2013年には、1991年の国際収支危機からおよそ20年を経て、インドでは国際収支問題が再び取りざたされる事態となった。はたして1991年当時にインドが直面していた財政赤字、インフレ、国際収支赤字といった構造的な問題について、経済自由化から20年を経てなお、依然として克服できていないと考えるべきなのだろうか。あるいはそのような問いの立て方自体もはやさほど重要ではないと理解すべきなのだろうか。本稿では、インドがおおむね高い経済成長率を記録していた2000年代を中心に、その対外経済関係にどのような特徴がみられるかを概観し、国際収支問題が再び議論されることにより、どのような論点が呼び起されたかを整理する。