ジェンダー Gender
より自由に生きるために
バングラデシュの縫製工場で
輸出品の最終チェックをする女性達
輸出品の最終チェックをする女性達
ジェンダーは、現在も展開を続ける流動的な概念であり、さまざまな問題に新しい切り口や視点を提供してきました。途上国関係でまず思い浮かぶのは、「ジェンダーと開発」(GAD:gender and development)でしょう。1960年代の途上国援助の理念は、開発の担い手としての女性に注目しました(WID:women in development)。80年代にジェンダー概念がとりいれられると、女性の状況を改善するためには、女性自身の能力向上だけでなく、男性との関係を問い直し、女性に差別的な制度や社会システムを変えることが必要だと認識されるようになりました。
「ジェンダーと開発」は、実践的な関心にもとづくいわばジェンダー研究の応用編といえます。では、途上国社会におけるジェンダーのありように迫るにはどんな方法があるのでしょうか。ここでは一例としてジェンダーと民族・エスニシティの相関に注目してみましょう。先進国社会内部のエスニック・マイノリティや途上国社会の女性は、ジェンダーに加え、国内・国際的な階層・階級という二重のくびきにつながれていました。これらの女性の経験は、まず男性との共闘を通じてエスニック・民族集団の自律・独立を目指すという、先進国女性とは異なる経路をたどったのです。そこで必要とされたのは中産階級出身の白人女性の思想である欧米のフェミニズムとは異なるフェミニズムでした。90年代以降、ナショナリズムとフェミニズムの葛藤を背景として、近代国家の建設期に多くの社会で見られた女性の地位向上運動の再評価が行われています。一見、女性の自律性の表出にみえる運動が、実は西洋のまなざしに対抗するための手段として利用される側面をもったことが指摘されています。「遅れた」女性が民族の象徴とみなされ、女性の「近代化」を目指す運動が民族の地位向上運動に取り込まれたのです。そこではジェンダーのありようが民族によって媒介されているのです。
ジェンダーについての研究は、フェミニズムから出てきたこともあって、今まで社会科学が見過ごしてきた女性を中心とする研究が主体となってきました。しかし、男性論や同性愛論など新しい研究領域も盛んになりつつあります。
「ジェンダーと開発」は、実践的な関心にもとづくいわばジェンダー研究の応用編といえます。では、途上国社会におけるジェンダーのありように迫るにはどんな方法があるのでしょうか。ここでは一例としてジェンダーと民族・エスニシティの相関に注目してみましょう。先進国社会内部のエスニック・マイノリティや途上国社会の女性は、ジェンダーに加え、国内・国際的な階層・階級という二重のくびきにつながれていました。これらの女性の経験は、まず男性との共闘を通じてエスニック・民族集団の自律・独立を目指すという、先進国女性とは異なる経路をたどったのです。そこで必要とされたのは中産階級出身の白人女性の思想である欧米のフェミニズムとは異なるフェミニズムでした。90年代以降、ナショナリズムとフェミニズムの葛藤を背景として、近代国家の建設期に多くの社会で見られた女性の地位向上運動の再評価が行われています。一見、女性の自律性の表出にみえる運動が、実は西洋のまなざしに対抗するための手段として利用される側面をもったことが指摘されています。「遅れた」女性が民族の象徴とみなされ、女性の「近代化」を目指す運動が民族の地位向上運動に取り込まれたのです。そこではジェンダーのありようが民族によって媒介されているのです。
ジェンダーについての研究は、フェミニズムから出てきたこともあって、今まで社会科学が見過ごしてきた女性を中心とする研究が主体となってきました。しかし、男性論や同性愛論など新しい研究領域も盛んになりつつあります。











