企業の海外進出に関して、一般均衡理論の枠組みのもとで海外直接投資を取り扱う理論研究が行われており、企業の進出形態によって、それぞれの企業タイプを(1)輸出費用の削減に動機を求める水平型直接投資企業、(2)生産費用の削減に動機を求める垂直型直接投資企業、(3)同じく生産費用の削減に動機を求め輸出先が第三国となる輸出基地型直接投資企業、(4)水平型的動機と垂直型的動機が互いに補強しあう複合型直接投資企業に分けて説明することが試みられてきた。本章では、それぞれの企業タイプについて、水平型、垂直型、水平・垂直共存型、輸出基地型、複合型の順に先行研究の整理を行ない、最後に今後の拡張の方向性について論じている。