文字サイズ

標準
国・テーマ インデックス
図書館

アジア経済研究所図書館は、開発途上地域の経済、政治、社会等を中心とする諸分野の学術的文献、
基礎資料、及び最新の新聞・雑誌を所蔵する専門図書館です。どなたでもご利用になれます。

【開館時間】 10:00~18:00
【電話番号】 043-299-9716

【休館日】 第2・4・5土曜、日曜
祝日、月末、年末年始

【最寄駅】
京葉線JR海浜幕張駅 徒歩10分

東アジア

中朝経済関係に関する文献調査

1. はじめに
 本稿は、中国と朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)との経済関係、特に貿易関係について、主に中国において発表された論文を調査することによって理解しようとするものである。はじめに、統計データや、収集した論文等から得た知見により、中国と北朝鮮の貿易・経済協力の状況などを概観し、その問題点、改善案などについて紹介する。また併せて、2007年から2014年の間に中国で発表された、中朝経済関係に関する論文の文献解題を付する。文献解題中の論文は、テーマごとに並べているが、ひとつの論文に対し最大で2件のテーマを付与しているので、その場合は、各テーマの項目で重複して掲載されている。

2. 中朝貿易の現状
 中国は、1991年にソ連がそれまでの社会主義体制から市場経済システムに転換したことを契機に、ソ連に替わり北朝鮮貿易の主要取引国となった。1993年に表面化した北朝鮮の核開発問題による中朝関係の悪化や、94年の金日成主席死去による北朝鮮の対外関係の閉鎖などにより、中朝貿易は停滞、縮小し99年の貿易額は93年の三分の一まで落ち込んだが、北朝鮮全体の貿易自体が縮小したこともあり、この間も中国は北朝鮮の主要貿易国であり続けた。また2000年に金正日総書記の訪中、2001年には江沢民国家主席が平壌を訪問するなど最高指導者の相互訪問などにより両国関係は改善し、中朝経済関係を拡大させる追い風となった。その後は2005年、2006年に北朝鮮からの輸入が多少減少した他は両国の貿易取引は急増しており、2001年の7億3900万ドルから2008年には28億9000万ドルと4倍近くまで増加した。
 近年北朝鮮は2006年、2009年に核実験を行い、国連安保理決議により加盟国の北朝鮮に対する奢侈品の禁輸、兵器の禁輸や新規の助成金、金融支援、無利子融資の禁止などの制裁が加えられた上、2009年12月に実施のデノミネーションによる市場の混乱や洪水などの自然災害により厳しい経済環境におかれている。また2010年3月の韓国軍の哨戒艦艇の爆破事件、11月の延坪島砲撃事件など、国際関係上も緊張関係を作り上げ、中国とならぶ主要交易である韓国との関係も悪化している。このような状況の中で、近年の中朝貿易に目を向けると、北朝鮮の国際的立場の悪化にも関わらず、両国の交易はさほど影響を受けずにいることが見て取れる。2008年に28億9000万ドルであった貿易額は、2009年には輸出の減少により26億6000万ドルと減少したが、翌2010年には34億7000万ドル、2011年はそれを更に上回り、輸出額が31億6500万ドル、輸入額が26億4600万ドル、総額で56億2900万ドルと急増し過去最高額を記録している。
 上述したような韓朝間関係の緊張もあり、その貿易にも影響を与え始め、2009年には貿易額が減少、2010年にふたたび増加に転じるが、2011年には再度減少している。こうした中、北朝鮮は中国に対する貿易依存度を高めており、2000年には全貿易額のうち20.38%が中国との貿易であったものが、2001年は23.1%、2002年は25.44%、2003年は32.83%、2004年は38.83%、2005年は38.95%、2006年は39.1%、2007円は41.71%と年々増加している(林今淑 2009)。その原因としては上述のような、韓国を含む国際社会が北朝鮮に対して経済制裁を行っていること、また、中朝国境上には複数の税関があり、地理的に優位な状況にあること、さらに中国の商品の質と価格の安さがあげられており、当面の間、北朝鮮の中国に対する貿易依存度の高さは変わらないと見られている(李晋国2010)。

図1. 中国の対北朝鮮輸出入額の推移(単位:千USドル)

(出所) “World Trade Atlas”, "China customs stat. yearbook1994",『中国海関統計』,海关综合信息网から作成

 貿易内容について見ると、中国からの輸出では、原油が大きな比重を占めているのは継続して変わりないが、食料品については全体の20%程度を占めていたものが、2000年以降その比重は下がり始め、機械製品やその部品、電気製品、家電等の比重が増加してきている。また北朝鮮からの輸入では、2004年までは魚介類が全体の約4割をしめていたが、次第にその割合は減少し、それに替わって、石炭、鉄鉱石、鉄鋼などの輸入が急速に上昇しはじめた。これらの原因としては中国企業の北朝鮮への投資が増加したためと考えられる(林今淑 2009)。

