる17。前述してきたとおり、UMNOは支持離れにより、党組織の弱体化が進んでいる。さらに、今回は党からの選挙予算はBN単独与党であった前回に比べ70%減額され、それを元手に行っていた党員の動員もままならず、草の根の活動が立ち行かなかったようである18。そうした状況下でもUMNOのザヒド総裁の選挙運動は、自分が出馬した選挙区での政党演説会や会合への参加が中心であり、党総裁として州外の政党演説会等に参加することはほとんどなかった。ザヒドは前述のとおり汚職裁判中であるため大衆からの不人気という理由もあっただろうが、比較的人気の高かった暫定首相のイスマイル・サブリ副総裁補も後者の活動はそれほど多くなかった。資金不足により地方組織が機能しないにもかかわらず、それを補完する方策は、とくに取られなかったことを示唆している。

PHの政治家は変わらず全国行脚に積極的であった。PKRのアンワル総裁は、選挙運動期間終盤には情勢が良くない選挙区を中心に(恐らく飛行機を使って)1日で4州の政党演説会を周るなど、集会を通じた動員が現在もPKRにとって重要なキャンペーン手段であることがうかがえた。

他方、PASのハディ・アワン総裁は各地の宗教指導者や党員を対象としたクローズドな会合を中心に、全国を周るキャンペーンを行い、ムヒディンは、PASの組織力が期待できる北部や、接戦が期待されたスランゴール州などの演説会を訪れていた。しかし、PHが元々の支持が強くない地域でも動員を試みていたのと比べると、全体としてPNの首脳陣による対面での選挙運動は、PASの組織力に依拠して元々の支持者層に向けて行われていたといえるだろう。

たとえば、ムヒディンの地元であるジョホール州は、2022年3月に州議会選挙が実施されており、PNは全56議席中3議席しか獲得できなかったため、おそらくジョホール州では議席獲得が困難と予測されていた。その結果、ハディ・アワンはPASが州議会選挙で唯一獲得した議席のある選挙区しか訪れず、ムヒディンも自身が出馬した選挙区以外での活動には、同州内であってもさほど積極的ではなかったのである。

第二に、PNによるSNSを用いた選挙運動のターゲットとなった若年層は、マレーシアの有権者において大きな割合を占めるようになっているため、躍進の原動力となりえた。組織力はあるが、地域や対象が限定されるPASと組織力がないPPBMにとって、オンラインキャンペーンは若年層という新たな支持者を取り込む手段として機能した。

今回の選挙では、2022年に行われた憲法改正により、投票年齢が21歳から18歳に引き下げられ、新たに約140万人の有権者が生じた19。さらに、マレーシアでは、40歳未満が有権者人口の5割を占めている20。若年層に支えられた人口構成となっているのだ。

そして、第三に、こうした重要な票田である若年層が持つ価値観と、政党間競争におけるPNの立ち位置や戦略が合致したことによって、PNの勢力拡大が促されたと考えられる。

今回PNが力を入れたTikTokの中心的なユーザーは、30歳未満の層である21。他方、Twitterを従来から主戦場としてきたPHの中心的な支持者層は40~50代であり22、1998年にアンワル現首相が率いたレフォルマシ運動に当時参加し、影響を受けた世代と考えられる。PNは、彼らより下の世代で、PHにもBNにも投票の選択肢を見出せない層から支持を調達することに焦点を当てていたといえる。

世論調査の結果をみると、投票において重視する点として候補者では「汚職や権力乱用をせずクリーンで信頼できること」、政党に関しては「イスラーム教の擁護」を挙げる人が18~20歳の層では、上の年齢層と比べてそれぞれ10%ほど多い(代わりに18~20歳では、政党/候補者どちらでも「開発の提供」を挙げる人が約10%少ない)23。20~30歳代と40歳以上では大きな差はみられないが、若年層ほど上記の2点を重視していると考えられる。

PNは、こうした若年層の選好にうまく適合しながら、他勢力との差別化を図ることができた。党幹部が汚職で訴追されたUMNOに嫌気が差している人々に対し、政治的にクリーンな勢力として自らをアピールした。さらに、相対的に多民族を志向するPHとは異なり、マレー・ムスリムの優位性を標榜した。

したがって、単にSNSを用いた選挙戦略がPNによる若年層からの集票に効果的であったということではなく、UMNOへの忌避感といった全国的な傾向や政治におけるクリーンさを求める世代的な価値観など、他の要因が下地にあったうえで、SNS戦略が奏功したのだと考えられる。

この点は、他の陣営によるSNSの活用が、集票につながらなかったことからも示唆される。PNほど資金や人員を投入できなかった可能性はあるものの、BNやPHでもTikTokなどを使った選挙運動は行われていた。

