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社会運動 Social Movements

みんなで動けば世界は変わる?

イラク戦争に反対する学生たちのデモ集会(インドネシア)
イラク戦争に反対する
学生たちのデモ集会(インドネシア)
何らかの社会問題を前にして、その解決を目指す複数の人々が集合的におこなう行為が社会運動と呼ばれます。社会運動と一口に言っても、その内容は様々です。かつては労働運動や社会主義運動が社会運動の典型でしたが、環境運動、反戦・平和運動、女性やマイノリティの運動、地域問題の解決を目指す住民運動、消費者運動など、現代の社会運動の目的や価値観は多様化しています。また、社会運動が用いる手段も、デモ行進、集会、署名活動、メディア・キャンペーン、ボイコット、暴力的な実力行使に至るまで様々です。グローバリゼーションを背景として、国境を越えるトランスナショナルな社会運動も増えています。

初期の研究では、社会構造上の要因から社会運動の発生が説明されてきました。資本主義社会の矛盾から労働運動の発生を説明するマルクス主義理論、急激な社会変動がもたらす構造的緊張や不満が人々を極端な行動に走らせる、という集合行動論などが代表的なものです。しかし、人々の不満から運動が起きるとの見方は、1970年代に登場した「資源動員論」によって大きく修正されました。資源動員論は、社会運動組織が活動するのに必要な「人」、「カネ」、「ネットワーク」などの資源を重視します。不満はどんな社会にもあるが、利用可能な資源を獲得してはじめて社会運動が起きる、というのが資源動員論の中心的なメッセージです。さらに、運動の外部に存在する資源へのアクセスという観点から、「政治的機会構造」が注目されるようにもなりました。これは、政策決定過程がオープンかどうか、有力者との連携の可能性はあるか、権力構造に亀裂があるか、といった社会運動をとりまく政治的条件が、運動の発生やその後の展開に大きな影響を与える、という議論です。また、出来事の意味づけや世界観の提示といった「フレーミング」も、社会運動の支持獲得において重要な要素となります。
社会運動の理論は主に先進国を念頭において発展してきました。しかし、社会運動は途上国にとっても無縁ではありません。歴史的には、植民地支配や帝国主義的侵略への抵抗運動がありました。近年では、軍政や一党制に抗議する民主化運動や、イスラームなど宗教的価値に根ざした運動が各地で起きています。また、住宅、土地、水、医療など生活の基本に関わる問題について政策的な要求をしたり、組織化によって自ら解決しようとする社会運動も増えています。世界経済フォーラム(ダボス会議)に対抗して2001年から毎年開催されている世界社会フォーラムは、「もう一つの世界は可能だ」(Another World is Possible)を合い言葉に、世界各地の社会運動活動家が意見交換を行う場になっています。