間 寧

間 寧 HAZAMA Yasushi

間 寧 HAZAMA Yasushi
[所属・役職] 地域研究センター 中東研究グループ ・主任研究員
[専門分野] 比較政治学
[email] Yasushi_Hazama E-mail
研究者情報(学歴・経歴・業績一覧)
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研究歴

新興民主主義諸国に共通する問題を、トルコを主な事例として研究してきました。主なテーマは3つあります。第1は政治体制です。たとえば、「なぜポピュリズムを持続できるのか」、「なぜ民主主義の後退が起きるのか」、「議院内閣制での包括法案は大統領制でのそれと違うのか」、「開発途上国で所得平等を促進する政治条件は何か」、「憲法裁判所は選挙で選ばれた政権への抵抗勢力なのか」などです。第2は投票行動で、「有権者は汚職を理由に政権を罰するのか」、「なぜ直近経済状況が悪くても多くの有権者は同じ政権を支持し続けるのか」、「民族主義は政権支持を安定化させるのか」などです。第3は世論形成で、「開発途上国で誰が経済的平等を求めるのか」、「公的医療サービスの満足度を高める要因は何か」などです。2023年には、トルコにおいて一党優位制がなぜ20年も続いてきたのかを、①与党の組織とイデオロギー、②政権のブランド化、③現実的社会福祉、④指導者の言説力から分析したうえで、それがなぜ衰退しているのかを、⑤クーデタ未遂事件を機に加速した強権化、⑥集権的大統領制導入による与党機能の低下、⑦利権再生優先による経済弱体化から分析した単著を出版しました。これらの研究成果、およびトルコ情勢分析の文献リストは▶researchmapに掲載されています。

現在取り組んでいるテーマ

トルコにおいて経済危機が慢性化していた2023年5月大統領選挙で、エルドアン大統領がどのような方法を用いて当初の劣勢を挽回して勝利したのかを、選挙前から選挙直後まで3回にわたり同一有権者に対して実施されたアンケート調査データをもとに分析しています。選挙では通常、有権者は政権の経済実績をもとに政権支持を判断しています。大統領は経済実績から有権者の目を逸らすために安全保障危機の言説を展開しました。その言説の効果の高まりを3時点のデータで検証しています。また、難民の流入はどのような認識あるいは性格を持つ人々を反発させるのか、非公式な社会ネットワークは社会全般を利する行動を促すか、などについての論文も執筆中です。