表1.北朝鮮への主要輸出品目(単位:100万USドル, %)

2004
27 鉱物性燃料 204.379486 25.72
02 140.575886 17.69
85 電気機器 45.791038 5.76
72 鉄鋼 39.649321 4.99
84 機械類 39.585479 4.98
2005
27 鉱物性燃料 285.711175 26.34
02 104.221306 9.61
84 機械類 77.052491 7.1
85 電気機器 56.578351 5.22
39 プラスチック 52.158121 4.81
2006
27 鉱物性燃料 347.483443 28.21
02 111.868175 9.08
85 電気機器 97.576987 7.92
84 機械類 83.04722 6.74
39 プラスチック 51.975359 4.22
2007
27 鉱物性燃料 401.961406 28.87
84 機械類 103.812518 7.46
85 電気機器 69.285649 4.98
39 プラスチック 54.589767 3.92
87 車輌 53.65521 3.85
2008
27 鉱物性燃料 585.953731 28.82
84 機械類 145.485911 7.16
85 電気機器 100.646097 4.95
61 衣類 86.91126 4.28
39 プラスチック 80.045046 3.94
2009
27 鉱物性燃料 222.866108 18.42
84 機械類 98.985736 8.18
85 電気機器 70.75092 5.85
87 車輌 69.306958 5.73
61 衣類 58.066532 4.8
2010
27 鉱物性燃料 478.778339 21.02
84 機械類 245.192415 10.76
85 電気機器 190.691251 8.37
87 車輌 159.784028 7.02
39 プラスチック 84.421851 3.71
2011
27 鉱物性燃料 771.037587 24.36
84 機械類 277.320339 8.76
85 電気機器 251.460482 7.95
87 車輌 220.576981 6.97
39 プラスチック 110.893869 3.5
2012
27 鉱物性燃料 784.45042 22.21
84 機械類 293.167259 8.3
85 電気機器 266.877429 7.56
87 車輌 232.455553 6.58
39 プラスチック 131.449909 3.72
2013
27 鉱物性燃料 740.577528 20.39
84 機械類 263.181902 7.25
85 電気機器 253.833854 6.99
87 車輌 239.647982 6.6
54 人造繊維 145.571347 4.01
2014
85 電気機器 419.412701 11.91
84 機械類 310.014911 8.8
87 車輌 210.516381 5.98
39 プラスチック 193.427755 5.49
27 鉱物性燃料 191.349628 5.43

(出所)“World Trade Atlas”より作成

表2. 北朝鮮からの主要輸入品目(単位:100万USドル, %)

2004
03 魚、甲殻類 261.230657 44.87
72 鉄鋼 74.973175 12.88
26 鉱石、スラグ、灰 58.908571 10.12
27 鉱物性燃料 52.972822 9.1
62 衣類 49.085075 8.43
2005
27 鉱物性燃料 112.194554 22.6
03 魚、甲殻類 92.395523 18.61
26 鉱石、スラグ、灰 92.317206 18.59
72 鉄鋼 72.157192 14.53
62 衣類 58.308489 11.74
2006
26 鉱石、スラグ、灰 118.424541 25.32
27 鉱物性燃料 102.344316 21.88
62 衣類 63.336532 13.54
03 魚、甲殻類 43.265538 9.25
72 鉄鋼 35.248968 7.54
2007
27 鉱物性燃料 170.028345 29.24
26 鉱石、スラグ、灰 164.006103 28.2
62 衣類 60.369956 10.38
72 鉄鋼 45.187626 7.77
03 魚、甲殻類 29.935712 5.15
2008
26 鉱石、スラグ、灰 212.690989 28.21
27 鉱物性燃料 207.550217 27.53
72 鉄鋼 78.448001 10.4
62 衣類 77.296011 10.25
03 魚、甲殻類 39.999548 5.31
2009
27 鉱物性燃料 212.146328 42.38
26 鉱石、スラグ、灰 72.438622 14.47
62 衣類 56.301806 11.25
72 鉄鋼 43.283645 8.65
03 魚、甲殻類 21.595166 4.31
2010
27 鉱物性燃料 396.848836 33.41
26 鉱石、スラグ、灰 251.167899 21.15
62 衣類 160.577123 13.52
72 鉄鋼 108.520215 9.14
03 魚、甲殻類 59.529618 5.01
2011
27 鉱物性燃料 1149.076951 46.63
26 鉱石、スラグ、灰 405.709853 16.46
62 衣類 356.890908 14.48
72 鉄鋼 154.79704 6.28
03 魚、甲殻類 82.755792 3.36
2012
27 鉱物性燃料 1221.496543 48.84
62 衣類 372.913257 14.91
26 鉱石、スラグ、灰 358.063584 14.32
72 鉄鋼 124.596718 4.98
03 魚、甲殻類 100.564999 4.02
2013
27 鉱物性燃料 1400.71511 47.9
62 衣類 499.278222 17.07
26 鉱石、スラグ、灰 415.205122 14.2
72 鉄鋼 94.802334 3.24
03 魚、甲殻類 116.326658 3.98
2014
27 鉱物性燃料 1152.378086 40.48
62 衣類 622.023313 21.85
26 鉱石、スラグ、灰 338.747698 11.9
03 魚、甲殻類 143.172294 5.03
61 衣類 118.985194 4.18

61:衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。)
62:衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く。)
(出所)“World Trade Atlas”より作成

 また、貿易収支の不均衡も中朝貿易の特徴としてあげることができる(金香海 2008)。表3をみるとわかる通り、中国は北朝鮮に対し常に黒字となっており、年によりその差に増減はみられるが、2005年以降は差が拡大していく傾向にあり、2008年には10億ドルを突破している。

図2. 中朝貿易の収支(単位: USドル)

(出所) “World Trade Atlas”, "China customs stat. yearbook1994",『中国海関統計』,海关综合信息网から作成

 中朝貿易の中で大きな役割を果たしているのが、遼寧省と吉林省である。統計によれば、中朝貿易総額の6~7割を両省が占めており、その代表的な交易場所は、それぞれ直接北朝鮮と国境を接している遼寧省の丹東市と吉林省の延辺朝鮮族自治州である。中朝経済関係に関する論文も、中国と北朝鮮全体の関係について扱っている論文の他に、遼寧省あるいは丹東市と北朝鮮の関係、または吉林省あるいは延辺朝鮮族自治州と北朝鮮の関係について研究している論文も数多くみられる。
 これら地域での特徴的な貿易形態として挙げられるのが辺境貿易である。辺境貿易は、辺境地域の経済活性化をはかるために実施された一時的政策で、付加価値税と関税がそれぞれ50%減免される。通常、中国で貿易取引を行う際、企業は中央政府の認可を受ける必要があるが、辺境貿易では地方政府がその認可権をもっている。ただし、2000年に韓国の金大中・元大統領の訪朝により、南北関係が改善したことなどを受け、北朝鮮から中国を通過し、韓国や第三国へ輸出する中継貿易が拡大したため、辺境貿易が中朝貿易全体に占める割合は相対的に低下している。
 遼寧省丹東市は、中国最大の国境都市であり、丹東港は、中国沿岸部では最北端に位置する国際貿易港である。

3. 中朝経済協力
 中朝の経済協力を進めるための政策は近年より活発化している。遼寧省側の中朝国境である丹東では2010年、国境を流れる鴨緑江に中国側が費用全額負担で新たに橋を建設する協定が結ばれ、また2011年には、鴨緑江の中州にある北朝鮮領の島を中朝共同開発し経済特区にする計画を発表するなど両国の経済関係がさらに発展していく見通しである。また、もう一方の国境地帯である吉林省延辺朝鮮族自治区でも、2009年に中央政府により批准された「中国図們江地域協力開発計画要綱」により、中朝国境までの鉄道・高速道路の建設・北朝鮮への観光事業などが推進されているほか、国境の街である図們市で、両国市民が一定額以下の取引を免税で行うことのできる「中朝辺境住民互市貿易市場」の開場や「中国図們北朝鮮工業区」と呼ばれる地域を市内に設置し、北朝鮮住民を雇い、北朝鮮向けの商品を加工する計画や、「中朝羅先経済貿易区(2011-2020年)計画の枠組みに関する協議」を吉林省と北朝鮮の羅先市で締結し、羅先市に共同で貿易区を作ることを計画するなど、今後両国が経済関係をますます発展させていこうとする意志が感じられる。

