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法制度 Law and Institutions

開発における法の役割とはなにか

タイ、ヤラー県裁判所
タイ、ヤラー県裁判所
日本と開発途上国の政治的・経済的・社会的な関係が深まるなか、途上国の法制度に関する様々なレベルの研究の蓄積が必要となっています。企業活動においては、制定法など法規範レベルの把握はもちろんのこと、実際の制度運用や人々の法意識を理解する重要性が認識されつつあります。また、我が国の政府開発援助大綱は、良い統治(good governance)に基づく開発途上国の自助努力を支援するための人づくり、法・制度構築や経済社会基盤の整備に対する協力を基本方針として示しています。そのためには、なによりもまず被援助国の法制度が抱える問題点を的確に理解することが不可欠です。

開発途上国の法制度研究では次のような調査研究が行われます。(1)関係法令や判例集の収集・読解に基づく、当該国法の規範の意味内容の解明。(2)法がその社会でどのように存在し、運用されているか、司法制度および個別法分野などの法制度の解明。(3)法規範・法制度と法意識や実態との乖離の究明。これらの研究を前提として、当該国の法制度をめぐる問題点を摘出し、その解決の方向を探ることを目的とした法政策研究も可能となります。
法制度の発展の基底には、当該国の経済発展の状況や固有の社会・文化のあり方などが存在します。また、そうした内的要因と同時に、グローバリゼーションや国際社会の動向など外的要因の影響も受けながら法改革は進められてきました。したがって、開発途上国の法制度研究を進める上では、そうした文脈に留意しながら、または焦点を当てて研究を行うことが求められています。たとえば、経済のグローバル化、体制移行、地域協力、開発援助などの文脈における開発途上国の法制度の分析、環境、消費者、労働など国内的国際的な社会問題の究明、開発途上国における民主化、人権、法の支配などが研究テーマとして考えられます。とくに、開発過程における法の役割の解明は、途上国が自ら行う法改革および外部の法整備支援を効果的に実施するために重要であり、いっそうの研究、理論化が期待されている課題です。
小林 昌之