ethiopiaElfora Agro-Industries Plc

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

ELFORAは1997年12月に設立された非上場の農工業企業で、MIDROCエチオピア投資グループの子会社である。8つの生産設備を計5,470万USドルで取得して設立された。

ELFORAは3つの基幹部門からなる;

  • 5つの食肉加工場をもつ食品加工・農産物生産事業
  • 家畜供給、購買センター、牧場、検疫所をもつ畜産事業
  • 最新のブロイラー加工・梱包設備を備えた鶏肉事業

同社は食用卵、ブロイラー肉、雛も製造している。

現在、ELFORA社は、家畜と食肉製品を中東諸国(サウジアラビア、ドバイ、イエメン)、アフリカ諸国(ジブチ、コンゴ・ブラザビル、コートジボワール、エジプト)に輸出している。Melge Wondo、Dire Dawa、Kombolcha、Gondar、Metehara、Netehara、Debre Zeitにある食肉工場は、国内および輸出市場向けの缶詰と生肉を製造している。

Melge Wondo生肉工場はエジプト向けの牛生肉を専門とし、Debre ZeitとMetehara食肉処理場は中東向けの羊・山羊生肉を製造している。

Cheffa、Nettle、Melge/Shalloの各農場では、穀物、果物、野菜、家畜飼料等さまざまな農産物を栽培している。Debre Zeit養鶏所では鶏肉と食用卵を、主に国内市場向けに生産している。

1997年の設立以来、同社の収益性と投資収益率は極めて低く、低下さえしている。全投資が44億ブルを超えているにもかかわらず、投資収益率(ROI)は、10年間の操業で平均2.3パーセントにすぎない。この低いROIの原因はさまざまである。製品需要が安定していないので計画的な生産が難しいこと;既存施設の低稼働;生産時期と需要量が一致していないために起こる供給ミス、販売ロス、在庫積み増し;競合他社よりも販売価格が高いこと;販売促進活動が不十分であること;高い空輸料金価格のため販売価格が上昇し、国際市場での競争力がないこと;管理経費や一般経費が高いこと、等である。

国内の所在地

Lamberet, Bole Sub-city, Kebele12/13. Addis Ababa
Tel:251-011-645 0361; Fax: 251-011-645 0503 OR 251-011-645 0504

製品・サービス

家畜、食肉缶詰、鶏肉製品、各種作物の製造。

従業員数

1,108名(エチオピア国内)。

財務情報

毎週最大90トン、年間3,400トンの羊、山羊生肉を加工し、輸出している。

財務実績、1997-2006年(注:最新データは入手不可)

市場シェア

ELFORAは国内最大の農工業企業である。他社との比較を以下に示す。

牛肉と羊肉の商業供給(2005/06年)

鶏肉の商業供給(2005/06年)

食用卵の商業供給(2005/06年)

(出所)Getinet Hailu, Marketing and Sales Strategies of Elfora Agro-Industries Plc, Addis Ababa University, July 2007.

事業目的

「全ての顧客と消費者に対して高品質の製品と持続的なサービスを提供する。」

ビジネスモデル

ELFORAはさらなる投資を行って技術と設備を更新し、品質管理と経営能力を高め、職員の能力向上を図り、牧場、肥育場、食肉加工場、養鶏場、農場の労働生産性を高めていく。冷凍羊肉専門の食肉加工場を設ける。灌漑農場と天水農場双方に投資して、エチオピアがもつ農業資源の開発に貢献する。

品質と安全性に対する消費者の要求に応えるためELFORAは、特に冷凍羊肉処理施設の向上に心がけている。羊肉、山羊肉の処理能力を倍増するため、生肉処理ラインのオーバーホールを完了した。品質改善のため獣医学研究施設を設けた。

株主・所有権益

MIDROC 投資グループを設立したのは、著名な豪商H.E. Sheik Mohammed Hussein Ali AL-Amoudiと、その親族である。ELFORAは、MIDROCグループによって100%保有されている。

政府との関係・社会貢献

1991年以降、政府は市場主導型戦略を採用、1990年代を通じて政策・制度改革を行ってきた。それは、財政、金融、為替、貿易、産業、公共資源管理、企業経営に及ぶものである。2000年紀を迎えるにあたって政府は、開発戦略を、1990年代の構造調整計画から貧困削減計画へ切り替えた。

「持続的成長と貧困削減計画」(SDPRP)は、成長の促進と貧困削減を目標としている。この計画の柱は、農業開発主導による工業化(ADLI)と食糧安全保障、司法行政改革、ガバナンス、地方分権とキャパシティービルディングの4つである。重点分野は、

  • 総人口の85パーセントに生計を提供しながら多くの貧困層を抱える農業;
  • 他の産業部門の成長のため経済余剰を生み出す源泉としての農業;
  • 農業以外の雇用と生産を実現する民間経済
  • 農産物輸出や、高品質の皮革・織物製品を中心とした輸出指向製造業への支援を通じた輸出部門
  • 地方分権を進めてグラスルーツ・レベルでの意思決定を強化し、行政サービスの質とガバナンスを改善して、貧困層のエンパワーメントと民間経済の成長が可能となるような環境を醸成する。

1993年以来、関税制度が大幅に改定された。政府は、旧税制を改定して効率的なものにするため多くの条例を発効させてきた。重要なものとしては、Tax Amendment Proclamation No. 38/1993、Sales and Excise Tax Proclamation No 68/1993、Duty Drawback Proclamation No. 69/1993、and Value Added Tax (VAT) Proclamation No. 282/2002がある。これらによって5つの重要な変更がなされた:

(i) 旧来の従量税(重量基準)システムはほぼ完全に従価税に移行、税管理がはるかに率化された。
(ii) 最高税率が230パーセントから50パーセントに引き下げられ、最大税率と最小税率差は225パーセントから45パーセントまで縮小した。
(iii) 免税輸入品の割合が60パーセントから3パーセントまで引き下げられた。
(iv) 輸出入品の消費税が、生活必需品については5パーセント、他の製品については一律12パーセントまで下げられた。
(v) 2002年には、エチオピアの税構造がCOMESA加盟国と同一になった。

このほか、コーヒーを皮切りとして輸出税に関する改革が実行された。1993年の告示でコーヒー輸出に対する関税が一律6.5パーセントとされ、旧体制下の複雑な税制度が一掃された。コーヒー国際市況の下落を受けて1998年には無税になった。この措置のフォローアップとしてProclamation No. 287/2002が発効し、現在ではほとんどの輸出は無税である。

2007年にメレス・ゼナウィ(Meles Zenawi)首相はSheik Mohammed Hussein Al Amoudに対して、「エチオピアとその国民の発展における模範的な偉業」を讃えfirst special millennium golden medalを授与した。この表彰式においてメレス首相は、「エチオピアとその国民に対する愛情と共感」ゆえSheik Mohammed Hussein Al AmoudはSpecial Millennium Personに選ばれたと述べた。「国に対する愛情と共感から、事業の収益性いかんにかかわらず、エチオピアにおいてSheik氏はさまざまな投資プロジェクトを立ち上げてきた」。

製品開発

Debre-Zeitにある食肉処理場と養鶏所の設備更新と拡張が続けられている。ELFORAは2008年に初めて、Mekiにある14.8へクタールの農場からブドウを輸出した。同社は、農場を40へクタールまで拡張することを計画している。