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「分配政治」論の分析視角と射程:ポーク・バレルと政治的クライエンテリズム論を中心に

調査研究報告書

上谷 直克

2018年3月発行

表紙 / 目次(243KB)

第1章
本稿では、政治的クライエンテリズムを実証的に調査・分析する手法のひとつとして重用されてきた政治エスノグラフィーの射程と有用性について検討する。まずこの手法が活用される意義や実際の使われ方について簡単に述べたあと、政治的クライエンテリズム研究の一環としてこの手法を利用した先行研究をいくつか紹介する。それらを踏まえた上で、この手法に依拠した研究の限界や問題点と、この種の研究の次の展開として、政治的クライエンテリズムを含む「貧者の政治実践」分析の今後の方向性について言及する。
第2章
本稿では、大統領・閣僚・官僚などを中心的なアクターとする大統領制下のポーク・バレルを「行政府主導型ポーク・バレル」と定義し、その分析に向けた理論的視座を検討した。議員によるポーク・バレルと大統領や官庁にも焦点を当てた先行研究のレビューを通じ、大統領の予算案作成における「アジェンダ設定力」と予算執行への影響力、大統領の与党リーダーまたは再選に向けての選挙戦略、政権運営戦略、政治任用者の割合などの官庁の特徴、閣僚・官庁の政策選好、といった論点を抽出した。そして、これらの視座から筆者が以前行ったブラジルにおける非営利団体への財政移転の分析で得られた知見の再解釈を行い、同事例がルセフ大統領の再選戦略と労働者党リーダーとしての選挙戦略の双方に利用された可能性があると「憶測」できる点を指摘した。