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アフガニスタン復興国際会議(カーブル)と同国の現状(原文英語)

アフガニスタン動向

新領域研究センター 鈴木 均
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この記事は2010年7月25日にNHKワールドTV「ASIA 7 DAYS」でオンエアされた『アフガニスタン復興国際会議(カーブル)と同国の現状』(鈴木均研究員出演)の内容です。

Question 先日カーブルで開催された会議をどのように評価されますか?

Answer現在のアフガニスタンの治安状況で、70を超える国と国際機関の代表が無事に首都カーブルに集まったことは、一応の成功といえるでしょう。アル・カーイダとの結びつきがあるハッカーニー・ネットワークが同会議を標的とした攻撃を計画していたという情報はありましたが、ターリバーンの重大な攻撃を受けることはありませんでした。

より大局的なアフガニスタンの平和構築という文脈で考えると、これから冬までの数カ月の間にオバマ大統領の新アフガニスタン戦略の結果が明らかになる訳で、この会議は非常に重要な転換点で開催されたと言えます。

オバマ大統領は、2011年半ばに米軍撤退を開始する計画だとも明言しています。また、軍事作戦と民間プログラムの連携が重要だと強調しています。もし軍事作戦が成功し、アフガニスタンにおける一般の人々のターリバーン支持に変化が生じてくれば、カルザイ政権はターリバーンとの交渉を有利に進めることができるでしょう。しかし、もし作戦が失敗すれば、アフガニスタンの命運は5年もすれば否応なくターリバーンとその協力者の手に落ちてしまうでしょう。

Questionカルザイ大統領は、和平プログラムにおいて何を達成しようとしているのでしょうか? またなぜうまくいかないのでしょうか?

Answer現在のアフガニスタンの混迷の原因を過去に求めるとすれば、2003年3月20日にブッシュ前大統領がサッダーム・フセイン政権下のイラクとの戦争を宣言したことで、国際社会の主な関心がアフガニスタンから離れてしまいました。

それ以降の数年間でターリバーンは再びアフガニスタン領内に入り込む力を取り戻し、現在ではほぼ全ての地域で影響力を拡大しています。 現在アフガニスタンの政治的力関係は、ターリバーンおよびその協力者との交渉のために、カルザイ政権側があらゆる努力をせざるを得ないというのが実情です。

アフガニスタンの人々にとっては和平交渉は短期的に利益が出ればよいというものではなく、彼等自身の子どもたちの世代の将来をも左右する極めて重要な選択肢なのです。

そのため、カルザイ政権に交渉を担う十分な力があり、また国際社会の取り組みは何十年も続くのだとアフガニスタンの人々に信用してもらうことは、現状において非常に難しいのです。

Questionターリバーンとの和平交渉を進展させ、ターリバーン兵士を社会に復帰させるためには、何が必要でしょうか?

Answerその点について最も重要なのは、アフガニスタンのごく普通の人々は決してターリバーン政権になってほしいとは思っていないという点です。実際のところいわゆるターリバーン兵士でさえ、現政権への不信あるいは外国の軍隊への嫌悪感から、強制的、義務的にターリバーンを支持するようになっている者が大部分だといわれています。

国際治安支援部隊(ISAF)と米軍は、アフガニスタンの市民の犠牲を増やすような作戦はすべて自制するべきであり、軍事作戦から民間の復興活動重視へと、大胆に戦略を転換すべきです。

そうすることにより、30年に及ぶ戦乱で疲弊したアフガニスタンの人々も、次第に国際社会の善意と努力に目を向けるようになるでしょう。そして最終的には、ターリバーン指導者ではない彼ら自身の新たな政治的代表者を見つけることができるように方向づけていかなければなりません

Questionアフガニスタンには、自国の再建の力になりたいと懸命になっている若者がいます。彼らの夢が実現する可能性はあるでしょうか?

Answerこれはある意味非常に答えにくい質問です。ISAFおよび米軍に対して全面的な対決姿勢を取るターリバーンの政治的メッセージは、国際社会の協力による国家の再建とはまったく相容れないものです。ですから、この質問はこう言い換えるべきでしょう。「アフガニスタンの若い世代が彼ら自身の力で国と社会を再建していくために、私たちはどのように支援することができるか?」

これは非常に重い質問でもあります。しかしこの問いを繰り返し念頭に置くことで、国際社会はいつかターリバーンの過激な思想に打ち勝っていくことができるでしょう。アフガニスタンの人々の必要に応じて国際社会が支援することで、私たちは若い世代が彼ら自身の力で国と社会を再建するよう勇気づけていかなければなりません。

もちろんこれは、カルザイ大統領やアフガニスタンの人々にとってだけでなく、日本を含む国際社会にとっても長く険しい道のりになることでしょう。


(NHKワールドTV「ASIA 7 DAYS」、2010年7月25日放送)