都市部を中心に広範な大衆の動員を得意としてきたPHは、今回もインターネットをキャンペーンに活用した。PHに属するDAPやPKRの各候補者には、党からの派遣などにより複数人の専任スタッフが付いて動画の撮影や編集が行われていた(Ooi 2023)。また、PHと選挙協力を行っていたマレーシア統一民主連盟(MUDA)の党首であるサイード・サディクは、日頃からTikTokやInstagramを利用して政治活動を行ってきた。もとより、MUDAは若年層に基盤を置く政党として結成しており、今回の選挙運動でもオンラインでの発信に注力した。しかし、MUDAの担当者によれば、TikTokなどでの彼らの選挙運動は、PNと比べて、期待したほどの反響を得られなかったようだ(Taspell 2023)。BNでも、UMNOのザフルル財相(当時)やカイリー保健相(当時)がTikTokを活用して選挙活動を行い、注目を集めていたが、2人とも落選という結果であった。

では、今回PNないしPASへの票が増えたのは、イスラーム主義に傾倒するマレー人若年層が増えた結果なのだろうか。まず、今回PNの勢力拡大を決定づけたのは、投票日直前まで投票先を決めかねていた無党派層だったという指摘がある。彼らは、保守的な宗教観への同調からではなく、最近のインフレや失業といった経済的不満からPNへ票を投じたということが、サーベイ調査の結果から分析されている(Washida 2023)。

また、そもそも若年層が宗教的に保守化しているのかという点について考えると、近年の調査からは、それを指し示す結果と異なる結果の両方が確認できる。2021~2022年に行われたムルデカセンターによる調査では、若年層のマレー人回答者のうち、「コーランが国の憲法に代わるべきだ」という設問に、82%の回答者が同意していた24。約10年前の調査では同様の設問に対し73%の回答者が同意しており、約10%増えている点で、「保守化」の兆しといえるだろう25

他方で、「すべてのマレーシア人は、人種や宗教に関係なく平等に扱われ、同等の権利を与えられるべきである」と「この国の先住民として、マレー人やブミプトラは特別の権利が与えられ続けるべきである」いう設問のどちらに同意するか、という設問では、66%が前者に同意している26

前者のコーランに関する設問は、まさしくPASが目標としてきたイスラーム国家の樹立という方針と一致するものであるが、後者で6割が同意した「同等の権利」という設問は、マレー・ムスリムの優位性を主張するPASの立場とは正反対の対立する内容である。割合をみるに、この相反する設問双方に同意している回答者が50%近くいる。

建前として、同等の権利という内容に同意している可能性も当然あるが、マレー人やブミプトラが特別の権利を持つという、もう一方の主張を表立って支持することがタブー視されているようなことはないはずだ。そうした躊躇があるならば、「コーランが国の憲法に代わるべきだ」という設問にも同様に同意しないことが、自然に思われる。

こうした結果は、従来、想定されてきたマレー・ムスリムの保守的な宗教観、民族観とは、一見、矛盾しているようだが、マレー人若年層が持つ価値観が変化してきたとも考えられる。イスラーム教の優位性と、社会の多様性や個人の権利いずれか一方ではなく、前者を強く信じながらも、後者を重んじる層が存在することが示唆されているのである。つまり、マレー・ムスリムの価値観が、より細分化、複雑化してきているとも捉えられるだろう。

たしかに、今回のTikTok上で話題になった動画のなかには、前述のとおり人種や宗教間の衝突を煽るものが多く存在した。ハディ・アワンやムヒディンなどPNの政治家による投稿には、マレー人の優位性と華人や華人系政党であるDAP(PH)への敵対感情を煽る内容(「国家の安全を脅かしている」など)が多く含まれ、広く拡散された。また、投票日夜には、マレーシア史上最も多くの犠牲者を出した1969年のマレー人と華人の暴力的衝突(5月13日事件)を想起させ、暴力を扇動する動画がいくつも拡散され、問題となった。

選挙に際し、同じ民族の有権者から支持を得るために、政党が民族政策に関してより過激な主張を行うことは各国でみられる事象である。こうした戦略を採る勢力は、従来マレーシアでは幅広い支持を獲得できなかったが、今回支持を拡大した。この点からは、従来よりも保守的な勢力を有権者が支持するようになったといえるだろう。しかし、それはBNなど他勢力の衰退とも強く関連しており、また前述の調査にみられるように、それが有権者の価値観の変化がもたらした結果とは現時点では判断しかねる。

