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レポート・出版物

発展途上国の粗悪肥料問題に関する実態と政策的対応

調査研究報告書

有本寛 編

2019年3月発行

第1章
持続可能な農業と生産性の向上には,「適正量」の肥料投入が不可欠である.本研究プロジェクトは,品質の悪い粗製肥料の流通が肥料の適正利用を妨げている可能性を検証するものである.本稿では,分析視角として,消費後も品質が正確には推定できない「noisyな経験財」としての肥料の特質が,レモン市場問題を引き起こしていることを整理する.そのうえで,粗製肥料の流通と肥料の適正利用に関する課題として,粗製肥料の流通実態の把握とその方法,肥料の製造・流通構造,粗製が生じるメカニズムと製造・流通段階,粗製に対する農家の主観的認識,農家による品質推定,公的制度の概要と実効性,メーカーによる評判確立の可能性,について整理する.
第2章

本章では、ベトナムにおける肥料管理政策の実効性をはかるための準備作業として、主要政策と新聞報道の整理を行った。2017年政府議定108号の施行以降、肥料管理規制の政策的枠組みはかなり強化されているといえる。しかし、新聞報道によれば、規制強化の効果が行き届いている範囲は問題全体から見れば未だ氷山の一角であり、不正・粗悪肥料は遠隔地・少数民族地域を中心に残っているとみられる。法制度整備のみでは問題が解決しない理由を探るためにも、政策的枠組みでカバーされていない実態がどれほどの広まりを持っているのかを見極めることが重要になるだろう。

第3章
ベトナムのメコンデルタ地域では、高堤防の建設にともなう三期作の拡大が生じている。本章は、三期作が累積的な土壌劣化をもたらし、肥料投入の増加に拍車をかけているという仮説の妥当性を、データと既存研究のレビューに基づき議論する。