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ベネズエラ:チャベス大統領死去に伴う大統領選挙(2013年4月14日)の結果速報

ベネズエラ

地域研究センター ラテンアメリカ研究グループ長 坂口 安紀
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2013年4月15日
現地時間の4月14日午後11時すぎ(日本時間15日午後12時半すぎ)、ベネズエラ国家選挙管理委員会(Consejo Nacional Electoral:CNE)は99.12%の集計時点の確定結果として以下を発表した。

ニコラス・マドゥロ(チャベス派) 7,505,338票 50.66%
エンリケ・カプリレス(反チャベス派) 7,270,403票 49.07%
投票率 78.71%



上記の発表後、5人の選挙管理委員のうち4人が席をたち、ひとり残ったディアス(Vicente Díaz)選挙管理委員が会見を続け、「選挙はおおむね問題なく平和裏に行われた。しかし選挙不正が一部にみられたため、すべての投票箱に関して投票用紙の結果を監査するよう要求する」と発言する異例の状況であった。5人の選挙管理委員のうち、彼を除く4人はチャベス派であることが知られている(ひとりは選挙管理委員に就任する直前まで与党ベネズエラ統合社会主義党[PSUV]の国会議員だった)。ディアス委員のこの発言時に、残りの4人が彼を残して離席したことから、選挙管理委員会内部で、選挙不正に関して意見が対立していたことがうかがえる。

この発表直後にマドゥロは大統領府で勝利演説を行った。一方カプリレスは、昨年10月の大統領選挙ではすみやかに敗北を認めていたが、今回は結果監査が終わるまで結果を認めないと発表した。カプリレスは、当日3200件以上の選挙不正やイレギュラリティが報告されたこと、在外投票の結果が集計されていないこと、そして反チャベス派自身の出口調査の結果と異なることから、約20万票の得票差では勝利は確定ではない、と主張している。

マドゥロは、選挙管理委員会による結果発表直後に大統領府で演説を行った。今回の選挙キャンペーン名がコマンド・ウーゴ・チャベス(Comando Hugo Chávez)であったこと、そしてスローガンが、「私はチャベスだ」(Yo soy Chávez)、「チャベスは生きている」(Chávez vive)であったことが象徴するように、カリスマ性とリーダーシップに欠けるマドゥロ氏は、チャベス大統領の威を借り、チャベス大統領への支持者の絶大な支持を自らへの票に結びつける作戦をとった。勝利演説でも、「私は(チャベスの)息子だ」「チャベス司令官、(任務を)達成したことを誓います」と叫んでいたのに加え、支持者らに「チャベス大統領と一緒に国家を歌おう」と呼びかけ、チャベス大統領が国家を歌う録音音声を流し、それに支持者の大合唱が重なるという場面があった。またマドゥロは、結果発表前にカプリレスから申し入れがあり、2人が電話で対話したことを明らかにした。マドゥロは、「カプリレスがパクト(協定)を結ぶことを求めてきたが、自分は誰とも協定は結ばない。1票差で負けても敗北を認めるが、1票差で勝っても自分の勝利である」と伝えたと発言した。これに対してカプリレスは「マドゥロの嘘である、自分は誰とも協定を結ばない。自分が協定を結ぶのは、神様と国民だけである」と強く反発した。しかしマドゥロに対話を申し込み、電話で対話したことの真偽については、触れなかった。

3月5日にチャベス大統領が死去した直後は世論調査でもマドゥロ候補が15%ポイントの差で優勢であることが示されていた。しかし最後の2週間ほどでマドゥロ支持が縮小し、カプリレスが追い上げていることが伝えられており、なかにはカプリレスが逆転して有利にたったことを示す世論調査結果もあった。マドゥロが有利とのおおかたの予想であったが、結果は、「僅差でのマドゥロ勝利」となった(現時点ではカプリレスは監査を求めており、敗北を認めていないが)。

今回の結果を過去3回の大統領選挙の結果と比較してみよう。今回の大統領選挙でマドゥロは昨年10月のチャベス大統領の得票数から約70万票減らし、その分がほぼそのままカプリレスの得票数の増加につながっていることがわかる。また、チャベス派候補(チャベスおよびマドゥロ)と反チャベス派候補(ロサレスおよびカプリレス)の得票率差は、2006年の約26%から2012年には約11%、そして今回は約1.6%と、大きく縮小していることがわかる。

2006年、2012年、2013年の大統領選挙の結果
2006年、2012年、2013年の大統領選挙の結果
(出所) Consejo Nacional Electoral(CNE)http://www.cne.gob.ve 2013年4月15日アクセス。
2013年の結果は、2013年4月15日(現地時間では4月14日)のCNEの結果発表の生放送より。

なお、選挙キャンペーン、結果の分析、今後の展望についての詳細は、稿をあらためて報告する予定である。以下もあわせて参照されたい。
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