調査研究

調査研究方針

2020年度調査研究方針

最新の学術研究動向、産官学のニーズを踏まえつつ、新興国・開発途上国をめぐる現下 の情勢認識に基づき、以下の2つの課題を優先テーマに据えて調査研究を実施する。

(1)学術研究成果の最大化を通じた政策立案への貢献

政策ニーズ等に基づく調査研究課題の企画立案から効率的・効果的なアウトリーチ活動まで一貫して実施する体制を構築し、研究マネジメント機能を強化する。政策担当者との綿密なコミュニケーションにより政策ニーズを的確かつ適時に把握し、積極的な政策研究対話(※)の実施や政策担当者への情報発信ツールの多様化等により広範な政策立案への貢献を果たす。
また、ニーズが高く時宜に適ったテーマを取り上げて国際会議・セミナー・講演会・国際シンポジウム等を開催するとともに、出版プラットフォームやウェブサイト等を通じて研究成果を機動的に発信する。各種情報発信ツールについては、より広範なユーザーへのリーチを目指し、かつ利便性を高めるべく、ウェブサイトのユーザビリティを高めて一般向けコンテンツの充実を図るほか、SNS 等の最新のデジタルツールを積極的に活用する。


※政策研究対話とは、研究所に所属する研究者等、または研究所が実施する研究事業に参画している研究者等が、政策担当者に対して、定期的及び政策担当者の要請に応じて、対面形式にて研究成果の還元(情報提供及び提言)ならびに政策ニーズの把握等を行う活動のこと。

(2)付加価値の高い学術研究成果の創出と蓄積

国際的な政治・経済・社会秩序の変容や技術革新がもたらす産業構造の変化ならびにこれらが我が国を含めた国際社会に与える影響などについて国・地域・分野に特化した研究ならびにこれらを横断した研究を実施するとともに、持続可能性や包摂性の追求が問われる地球規模の課題にも取り組む。
具体的には、民主主義と権威主義の変容、中国による「一帯一路」構想や中東の平和的安定に向けた諸課題などグローバルな地政学リスクの分析研究、ASEAN から南アジア、アフリカまで視野に入れた経済圏構想など広域連携やコネクティビティに関する分析研究、伝統的な企業・産業研究に加えて、グローバル・バリュー・チェーン、イノベーション、デジタル経済、CSR や規制・ルール形成など新たな産業発展や貿易円滑化に資する研究などを実施する。
これらの研究課題について、世界最大規模の研究集積や学術ネットワークおよび「経済地理シミュレーション・モデル(IDE-GSM)」をはじめとする独自の分析ツール等研究所の強みを活かし、世界最先端の学術的分析手法を活用しつつ研究成果を創出する。

(3)国際的な研究ハブ機能と学術情報プラットフォーム機能の発揮

研究協力に関するMOU を締結している国際機関や国内外の大学・研究機関を中心として学術イベント等を共同で開催するとともに国内外学会やWTO 等国際機関が主催する会議等に積極的に参画し研究成果を発信する。また、アジア・アフリカ等各国の貿易投資に携わる若手行政官等を育成する研修プログラム(イデアス)を実施する。これら学術イベントの開催や研究者の派遣・受入れ等を通じた学術ネットワークの構築・強化により国際的な学術研究ハブ機能とプレゼンス向上を図る。
学術研究成果・各種データの蓄積・整備ならびに情報発信を強化するため、図書館部門と出版企画編集部門を「学術情報センター」として再編し、学術情報プラットフォームとしての機能を発揮する。同センターでは、世界有数の専門図書館として引き続き開発途上国・地域の関連資料情報の収集と提供を行うとともに、機関リポジトリ「ARRIDE」による学術研究成果の電子的保存・提供、ウェブサイトによる情報発信の充実と利便性向上および出版物の刊行等を行う。