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マクロ経済-財政 Public Finance

マレーシア財務省
マレーシア財務省
財政とは通常、予算の策定、執行に代表される政府の経済活動のことを指しますが、より広義には国家という抽象的な存在を貨幣という尺度で切り取った一つの断面であるといえます。神野[2002]は、経済システム、政治システム、社会システムという「三つのサブシステムを調整し、一つのトータル・システムとしての社会に統合する媒介環」というより広い定義を財政に与えています。特に途上国の財政を分析する際には、このように幅広い視点で財政を捉える必要があるといえます。

経済学の一分野としての財政学では、財政の基本的な機能として、(1)開発に必要なインフラ整備などの公共財を供給する「資源配分」機能、(2)累進課税や社会保障給付を通じた所得「再分配」機能、(3)景気変動を緩和する「安定化」機能、に着目します。工業化の過程では、産業インフラ(工業団地など)輸送インフラ(道路、港湾)、電源インフラ(発電所、送変電設備)などが重要な役割を果たしますが、これらをどのように供給するか、ということと同時に、そのために必要な資金をどのように調達するか、ということも重要な財政課題です。経済成長の初期段階では所得格差の拡大を必要悪として是認する傾向も見られますが、その際にも貧困層向けセーフティ・ネットの供給などの再分配政策を怠ると、社会の不安定化をもたらすかもしれません。

財政の多面性、その機能の多様性を反映して、財政に関する研究にも様々なものがあります。例えば、累積債務とその持続可能性といったマクロ経済学的な研究、開発プロジェクトごとの費用・便益分析や政策効果の応用一般均衡(Computable General Equilibrium: CGE)分析といったミクロ経済学的な研究、再分配政策を中位投票者モデルになどで分析する政治経済学的な研究などが挙げられます。

より財政に焦点を当てた研究としては、租税帰着(tax incidence)分析と支出帰着(expenditure incidence)分析から構成される財政帰着(fiscal incidence)分析があります。これは、租税の負担や政府支出による便益が、最終的にどの社会階層にどの程度帰着するかという財政の「再分配」機能に着目する研究です。分析手法としては目新しいものではありませんが、近年、貧困削減や財政運営の効率化などに対する関心が高まるにつれ、新しい実証研究も増えてきています。

ミレニアム開発目標の採択を期に、開発援助の効率性についての関心も高まっています。例えば、援助資金が流入することにより、本来行われるはずのなかった開発プロジェクトが実行されるといった、資金の流用可能性(fungibility)も重要な財政問題です。
市場が未発達である途上国の方が、政府(財政)に期待される役割が大きくなり、その結果、「政府の失敗」のリスクが高くなると考えられます。この点に関しては、世界銀行などが推進する中期的支出枠組み(Medium-Term Expenditure Framework: MTEF)の導入も近年の流れとして注目されます。MTEFは、財政の透明性・効率性の向上を目的として、複数年度を視野に入れて予算編成・執行を行うという財政運営手法であり、サブサハラ・アフリカ諸国などで導入されています。
梅﨑 創

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