2023 年 39 巻 2 号 p. 57-61
3度目の大統領選出馬の末、2018年に当選を果たしたメキシコのロペス・オブラドール大統領は、治安対策他についてこれまでの政権との相違点を繰り返し強調してきた。しかし、現政権において年間殺人件数や犯罪件数などは高止まりしており、前政権からの改善がみられないとの批判に直面している。治安改善が急務となるなか、大統領は、創設した国家警備隊および軍を全国に展開し、治安対策にあたらせるとの方針を打ち出した。さらに、国家警備隊を国防省の管轄下に置く法改正を実現した。国内では、同改正で文民統制が失われ国の軍事化が進むことへの懸念や、同法改正の合憲性を問う声が上がっている。