ラテンアメリカ・レポート
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論稿
エクアドル臨時大統領選挙とノボア新政権の成立
木下 直俊
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2024 年 41 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

2023年5月17日、ラッソ大統領は国会解散権を行使し、臨時総選挙の実施を突如決定した。大統領選挙には8名が立候補し、コレア元大統領が支援するゴンサレス(左派)と実業家のノボア(中道右派)の上位2名が決選投票に進み、その結果、ノボアが勝利を収めた。ノボア陣営は若年層に的を絞った選挙戦略をとり、選挙活動でインフルエンサーを動員するなどSNSを巧みに活用したことが勝因となった。また、選挙活動中に大統領候補が暗殺されるという前代未聞の事件が発生し、コレア派の関与が疑われたことでゴンサレスにとってイメージダウンとなり、有権者の投票行動に大きな影響を及ぼした。

ノボア新政権は11月24日に発足し、任期はラッソ大統領が当初務めるはずであった2025年5月24日までの18カ月間となっている。ノボア新大統領は公約に治安と雇用の改善を挙げ、すでに2025年2月の次期大統領選挙に出馬する意欲を示している。再選を果たすには実効性の高い施策を迅速に講じなければならない。しかし、国会では来年半ばから次期総選挙に向けた動きが本格化し、与野党間の対立が深まることが予想され、少数与党であるノボア政権は厳しい政権運営を強いられることになろう。

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© 2024 日本貿易振興機構アジア経済研究所
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