当然ながら、有権者が投票先を決める際に考慮する争点は一つとは限らない。マレーシアの政党間の対立は、独立以降、重視されてきた民族・宗教政策における穏健/保守という軸に留まらず、政治改革や反汚職といった政治的なクリーンさなどにも拡大している。そうした変化が2018年の政権交代につながったうえ、従来、民族・宗教政策上の保守性の濃淡によってお互いを差別化していたマレー人政党間の争いにも及んでいる。

したがって、政党への投票に対して、マレー人有権者の民族・宗教政策への態度のみが反映されているとは言い難い。そもそも、個々人の宗教観や政策選好と政党支持は、必ずしも一致しないだろう。個人のすべての選好に合致する政党の選択肢が、存在しない可能性もあるためだ。これは、若年層に限らず、有権者全体に言えることである。したがって、マレー人の「保守化」については、今後もどういう側面での現象なのか、注目してみていく必要がある。

今後の見通し

PNへの支持拡大は、野党勢力に転じた後も継続するほどのものなのか。PHとBNの連立によるアンワル政権を有権者はどのように評価しているのか。それを確認する機会は、早くも間近に迫っている。

昨年の下院議会選挙と同時に解散しなかった6州、スランゴール、ペナン、ヌグリスンビラン、クランタン、クダ、トレンガヌ各州で、8月12日に州議会選挙が予定されている。6州の州議会のうち、前者3州ではPHが、後者3州ではPN(とりわけPAS)が多数派をそれぞれ占めている。BNは、昨年の総選挙で連邦レベルでの連立政権を結成して以降、前者3州の州議会においてもPHと閣外協力協定を結んでいる。両者の間では、州議会選挙に向けた候補者調整も概ね順調に進んでいるようである。したがって、与党BNとPH対野党PNという構図で争う、初めての場となる。

DAP(PH)で書記長や党主席などを歴任したリム・キッシャンによれば、緑の波が起こっていないことを示すためには、次のことが必要だという。①スランゴール州、②ペナン州、③ヌグリスンビラン州において、3分の2以上の議席を確保して、州政権を維持する。④クダ州で3議席以上、⑤クランタン州と⑥トレンガヌ州でそれぞれ1議席以上、獲得する27。すなわち、各州はPH/BNとPNどちらかが支持基盤を築いてきた地域であるため、それぞれ政権を維持したうえで、弱いとされてきた州でどれだけ勢力を現状以上に伸ばせるかが問われるだろう。

アンワル首相は、この州議会選挙で野党であるPNが躍進したとしても、連邦政府を担う政権の立場は揺るがないと述べている28。近年、不安定な政局が続いていたマレーシアであるが、当選時に所属していた政党からの移籍を禁ずる党籍変更規制が昨年導入されたことも影響し、アンワル政権に対する与党勢力内での支持は現状、安定している。とはいえ、この州議会選挙の結果が芳しくなかった場合、与党の結束に水を差し、連立の維持が困難となる可能性がある。2018~2020年のPH政権において、政権崩壊の決定打となったのは、2019年末の補欠選挙における大敗であった。したがって、いずれの勢力、さらに政権にとっても、来る州議会選挙は正念場となる。

【付記】本稿の脱稿日は8月2日である。その後に行われた8月12日の州議会選挙では、6州のうち3州(スランゴール、ヌグリスンビラン、ペナン州)で与党PH‐BN連合が勝利し、残り3州でPNが勝利するという現状維持の結果となった。上述のリム・キッシャンが挙げた6つの条件に照らし合わせると、与党PH-BN連合は、①スランゴール州での3分の2以上の議席獲得、⑥トレンガヌ州での1議席以上の獲得がかなわなかった。PNはいずれの州でも獲得議席を増やしており、昨年の総選挙と同様に、PNへの支持拡大という傾向が今回の州議会選挙でも示されたといえるだろう。

※この記事の内容および意見は執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式意見を示すものではありません。

写真の出典
  • アブドゥル・ハディ・アワンPAS総裁 Zahirulnukman(CC BY-SA 4.0
  • ムヒディンPPBM総裁 Universiti Malaysia Sarawak Malaysia from Kuching, Malaysia(CC BY 2.0
参考文献
著者プロフィール