表3. 中国と北朝鮮間の経済関係を中心とした主な出来事

年月日 出来事
1954年 中国政務院(現在の国務院)は吉林省と遼寧省に北朝鮮との辺境少額貿易を批准
1984年9月 「合営法」を制定発布。合営の方式で外国直接投資を合法的な経営にすることが可能に
1991年12月 ソ連崩壊
1991年12月28日 羅津-先峰自由経済貿易区の設立
1996年 羅津-先峰自由貿易区の開放。羅先市を直轄市に指定
1996年3月 羅先市と清津市を経済特区に指定
1997年 南浦、新浦等に加工・貿易保税区の設立
1999年 北朝鮮「人民経済計画法」を制定。計画経済を維持することを宣言。
2002年 第二次北朝鮮核危機
2002年7月 7.1経済管理改善措施
2002年9月 新義州特別行政区開設
2002年10月 金剛山旅遊区開設
2002年11月 開城工業園区開設および開城工業園区の開放を拡大
2003年 北朝鮮「総合市場」の設置を許可。
2004年 「関于朝鮮民主主義人民共和国中央銀行和中国人民銀行間支付決算的協議」締結
2004年 北朝鮮「外国人投資法」と「外国人企業法実施規定」を改訂。外資系企業が利益を自国へ送金可能に。
2005年3月 中朝間で、促進投資及保障協議を締結
2005年10月 中朝間で、鉱山開発、鉄鋼工業、港湾建設等3領域の合作について協議
2006年7月 北朝鮮テポドン2号日本海へ発射
2007年初 北朝鮮新義州を経済特区に指定。平壌に住む3000戸の住民を新義州に移住させる
2008年 金正日平壌の統一街総合市場を視察。市場の縮小へ。
2009年 北朝鮮未加工資源の輸出を制限
2009年 北朝鮮の茂山鉄鉱と吉林省延辺天池工貿公司合作開発鉄鉱粉プロジェクトを一方的に停止
2009年 北朝鮮、威化島と黄金坪島を自由貿易区に指定。外国人がノービザで出入り可能になる。
2009年5月25日 北朝鮮核実験の実施
2009年8月30日 中国国務院が「中国図們江区域合作開発企劃綱要:以長吉図為開発開放先導区」を正式に批准
2009年10月 中国大連創立集団琿春創力公司が羅津港1号埠頭の開発および使用権10年を獲得。
2009年10月4日 中国の温家宝総理が北朝鮮を訪問
2009年11月30日 北朝鮮、デノミネーションを実施。
2009年12月17日 北朝鮮国防委員会委員長の命により、大豊集団が設立
2010年1月 北朝鮮、羅先市を特別市に昇格。外国企業が羅先市で投資する際の手続きの簡素化
2010年1月 北朝鮮、国家開発銀行、大豊国際投資集団の設立。金融系統の改革を実施。
2010年 中国の税関、吉林省における「辺民赴朝携帯貨物出口貿易」の金額を海関統計に計上しなくなる
2010年2月25日 中朝両国により「中朝共同建設、管理和維護鴨緑江界河公路大橋的協定」を締結
2010年3月 北朝鮮羅先市を経済貿易特区に指定
2010年3月 平壌、南浦、新義州、元山、咸興、金策、羅先、清津の8都市を経済特区に指定。平壌は先端技術、南浦は医薬品産業、新義州は紡績等の軽工業、元山は造船、咸興は石炭化学工業、羅先は石油化学工業に重点を置くこととした。
2010年3月10日 朝鮮国家開発銀行設立。投資、融資活動を開始。
2010年4月23日 北朝鮮金剛山地区における韓国側の不動産を没収
2010年5月1日 金正日が訪中し胡錦濤国家主席と羅先経済貿易区、黄金坪、威化島経済区の中朝共同開発および共同管理について共通認識を確認。
2010年6,7月頃 吉林省と羅先市「関于中朝羅先経貿区(2011-2020年)企劃框架的協議」締結
2010年7月8日 「合営投資指導局」を「合営投資委員会」に拡大改編。外資を指導・管理する中央機関となる。
2010年8月19日 中国丹東市政府が人民元を国境貿易決算通貨として試験的に実施
2010年12月 北朝鮮の合営投資委員会と中国商務部が「合作発展黄金坪的諒解備忘録(MOU)」を締結
2010年12月1日 北朝鮮「国家資源開発指導局」が「国家資源開発省」に昇格。
2010年12月31日 中朝両国により「中朝新鴨緑江大橋」着工式の実施。
2011年 「経済開発総局」を設立。国内の経済建設の計画と、「国家経済開発十年戦略計画」で発生した問題処理の総責任を担う。
2011年1月15日 「国家経済開発十年戦略計画」を発表。
2011年4月 北朝鮮元汀口岸から羅津港の公道建設開始
2011年4月29日 金剛山国際旅遊特区を設立
2011年5月31日 金剛山国際旅遊特区法発布。
2011年6月8日 「黄金坪、威化島経済区部分合作項目啓動儀式」を実施
2011年6月9日 「中朝共同開発和共同管理羅先経済貿易区項目的啓動儀式」を実施
2011年6月9日
以降
中国吉林省と北朝鮮羅先市が「関于中朝羅先経貿区(2011-2020年)規劃框架的協議」を締結
2011年6月11日 威化島・黄金坪島の開発計画を批准
2011年12月3日 北朝鮮が「朝鮮黄金坪、威化島経済区法」を発布
2011年12月17日 金正日主席死去
2011年12月30日 党政治局会議,金正日の「10月8日遺訓」により,金正恩を人民軍最高司令官にすることを宣布。
2012年初頭 北朝鮮国内での外国通貨の使用を制限。また海産物の輸出を禁止
2012年10月26日 北朝鮮元汀口岸から羅津港の公道完成
2012年3月11日 外国企業が北朝鮮で行う投資の安全を守るため、保険機構を設立することを発表
2012年4月 国務院から図們江区域(琿春)国際合作示範区の設立が承認(批復)される
2012年12月 北朝鮮最高人民会議において「朝鮮民主主義人民共和国黄金坪、威化島経済区法」を可決
2013年2月 第3次地下核実験実施。「経済建設と核武力建設併行」の長期戦略路線を提出
2013年12月 党政治局拡大会議で張成沢の「反党反革命的分派行為」討議。12日に死刑判決
2013年11月21日 朝鮮最高人民会議により、各道に開発区を設立すると発表。
2014年7月23日 朝鮮最高人民会議常任委員会により、平壌市、黄海南道、南浦市、平安南道、平安北道等の6ヶ所の経済開発区と新義州特区を国際経済地帯にすると公布。

