文字サイズ

標準
国・テーマ インデックス
レポート・出版物

21世紀アジア諸国の人文社会科学における研究評価制度とその影響

調査研究報告書

佐藤 幸人

2018年3月発行

表紙 / 目次(113KB)

第1章

韓国の大学教員業績評価制度(514KB)/ 二階 宏之

現在、韓国においてほとんどの大学で実施されている教員業績評価制度は、教員の能力や研究、授業の質の向上、社会貢献、学生への満足度の向上、大学競争力の確保などを目的とし、人事管理の面でも運用されている。しかし、学問の自由や教授の権威の侵害、成果が適正に評価されないなどの理由から、学界からは反発の声が高い。特に研究領域においては学術論文の短期的な定量的評価が中心であることから、長期的な研究で著書を選好する人文社会科学分野の成果を評価にどう反映していくかが今後の重要な課題の一つである。
第2章

中国の高等教育事業(508KB)/ 澤田 裕子

 中国の高等教育事業について概要を整理する。まず、高等教育制度の管理運営体制をまとめ、これまでの教育改革を振り返る。次に財政面から大学の運営経費と資金調達について概観する。さらに教育投資政策として、政府の限られた財源を一部の大学に重点的に配分する重点大学政策の例を紹介する。最後に教育の質保証、および研究評価について考察する。
第3章
本稿は、香港における第三段階教育についてその制度を概観する。またそのうち特に公的資金により運営される学位授与機関と、それら機関に対して実施される研究評価および予算査定について概観し、その内容を整理する。
第4章
本稿はChuing Prudence Chou ed. The SSCI Syndrome in Higher Education: A Local or Global Phenomenon(周祝瑛編『高等教育におけるSSCIシンドローム――ローカルあるいはグローバルな現象――』)のレビューである。『高等教育におけるSSCIシンドローム』には、台湾の人文および社会科学において、SSCI (Social Science Citation Index)やA&HCI (Arts and Humanities Citation Index)に依拠した研究評価制度が導入されて約10年が経過した時点でどのような問題が生じているのかを、主に高等教育の観点から論じた論考が収められている。指摘されている問題は、教育や社会サービスの軽視、数量的指標の偏重、発表形態における論文の重視と書籍の軽視、英語による発表の重視と中国語や他言語による発表の軽視、SSCI収録誌への発表の重視と他の学術誌への発表の軽視などである。
第5章
日本の大学では1990年代から始まる大学改革、2000年代の国公立大学法人化を背景として教員評価制度の導入が進み、いまや国立大学では9割以上、公立大学でも7割で教育評価を実施している。しかし、外的要因による評価制度の導入は大学に少なからぬ負担になっている。また教員評価の標準化や、組織評価と連動させていかに活用するかという点ではまだ多くの課題を抱えている。