谷口友季子(たにぐちゆきこ) アジア経済研究所地域研究センター東南アジアⅠ研究グループ研究員。博士(政治学)。専門は比較政治学、マレーシア現代政治。


  1. 政権誕生の経緯については、中村(2023)等を参照。
  2. マレーシアは、マレー半島部とボルネオ島で構成されている。ボルネオ島の2州(サバ州とサラワク州)では、それぞれの地域政党や政党連合が政治において重要なアクターとなっている。PPBMおよびPASは両州で活発に活動していないため、PASおよびPNの躍進に着目するという本論考の目的上、議論の射程をマレー半島部のみに限定する。
  3. 詳細な選挙結果については、中村(2023)を参照。
  4. 議席を持たない弱小政党2党と連合を結成してはいたが、実質的には単独だったと判断できる。
  5. 2018年にPAS候補者が当選し、その後離党、2022年に別のPAS候補者が当選した選挙区(Kuala Nerus)を除く。
  6. どちらもムルデカセンターによる世論調査。Merdeka Center, “Pre-Election National Survey Highlights,” November 4, 2022.
  7. PNが北部4州でほとんどの議席を獲得した点については、マレーシアでは小選挙区制下での一票の格差が非常に大きいことによる影響も多大である(Washida 2023)。
  8. たとえば、前述のムルデカセンターによる世論調査では、どの党に投票するかを尋ねた設問では、マレー人でPHを支持したのは13%だったが、華人は47%、インド人は51%が支持している。
  9. “時代の終わり” マレーシア総選挙でマハティール元首相落選」NHK、2022年11月20日。
  10. 詳しいメカニズムについては、中村(2015)を参照。
  11. Malaysia GE15: PN's Muhyiddin Yassin says willing to work with others to form government, but not PH,” Channel News Asia, November 20, 2022.
  12. Zarrah Morden, “TikTok behind PAS' victory in 49 seats during GE15, says Hadi Awang’s son,” Malaymail, December 5, 2022.
  13. TikTok videos by Malaysia election candidates add colour to campaigning,” Channel News Asia, November 10, 2022.
  14. @abahkitemuhyiddinによるTikTok上の投稿(2022年11月5日)。
    Zarrah Morden, “Muhyiddin basking in revived ‘Abah’ persona amid bid to return as PM,” Malaymail, November 14, 2022.
  15. Hew Wai Weng, “From Islamist to Muslim Majoritarianism: The Rise of PAS in GE15,” STRATSEA, December 9, 2022.
  16. Mei Mei Chu, Rozanna Latiff and A. Ananthalakshmi, “Malaysia's ex-PM Muhyiddin to face multiple graft charges,” Reuters, March 8, 2023.
    Rhea Yasmine Alis Haizan, “Bersatu lodges report with Malaysia's anti-graft agency against PH, BN for alleged 'lavish' GE15 campaign spending,” Channel News Asia, February 7, 2023.
  17. 各人のFacebookの投稿から、集会や会合への参加といった選挙運動で、どの州に何回訪問したかを確認した。解散から投票日までの約1カ月間において、自分が出馬した選挙区のある州以外で政党演説会や会合に姿を現した回数であり、1日内での当該州への訪問を1回とカウント。同一州内の複数選挙区を回った場合も1回とした。UMNOザヒド総裁は6回、当時暫定首相のイスマイル・サブリ副総裁補は首都近郊を中心に11回。PKRのアンワル総裁は38回。PASのハディ・アワンは23回、ムヒディンは15回であった。
  18. Azril Annuar, “GE15: slashed allocation sees sluggish BN campaign,” The Vibes, November 9, 2022.
  19. Mazwin Nik Anis and Joseph Kaos Jr, “GE15: Over 21 million eligible voters, says EC,” The Star, October 20, 2022.
  20. Danial Dzulkifly, “Youth voters form 50% of GE15 electoral roll: EC,” The Vibes, October 20, 2022.
    有権者に占める20歳以上40歳未満の割合を比較すると、マレーシアが43.8%、日本が24.4%である(総務省統計局2020年「国勢調査」に基づくデータより計算)。
  21. Digital Business Lab, “Social Media Penetration in Malaysia,” July 26, 2022.
  22. Charlene Chua, Cheong Poh Kwan, Stephanie Adeline, and Rebecca Pazos, “How a divied Malaysia gave rise to Perkatan Nasional’s ‘teal tsunami’,” Straits Times, December 17, 2022.
  23. Merdeka Center, “Pre-Election National Survey Highlights,” November 4, 2022.
  24. Merdeka Center, “Highlights of Muslim Youth Survey,” September 20, 2022.
  25. Merdeka Center, “SEA Muslim Youth Survey 2011: Malaysia & Indonesia” July 14, 2011.
  26. 残念ながら、こちらの設問に関しては、過去の調査で比較可能な設問はなかった。
  27. Lim Kit Siang, “What it takes for Anwar Unity Government to prove that the “green wave” is a misnomer in the six state general elections in August,” May 30. 2023.
  28. Perikatan ‘green wave’ in state polls won’t shake unity govt: Anwar,” The Vibes, June 16, 2023.