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またひとつ増えた自然災害—大寒波に襲われたバングラデシュ

アジアの出来事

バングラデシュ

開発研究センター ションチョイ アブー
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2011年1月
毎年きまった時期に襲ってきてしばしば国土に計り知れない大破壊をもたらす洪水やサイクロンのことを話題にするのはバングラデシュ人として決して楽しいものではない。従来、バングラデシュに災厄をもたらしてきた自然災害に新しい災害が加わった。それがこれまでも自然災害にさらされてきた貧困層の人々に新たな犠牲を強いることになった。その災害というのは地球の気候変動による「寒波」である。犠牲者の数の点では寒波の威力は他の災厄となんら変わることがない。最近の寒波は1月7日に到来し16人の死者をだしている。うち九人は子どもである。北部バングラデシュの人口の大半が肺炎、下痢、咳、発熱、喘息などの風邪の諸症状に見舞われている。寒波襲来に伴いバングラデシュの全国土を突風が吹き荒れ濃霧が覆った。観測記録によるとバングラデシュの冬の平均気温はせいぜい摂氏15から20度である。しかし、今回の寒波により摂氏四度にまで下がった。これは最も低い気温である。この寒波でどの地域よりも甚大な被害を被ったのはヒマラヤ山脈に接する北部である。北部バングラデシュは全国でもとりわけ貧困にあえぐ地域で、人々は恒常的な貧しさに加え農作物の季節的な不作による貧困に苦しめられている。このたびの寒波災害は人々の苦しみを極度に増大させた。厚い防寒着や寒さをさける場所がないので命の危険にさらされることになった。北部バングラデシュ、特に、地元では「チョール」と呼ばれているティスタ川の中洲に暮らす住民の被害は筆舌に尽くし難い状態になっている。ところによっては3、4日の間、濃い霧と雲により太陽が姿をみせず、流域の多くのチョールでは霧に覆われたため視界がきかない日が続いた。貧しい人たちは寒さのためまた体調をくずしたりして日々の仕事にもいくことが不可能となり、その結果、日々の給料の大部分を受け取ることができなかった。収入がなければそれが災害への適切な対処の妨げとなる。さらに、各地からの日々の食糧の流通が危機的に途絶した。基幹道路や給水路も遮断され回復の見込みがたたなくなった。物理的な主要連絡手段が完全にといっていいほど絶たれてしまったのである。このような流通や交通のみだれは日常品の値段を高騰させ、人々の被害はより深刻さを増す。悪天候をかえりみず無謀にも車ででかけた人たちは高速道路の渋滞に巻き込まれるのと同様なんらかのアクシデントに見舞われた。

寒波を引き起こすのは北西からひっきりなしに吹きおろす冷たい空気の流れであり風速10~15kmに及ぶ。真冬の季節をいっそう冷え冷えとさせている。雨が降らないためこの季節にしては空中を飛ぶ花粉の数は多く、空気中に満ちあふれるほこりは喘息、肺炎、慢性気管支炎、呼吸障害、慢性閉塞性肺疾患などの病気を引き起こしている。ここ数日、病院は風邪などの病気による入院患者であふれかえっている。北部地域の病院はことさらである。様々なメディアの報道が砂漠のチョール地帯では幾千、幾万の住民が深刻な被害にあっていることを伝えている。ブラマプトラ平原のクリグラム、ラルモニラート、ガイバンダ、ラングプール、ニルパマリ、ボグラ、シラジガンジなどの地域である。

私も関心を寄せるバングラデシュ人としてこの寒気により多大な被害に遭遇した方々に同情の念を禁じ得ない。限られているとはいえ被害者への義援活動も起こっているときく。このバングラデシュを襲った自然災害のことについて本誌に執筆するこの機会に、日本の開発のパートナーの方々、関係官庁の方々、そして一般の日本の国民の方々にもこの事実に対する関心を高めていただければうれしく思う。


(日本語訳:真田孝之)