2021 年 59 巻 p. 72-84
本稿は、コロナ禍で活動を大幅に制限されたモザンビークの首都マプト都市圏のインフォーマルな越境貿易業者(ICBT)の視点を通じ、インフォーマル経済を取り巻く環境の急激な変化を捉えるものである。本稿では、現地の調査協力者によるICBTへの聞き取りを通じ、ICBTとの関係が深いインフォーマル経済の末端の露天商をめぐる状況の変化を明らかにすると同時に、コロナ禍における移動にかかわる制約に直面するICBT自身の対応を詳らかにし、インフォーマル経済の社会経済的役割について再検討する。