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紛争と平和構築 Conflict and Peacebuilding

なぜ起こるのか、どうすればいいのか

ルワンダ南部ムランビに建てられたジェノサイド・メモリアル
ルワンダ南部ムランビに建てられた
ジェノサイド・メモリアル
第二次世界大戦後、先進国間の戦争がなくなる一方、開発途上地域で武力紛争が頻発しています。紛争は甚大な人的、物的被害を引き起こし、開発途上地域の発展を著しく阻害してきました。なぜ開発途上地域で、紛争が止まないのでしょうか。また、紛争が起こったとき、どのような解決策がありうるのでしょうか。

武力紛争やその解決というテーマは、国際政治学や国際法学の中心的な課題であり、そこには多くの研究蓄積があります。しかし今日、開発途上地域で頻発する紛争は、私たちに新たな問題を突き付けているといえるでしょう。多くが国家間戦争ではなく国内紛争として生起すること、国内紛争でありながら国境を越えた政治経済的関係が重要な意味を持つこと、被害者としてもまた加害者としても、膨大な数の民間人が紛争に巻き込まれること、等々、近年の武力紛争は従来の枠組みでは必ずしも捉えきれない性格を有しています。したがって、なぜ紛争が起こるのか、なぜこうした特徴が現れるのか、といった問いに答えるためには、従来にまして、現場で何が起こっているのかを正確に知ることが求められています。
平和構築に関する研究は、紛争をどのように解決に導けばよいのか、紛争後の社会をどのように復興させるのか、そこにおいて国際社会は何をすべきで、何をすべきでないのか、といった問題に答えようとします。これは、とくに冷戦終結以降注目されるようになった研究テーマです。近年では、開発途上地域の紛争に対する国際社会の関与が深まり、平和構築が外交上の重要なイシューになっています。冷戦の終結やグローバリゼーションの進展など国際環境の変化は、主権国家体制の中核の一つである内政不干渉原則を変容させ、人道上の考慮、貧困問題への対応、安全保障上の配慮など、様々な理由から、紛争を経験した途上国の復興に先進諸国が関わりを深めているのです。

紛争にせよ、平和構築にせよ、すぐれて実践的な研究課題であると同時に、急速に変化する国際関係を映し出す、理論的にきわめて刺激的なテーマです。そこでは、現実の動きを当該地域の歴史的、社会的文脈に位置づけて理解する、地域研究のアプローチが重要性を増しています。アジア経済研究所では、地域研究の立場から、開発途上地域に生起する紛争や平和構築の実像を解明し、その特質を探る研究が行われてきました。近年では、国際政治学や国際法学の専門家を交えて、より包括的にこの問題にアプローチする研究プロジェクトが実施されています。
武内 進一