4. 中朝経済関係の優位性、問題点、改善点
 中朝経済関係の多くの論文では、その優位性、問題点、改善点について触れられている。これらは以下に述べる点におおよそ集約される。まずその優位性についてだが、地理的に隣接していること、豊富な鉱山資源をもつ北朝鮮と、比較的先進的な技術をもつ中国側企業との経済協力といった補完関係が構築できること等が挙げられている(張穎 2008)。問題点については、市場規模が小さいことや、北朝鮮が国際的な商習慣に慣れていないあるいは従わないため、中国企業側にリスクが生じる点、核問題における国際情勢の変化や南北関係の悪化などによる経済への影響、北朝鮮の経済改革の進度が不明瞭、外貨不足による北朝鮮側の支払い能力の不足、道路等交通や、税関施設等インフラ設備の不整備等、北朝鮮側の経済事情、経済制度に対する問題点が数多く指摘されている(瀋暁丹 2009)。また近年中朝貿易ではその8割が中国人民元での決済となっているという。米ドルやユーロから人民元に転換した理由は北朝鮮側の外貨不足等の原因であるが、その取引額は人民元の国外持ち出し規制を大きく上回るなどの不法行為、また輸出の際の減税措置も適用されないなどからの理由から闇取引が増加するなどの問題が発生している(常万年 2008)。このため、中国政府は北朝鮮企業に人民元での取引決済口座の開設を認める新制度を導入したが、課税の問題や、北朝鮮の企業が本国政府に取引の全容を知られたくないため、こうした口座の開設をそれほど望んでいないため、対策を講じてもその効果が現れていないという(佟炎 2009)。
 これら問題を解決するために、中朝政府間の協力強化や貿易を円滑に進めるための政策、経済協力のさらなる推進(肖楊 2011)等が提案されているが、上述の決済通貨の問題のように、制度の面を完備しても解決できない問題があることも明らかになっている。またそもそも中国側としては、東北地域振興のために、北朝鮮との貿易、また吉林省のような海に面していない地域では北朝鮮の港を通じて対外貿易を拡大するなど積極的に経済発展政策を推し進めて行きたい一方で、「自立的民族経済」を標榜している北朝鮮の貿易に対する姿勢は、国内で足りないものを輸入し、そのために必要な外貨のために輸出をしている(陳龍山 2008)とし、近年の経済改革も経済の改革開放のためではなく、あくまでも先軍政治を推し進めるための方策である(張璉瑰 2010)との見方もあり、中国側が提案している改善策が北朝鮮にとっても望ましいものであるかどうか、実行可能であるのかどうかは今後の動向を見守る必要がある。

5. 文献解題
 文献解題に収録されている論文は2007年から2014年の7年間の間に発表された中国と北朝鮮の経済関係に関するもので、主にCNKI(中国学術雑誌データベース)から検索したものである。テーマ別、年代順に並べられているが、一つの論文に対し最大で2件のテーマを付与しているので、リスト中重複して記載されている論文もある。

アジア経済研究所図書館
狩野修二

PDF版 (522KB)
文献解題